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VW ポロ(3/3)新車試乗記(第835回)

Volkswagen Polo

2018年05月18日

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ここがイイ

いろいろ良くなった。充実の自動ブレーキ機能

先代ポロは傑作車だったと思うが、ゴルフ7が登場した後は、主にシャシー性能(操縦性、乗り心地、静粛性など)でゴルフとの差が開いてしまった感があった。今回はMQBになったことで、先代の弱点を克服。質感も上がり、乗り心地も良くと、先代ポロで感じられたネガを(主にゴルフ7との比較の上で、だが)、ことごとく解消した。クルマとして「さらに進化」したのは間違いない。

自動ブレーキは歩行者検知対応になったが、それ以外にも計12個もの電波センサーで前進・後退時にも障害物に対して自動ブレーキが作動するなど、「ぶつからない」「ぶつけない」性能の充実は、ユーザー的にはありがたいところ。

また、コンフォートラインとハイラインに装備されるバックカメラは、ゴルフ同様にリアのエンブレムが反転してレンズが出るタイプになったが、その画像は8インチディスプレイいっぱいに映し出されて、ものすごく見やすかった。

ここがダメ

ゴルフと迷うサイズ&価格など

取り回しの良さは感覚的には2、3割ほど失われた感がある。もちろん、ゴルフ7と比べれば相変わらずコンパクトだが、その差は小さく、となるとゴルフでいいじゃん、ということにもなる。次期ゴルフ8がどうなるかは分からないが。

3気筒ターボのパワーは必要十分だが、今ひとつレスポンスや加速感に欠けるところがあり、先代の1.2 TSIエンジンのことを忘れさせるほどの魅力は感じられなかった。このまま1.2 TSIエンジンはドロップしてしまうのだろうか。

 

ハイラインのLEDヘッドライトは明るいことは明るいが、カットライン(ライトで照らされる範囲と照らされない範囲の境目)がはっきりしている分、遠くが暗く見え、山中の夜道ではハイビームを多用することに。しかし回転計の中に配置されているブルーのハイビーム警告灯があまり目立たず、ついついロービームに戻し忘れそうになった。少なくともセーフティパッケージ装着車なら、いわゆるオートマチックハイビーム(VW流に言えばハイビームアシスト)か、いっそアダプティブハイビーム(VW流に言えばダイナミックライトアシスト)が付いていそうなものだが、新型ポロには画像認識用の単眼カメラが搭載されていないからだろう、設定なし。となると、やっぱりカメラの一つくらいは搭載しておいてもよかった気がする。試していないが、これならコンフォートラインのハロゲンでもいいかもしれない。

総合評価

全幅1750mはノープロブレム

全幅1700mm以下。日本の5ナンバーという枠は世界的に見れば今やナンセンスなものだ。現行のスイフトスポーツ(欧州向けスイフトと同じ3ナンバーボディ)など、国内向けスイフトよりずっとスタイリングは魅力的になった。このクラスでの幅50mmはスタイリングに大きく影響する。実際、新型ポロの写真を初めて見た時は、なんてカッコいいんだと思ったもの。ワイド&ローにすればカッコよくなるというのはカーデザインの王道。新型ポロは現物を見ても、5ドアハッチバックとしては素晴らしくカッコいい。昨今はどのクルマも十二分に高性能で、性能差をはっきり打ち出しにくいだけに、スタイリングこそが大きな意味を持つ。その意味で新型ポロは、まず成功していると見ていいだろう。

では、ボディが幅広くなったことのデメリットはないかというと、それはないと断言しよう。前述のように取り回しは若干スポイルされているが、何度も切り返さないと出入りできない駐車場を借りてでもいない限り、気にするほどでもないと思う。日本には今でも、ものすごく狭い路地や裏道があるにはあるが、全幅1800mm超のクルマに乗っていても、実際に走れなくて困ったということはほとんどない。もしそういう道を日常的に通る必要があるならば、VWにはup!というモデルもあるし、日本には軽自動車という素晴らしいクルマもある。昨今は大半のタワーパーキングが1850mmの車幅に対応するようになってきたし、1750mmばかりの幅など、ここではあえてノープロブレムと言っておこう。

