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スズキ スペーシア(3/3)新車試乗記(第833回)

Suzuki Spacia

2018年03月23日

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ここがイイ

標準車のデザイン、パッケージング、全車マイルドハイブリッド、ヘッドアップディスプレイ

スズキ スペーシアの画像

標準車のデザインは秀逸。先代ラパンを思わせる角丸のデザインはカワイイだけでなく、いかにも道具感があって、オトコでも乗れそう。外観同様にスーツケースをモチーフにしたインパネデザインも素晴らしい。カスタムの方は大型メッキグリルに、何をかいわんや、だが。

パッケージングについては、よくもまぁここまで広々とした室内空間を実現したものだと感心する。それでいて操縦安定性も高まった。

全車搭載のマイルドハイブリッドは、N-BOXをはじめとするライバル車に対する大きな武器。マイルドハイブリッドならではの滑らかな再始動と発進を知ってしまうと、ただのアイドリングストップ機能には物足りなさを感じてしまう。他社もいずれ追随せざるを得ないのでは。

また、軽で初となる後退時の衝突被害軽減ブレーキ「後退時ブレーキサポート」もこの激戦クラスの中からスペーシアを選ぶ理由になり得る。「バックでもぶつからない」(絶対にではないが)は大きな商品力だ。

軽自動車で初のフロントガラス投影式ヘッドアップディスプレイはなかなか見やすかった。こうなると従来のメーター類はいずれインパネから消えるかも。

ここがダメ

カスタムでしかターボを選べない

NAでも十分と言えば十分だが、予算があればやはりターボ車が欲しくなる。とはいえターボ車はカスタムの上位グレードに設定されるだけで、価格は少なくとも約180万円オーバー、ヘッドアップディスプレイやブラックルーフ、そしてナビを付ければ軽く200万円オーバーと、絶対的に高くなってしまう。また、標準車のデザインでターボが選べないことを残念に思う人もいるだろう。N-BOXなら標準車でもターボを選べるので、スペーシアでもターボ車をもう少し選びやすくなるといいと思う。なにしろターボが付けば、動力性能にはまったく不満がなくなるのだから。

総合評価

内外装デザインが魅力

スズキ スペーシアの画像

メガヒット車、初代ホンダN-BOXは、そのヒット要因として「道具感」というものが大きかったと思う。女性ばかりじゃなく男性にも受けた理由は、使える道具だったということではないか。その意味で2代目N-BOXはややキュートになりすぎたか、と思ったが、各種性能向上や装備の充実、ブランドイメージの良さで相変わらず、ぶっちぎりで売れている。また、タントも先代から続く「ミラクルオープンドア」の分かりやすさや、子育てファミリーにターゲットを絞り込んだマーケティングで、やはりよく売れ続けている。そもそもはタントに対抗するために生まれたパレット(スペーシアの前身)、そして先代スペーシアはどうしてもこの2台の後塵を拝してきた。

ということで、おそらく今度の新しいスペーシアは、それらを打倒するために徹底的に考えられて作られている。我々の感覚だと先代スペーシアは走行性能では先代N-BOXやタントより上だったと思うが(特にNA同士の場合)、デザインや車両イメージではどうにも弱かった。

 
スズキ スペーシア カスタムの画像

しかし今回のモデルでは、まず徹底的にデザインされた内外装が魅力的だ。スーツケースが持つ道具感や機能美を見事に反映させ、それでいて「カワイイ」感もある。それゆえ、ダイハツのムーヴキャンバスのようなネオレトロな雰囲気まであるのがいい。例えばオプションカタログにあるフロント・リア・サイドの白いスポイラーをボディカラーがブルーの車両に装着すると、ホワイトルーフとスポイラーの白があいまってツートン感が強まり、カリフォルニアなムードが醸し出される。さらに、オプションで用意されている白のアルミホイールを履けば、フィフティーズ風になり、ムーヴキャンバスやN-BOXスラッシュのツートン仕様といい勝負だ。こうしたことまでできてしまうベースデザインの素晴らしさは、たいしたものだと思う。

外観デザインでは、個人的にはあまり好ましく思わないが、いわゆるカスタム競争でも勝ちに行っている。メッキグリルの巨大さはライバルを圧倒する。先代スペーシアのカスタムZもたいがいだと思ったが、今回は開発当初からデザインされているだけに先代のとってつけた感がないだけマシというものか。まあこれもニーズがあるゆえ、いたし方ないところだろう。ワゴンRの独自解釈的なカスタム系デザインではなく、ごく常識的なカスタム系デザインゆえ、これも売れそうだ。

