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ボルボ XC60 T5 AWD インスクリプション新車試乗記(第829回)

Volvo XC60 T5 AWD Inscription

(2.0L直4ターボ・8AT・679万円)

世界累計100万台超!
今や全ボルボの3分の1を占める
大ヒットSUVの新型に緊急試乗!


2017年12月27日

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キャラクター&開発コンセプト

今やボルボの看板モデル

新型ボルボ XC60の画像
新型ボルボ XC60

2017年3月のジュネーブモーターショーで発表、日本では10月16日に発売された新型「XC60」は、ボルボのプレミアム・ミッドサイズSUV。2008年に登場した(日本導入は2009年)初代に続く2代目で、約9年ぶりのフルモデルチェンジになる。

 
初代XC60 (2009年)の画像
初代XC60 (2009年)

ボルボらしい長寿モデルとなった初代XC60は、販売台数でも世界累計で約100万台以上、欧州ではプレミアム・ミッドサイズSUV市場でベストセラーになるなど大成功。ボルボの全販売台数のうち約30%を占める重要なモデルになっている。

90シリーズに続いてSPAを採用

SPAプラットフォームを採用する新世代ボルボ車S90、V90、XC60、XC90の画像
SPAプラットフォームを採用する新世代ボルボ車。奥からS90、V90、XC60、XC90

先代の開発は米国フォードグループの傘下で行われたが、新型は中国の吉利汽車(ジーリー)資本傘下で開発。ボルボが独自開発した新世代「SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)」プラットフォームを、現行の2代目XC90(2014年デビュー、日本導入は2016年)やS90、V90、V90クロスカントリー(2016年デビュー、日本導入は2017年2月)に続いて採用。それら90シリーズ同様に、エンジンは過給器付の2.0L直列4気筒ターボに一元化され、ガソリン、クリーンディーゼル、プラグインハイブリッドと多彩なパワートレインを設定している。

また、先進安全・運転支援装備についても、これら新世代モデルで共有し、世界の最先端を行く。それを象徴するのが、ステアリング操舵支援によって事故回避を行う「ステアリング・サポート(衝突回避支援機能)」や、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)と合わせて「レベル2」の自動運転を実現する「パイロット・アシスト」だ。

 
トースランダ工場をラインオフする新型XC60の画像
トースランダ工場をラインオフする新型XC60

なお、ボルボは現在、ベルギー(ゲント)や中国に生産拠点を持つほか、2018年にはボルボにとって初となる北米工場(サウスカロライナ州)の操業を開始する予定だが、新型XC60の生産はスウェーデン本国のトースランダ工場で行われる。

ライバル車はメルセデス・ベンツ GLC、BMW X3、アウディ Q5、レクサス NXといったところだ。

日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞

ボルボ XC60 日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞の画像

新型XC60は第38回 日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。輸入車の受賞は今回が2回目で、ボルボでは初となった。受賞理由は扱いやすい手頃なサイズ、快適性、機能性、運転の楽しさ、美しい北欧デザイン、安全装備の充実、PHEVを含む豊富なパワートレインなど。同賞の最終選考結果と得点数(ベスト5)は以下の通り。

・1位:ボルボ XC60 294点
・2位:BMW 5シリーズ 242点
・3位:トヨタ カムリ 232点
・4位:スズキ スイフト 210点
・5位:ホンダ N-BOX 189点

■過去の新車試乗記
ボルボ XC60 T6 SE AWD(2009年9月掲載)

 

価格帯&グレード展開

全車AWDで599万円から

新型XC60 T6 AWD Rデザインの画像
新型XC60 T6 AWD Rデザイン

前述の通り、エンジンはすべて2.0Lの4気筒で、ディーゼルターボの「D4」、ガソリンターボの「T5」、ガソリンのターボとスーパーチャージャーの「T6」、ガソリンのターボとスーパーチャージャーと電気モーターの「T8ツインエンジン」と、4種類のパワートレインを設定する。トランスミッションは全車、アイシンAW製の8速AT。このあたりは90シリーズと同じだ。

