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トヨタ アルファード(ハイブリッド) エグゼクティブ ラウンジ新車試乗記(第755回)

Toyota Alphard(Hybrid) Executive Lounge

(2.5L 直4+モーター・703万6691円)

目指したのは「大空間高級サルーン」。
ニッポンの「おもてなし」を体現する
トップ オブ ミニバンに試乗!

2015年03月13日

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キャラクター&開発コンセプト

3代目でさらに威風堂々。プラットフォームも進化


新型アルファード(写真はハイブリッド)
(photo:トヨタ自動車)

2015年1月26日に発売された新型アルファード(トヨペット店向け)と新型ヴェルファイア(ネッツ店向け)は、言わずと知れた高級大型ミニバンのベストセラー。

初代アルファードのデビューは2002年で、今回で3代目。兄弟車ヴェルファイアは2008年に加わったもので、今回で2代目になる。

 

左からアルファード、ヴェルファイア(エアロタイプ)、アルファード(エアロタイプ)、ヴェルファイア。新車発表会が行われた産業技術記念館(名古屋市)にて

新型の開発キーワードは「大空間高級サルーン」。ミニバンではなく、“サルーン”を標榜しているのがポイント。従来以上に巨大なフロントグリルなど、さらに押し出し感のあるデザインとなったほか、高級感にも磨きが掛かった。

新型から本格的に投入される中国市場も見据えて、プラットフォームも大幅に改良。ホイールベースが50mm伸びて3000mmになったほか、リアサスペンションは従来のトーションビームからダブルウイッシュボーンに格上げされている。

 

2.5L直4エンジンとフロント&リアモーターのハイブリッドシステム。システム出力は197ps
(photo:トヨタ自動車)

パワートレインは、純エンジン車の2.5L 直4+CVT(無段変速機)と3.5L V6+6速AT、そしてハイブリッド(2.5L 直4ガソリンエンジン+前・後モーター)の3種類を用意。JC08モード燃費は、2.5Lのアイドリングストップ装着車が最高12.8km/L(先代2.4L車は10.8km/L)、3.5L車が最高9.5km/L(先代3.5L車は9.2km/L)、ハイブリッド車が最高19.4km/L(先代は17.0km/L)と、いずれも先代より向上している。

月販目標は合わせて7000台


アルファード(右)とヴェルファイア(エアロタイプ)

生産拠点はこれまで通り、トヨタ車体(株)のいなべ工場(三重県いなべ市)。

月販目標は、アルファードが3000台、ヴェルファイアが4000台の計7000台。2代目デビュー時の6000台(各3000台)と比べると、ヴェルファイアの方だけ1000台上積みされた。

なお、発売から一ヶ月の受注台数は、目標の6倍となる約4万2000台とのこと。内訳はアルファードが約2万台、ヴェルファイアが約2万2000台。

■外部リンク
トヨタ自動車>プレスリリース>アルファードならびにヴェルファイアをフルモデルチェンジ(2015年1月26日)

■参考記事
新車試乗記>トヨタ アルファード 350G(2008年6月掲載)

 

価格帯&グレード展開

エンジン車が319万7782円、ハイブリッドが415万5055円~


手前がヴェルファイア、奥がアルファード(エアロタイプ)

価格とグレード設定はアルファードとヴェルファイアで全く同じ。2.5L 直4+CVT車(FFと4WD)が319万7782円~、3.5L V6+6AT車(FFと4WD)が414万5237円~、ハイブリッド(全て電気式4WDのE-Four)が415万5055円~。乗車定員は2列目ベンチシートの8人乗りと、同キャプテンシートの7人乗りがある。

また、新型では2列目シートを豪華なエグゼクティブパワーシートとした最上級グレード「エグゼクティブ ラウンジ」をカタログモデルとして新設定。こちらはV6が652万2218円、同ハイブリッドが703万6691円と、ダントツで高い。

なお、立ち上がり一ヶ月の受注内訳は、純エンジン車が3万1000台(約7割)、ハイブリッド車が1万1000台(約3割)と、ガソリン車の割合が高くなっている。

 

試乗したのは最上級グレード「エグゼクティブ ラウンジ」

エグゼクティブ ラウンジの2列目、エグゼクティブパワーシート
(photo:トヨタ自動車)
 

