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スズキ クロスビー(3/3)新車試乗記(第832回)

Suzuki XBEE

2018年03月09日

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ここがイイ

ゆとりはあるし、絶対的にはコンパクト

スズキ クロスビーの画像

ハスラーは欲しいけど軽自動車はイヤ、という人がどれだけいるか分からないのが、軽自動車のハスラーではある意味ギリギリだった動力性能、室内の広さ(特に室内幅)、荷室の広さ、そして装備、デザインといったものにおいて、クロスビーは「ゆとり」を得たこと。特に動力性能には余裕がある。4WDを選ぶ気にさせる力強さがある。

コンパクトなサイズ。ハスラーより大きいが、普通車として今どき貴重な小ささ。全幅が1670mmと聞いただけでも嬉しくなる。今どきの3ナンバー「コンパクトSUV」に辟易している方には、まっこと買う気にさせられるクルマだろう。

ここがダメ

ACCがないこと。ハスラーの存在

スズキ クロスビーの画像

プラットフォーム的にはイグニスやソリオと同クラスだが、価格的にはバレーノを大きく上回り、スイフトやエスクードに肩を並べることもあって、後者3モデルに設定されているACC(アダプティブクルーズコントロール)がないのは残念至極。ここは一つ、スイフトど同内容のデュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)とACCのセットを設定してほしかった。

本文でも触れたが、一般道で巡行する時に3気筒エンジンの振動をたまに感じること。変速プログラムやギア比を少しいじれば収まりそうなレベルだが、スイフトRStやバレーノXTでは気にならなかったので、ひょっとすると4WD車だと目立つのかもしれない。

クロスビーに試乗して、あらためてハスラーのデザイン、走り、パッケージングといった面でのまとまりの良さに気付かされた。価格もハスラーの方がターボでも50万円ほど安いし、悩ましいところ。

総合評価

軽規格がいつ撤廃されてもどんと来い

スズキ クロスビーの画像

昔から繰り返し書いているのは、偉大な日本車である軽自動車の幅をちょっと広くして、排気量をちょっと大きくしたら、世界に通用するコンパクトカーができるはず、ということ。スズキは昔からそれにチャレンジしていた。ワゴンRプラス、とかKeiのワイド版だった初代スイフトとか、もっと古くは名車フロンテクーペを軽の規格アップに伴ってセルボにした、なんてこともあった。

そんな目で見ると、クロスビーはプラットフォーム云々の話は別として、ハスラーの拡大版だし、イグニスはアルトの拡大版だ。いやグローバルな目で見た場合、イグニスの縮小版がアルトで、クロスビーの縮小版がハスラーに見えるのかもしれないが。

 
スズキ ハスラーの画像
スズキ ハスラー(photo:SUZUKI)

こうしたAセグメントのクルマたちは、軽規格がいつ撤廃されてもどんと来いとばかりに着々と作られている。ヒット車ソリオもその中の一台だ。クロスビーもソリオも、いちおう国内専用車として開発されているが、オリジナリティあふれるこの2台はぜひ海外でも勝負してもらいたいものだ。そしてこれらのAセグカーは、スズキが脈々と作ってきた軽の素晴らしさを昇華させたものとして企画されているのでは、などと思う。特にクロスビーは、ハスラーというグレイトな軽をなんとしても世界に問いたいと企画されたのではないか、とうがった見方をしてしまいたくなる。

 
ソリオハイブリッドの画像
ソリオ ハイブリッド

国内で走る分にはハスラーの特にターボなら、動力性能や室内空間も十分だが、世界ではちょっと厳しい。そこでクロスビー。これなら走りや室内空間にいわゆる余裕がでてくる。チョイノリの足クルマではなく、これはもう世界に問える立派な「小型車」だ。今は軽が維持費の面でまだまだ優遇されているから比較しづらいが、もし軽の税金が上がったりしたら、ハスラー購入予備軍の半数以上はクロスビーへ流れるのではないか。クロスビーを見ていると軽がいかに特殊なものか再認識させられる。

趣味のクルマとしても、実用のクルマとしても

スズキ クロスビーの画像

ただ、軽自動車は、ギチギチの規格の中で性能やデザインを研ぎ澄ますような開発を強いられているだけに、ある意味では「尖った」クルマだ。クロスビーとハスラーを見比べると、デザインではハスラーのシャープさが際立つ。決められたサイズの中で、苦心してデザインされた機能美というか道具っぽさが、とても潔く見えるのだ。その点、クロスビーは余裕がある分、やや緊張感が足りないようにも思える。ここらは難しいところだが。

同じく好みの問題かもしれないが、デザイン的にはハスラーにはないボディサイド下面の黒い樹脂パネルが不要に思える。これがなければ前後フェンダーアーチの樹脂部分がオーバーフェンダー的により強調されたと思うのだが。Cピラーもちょっとデザインされすぎ感が。開発初期のアイデアスケッチを見ると、ハスラーをごくプレーンに大きくしただけのモデルもあるが、横の樹脂バーもなく、すっきり感が好ましく見えてしまう。それでは芸がないという判断だったのかもしれないが。