駆動方式は、純エンジン車の場合、すべて電子制御多板クラッチ式のAWD(=4WD)だが、プラグインハイブリッドのT8は後輪を電気モーターのみで駆動する電気式AWDとなり(トヨタのE-Fourなどに近い)、プロペラシャフトを持たない。

 
XC60 T8ツインエンジンのプラグインハイブリッド パワートレインの画像
XC60 T8ツインエンジンのプラグインハイブリッド パワートレイン

なお、2017年12月時点で日本で納車が始まっているのはT5(今回の試乗車)とT8のみ。D4とT6のデリバリーは2018年3月以降の予定だ。

ちなみにD4エンジンは、先代のモデルライフ終盤に追加設定されたものと基本的には同じで、デンソー製の超高圧直噴システム「i-ART」を採用するもの。最大トルク400Nm(40.8kgm)を誇り、価格はT5と一緒(599万~679万円)だ。エコカー減税の対象車でもあるし、燃料費も間違いなく安くなるので、日本ではT5と共に販売の主力になりそう。

【D4(190ps、400Nm)】
・D4 AWD モメンタム  599万円
・D4 AWD Rデザイン  649万円
・D4 AWD インスクリプション 679万円

【T5(254ps、350Nm)】
・T5 AWD モメンタム  599万円
T5 AWD インスクリプション 679万円

【T6(320ps、400Nm)】
・T6 AWD Rデザイン  724万円

【T8(318ps+87ps、400Nm+240Nm)】
・T8 ツインエンジン AWD インスクリプション 884万円

 

パッケージング&スタイル

新世代デザインを採用

新型ボルボXC60の画像

新型90シリーズと足並みをそろえて「トールハンマー」(北欧神話に登場する雷神トールが持つハンマー)をモチーフにしたヘッドライト、水平基調でスクエアなシルエット、長めのボンネット、SUVにしては低めの全高などが特徴の新しいXC60。先代のデザインはスポーティなウエッジシェイプで、前のめりのクラウチングスタイルだったが、新型では力強さや塊感が印象的だ。

背は55mm低く、ホイールベースは90mm伸びた

新型ボルボXC60の画像

ボディサイズ(カッコ内は先代比)はマツダ CX-5やレクサスNXよりも一まわり大きく、全長4690mm(+45~65)、全幅1900~1915mm(+10~25)、全高1660mm(-55)、ホイールベース2865mm(+90)。ホイールベースは一気に90mmも長くなり、一方で全高は一気に55mmも低くされたのが面白い。最低地上高は215mmで、SUVらしいロードクリアランスを確保している。

 
新型ボルボXC60の真横画像

最小回転半径は、先代では5.8mと割に大きめだったが、新型はホイールベースが伸びたにも関わらず0.1m縮まって5.7mになった。狭い場所だと、さすがに1900mmの全幅が気になるが、小回り自体はまずまず思った通りできる。

 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
マツダ CX-5(2017~) 4545 1840 1690 2700 5.5
初代ボルボ XC60(2009~2017) 4625~4645 1890 1715 2775 5.8
レクサス NX(2014~) 4630 1845 1645 2660 5.3~5.7
メルセデス・ベンツ GLC/GLCクーペ(2016~) 4660~4670 / 4735 1890~1930 1640~1645 / 1590~1605 2875 5.5~5.9
新型ボルボ XC60(2017~) 4690 1900~1915 1660 2865 5.7
ポルシェ マカン(2014~) 4681~4699 1923 1624 2807
ジャガー Fペース (2016~) 4740 1935 1665 2875 5.6
レンジローバー ヴェラール(2017~) 4820 1930 1685 2875 5.8
レクサス RX(2015~) 4890 1895 1710 2790 5.9
ボルボ XC90 (2016~) 4950 1960 1760~1775 2985 5.9~6.0
 