パッケージング&スタイル

アルファードも押し出し十分


ボディカラーは全7色。試乗車はアルファード専用の新色「ラグジュアリーホワイトパールクリスタルシャインガラスフレーク」

デザインテーマはアルファードが「豪華・勇壮」、ヴェルファイアが「大胆・不敵」。今回試乗したのはアルファードだが、その押し出し感はなかなか。今までアルファードのデザインは、ヴェルファイアに比べて明確に大人しかったが、新型では一転して立派で堂々とした顔付きになり、上下2段ヘッドライトがトレードマークのヴェルファイアに負けないものになった。こういった今まで大人しかったモデルの顔を立派にするという方向は、現行クラウンのロイヤル、現行ノアなど、最近のトヨタ車に共通するもの。販売面でヴェルファイアに押され気味だったアルファード(トヨペット店)へのテコ入れと考えてもいいだろう。

なお、バンパー等のデザインはアルファード、ヴェルファイアそれぞれにエアロタイプがあり、都合4パターンある。写真の試乗車は、アルファードの非エアロタイプ。

大空間ミニバン感とスポーティさを両立


こちらはヴェルファイア ハイブリッド(写真はエアロタイプ)
(photo:トヨタ自動車)

新型アルファード(非エアロタイプ)のボディサイズは、全長4915mm(先代比+45)、全幅1850mm(+20)、全高1880mm(-10)。ホイールベースは50mm伸びて、エルグランドに並ぶ3000mmになった。

一方、グラスエリアの天地は狭まり、サイドからの見た目はぐっとスポーティさが強まった。この辺は現行エルグランドやオデッセイと同じ方向だが、アルファードでは真正面や真後ろから見た時に、ちゃんと背が高く、ボディが大きく見えるのがポイント。これは最高級ミニバンらしい存在感やキャビンの大空間感をアピールするため。グリルの派手さも含めて、徹底的にマーケティングに基づいたデザインになっている。

 

大型のリアスポイラーは全車標準。バンパーやリアフェンダーも空力を意識した形状

グラスエリアの小ささや、ボディサイドの控えめな抑揚に注目。ホイールベースは3000mmに達した
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
トヨタ ヴォクシー/ノア (2014~) 4695~4710 1695~1730 1825~1870 2850 5.5
ホンダ オデッセイ (2013~) 4830 1800~1820 1685~1715 2900 5.4
トヨタ アルファード (2015~) 4915~4935 1850 1880~1950 3000 5.6~5.8
日産 エルグランド (2010~) 4915~4975 1850 1815 3000 5.4~5.7
 

インテリア&ラゲッジスペース

高級感は「お値段以上」


ディスプレイサイズは9.2インチと巨大。内装色にはフラクセン(写真)とブラックがある

内装の高級感は明らかに高まった。「色ではなく光を意識した」木目調パネルは、全部で3種類あり、例えば試乗したエグゼクティブラウンジ用のオリーブ・アッシュパール木目調は、3Dインクジェットプリントで立体感ある木目を再現するなど、最新技術の賜物。ある意味、リアルウッド以上に美しい。プレスリリースには「削り出した金属の面質と工芸品の様な味わい深い木目調加飾を組み合わせるなど素材感を追求した『手の込んだ造り込み』による独自のインパクトを表現」とあり、自信のほどがうかがえる。

また、スイッチ類に流行りのタッチセンサーではなく、コストが掛かるリアルスイッチを多用するなど、使い勝手や操作感にも配慮している。細かいところでは、ODO/TRIP切替ボタンに透過照明が付いているのも嬉しい。

 

助手席シートが1160mmも前後スライド(純エンジン車のみ)


7人乗りの「助手席スーパーロングスライドシート」のシートアレンジ例
(photo:トヨタ自動車)

驚きの装備は、助手席がほとんど後席(2列目)に近いところまで1160mmもスライドする「助手席スーパーロングスライドシート」(オットマン付)。これは、せっかく広い空間があるのだから、2人か3人で乗る時には助手席でもその恩恵を味わえるようにしよう、という発想から生まれたもの。これによって助手席を2列目の位置までスライドさせたモードや、運転席、助手席、2列目シートを真上から見て三角形に配置する「トライアングルモード」が可能になった。

