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三菱 エクリプス クロス(3/3)新車試乗記(第834回)

Mitsubishi Eclipse Cross

2018年04月20日

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ここがイイ

デザイン。後方視界。先進安全装備

デザインは好き嫌いが分かれると思うが、すごく頑張っているのでは。このクラスはC-HR、ヴェゼル、CX-3、輸入車でもアウディ Q2、ボルボ XC40など、個性的で「カッコいい」モデルが目白押しだが、エクリプスクロスはそれらに負けず個性的だし、三菱のDNAも感じさせる。また、上下ダブルのリアウインドウによる後方視界は抜群。同様にリアにエクストラウインドウを持つプリウスよりも、よく見えると感じた。

135km/hまで設定できるACC、歩行者対応の自動ブレーキ、リアのミリ波レーダーによる後退時車両検知警報システム。オートハイビームなど、上級グレードには先進安全装備が(操舵支援機能こそないが)一通り備わっている。

ここがダメ

万人向けではないスマートフォン連携ディスプレイオーディオ。必要が感じられないヘッドアップディスプレイ

Apple Car Play および Android Auto対応の「スマートフォン連携ディスプレイオーディオ」は、現時点では一般的にはお勧めしにくい。これ自体にナビ機能はないため、スマートフォンのナビアプリを利用することになるが、いちいちUSBでつなぐ必要がある。また、CD/DVDプレーヤーや地デジTVチューナーはないので、もしスマホ等がなければ、できるのはAM/FMラジオを聞くくらい。また、iPhoneの場合はGoogleマップではなくApple標準マップしか使えないし、Androidの場合はGoogleマップを使えるが、タッチパッドコントローラーが非対応になる(いずれにしろタッチパッドコントローラーで出来ることは限定的だが)。というわけで、オーディオ・ナビに関してはメーカーオプションの7インチナビか、ディーラーオプションの7.7インチナビ、あるいはアルパインの11インチナビ「BIG X」あたりを選んだ方が無難なように思える。それなりに高価だが。

ヘッドアップディスプレイは電動の透明ボードに投影するタイプで、最近主流になりつつあるフロントウインドウ投影タイプ(見やすいし、わずらわしくない)を思うと、ちょっと今さら感が。表示される情報も走行速度とACCの設定状態くらいで、どちらかと言えばメーター内の表示の方が見やすい。そうなるとイグニッションのオン/オフに応じて電動昇降するのも仰々しく思える。

総合評価

後発ならではの強みは

三菱自動車で、燃費不正問題が発覚したのが2016年4月のこと。その後すぐに日産の傘下に入ることになり、早2年がたった。エクリプス クロスの場合、2013年の東京モーターショーには直接的な原型ではないそうだが、それっぽいコンセプトカーが出ていたわけで、騒動の間も粛々と開発が進んでいたであろうクルマだ。いや、あるいは紆余曲折の末、やっといま出せた、ということかもしれない。騒動がなければ、もう少し早く投入されたようにも思う。トヨタがC-HRを発売したのは2016年12月だったが、エクリプス クロスも本来は2017年早々に国内投入したかったのでは。現に、海外へは2017年10月から輸出できている。

C-HRがバカ売れしているように、このクラスのカッコイイSUVは、国内市場ではトレンドになっている。このクルマもそこへ一刻も早く投入されるべきだったが、ちょっと出遅れ気味となったのは惜しいところ。その意味では、後発の強みを発揮したいところだ。

 

まず、スタイリングはライバルと比べて見劣りしない。コンセプトカーのままとは言えないが、かなりその雰囲気を残していて魅力的だ。見渡せば世界中、こういったSUVばっかりという状況になってしまったが、これなら埋没はしないだろう。SUVは現代のクーペといってもいいから、デザインがいいのはとてもいいところだ。

エンジンも1.5L ダウンサイジングターボという点で、国産車としてはまずまず先行している。CVTとのマッチングもいい。これだけ気持ちよく「エンジン」を感じながら走れるのであれば、燃費もまあ妥当なところ。ハイブリッド車のようなフィーリングではなく、あくまでガソリン車として気持ちよく走るのがこのクルマの良いところだから、足回りを含めて試乗でしっかり確認してもらいたい。燃費がどうしても気になる人は、投入を検討中だというクリーンディーゼルやPHEV(プラグインハイブリッド)を「待つ」という手もあるのだし。また、強調されるべきは三菱らしい四駆性能だろう。オンロード試乗だけでは分からないが、悪路走破性を必要とする人にとって、そのメリットは何物にも代え難いと思う。

新東名に対応したACC

今年になって投入されたことの一番のメリットは、ACCが新東名に対応したことだろう。設定上限が135km/hになったことで、実用性が大きく高まっている。国産車の設定速度引き上げに関しては、昨年以降の新型車やマイナーチェンジ車の多くが対応している。これまで試乗したレクサス LC(180km/h)、トヨタ カムリ(180km/h)、ヴェルファイア(180km/h)、スバル レヴォーグ(実質135km/h)、マツダ CX-8(180km/h)のほか、ホンダのオデッセイハイブリッドも11月の改良で上限が135km/hになっているようだ。C-HRやヴェゼルはまだ対応していないようだから、そこはエクリプス クロスの大きなアドバンテージだろう。