インテリア&ラゲッジスペース

主要パーツを90シリーズと共有

新型ボルボXC60のインパネ画像

ダッシュボード全体のデザインはXC60専用だが、インパネまわりには90シリーズと多くのパーツを共有。例えば、手袋をしていても操作できる赤外線式の縦型9インチタッチパネル式インフォテイメントシステム「SENSUS」、地図も表示できる12.3インチのフル液晶メーター、サイコロ型のエンジン始動ボタンなどがそうだ。このあたりは上級モデルと同じということで質感も高い。そもそも最近のボルボはクラスが違っても質感や装備で差別化しない方向性にある。

Apple CarPlay / Android Autoにも対応

新型ボルボXC60のBowers&Wilkinsオーディオシステム画像

やはり90シリーズ同様に、オプションで「Bowers&Wilkins」プレミアムサウンド・オーディオシステムも用意されている。XC60用は総出力1100W、リアホイールアーチのサブウーファーを含む15スピーカーで構成されるもので、サウンド設定にはスウェーデンのイェーテボリ・コンサートホールのベストシートの音響を再現した「コンサートホールモード」、「ステージモード」、「スタジオモード」の3種類が用意されている。

 
新型ボルボXC60のオーディオシステム画像

「SENSUS」には当然ながらナビゲーションシステムも付いているが、スマートフォンの各種アプリや機能を車内でも利用できるよう、Apple CarPlayやGoogle Android Autoにも対応している。毎回書いているが、これらを利用する場合にはUSBケーブルでスマホと車両(USB端子はセンターコンソール内にある)を接続する必要がある。

ちなみにETC車載器の設置場所はグラブボックス内の上側だが、中をのぞいただけでは見えないので場所を知らないと見つけられない(特に夜間)。なお、取扱説明書はSENSUSでも見ることができる。

前席も後席も快適至極

新型ボルボXC60の前席画像

試乗車はT5インスクリプションで、レザーシートは標準装備。シートヒーターに加えて、ベンチレーション機能も備えたもので、もちろん座り心地は良好。なお、ステアリングヒーターも装備されていて、この時期(12月)の早朝にはありがたかった。アクセルペダルはオルガン式だ。

 
新型ボルボXC60の後席画像

リアシートも着座姿勢は自然だし、座り心地はいいし、空間も余裕たっぷりと、文句なしに快適。また、後席においても各部の質感が高く、試乗車にはオプションの電動パノラマ・ガラス・サンルーフも装備されていて、おもてなし感がある。大型のヘッドレスト(不要な時は折り畳める)もボルボらしいところだ。

トランク容量は505L

新型ボルボXC60の荷室画像

後席使用時のトランク容量は先代より10L増しの505Lで、大型セダンやステーションワゴン並み。荷室の右側にあるスイッチを押して後席の背もたれを倒せば、大人が足を伸ばして横になれるフラットなフロアが広がる。

 
新型ボルボXC60のトランク画像

電動テールゲートは全車標準。オプションのエアサス装着車なら、車高=荷室の高さを下げることも可能だ。一方で、フロアの中央を跳ね上げて買い物袋を固定するグロサリーバッグ・ホルダーがどういうわけか廃止されてしまったのは残念だ。

 
新型ボルボXC60の床下収納画像

フロアボードの下には床下収納スペースがあるが、天地が浅く、出っ張りもあるので、入るものは限られる。衝突時などにトランクからキャビンに荷物が飛び込むのを防ぐラゲッジネットはここに収納されている。

 
新型ボルボXC60の床下収納画像

さらにその下のボードを取り外すと、鉛バッテリーとパンク修理キットにアクセスできる。床下スペースには天地の余裕があまりないため、海外仕様はいざ知らず、少なくとも日本仕様だとスペアタイヤは積めそうにない。

 