ただし、ハイブリッド車の場合は駆動用バッテリーが前席床下にあるので、助手席スーパーロングスライドシートは装備できない。

 

ハイブリッド車の前席下には駆動用ニッケル水素バッテリーがあるため、助手席スーパーロングスライドシートの設定はなし

フロントシートも豪華な作り。エグゼクティブ ラウンジはセミアニリン本革になる
 

豪華版「エグゼクティブ ラウンジ」を設定


最上級グレード「エグゼクティブ ラウンジ」のエクゼクティブラウンジシート

試乗した最上級グレード「エグゼクティブ ラウンジ」には、シート幅を約100mm拡大した専用の2列目シート「エクゼクティブラウンジシート」が装備されている。伸縮量140mmの電動オットマン、快適温熱シート、ベンチレーション機能、格納式テーブルを備えるなど、至れり尽くせり。座り心地も抜群で、この手の豪華キャプテンシートにありがちな、いまいち体にフィットしないといった違和感もない。ベンチマークとしたのは飛行機のファーストクラスや新幹線の特別車両「グランクラス」のシートだという。

さらにエグゼクティブ ラウンジの後席には、12.1インチの高精細WVGAディスプレイモニター、高性能12chアンプ+17スピーカーのJBL製プレミアムサウンドシステム等によるリヤシートエンターテイメントシステムが標準装備される。

 

3列目シートも快適で、短時間なら3人掛けも可。ただしエグゼクティブ ラウンジだとウォークスルーが出来ない

スライドドアの開口幅は70mm拡がり、最初のステップ高は50mm低くなって、乗降性が向上。室内高は先代と同等の1400mm
 

3列目の左側を後端に、右側を前端に寄せた状態。もちろん横に跳ね上げて格納できる

床下スペース(パンク修理キットなら148L、スペアタイヤ搭載車なら66L)の上に、スライドレールを橋のように架け、3列目のスライド量を確保
 

基本性能&ドライブフィール

車重は2.2トンだが、プリウスみたいに走る


ハイブリッドのエンジンルーム

試乗したのはハイブリッドで、中でも一番高価な「エグゼクティブ ラウンジ」(703万6691円)。専用の完成車検査ラインまで新設したという特別なモデルで、自分で運転してもいいが、基本的には運転手付で乗るショーファードリブンカーだ。

パワートレインは、新世代2.5Lエンジン「2AR-FXE」(152ps、206Nm)に、駆動用フロントモーター(143ps、270Nm)とリアモーター(68ps、139Nm)を組み合わせたもの。後輪をモーターのみで駆動する「E-Four」、いわゆる電気式4WDになる。

 

エンジンとモーターを合わせたシステム出力は197ps。対して車重は約2.2トン(試乗車は2220kg)もあるので、パワーウエイトレシオは11.3kg/psになる。これは2.5L純エンジン車(最高出力182ps、車重2トン前後)とほぼ互角の数値だが、駆動用モーターを持つハイブリッドの方が発進トルクは強力なので、出足は2.2トンとは思えないほどいい。軽々とスムーズに動き出す。

また、この重量級にも関わらず、アクセルを加減して踏めば、意外に“EV走行”もしてくれる。感覚的にはプリウスと似たような感じ。ゆえに新鮮味はないが、2.2トンの巨体がプリウスみたいに走ること自体がすごいことだと思い直す。

相変わらず運転しやすい。パノラミックビューモニターも活躍


車両を透かしたような映像をディスプレイに表示し、死角をカバーする新機能「シースルービュー」を備えたパノラミックビューモニター

全幅が1850mmあるので、ボディの大きさはそれなりに感じるが、絶対的な大きさと内輪差に気をつければ、運転は相変わらずしやすい。これは最小回転半径が5.6mとボディサイズの割に小さいのと(純エンジン車は5.6~5.8m)、見晴らしがいいせいだ。

また、純正ナビゲーションシステム装着車には、新開発のシースルービュー機能付パノラミックビューモニターも装着できる。これは純正ナビやJBLサウンドシステムとセットで約70万円もするが、エグゼクティブ ラウンジでは標準装備になる。

