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VW ポロ(2/3)新車試乗記(第835回)

Volkswagen Polo

2018年05月18日

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基本性能&ドライブフィール

【1.0 TSIエンジン】1.2 TSIとは性格が全く異なる

試乗したのは「TSI ハイライン」(265万円)に、ナビゲーションやセーフティパッケージ等のオプションを装着して約300万円という仕様。

1Lの3気筒ターボ「1.0 TSI」は、VWグループの新しい最小ダウンサイジングユニット。欧州向けポロには115ps、200Nm版もあるが、今回の日本仕様は95ps、175Nm版になる。

先代の「1.2 TSI」エンジン(前期型は105ps、175Nm、後期型は90ps、160Nm)と比べると、排気量と気筒数が減ったにも関わらず、ほぼ同等の馬力とトルクを確保しているわけで、言うなればダウンサイジングをさらにダウンサイズしたものだ。

 

1.0 TSIエンジン(photo:VGJ)

ちなみにこのエンジン、実は先代ポロの後期型に設定された限定300台の低燃費スペシャルモデル「ポロ BlueMotion」(JC08モード燃費23.4km/L)用ユニットの改良版。また、アウディのA1とQ2にも「1.0TFSI」の名で前から搭載されている。メカニズム的には、up!の1.0L自然吸気3気筒エンジン(75ps、95Nm)を直噴ターボ化したもの、と考えていいだろう。そう言えば日本にも今年導入予定という「up! GTI」(6MT)にもターボの115ps版が搭載されている。

その印象は、出足こそ先代1.2 TSIのような俊敏さに欠けるものの、ターボが効き始めれば厚めのトルクがフワッと立ち上がり、先代比10kg増しの車重1160kgを軽々と加速させる、という感じ。トルクフルだが、頭打ち感は早く、高回転はあまり得意としない。

 

1.0 TSIエンジンの性能曲線。70kW(95ps)/5000-5500rpm、175Nm (17.9kgm)/2000-3500rpm(photo:VGJ)

トランスミッションは先代同様に乾式クラッチの7速DCTだが、キックダウン(アクセルの踏み込みに応じて自動的に行われるシフトダウン)はほとんどせず、ターボにモノを言わせて、そのままのギアで加速する感じが強い。なので街中では1.2 TSIよりもゆったり、静かに走ることができる。3気筒の振動はほとんど気にならないが、じっくり観察していると、回転数が1500~1800rpm前後まで下がった時に、かすかながら振動を感じることがある。

また、ここぞという時にアクセルを深く踏み込んでも、1.2 TSIのようにシャキン!とキックダウンし、エンジンをぶん回してギュィーンと加速……という感じにならないのも物足りないところ。加速性能は1.2 TSIと同等だと思うが、キャラクターはまったく異なる。

静粛性アップ。乗り心地はカドマルに

巡行中に思うのは「静かになったなぁ」ということ。先代の弱点だったロードノイズが静かになり、ゴーゴー、ザラザラという音がほとんど聞こえなくなった。ちなみに試乗車のタイヤは、VW車で初めて見た気がするファルケンの195/55R16(タイ製)だったが、グリップ性能から静粛性までまったく不満がなかった。車両によってはコンチネンタルのプレミアムコンタクト5の場合もあるようだ。

乗り心地もずいぶん良くなった。先代で気になった段差での突き上げ感がグッと丸くなったほか、荒れた路面でのフラット感が大幅に増した。このあたり、先代で感じられたゴルフ7との大きな差は、かなり埋まった感じがする。

そしてハンドリングも別モノになった。先代までの腰高感がなくなり、姿勢変化は小さくなり、アンダーステアも解消。左右の切り返しでも機敏に動くようになった。なぜかリアブレーキはディスクからドラムになってしまったが、ブレーキもよく効く。

高速巡行はさらに得意に

直進安定性も確実に良くなった。先代1.2L TSIでは高速域で浮足立ってくる感じがあり、車線をトレースするのに気を使う場面もあったが、新型ではもう不安感なし。ドシッとした手ごたえのある電動パワステも効いている。

100km/h巡行時の回転数は約2200rpmと高め。先代では何となく遮音が甘いような、速度が上がるにつれて騒々しくなる感じがあったが、新型では車外との隔絶感があり、かなり静かに高速巡行できる。

なお、最高速度(メーカー発表値)は、参考までにUK仕様(1.0 TSI 95ps版+7DSG)で186m/h。ちなみに先代1.2L TSIの前期型(105ps)は190km/h、後期型(90ps)は183km/hだったので、馬力通りちょうどその中間ということになる。