基本性能&ドライブフィール

予想以上に「軽快に」加速

新型ボルボXC60の画像

試乗したのは、2.0L直噴ターボエンジン「T5」を搭載する「T5 インスクリプション」(車両本体679万円)。操作系は現行のXC90や90シリーズと同じということで、例のサイコロを右にひねってエンジンを始動、さっそく走り出す。

エンジンも以前試乗したV90クロスカントリーと同じなので、似たような感じかなぁと予想していたが、予想以上に俊敏な加速にちょっと驚く。車重はほとんど変わらないのだが(T5同士だと20~40kgくらい軽いだけ)、出足のもたつきがなく、すっと加速し始める。

 
新型ボルボXC60のエンジン画像

最高出力254ps、最大トルク350Nm(35.7kgm)と排気量の割にパワフルだが、パワーというよりは軽さ、軽快な加速感が印象的。カタログ記載の車重は1830kg、試乗車のようなガラスルーフ装着車は1850kgだが、適当に言えば1600kgくらいに感じられる。

 
新型ボルボXC60のシフトレバー画像

おそらく、この軽快感はアイシンAW製の8速ATのおかげでもある。Dモードだと使用中のギア段数が表示されないので存在感が希薄だが、舞台裏では小まめにシフトを繰り返し、負荷が少ない時は1400rpmまで下げ、加速が必要な時は2000rpm台という具合に、適切なパワーバンドをキープする。もし6速ATだったらギアリングがかなり難しくなったはずだ。

 
新型ボルボXC60のタイヤ&ホイール画像
試乗したT5インスクリプションの標準タイヤは235/55R19、ミシュランの「リアルスポーツタイヤ」ことラティチュード スポーツ3

なお、新型XC60にはエアサスペンション仕様(オプションで30万円。T8には標準装備)もあるが、試乗車は90シリーズ同様に前コイルサス、後ろ複合樹脂(GFRP)製リーフスプリングの標準仕様。とはいえ乗り心地はまったく問題なく、ハンドリングもスポーティすぎるほど?スポーティ。19インチタイヤを履くせいもあってか限界も高く、8年前に試乗した先代のT6(今はなき3.0L 直6ターボ)のようにトラクションコントロールがガツンと効いて失速、なんてこともなかった。こうなるとエアサス仕様には逆にまったり重厚な乗り味を期待したいところだが、今回は試すことができず。ま、ほとんどの方は必要を感じないと思うが。

パイロット・アシストはさらに進化?

新型ボルボXC60のSENSUS画像

2009年に日本で初めて完全停止する自動ブレーキ「City Safety」を導入したのは、他ならぬ先代XC60だった。というわけで2代目も最先端の安全テクノロジーとして、16種類以上の先進安全・運転支援機能から成る「IntelliSafe(インテリセーフ)」を標準装備している。中でも売りとなるのが、ステアリングの自動操舵もしくは操舵支援によって、さまざま状況で衝突回避を行うステアリング・サポート機能。いずれも重大事故を未然に防ぐためのシステムだ。

 
新型ボルボXC60のパイロット・アシスト画像

また、「運転支援」技術の最先端を体感できるのが、90シリーズ同様に、全車速追従機能付ACCと合わせて使用する「パイロットアシスト(車線維持支援機能)」。これは、全車速追従機能付ACCを設定して走行中、140km/h未満の速度域において運転支援機能「パイロット・アシスト」を作動させると、アクセル/ブレーキ操作だけでなく、ステアリング操作もほぼ自動で行う、つまり、いわゆる自動運転「レベル2」相当の運転支援を行うというもの。

使い方は90シリーズと同様で、ステアリングスイッチを押してACCをオンにした後、その右側の矢印ボタンをもう一度押すだけ。いったんACCがキャンセルになっても、2回目からはスイッチを1回押すだけでACCとパイロットアシストがオンになる。