 

これはシースルビューからスイッチ一つで切替できる「ムービングビュー」。クルマの周囲360度からの映像を再現する

シースルービュー(ドライバー目線)と、その変形であるムービングビュー(クルマの周囲360度からの視点)は、おそらく安全のためだろう、シフトレバーをP(パーキング)にしないと作動しないが、まるでドローンを飛ばして上空から撮影しているような映像はいかにもガジェット的で面白い。これは言うまでもなく、周囲4つのカメラで捉えた映像を合成して作りあげるもので、周囲のモノや道路の表示などを忠実に再現する。描画も滑らか。

もっとも、実際に便利なのは、バックモニターと併せて表示される、日産のアラウンドビューモニターなどと同様の、真上から見たパノラミックビュー。ボディがかなり大きいので、ちゃんと駐車枠に入っているかどうか確認できて便利だった。セットオプションで70万円と聞くと、ちょっと怯むところだが。

さらば足踏みパーキングブレーキ


シフトレバーの横に電動パーキングブレーキとブレーキホールドのスイッチがある。普段、操作する必要はほとんどない

新型で割と重要なのは、トヨタブランド車で初めて電動パーキングブレーキが採用されたこと。電動パーキングブレーキはシフトレバーを「P(パーキング)」に入れると自動的に掛かり、「P」以外にシフトした時に自動的に解除されるので、手でボタンを押す必要はほとんどない。おそらくトヨタ車ユーザーの多くは、最初のうち何度も左足で足踏みブレーキを踏もうと「空振り」するだろうが、すぐに慣れると思う。もちろん、電動の方が面倒くさくない。

これに併せて、信号待ちなどの停車時に、ブレーキを自動的に保持する「ブレーキホールド」機能も採用されているが、これは他メーカーのものと同様、オンにしておくかどうかは好み次第。あまりに渋滞がひどく、足が疲れてきた時には助かる。

乗り心地はセダンに近づいた

走り始めてすぐに気づくのは、先代より運転しやすく、また乗り心地が良くなったこと。あくまで足回りが専用チューンのエグゼクティブ ラウンジでの印象だが、ブレーキング時やコーナリング時の姿勢変化が小さくなり、セダンのような感覚で運転できるようになった。

また、路面が荒れたところでも上下に揺れにくくなり、揺れてもすぐに収まるようになった。従来モデルだとステアリングを丁寧に丁寧に切ったり、ブレーキをジワリと踏んだり、あるいはボディの揺れを微妙なブレーキングで止めたりすることがあったが、そういうテクニックがほとんど要らなくなった。

プラットフォームは先代をベースに、高張力鋼板の使用率拡大、200点以上のスポット溶接増し打ち、サンドイッチ鋼板(鋼板と鋼板の間に制振材を挟み込んだ複合鋼板)、構造用接着剤の採用などにより剛性アップを図ったもの。おかげで初代、そして2代目にも若干あったボディのユサユサ感は、街中ではもうほとんど全くなくなった。

 

新採用されたリアのダブルウイッシュボーンサスペンション
(photo:トヨタ自動車)

また、リアサスペンションは従来のトーションビームから、レクサスRX用をベースに新開発されたダブルウィッシュボーンに格上げされた。先代では速い速度で段差を乗り越える際に、それなりに突き上げや上下動が出たが、新型ではそのあたりをセダンっぽく、さらりと受け止めるようになった。なるほど確かに「大空間高級サルーン」と思う瞬間。

操縦安定性も悪くない。山道をヴォクシー/ノアみたいに軽快に走るわけでは全くないが、挙動は安定しているし、ボディが煽られることもなく、不安がまったくない。人をもてなすためにアルファード/ヴェルファイアを選ぶ人なら、納得できるレベルだと思う。

高速域はそれほど得意としない


メーター中央の情報ディスプレイにはタコメーターも表示可能

電動パーキングブレーキで得られた、もう一つの恩恵は、オプションのレーダークルーズコントロールが停止状態から高速(車速0km/h~100km/h+α)まで全車速対応になったこと。パーキングブレーキが手動(足踏み)だと、停車し続けるだけのブレーキ圧の保持が難しいため、全車速対応には電動パーキングブレーキが必要になる。