燃費競争から、安全装備で競う時代へ

スズキ スペーシアの画像

ハードウェアとしては、本文にあるようにとてもよくできている。ただ、クルマ好きとしては「NAなのになんてよく走るんだ」というスズキ車のいつもの驚きは今回やや欠けているように思えた。CVTの変更も関係していると思われるが、この点では進化の著しいN-BOXあたりとあまり差がなくなっている気がした。それゆえ、非カスタム車にもターボが欲しくなってしまうが、世の流れとしては、動力性能はNAでもう十分、なのだろう。こういったファミリー向け軽自動車に対して、走りなど誰も求めていない、ということ。「走りを求める(ような人)ならカスタムをどうぞ」というマーケティングで文句あるか、ということだ。とはいえ、ターボもワインディングを楽しめる足にはなっていないから、そこは意識しておいて欲しいところ。

あとで気がついたが、JC08モード燃費は先代を下回っている。先代のJC08モード燃費は、NAが29.0km/L~、ターボが26.0km/Lで、新型はそれぞれ28.2km/L~、25.6km/L。また、試乗時の燃費も、一般道から高速道路まで省燃費に頓着しない走りで、先代(約50km走行)はNAが15.9km/Lでターボが15.8km/L、今回の新型(約60km走行)ではそれぞれ15.9km/L、12.4km/Lだった。

 
スズキ スペーシア カスタムの画像

今回ターボの試乗燃費が悪かったのは、少し元気よく走りすぎたからかもしれない。また、新型スペーシアは装備が充実した分、NAもターボも車重が先代より20~30kgばかり重くなっているが、それでも燃費の悪化はわずかだ。全車標準のマイルドハイブリッドが効いてると思うが、その点もN-BOXに勝っている。

いずれにしても、カタログ上での燃費戦争は終わったようだ。その代わりに安全装備での戦いとなっているのは良いことだろう。例えば、スペーシアの後退時ブレーキサポート(後退時の自動ブレーキ)は、N-BOXに勝っているところの一つ。逆にN-BOXにはミリ波レーダーを備えたホンダセンシングがあり、ACCが標準装備になるわけだが。

自動運転の軽で埋め尽くされる未来がやってくる

スズキ スペーシアの画像

ほかにないデザイン、1ミリ・1グラムの戦いを行う軽自動車こそ、ニッポンの物づくりの象徴。ちなみにバイク界の軽自動車とも言える原付一種(50cc原付スクーターなど)は、ヤマハがホンダからOEM供給を受けることになり、製造は実質的にホンダとスズキの2社になってしまいそうだ。50ccバイクは日本でこそ十分だが、海外ではもう少し大きな排気量が主流で、日本市場のためだけに50ccを開発するのは割に合わない。その日本でも50ccはどんどん売れなくなっており、もはや風前の灯。日本だけでは商売にならない時代だ。

ところが軽自動車の方は国内専用ながら、ますます売れている。2018年2月の販売総合ランキングでは、1位がN-BOX(2万2007台)、2位が日産デイズ(1万4294台)、軽以外では3位にやっと日産ノート(1万3769台)が入り、4位がスペーシア(1万3620台、)、5位がムーヴ(1万3479台)、6位がタント(1万2911台)と続いて、このあと7位にやっとプリウス(1万1507台)だ。

 
スズキ スペーシアの画像

いつも書くように、ヴォクシー、ノア、エスクァイアの3兄弟車を合わせれば1万7647台となるし、デイズの販売台数はデイズルークスとの合算になっているから(ワゴンRとスペーシアを合算しているようなものだ)、ランキングの上下や細かい数字に意味はないが、日本では軽が、その中でもトールタイプの軽がますます売れているのは確かだろう。スペーシアのように、デザインよし、機能性よし、燃費よし、さらに安全性も高くなっているとなれば、絶対的に維持費が安い「軽で十分」は、こと現代の日本社会なら当分続くはず。

「軽で十分」はつまり、クルマに夢や憧れ、ステイタスをどんどん感じなくなり、クルマは便利な「移動の道具」にすぎないという、今後のクルマ社会を先取りした事象と言える。実際「道具感」あふれるスペーシアで、予防安全機能がさらに充実し、やがて自動運転機能がついたら、小さくて広くて機能的なパーソナルモビリティとしてほぼ文句なし。その場合、走りの性能など、これで十分だ。日本のクルマ社会は自動運転の軽で埋め尽くされる、そんな未来がやってくるのかも。いや、すでに街は軽で埋め尽くされているかw。