 
新型ボルボXC60のACCスイッチ画像

その操舵支援は、おそらく現在の市販車では最も強力なレベルで、先回乗ったV90クロスカントリーと比べても心なしか「こなれて」いる気がした。もちろん、コーナーのアールがきついところ、もしくは車線が不明瞭なところでは自動で曲がれない場合もあるが、都市高速のゆるやかなS字路で自信たっぷりにステアリングをグイグイと自動で操舵し、自信たっぷりにコーナーをクリアする様子にはちょっとたまげてしまった。ステアリングの切り過ぎやソーイング(切ったり戻したりを繰り返す操作)が少ない分、運転の下手なドライバーよりも「上手い」かもしれない。

とはいえ、自分がステアリング操作するのとは微妙にタイミングや切り角が違うので、大げさに言えば、時には運転の主導権を争うような?局面もあるし、当然ながら運転を任せられるものでもなく、そのためのシステムでもない。つまり、現状では「頼りになるけど目が離せない」といった感じ。しかし万が一の際のバックアップ体制があるという意味で、長距離走行時には心強い装備には違いない。

試乗燃費は8.0~11.5km/L(T5)

新型ボルボXC60の給油中の画像

今回は約300kmを試乗。参考ながら試乗燃費は、いつものように一般道や高速道路を走った区間(約80km)は8.0km/L、郊外の一般道を走った区間は9.0km/L。自動車専用道路を約60~100km/hで巡行した区間(約60km)は11.5km/Lだった。

JC08モード燃費(T5)は12.6km/L。指定燃料はもちろんハイオクで、タンク容量は60Lだ。

ここがイイ

軽快な走り。「パイロット・アシスト」

新型ボルボXC60の画像

見た目やスペックから想像できない軽快な加速やハンドリング。SUVではあるが、まるでハッチバックやスポーツセダンのように軽々と走り、アクセルを踏み込めば車重が1.8トンもあるとは思えないほど俊敏に加速する。先代XC60も驚くほどスポーティだったが、新型もそのキャラクターを受け継ぎつつ、性能を格段に上げた。そして燃費も一般道では7km/L台か、せいぜい8km/L台とはいえ、高速道路では10km/L台にのるし、経済性を重視するならディーゼルもある(先代にも途中からある)。

とはいえ、やはり一番の魅力は、世界最高水準の安全装備や運転支援装備だろう。特に「パイロット・アシスト」は恩恵をはっきり感じられる装備だ。

 

ここがダメ

全幅の大きさ、慣れを要するインフォテイメントシステム、アイドリング時の音

新型ボルボXC60の画像

これはXC60だけの問題ではなく、同クラスの輸入車すべてに言えることだが、1900mmの全幅は、日本で足に使うクルマとしては限界では。慣れれば何とかなるが、立体駐車場によってはパレットに収まらないケースもあるだろう。ETCゲートを抜ける時でさえ、ちょっと緊張してしまった。

ナビについては、こちらが不慣れなせいもあるが、最後までうまく使いこなせなかった。テレビやオーディオ、Apple CarPlayやAndroid Autoなどのインフォテイメントシステムについても、初期の現行XC90よりずいぶんスムーズに操作できるようになったが、時に思ったようにいかないことも。このAI時代ゆえ、もっと音声操作でやれることも増やして欲しい。

総合評価

誰もが好感を持つモデル

新型ボルボXC60の画像

クルマ業界でいろいろあった年とはいえ、なんにしろXC60は輸入車としては2台目の日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)受賞車となった。COTYは60人もの選考委員が10台のノミネート車のどれか1台に必ず10点をつけるという仕組みだが、10点をつけたのはカムリが14人、スイフトが11人、N-BOXが10人、そしてXC60が9人の順だった。こうなるとカムリがCOTYでも良さそうだが、XC60には多くの選考委員が10点ではなく5点前後を配点しているので、満点は少なくても合計得点で他を上まわった。突出してはいないが、誰もが好感を持つモデル、ということのようだ。