そんなレーダークルーズコントロールを使って80~100km/hで巡航すれば、メーター内の液晶ディスプレイに表示されるエンジン回転計の針は、800~2000rpmくらいを行ったり来たり、という感じ。

高速走行時に気になったのは、100km/h前後での風切り音が意外に騒々しいこと。そして肝心のセカンドシートで路面からの突き上げが気になりやすいこと。街乗りや、路面が平滑なところでの乗り心地がいいだけに、目立ったのかもしれないが。このあたりは3.5LのV6モデルだと、また印象が違うかも。

“アイパ”が第2世代に進化


新車発表会でIPA2を試した時の様子。駐車位置を自動的に認識するようになり、タッチスクリーンをタッチするだけで駐車位置の設定が可能になった

もう一つ、運転支援系のニュースは、駐車時にステアリング操作を自動的に行う「インテリジェントパーキングアシスト(IPA)」(通称アイパ)が、新世代のIPA2に進化したこと。IPA2では、新たに超音波センサーとカメラで駐車位置を自動検出し、タッチパネルをワンタッチするだけで設定できるようになったほか、一回で駐車スペースに入りきらなかった場合には切り返しのステアリング支援まで行なうようになった。

また、このIPA2は、駐車時に障害物にぶつかりそうになると自動ブレーキを掛ける「インテリジェントクリアランスソナー(ICS)」とも連携する。ICSは、踏み間違えによる急なアクセル操作に対してだけでなく、ブレーキを若干かけている状態でも自動でブレーキが掛かるのがミソ。「分かってたのにぶつけちゃった」ということを防いでくれる(はず)。

 

IPA2では、一回で入り切らない場合、ステアリングの切り返し操作を支援する機能が加わった
(photo:トヨタ自動車)

ただし、このIPA2は、VIPを乗せるプロドライバーには不要という判断か、エグゼクティブ ラウンジには設定なし。また、純正ナビ&JBLオーディオシステムとのセットオプション(56万1600円)となるほか、先に触れたパノラミックビューモニター(例のシースルービュー付)との同時装着が不可となっている。IPA2は半自動運転システムとして面白いが、ある程度の運転スキルがある人ならパノラミックビューモニターの方が重宝するかも。

試乗燃費は10.0~12.7km/L。JC08モード燃費は18.4~19.4km/L(ハイブリッド)

今回はトータルで約200kmを試乗。車載燃費計による試乗燃費は、いつもの一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約80km)が10.0km/L、それとは別に一般道を走った区間(約50km)が11.6km/L、高速道路での巡航が12.7km/Lだった。

JC08モード燃費は、ハイブリッドが18.4~19.4km/L、直4モデル(FF)が11.4~12.8km/L、3.5L V6モデルが9.1~9.5km/L。タンク容量はハイブリッド車と純エンジンの4WD車が先代と同じ65Lだが、純エンジンのFF車は75Lの大容量になった。このあたりも海外を見据えての設定か。

 

ここがイイ

高まった基本性能。質感の高さ。おもてなしの装備など

基本性能が高くなった。従来モデルは高級ミニバンに必要な要素はしっかり押さえていたが、速度域の高いところでの乗り心地や操縦性には見切ったところがあった。それはユーザー側も納得していたと思うが、今回はボディ剛性がうんと底上げされ、リアサスがダブルウイッシュボーンになったことで乗り心地が良くなった。そして運転感覚がセダンに近くなったことで、楽に運転できるようになった。

内装の高級感や、おもてなし装備の数々、そしてパノラミックビュー、シースルービュー、インテリジェントクリアランスソナーなど様々な運転支援装備は本文にある通り。そしてハイブリッドなら燃費もいい。これまでも豪華さを謳った高級ミニバンはあったが、新型アルファード/ヴェルファイアの完成度は記憶にないレベル。

ここがダメ

(当然ながら)一人で乗るのは虚しい

慣れてしまえば意外に運転しやすいクルマだが、やはり全長4.9m、全幅1.85m、全高1.9m、ホイールベース3mのボディは巨大。特に狭い駐車場や裏道では、内輪差も含めてそれなりに気を使ってしまった。また、家族や取引先を乗せて走るには最高の一台だが、広大な車内の片隅で、タイトな運転席に座って一人で乗っていると、かなり無駄な感じがする。いくらハイブリッドで燃費がいいとは言え、そして大は小を兼ねるとは言え、やはり一人で乗ることが多い人には全く向かないクルマだと実感した。