 
スズキ クロスビーの画像

ただ、ハスラーが出た時、軽トラを欲しがるような熟年層にハスラーはぴったり、なんて書いたが、それは乗用車を持っているジイさんのセカンドカーとしてなら、という条件がつく。ハスラーだけでは、ちょっと遠出という場合に少し考えてしまう(むろん、できなくはないが)。その点、普通車のクロスビーならファーストカーとして使える。これ一台でどこへでも行けるという点で、これは熟年層の足として100%文句なし。趣味のクルマとしても、実用のクルマとしても使えるだろう。

先進安全装備は全部載せで

スズキ クロスビーの画像

こうなると、ジイさん的には最新の安全運転支援システムがいろいろ欲しい。クロスビーの場合、軽以外のスズキ車としては初の新機能として、後退時ブレーキサポートと後方への誤発進抑制機能がついた。バックのときには超音波センサーで障害物を検知して自動ブレーキがかかるし、ペダルの踏み間違いによる誤発進も抑制する。細いポールなどは感知できないこともあるようで、どんな場合でも作動するわけではなさそうだが、バックで電柱にぶつけたりすることはなくなるだろう。これは誰にとってもありがたいもの。4台のカメラで俯瞰的な自車映像を見ることができるオプションの全方向モニターもあれば、より安全かもしれないが、これは使いこなせる自信のある人向きかも。

その一方で、ミリ波レーダーがないのはちょっと、というか、かなり残念。ACCはすでに搭載車が急速に増えている以上、もはや絶対に必要なオプションだろう。なにより、クルマはそう簡単に買い替えられないものだから、いずれ搭載されるだろうと思うと購入をちょっと躊躇してしまう。ここが昨今の難しいところだが、どんどん進化する運転支援システムについては、新型車であればとにかく最新のものを全部載せで用意する、という風にしないと、客を逃がすと思う。

ぜひとも世界で勝負して欲しい

スズキ クロスビーの画像

ということで、ハスラーに足りないものを補ったのがクロスビー。そうして余裕を得たかわりに失ったものもあるにはあるが、軽の素晴らしさをAセグに反映できたモデルだと思う。そしてこのクルマの「パイクカー」的な、カワイクて個性的デザインは、すべてを超えて大きな魅力だ。クロスビーもイグニスも、クロスオーバーテイストが加わって、昨今の売れるためのキーワードであるSUVっぽさも入っている。ここがワールドワイドで受け入れられるためのキモだ。

MINIやフィアット500はまだまだ人気がある。そしてMINIも500も、クロスオーバーモデルを揃えている。クロスビーもそれらに負けないだけの絶対的なデザインパワーを持っていると思う。日本車としては稀有な存在であり、ぜひとも世界で勝負して欲しいもの。カワイイは世界の共通語なのだから。

 
 

試乗車スペック
スズキ クロスビー ハイブリッドMZ 2トーンルーフ仕様車
(1.0L 直3ターボ・6AT・4WD・218万9160円)

●初年度登録:2017年12月
●形式:DAA-MN71S
●全長3760mm×全幅1670mm×全高1705mm
●ホイールベース:2435mm
●最低地上高:180mm
●最小回転半径:4.7m
●車重(車検証記載値):1000kg(620+380)※FFの場合は960kg
●乗車定員:5名

●エンジン型式:K10C
●排気量:996cc
●エンジン種類:直列3気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・横置
●ボア×ストローク:73.0×79.4mm
●圧縮比:10.0
●最高出力:73kW(99ps)/5500rpm
●最大トルク:150Nm (15.3kgm)/1700-4000rpm
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン
●アイドリングストップ機能:有り(マイルドハイブリッド)
●使用燃料:レギュラーガソリン
●燃料タンク容量:30L(FFの場合は32L)

●モーター形式:WA05A
●モーター種類:直流同期電動機
●定格電圧:-V
●最高出力:2.3kW(3.1ps)/1000rpm
●最大トルク:50Nm(5.1kgm)/100rpm

●バッテリー:リチウムイオン電池
●バッテリー容量:-Ah

●トランスミッション:6速AT

●システム出力:-kW(-ps)
●JC08モード燃費:20.6km/L(FFの場合は22.0km/L)

●駆動方式:4WD(ビスカスカップリング式)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):I.T.L.(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)+コイルスプリング ※FFの場合はトーションビーム+コイルスプリング
●タイヤ:175/60R16 ( Bridgestone Ecopia EP150 )

●車両本体価格:218万9160円(2トーンルーフ仕様車。それ以外のメーカーオプション含まず)
●試乗車価格(概算):-円(オプション込み)
※オプション合計(概算):-円
※オプション内訳:全方位モニター用カメラパッケージ:4万5360円、全方位モニター対応ナビゲーションシステム -円

●ボディカラー:キャラバンアイボリーパールメタリック(ホワイト2トーンルーフ)
●試乗距離:約120km

●試乗日:2018年2月
●車両協力:スズキ株式会社

 
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