ではXC60に10点満点をつけた9人の意見を見てみると、内外装のデザイン、エアサスによる乗り心地の良さ、ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドといった豊富なパワートレイン、そして何より安全装備をあげている。我々の試乗車はガソリンターボの非エアサス仕様車なので、乗り心地、そしてディーゼルやハイブリッドといった個性あるパワートレインについては残念ながら評価できない。それでもモーターデイズとしては多くの評論家同様に、XC60には5点を配点してもいいと思う。ガソリンモデルでも特に文句のつけようがない、快適で軽快な、そして速いSUVだからだ。

かつてのボルボのイメージ

いや文句をつけるとすれば、やはり全幅か。ふだん全幅1850mmのクルマに乗っているが、これが日本での使用では限界サイズのように感じている。昨今の新しい立体駐車場ではXC60の全高1660mmでも入るところが増えているが、全幅は1850mmまでということが多い。むろん先代の全幅は1890mmだったので今さらではあるが、昨今のどんどん広がっていく全幅はなんとかならないかと思わざるをえない。時々1700mmをちょっと超えただけのプリウスに乗ると本当に使いやすく思える。それはちっぽけな島国に住んでいるがゆえの文句かもしれないが。それでも新型XC60の全幅がむやみに大きくならなかったことは評価すべきなのだろう。

近年、多くのSUVが登場している中、先代XC60の内外装デザインには女性が乗っても似合いそうな優しくオシャレな雰囲気があったと思うが、新型はどちらかと言えば力強く、質実剛健な男っぽい印象を受ける。むろんその路線こそがボルボの伝統的アイデンティティではあるのだが。インテリアを含めて1970年代、80年代あたりのゴツいボルボのイメージがある。その意味で今度のXC60は、メインターゲットの一つとして中国市場が以前より強く意識されているのかも。どことなく大陸的な豪放さが加わったように思う。

 
新型ボルボXC60のナビゲーション画像

もう一つの伝統的アイデンティティである安全装備に関して。先代XC60登場時には衝撃的だった自動ブレーキシステム「シティ・セーフティ」も、8年という歳月の間にすっかり世の中で当たり前になった。それをうけて新型ではさらに運転支援機能を強化している。当然ながらこの分野はまだまだ過渡期にあるが、それでも「自動運転っぽさ」は十分に感じられる。

先代デビュー時にはとても評価できなかったナビ部分は(先代の初期モデルは日本製の汎用ナビをセンターコンソールに組み込み、操作は別体のリモコンで行うものだった)、新型ではタブレットのように操作できるタッチパネル式になり、Apple CarPlayやAndroid Autoがつながることも含め、現状で利用するには十分なものにはなっている。とはいえ、この部分もまさに日進月歩で、数年後には相当な進化をしているはず。今後はアプリの追加などで対応していくのだろうけれど、数年後には陳腐化しないとも言い切れない。現状では車両設定などもここで行うわけだが、今後はむしろユニットごと交換できる、といった仕組みにした方が革新的だろう。むろん現状では最も進んだ類のものであり、手袋をしたまま操作できるあたりは、さすがにボルボらしいところではある。

D4の登場が待ち遠しい

新型ボルボXC60 T5のエンブレム画像

さてクリーンディーゼルの「D4」がまだ日本に導入されていない現在、XC60でちょっと躊躇する部分があるとすれば、横幅よりも燃費かもしれない。JC08モード燃費はガソリン車のT5で12.6km/Lだが、いつもの試乗区間では約8.0km/Lゆえ、生涯燃費で10km/Lを出すのはおそらく難しいと思われる。ただし、先代XC60の3.0L直列6気筒ターボ「T6
SE AWD」は10・15モード燃費7.8km/Lで、いつもの試乗区間で6.5km/Lだったから、排気量が違うとはいえ実燃費でも2割以上いいのだが。先代が出た頃、ガソリン価格は急落していたが、ハイオクでリッター150円ほどに上がってきている昨今の情勢を見ると、D4の登場が待ち遠しくなる。