 

日本の道や駐車場には今でも5ナンバーだと便利なところが多いし、ドライバー自身も長年にわたり身についた5ナンバーというサイズに安心感を持っているが、今後5ナンバー車は減っていく。5ナンバーサイズにこだわったクルマ作りは、今や国産メーカーにとってもやっかいなことで、スイフトがそのいい例だ。3ナンバーサイズだからと言って税額が変わるわけでもないし(年に一度の自動車税は、排気量で区分される)、海外メーカーなら無論のこと。もはや日本の常識は世界の非常識と言うしかない。今後はサイズに限らず「日本のためのクルマ」はどんどん減っていく。残念だが、それが現実だ。少なくとも全幅1700mm以下にこだわるのは止め、そろそろ日本人もアタマを切り替えるしかない。

ターボが効き始めるまでのもっさり感

さて、いつも乗っている全幅1800mm超のクルマというのは、ザ・ビートル・カブリオレだが、クーペモデルより80kg重い車重1380kgのこのクルマを105psの1.2Lターボで走らせる感覚と、車重1160kgで95psのポロ 1.0Lターボの感覚は、かなり近いものがあった(パワーウエイトレシオはカブリオレが約13kg/ps、ポロが約12kg/ps)。ポロはトルクフルな特性で、速度に乗ってしまえば力強いが、発進直後からターボが効き始めるまでの間に感じるもっさり感は、ザ・ビートル・カブリオレと共通している。ストップ&ゴーを繰り返す日本の都市部では、ここはちょっと辛いかもしれない。速度に乗れば、ともに素晴らしい走りを見せるのだが。

DSGのダイレクトな感覚がそれを助長しているように思う。ステップATやCVT(CVTも今は発進にトルクコンバーターを使うものが主流)のようなトルク増大効果はないだけに、クラッチがスパッとつながって→ トルク不足気味に立ち上がり → ターボが効き始めてグーンとトルクが湧いて加速する、という感覚。特にアイドリングストップした後だと、最初に始動という動作にやや時間が取られるので、なおさら俊敏なスタート感に欠けてしまう。新型ポロに乗って感じる先代ポロとの大きな差は、まずそこではないか。ステップAT車は多段化でかなり良くなっているし、CVT車も昨今のモデルではかなり自然な加速感を備えるようになってきたので、よりそう思う。

話はズレるが、フォルクスワーゲンのDSGで乾式クラッチのタイプはクラッチ交換が必要になることがままあるようだ。ザ・ビートル・カブリオレも5万kmを超えたあたりでジャダーが出てクラッチ交換となった。DSGのダイレクトなシフト感は気持ちいいものだが、やはり日本の都市部のようなストップ&ゴー事情のもとでは、合っていると言い切れないのかも。クラッチ修理後は、エンジンの低回転域から緩やかに加速しようとする時に、シフトアップを迷うような動きをし、コンコンと軽いシフトショックを感じるようになった。シフトプログラムは最新のものにアップデートしたが、改善できないままだ。VWのDSGを絶賛してきたモーターデイズゆえ、いちおう報告しておく。

「コンポジションメディア」標準装備は見識

さて、新型ポロでは、ナビ無しのインフォテイメントシステム「コンポジションメディア」を標準装備にしたのが見識だと思う。もはやカーナビなど要らない。これで十分。それが現実だ。これこそが日本のカーナビ産業の大きな曲がり角を象徴している。ナビメーカー各社が苦しんでいる中、これまでの研究開発や進化を否定するようなことを書くのは辛いが、もはや従前のナビ作りからは脱却し、情報ディスプレイとしての機能を強化したインターフェイスを開発するしかないと思う。