新機能のシースルービューとムービングビューは売りの一つだが、実はこの機能、シフトレバーをP(パーキング)に入れて、ステアリングスイッチを押した時しか作動しない。でもって、それを見ればクルマの周囲を車内にいながらにして確認できるわけだが、いちいちそんなことをするかどうか。下手をすると購入した直後に一回試しただけで、あとは一度も使わず……ということがあり得そう。

総合評価

セカンドシートは取引先のため


IPA2をお試し中。ブレーキを離せば、ステアリングが自動でクルクルと回って駐車支援を行う

高級車ということで、トヨタの持てるハイテク装備を全て搭載できる。ユーザーにとっては、その費用対効果は微妙だし、実用的に使えるかどうかという点もあるが、ハイテクのショーケースとしては大きい意義がある。特にインテリジェントパーキングアシストは発売以来、ほぼ10年を経て、ついに「2」にバージョンアップし、目標駐車位置の設定が簡単になって、かなり実用的になった。

また、電動パーキングブレーキとなったことで、レーダークルーズコントロールで追従走行中、渋滞などで停止した時には停止状態を維持し、アクセルオンだけで再び追従を再開することも可能になった。シースルービューにしても、自動運転においてはカメラ等による周辺センシングは不可欠だろうから、周辺情報の認識用システムの初期段階と考えれば、その技術的意義には納得がいく。ただ、こんなにハイテクなクルマなのに、オーディオの音がいまいちと思えたのは非常に残念。ハイレゾとまでは言わないが、そのあたりの先進性もちょっと検討してもらいたいもの。

 

先代にはトヨタモデリスタインターナショナルが作ったVIP仕様の特装車があった。後席を2座にしてVIP向けに豪華装備をあつらえたものだ。しかしあまり売れなかったという。なぜか。それはサードシートの必要性が高いためだ。試乗車のように、主に法人向けとなる高級ミニバンのセカンドシートは、所有法人のVIPが寛ぎのために乗る席と思われがちだが、実は「客の接待のため」が大きな需要だという。法人のオーナーが自ら座る席というより、取引先のための席ということだ。その時オーナーはサードシートに座って、セカンドシートに座る客の相手をする。つまり法人オーナーにとってはサードシートこそが自分の席ということになる。その意味でサードシートの快適性を確保することが、このモデルでは重視されたという。確かに新型はサードシートも広くて快適だ。

これに関して、分かりやすく例をあげれば、大手企業の下請けをする中小企業の社長が、元請け企業のエライさんを接待する時のためのクルマ、ということ。社長は自社社員に運転をさせ、元請けのエライさんをVIPシートに座らせ、自らはサードシートであれこれと接待するわけだ。まあ、そういう用途に限らず、そんな中小企業では社員をたくさん乗せて、どこかへ出かけたりする機会も多いだろうから、7人程度は乗れないとやはり不便。そういう意味で、今回はエクゼクティブ ラウンジでもサードシートが重視され、後席2座という選択はなかったようだ。また接待時に手荷物とか、見本商品とかをスマートに収めておける3列シート下のトランク部分は重宝されるだろう。何から何まで考えられている。

トヨタ車はどんどんグリルが大きくなる

そういう使い方が多いなら、もうちょっと地味な外観(特にグリルが)でも良かったのでは、と思うのだが、それでは上昇志向の強い中小企業の社長や、「立派なクルマ」が欲しいという(マイルドヤンキー的感性の)個人需要に応えられないので、今回の「何より立派な」グリルが用意されたということか。試乗車のグリルなど、レクサスの糸巻き形状にも見え、これはもうレクサス車と言いたくなるほど。レクサスに高級ミニバンをラインナップするのは、既存トヨタディーラーには大打撃となるだけに簡単にはできないと思う。その意味で、法人需要に強いトヨペット店が売るアルファードの方に、より分かりやすく立派なグリルを与えたことは、マーケティング的に当然なのだろう。