ボルボ・カー・コーポレーションは2017年7月に、2019年以降に発売する全モデルに電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、もしくはマイルドハイブリッド車をラインナップすると発表した。XC60にはすでにターボとスーパーチャージャーと電気モーター付きのPHEVである「T8」があり、こちらはさらにパワフルで燃費も1割程度いいという。これならおそらく普通に10km/Lを越える燃費で走れるかもしれない。車両価格は一気に高くなるので、その分を燃費で稼ぐなどということは考えられないが、リセールバリューも高くなるだろうから、これは検討に値すると思う。

クルマはどんどんツール化している

2017年も間もなく終わるが、より燃費がよく、より安全で、そして自動運転してくれる方向へと、クルマはどんどん進化している。順当に行けば8年後と思われるXC60のモデルチェンジまでには、もしかすると新しい電池が開発されるかもしれない。そうなると次期XC60は衝撃の自動運転EVとして登場するかも。それはきっと手持ちのタブレット(のようなもの)を本体に装着して操作するといったものになるだろう。とはいえそれは、まだまだ先の話。先代XC60の先進性を一般のクルマが持つようになるのに8年かかったわけで、当面は最先端の新型XC60に乗って、新たな時代を待つというのが2018年時点でのベターな選択といえそうだ。

モーターデイズとしてはホンダ N-BOXをイヤーカーとしたいところだが、日本だけで通用する軽自動車であり、クルマというよりツールっぽい存在ゆえ、総合的にクルマとして考えた場合は確かにXC60の充実度に分がある。しかし日本で使うツールとしてならN-BOXの方が便利でコスパが高い。その意味で、クルマというものが今後日本の社会にとってどういう存在になっていくのか、が来年以降の課題になるだろう。まあ、クルマはどんどんツールになっていきつつあるように思うのだが、さてクルマ好きはどうする?

 

試乗車スペック
ボルボ XC60 T5 AWD インスクリプション
(2.0L直4ターボ・8AT・679万円)

●初年度登録:2017年10月
●形式:DBA-UB420XC(A)
●全長4690mm×全幅1900mm×全高1660mm
●ホイールベース:2865mm
●最低地上高:215mm
●最小回転半径:5.7m
●車重(車検証記載値):1850kg(-+-)
●乗車定員:5名

●エンジン型式:B420
●排気量:1968cc
●エンジン種類:直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・ガソリン・横置
●ボア×ストローク:82.0×93.2mm
●圧縮比:10.8
●最高出力:187kW(254ps)/5500rpm
●最大トルク:350Nm (35.7kgm)/1500-4800rpm
●カムシャフト駆動:タイミングベルト(交換サイクル24万km)
●アイドリングストップ機能:有り
●使用燃料:プレミアムガソリン
●燃料タンク容量:60L

●トランスミッション:8速AT(アイシンAW製)
●JC08モード燃費:12.6km/L

●駆動方式:電子制御AWD(電子制御多板クラッチ式)
●サスペンション形式(前):ダブルウィッシュボーン+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):トーションビーム+複合樹脂(GFRP)製リーフスプリング
●タイヤ:235/55R19 ( Michelin Latitude Sport 3 )

●車両本体価格:679万円(メーカーオプション含まず)
●試乗車価格(概算):749万9000円(オプション込み)
※オプション合計(概算):70万9000円
※オプション内訳:チルトアップ機構付 電動パノラマ・ガラス・サンルーフ 20万6000円、メタリック・ペイント 8万3000円、Bowers&Wilkinsプレミアムサウンド・オーディオシステム(1100w、15スピーカー)サブウーファー付 42万円

●ボディカラー:パイングレーメタリック
●試乗距離:約300km

●試乗日:2017年12月
●車両協力:ボルボ・カー 知多・刈谷株式会社クリエイト

 
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