 

試乗車スペック
スズキ スペーシア ハイブリッドX
(0.66L直3 NA・CVT・146万8800円~)

●初年度登録:2017年12月
●形式:DAA-MK53S
●全長3395mm×全幅1475mm×全高1785mm
●ホイールベース:2460mm
●最低地上高:150mm
●最小回転半径:4.4m
●車重(車検証記載値):880kg(-+-)
●乗車定員:4名

●エンジン型式:R06A
●排気量:658cc
●エンジン種類:直列3気筒DOHC・4バルブ・横置
●ボア×ストローク:64.0×68.2mm
●圧縮比:11.5
●最高出力:38kW(52ps)/6500rpm
●最大トルク:60Nm (6.1kgm)/4000rpm
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン
●アイドリングストップ機能:有り(マイルドハイブリッド)
●使用燃料:レギュラーガソリン
●燃料タンク容量:27L

●モーター形式:WA05A
●モーター種類:直流同期電動機
●定格電圧:-V
●最高出力:2.3kW(3.1ps)/1000rpm
●最大トルク:50Nm(5.1kgm)/100rpm

●バッテリー:リチウムイオン電池
●バッテリー容量:10Ah

●トランスミッション:CVT(無段変速機)

●システム出力:-kW(-ps)
●JC08モード燃費:28.2km/L(FFの場合)

●駆動方式:FF(前輪駆動)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):トーションビーム+コイルスプリング
●タイヤ:155/65R14 ( Dunlop Enasave EC300+ )

●車両本体価格:146万8800円(メーカーオプション含まず)
●試乗車価格(概算):-円(オプション込み)
※オプション合計(概算):-円
※オプション内訳:全方位モニター用カメラパッケージ 7万7760円、2トーンルーフパッケージ 6万4800円、アップグレードパッケージ(LEDヘッドランプ、LEDサイドターンランプ付ドアミラー・14インチアルミホイール) 7万5600円、全方位モニター対応ナビゲーションシステム -円

●ボディカラー:オフブルーメタリック ホワイト2トーンルーフ
●試乗距離:約100km


試乗車スペック
スズキ スペーシアカスタム ハイブリッドXSターボ
(0.66L直3ターボ・CVT・178万7400円~)

●初年度登録:2017年12月
●形式:DAA-MK53S
●全長3395mm×全幅1475mm×全高1785mm
●ホイールベース:2460mm
●最低地上高:150mm
●最小回転半径:4.6m
●車重(車検証記載値):900kg(530+370)
●乗車定員:4名

●エンジン型式:R06A
●排気量:658cc
●エンジン種類:直列3気筒DOHC・4バルブ・ターボ・横置
●ボア×ストローク:64.0×68.2mm
●圧縮比:9.1
●最高出力:47kW(64ps)/6000rpm
●最大トルク:98Nm (10.0kgm)/3000rpm
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン
●アイドリングストップ機能:有り(マイルドハイブリッド)
●使用燃料:レギュラーガソリン
●燃料タンク容量:27L

●モーター形式:WA05A
●モーター種類:直流同期電動機
●定格電圧:-V
●最高出力:2.3kW(3.1ps)/1000rpm
●最大トルク:50Nm(5.1kgm)/100rpm

●バッテリー:リチウムイオン電池
●バッテリー容量:10Ah

●トランスミッション:CVT(無段変速機)

●システム出力:-kW(-ps)
●JC08モード燃費:25.6km/L(FFの場合)

●駆動方式:FF(前輪駆動)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):トーションビーム+コイルスプリング
●タイヤ:165/55R15 ( Bridgestone Ecopia EP150 )

●車両本体価格:178万7400円(メーカーオプション含まず)
●試乗車価格(概算):-円(オプション込み)
※オプション合計(概算):-円
※オプション内訳:全方位モニター用カメラパッケージ 7万5600円、ピュアホワイトパール ブラック2トーンルーフ 6万4800円、全方位モニター対応ナビゲーションシステム -円

●ボディカラー:ピュアホワイトパール ブラック2トーンルーフ
●試乗距離:約120km

●試乗日:2018年2月
●車両協力:スズキ株式会社

 
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