全車速対応ACCを採用。ただし停止保持は2秒まで

ACC等のステアリングスイッチ類は、ゴルフ7など現行VW上級モデルと同じタイプ
ACC等のステアリングスイッチ類は、ゴルフ7など現行VW上級モデルと同じタイプ

ハイラインでは標準装備、コンフォートラインではオプションのACC(アダプティブクルーズコントロール)は全車速追従機能付、つまり自動停車および自動発進まで対応するタイプ。停止して2秒以内に先行車が発進すれば、追従走行を自動的に再開する。設定上限はゴルフ7後期型と同様に210km/hだ。

ただし、ポロの場合は、パーキングブレーキが電動ではなく、手動式(ハンドブレーキ)なので、長時間の停止維持が難しく、停止時間が2秒を超えると「ピー」という警告音と共にACCがオフになり、クリープで動き始めてしまう。

 
左下に表示されているのがACCのセット速度
左下に表示されているのがACCのセット速度(停止中に撮影)

とはいえ、ドライバーとしては停車中にブレーキを踏んでいるのは自然な行為だし、ACCの再開操作もステアリングスイッチを一回押すだけと簡単なので、これはこれで不便ではないなぁと今回は感じた。その一方で、ボルボ V40の全車速対応ACCは、手動パーキングブレーキでも長めの停車が可能なので、ポロでも同じくらい停止保持してくれれば、とも思うわけだが……。

新型ミリ波レーダーと電波センサーで監視。ぶつけそうになっても自動ブレーキが防ぐ

先進安全装備については他に、ミリ波レーダー方式のプリクラッシュブレーキシステム(自動ブレーキ)に歩行者検知機能(5~65km/hで作動)が備わった。ここでユニークなのは、歩行者検知を単眼カメラではなく、新型のミリ波レーダーで行う点だ。カメラに対するメリットは悪天候に強いこと、検知範囲(距離や角度)が広いこと、そしてコストだろう。

また、日常的に一番恩恵がありそうなのが「セーフティパッケージ」(オプション)に含まれるパークディスタンスコントロール。これは駐車の際、前進および後退時に、警告だけでなく自動ブレーキまで作動させるもの。障害物の検知に使う電波センサーは、よく見るとフロントバンパーに6個、リアバンパーに6個の、計12個も付いている。これでもう駐車時にクルマをぶつけることはなくなるかも。

 

ハイラインのみに装備されるLEDヘッドライト

さらに、駐車スペースからバックで出る際に、接近してくる車両を検知し、必要なら自動ブレーキまで踏む「リヤトラフィックアラート」(後退時警告・衝突軽減ブレーキ機能) 、走行中に斜め後方の車両をセンサーで検知し、ドライバーにドアミラー内の警告灯で知らせる「ブラインドスポットディテクション」(後方死角検知機能) も採用されている。

一方で、付いていそうで意外に付いていないのが、ハイビームアシスト(いわゆるオートマチックハイビーム)や車線逸脱警報、レーンキープアシスト(LKA、車線維持機能)といった、カメラの画像解析を使って行う機能だ。それは前述のように新型ポロにはカメラが搭載されていないからだろう。新型ポロの場合、直進安定性が優秀なので、車線逸脱警報やLKAはそんなに必要ないと感じたが、ハイビームアシストについては少なくともLEDヘッドランプ標準のハイラインでは欲しいと感じた(理由は後述)。

また、自動操舵でドライバーの駐車をサポートする 「駐車支援システム“Park Assist”」もポロで初めて採用されているが、これは障害物を電波センサーで検出するタイプのようだ(そもそもカメラはリアしかないので、少なくとも前方や左右の白線は読めない)。今回は試すのをすっかり忘れてしまった。

ハイオクで試乗燃費は14.1km/L。JC08モード燃費は19.1km/L

今回は約250kmを試乗。参考ながら試乗燃費は、いつものように一般道や高速道路を走った区間(約80km)が14.1km/L、一般道を大人しく走った区間(約30km)は15.3km/Lだった。大ざっぱに言えば、市街地では13km/L台、高速道路で100km/h巡行すれば何とか19km/L台といったところ。JC08モード燃費は19.1km/L。指定燃料はもちろんハイオクになる。

ちなみに先代1.2L TSIのJC08モード燃費は、前期型が20.0~21.5km/L、後期型が22.2km/Lだったので、新型は1割ほどダウンしたように見えるが、今回試乗した印象で言えば、実用燃費は先代と大差ないと感じた。

ただし燃料タンクは40Lと、先代から5Lも減ってしまったので、その分だけ航続距離は短くなったと思われる。

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