 

しかしトヨタ車はどんどんグリルが大きくなるなあ、とちょっとため息が出てしまう。クラウンでタガが外れたグリル拡大路線は、ここに至って、行くところまで行った感が強い。もちろん売れているのだから間違ってはいないのだろうけれど、ハードとしての出来はいいだけに、もう少し控えめな(グリルの)クルマなら購入を検討したいという意見は、個人や法人を問わずあるようだ。特にこのクラスのミニバンは選択肢が少ないだけに(ライバルとなり得るのは実質的にエルグランドのみだろう)、外観の選択肢は増やしてもらいたいもの。せめて先代程度のおとなしめのアルファード(の外観)を望む声はかなりあるのではないか。

ただ、このグリルはアルファードが売られる中国市場でもウケそうな気がする。大人しい欧州風の顔より、こういった派手な外観の方がウケるのでは。その点ではアルファードを支持する日本の感性と、中国の感性は近いのかも。となると昨今の日中間の関係は近親憎悪のような感覚なのかもしれないと思ったりもする。

 

おもてなしと言って勝ち取ったのが東京オリンピックだが、クルマでジャパンオリジナルなおもてなしを表すと、こういうクルマになるのだろう。中国人も日本のおもてなしは大好きだから、彼の地でもこのクルマはヒットするはず。春節で爆買された様々な日本の商品にも共通する、素晴らしいおもてなし系日本製品なのだから、これでもって日中友好に寄与してほしいものだ。

とまあ、試乗したグレードに関しては思うわけだが、もし個人的に買うなら一番下のXグレードあたりがいいかなと思う。サードシートを跳ね上げれば、高さ、幅が1mほど、奥行きが2mほどの荷室も作れるし、ガソリン車なら助手席シートのスーパーロングスライドも可能。いわゆるミニバン的な使い方ができるからだ。このあたりはエルグランドよりも使える仕様と言えそう。豪華さばかりに目が行くが、実際にはトヨタ伝統のコンベンショナルなミニバン作りに基づいて進化したクルマであることがよくわかり、好感が持てるところだ。

試乗車スペック
トヨタ アルファード(ハイブリッド) エグゼクティブ ラウンジ
(2.5L 直4+モーター・703万6691円)

●初年度登録:2015年1月 ●形式:DAA-AYH30W-PFXVB
●全長4915mm×全幅1850mm×全高1950mm
●ホイールベース:3000mm
●最低地上高:165mm
●最小回転半径:5.6m
●車重(車検証記載値):2220kg(1170+1050)
●乗車定員:7名

●エンジン型式:2AR-FXE
●排気量・エンジン種類:2493cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・横置
●ボア×ストローク:90.0×98.0mm ●圧縮比:12.5
●最高出力:112kW(152ps)/5700rpm ●最大トルク:206Nm (21.0kgm)/4400-4800rpm
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/65L

●モーター形式(フロント):2JM
●モーター種類:交流同期電動機(永久磁石式同期型モーター) ●定格電圧:-V
●最高出力:105kW(143ps)/-rpm
●最大トルク:270Nm(27.5kgm)/-rpm

●モーター形式(リア):2FM
●モーター種類:交流同期電動機(永久磁石式同期型モーター) ●定格電圧:-V
●最高出力:50kW(68ps)/-rpm
●最大トルク:139Nm(14.2kgm)/-rpm

●駆動用バッテリー種類:ニッケル水素電池
●トランスミッション:電気式無段変速機

●システム最大出力:145kW(197ps)/-rpm
●システム最大トルク:-Nm(-kgm)/-rpm
●JC08モード燃費:18.4km/L (エグゼクティブ ラウンジ)

●駆動方式:E-Four(後輪モーター駆動による電気式4WD)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション形式(後):ダブルウイッシュボーン+コイルスプリング
●タイヤ:225/60R17(Yokohama BluEarth E51)

●試乗車価格:-円 ※オプション:オプション塗装 3万2400円、おくだけ充電 1万2960円
●ボディカラー:ラグジュアリーホワイトパールクリスタルシャインガラスフレーク

●試乗距離:約200km ●試乗日:2015年3月
●車両協力:トヨタ自動車株式会社

 
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