もはやカーナビはいらないが、テレビは見たい。新型ポロでは、そのために高価な純正ナビ(ディスカバープロ)を選択するしかない。しかし理想を言えば、コンポジションメディアの機能に加えて、テレビ放送受信機能、ブルーレイ再生機能を持ち、通信simを内蔵してネット動画も見ることができて、webブラウザもあって、現在地を把握して事故多発地点とか、盗難多発地点とかの情報が流れ、ドラレコ機能があって、スピード取締り情報も表示できて、耐久性・耐熱性のあるインフォメーションパネルを作れないものだろうか?(これはもはやタブレット端末に近いかもしれない)。もちろん、昨今の後付ナビの流れである大画面化は言うまでもない。世のニーズはまさにそこにあると思う。

SUVの中で埋もれないための戦略

新型ポロはカッコよくなったが、昨今はカッコいいハッチバックより、カッコいいSUVが人気だ。先代ポロも、ノーマルモデルよりスタイリング的にはクロスポロに魅力があった。そういった流行の変化も、今回のポロにとっては向かい風かもしれない。コンパクトさを捨ててカッコよさを強調してみたが、人々の関心はSUVに向いたままだ。いやそうではなく、もし凡庸なスタイリングだったら、まったく見向きもされなくなってしまうかも。新型ポロのスポーティなスタイリングは、SUVの中で埋もれてしまわないための戦略なのだろう。猫も杓子もSUVだが、そんな風潮に一矢報い、伝統的ハッチバックのカッコよさをあらためて提案・主張しているのが新型ポロということになる。

 

試乗車スペック
フォルクスワーゲン ポロ TSI ハイライン
(1.0L直3ターボ・7速DCT・265万円~)

●初年度登録:2018年3月
●形式:ABA-AWCHZ
●全長4060mm×全幅1750mm×全高1450mm
●ホイールベース:2550mm
●最低地上高:140mm
●最小回転半径:5.1m
●車重(車検証記載値):1160kg(730+430)
●乗車定員:5名

●エンジン型式:CHZ
●排気量:999cc
●エンジン種類:直列3気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・横置
●ボア×ストローク:74.5×76.4mm
●圧縮比:10.3
●最高出力:70kW(95ps)/5000-5500rpm
●最大トルク:175Nm (17.9kgm)/2000-3500rpm
●カムシャフト駆動:タイミングベルト
●アイドリングストップ機能:有り
●使用燃料:プレミアムガソリン
●燃料タンク容量:40L

●トランスミッション:7速DSG(DCT:デュアルクラッチトランスミッション)
●JC08モード燃費:19.1km/L

●駆動方式:FF(前輪駆動)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):トレーリングアーム+コイルスプリング
●タイヤ:195/55R16 ( Falken Ziex ZE914R ※Made in Thailand )

●車両本体価格:265万円(メーカーオプション含まず)
●試乗車価格(概算):300万6400円(オプション込み)
※オプション合計(概算):35万6400円
※オプション内訳:
・セーフティパッケージ<駐車支援システム“Park Assist”、パークディスタンスコントロール(フロント/リア、前進/後退時衝突軽減ブレーキ機能付)、オプティカルパーキングシステム、リアトラフィックアラート(後退時警告・衝突軽減ブレーキ機能)、ブラインドスポットディテクション(後方死角検知機能)> 9万7200円
・“Discover Pro”パッケージ<Volkswagen純正インフォテイメントシステム“Discover Pro”(SSDナビゲーションシステム、VICSワイド対応、DVD/CDプレーヤー、MP3/WMA再生、AM/FM、ワイドFM対応、地デジTV受信、Bluetoothオーディオ/ハンズフリーフォン、“Volkswagen Media Control”アプリケーション対応)、ETC2.0対応車載器、モバイルオンラインサービス“Volkswagen Car-Net”(コネクティビティ機能“APP-Connect”、テレマティクス機能“Guide&Inform”)、パドルシフト> 22万6800円
・販売店オプション:フロアマット(フラワー) 3万2400円

●ボディカラー:エナジェティックオレンジメタリック
●試乗距離:約250km
●試乗日:2018年5月
●車両協力:Volkswagen 本山・小牧

 
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