ただ、ACCによる追従走行に関しては、先行車の停止にともなって減速・停止する動きが感覚的にやや遅く感じられた。このあたりのチューニングは、乗る人の好みとのマッチングが難しいところかも。また、ACCの作動状態を表示するのが重要な役目となるヘッドアップディスプレイも、フロントガラスの外を見ている状態から目のピントを少し調整しないといけなかった(それはメーターパネルを見るのとあまり大差ない)。ここはさらなる改良を求めたいところだ。

タッチパッドよりスマホ置き場


いちおうUSB端子の下にスマートフォンは置けるのだが
(photo:三菱自動車)

さて、最上級グレードに標準装備されるスマートフォン連携ディスプレイオーディオは、まだまだ一般的には扱いが難しいという点で「ここがダメ」としてしまった。しかし、若い人を中心にこれを待っていた、と大歓迎されて「ここがいい」に変わるものとも言える。特にAndroidスマホを使っている人なら、日常的にGoogleマップのナビを利用していると思われるので、それがほぼそのまま7インチディスプレイに表示されるのは便利この上ないと感じるはず。いつものように「OK Google」で何でも調べられ、どこへでも行ける。オーディオもGoogle Playミュージックを利用していれば、全く不満なく楽しめる。となればタッチパッドコントローラーはなくてもいいので、その代わりにスマホ置き場(固定式)と無接点充電機能、さらにUSBケーブルを標準装備してもらいたいところだ。

 

もはや月間何十ギガもの通信プランがテレビCMで宣伝される時代ゆえ、高価なカーナビでなく、Googleマップを車載ディスプレイに表示できるスマートフォン連携ディスプレイオーディオこそ欲しい、という人はけして少なくないはずだ。価格もメーカーオプションでナビを選ぶより安い。その点で最上級グレードの「G Plus Package」は、後側方および後退時の車両検知警報システムなども標準装備することを考えると、お買い得とも言える。その意味で、標準装備は大英断だと思うのだが。不満があるとしたら、地デジTVチューナーがないことだろう。リアエンターテイメントシステム(後席用ディスプレイ)も対応してなさそうだ。世界基準ではこれでいいのかもしれないが、日本で売るならそこは充実させて欲しかったところ。

 

エクリプスクロスは愛知県の岡崎工場で作られるという。岡崎界隈には3次受け、4次受けの中小企業が多く存在している。そうした企業にとって、久々の新型車投入は朗報だろう。とはいえ多くの中小企業では今後、事業継承が大きな課題になると言われている。中小企業の多くは時代の波と経営者の高齢化で、存続の危機に瀕している。それは日本のものづくりの危機でもある。ますます不透明さを増す世界情勢の中、法人も個人も難しい舵取りをせねばならない。日産ですらがルノーとの関係がどうなるのかよく分からない中、三菱自動車は今後どうなっていくのだろうか。

 

試乗車スペック
三菱 エクリプス クロス G Plus Package
(1.5Lターボ・CVT・4WD・309万5280円)

●初年度登録:2018年3月
●形式:DBA-GK1W
●全長4405mm×全幅1805mm×全高1685mm
●ホイールベース:2670mm
●最低地上高:175mm
●最小回転半径:5.4m
●車重(車検証記載値):1580kg(930+650)※4WD・サンルーフ装着車
●乗車定員:5名

●エンジン型式:4B40
●排気量:1498cc
●エンジン種類:直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴+ポート噴射・ターボ・横置
●ボア×ストローク:75.0×84.8mm
●圧縮比:10.0
●最高出力:110kW(150ps)/5500rpm
●最大トルク:240Nm (24.5kgm)/2000-3500rpm
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン
●アイドリングストップ機能:有り
●使用燃料:レギュラーガソリン
●燃料タンク容量:60L

●トランスミッション:CVT(無段変速機)
●JC08モード燃費:14.0km/L(FFは15.0km/L)

●駆動方式:4WD(電子制御多板クラッチ式4WD)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):マルチリンク+コイルスプリング
●タイヤ:225/55R18 ( Toyo Proxes R44 )

●車両本体価格:309万5280円(メーカーオプション含まず)
●試乗車価格(概算):351万8120円(オプション込み)
※オプション合計(概算):42万2840円
※オプション内訳:電動パノラマサンルーフ(チルト&スライド・セーフティ機構付) 12万4200円、オプション塗装(ホワイトパール) 3万2400円、【以下はディーラーオプション】フロントバンパーガーニッシュ 3万3804円、リアバンパーガーニッシュ 3万8469円、サイドエクステンション 7万5492円、コーナーエクステンション フロント 5万2855円、同リア 3万5575円、フロアマット 3万0045円、


●ボディカラー:ホワイトパール
●試乗距離:約230km
●試乗日:2018年4月
●車両協力:西尾張三菱自動車販売株式会社

 
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