新車試乗記 第548回 ホンダ インサイト G Honda Insight G

(1.3リッター直4+モーター・189万円)

アンダー200万円で
ハイブリッドをみんなのものへ!
大ヒット中のインサイトを洞察してみる!

日時: 2009年03月07日

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キャラクター&開発コンセプト

「みんなに乗ってほしい。189万円」


2月5日には東京・青山本社のほか、名古屋でも新車発表が行われた

2009年2月5日に発表、6日に発売された新型「インサイト」は、5人乗り・5ドアのハイブリッドカー。その特徴はなんといってもトヨタ・プリウスより40万円以上も安い189万円からという低価格だ。初代インサイト(1999~2006年)は、世界最高燃費を目指したオールアルミ製ボディの2人乗りだったが、2代目はあくまで量販を目指した「新時代コンパクトスタンダード」。広告のキャッチコピーは「みんなに乗ってほしい。189万円」だ。

1.3リッター直4エンジン+薄型モーターのハイブリッドシステムは、シビック・ハイブリッドの改良版。シャシーはエンジンコンパートメントや前後サスペンションをフィットから応用して、低コストを追求。フロア部分は燃料タンクやメインバッテリー等を後方に配したもので、ほぼ新設計となっている。10・15モード燃費はプリウス(30~35.5km/L)には及ばずも、シビックハイブリッド(26~31.0km/L)と同等の28~30km/Lだ。

グローバルで年間20万台を予定

生産は鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)で、3月からは欧州、4月からは北米でも発売される。販売目標は国内では月間5000台(年間6万台)、欧州では年間約3万台以上、北米では年間約10万台で、グローバルでは計20万台とされている。なお、現行プリウスの国内実績は2008年のデータで年間7万3110台、グローバルでは2007年のデータで年間約28万台だった。プリウスは2005年末から中国でも生産されており、さらに今年から国内でも新型の登場を控えて増産体制に入っている。


2007年の東京モーターショーに出展されたデザインコンセプト「CR-Z」

今回の新型インサイトは、またの名を「ホンダ・グリーン・マシーン 001」。で、いつの間にやら、シビックハイブリッドが「002」ということになっている。2010年にはスポーツタイプハイブリッドのコンセプトモデル「CR-Z」の市販バージョンが発売される予定だ。

ホンダ>プレスリリース>新型インサイトを発売 (2008年2月5日) http://www.honda.co.jp/news/2009/4090205-insight.html

価格帯&グレード展開

189万円、205万円、216万円の3グレード

ベースグレードの「G」(189万円)、HIDヘッドランプ等を装備する「L」(205万円)、パドルシフトや16インチアルミ&タイヤを装備する「LS」(221万円)と、16万円飛びの3グレード構成。オーディオ、ナビは全車オプションで、アルミホイールも下位2グレードには標準装備されない。売れ筋はやはり189万円の「G」だろう。

G    189万円  ★今週の試乗車
■L    205万円 ※HID、革巻ステアリングホイール、ドアミラーウィンカー等
■LS    221万円 ※(上にプラスして)7速パドルシフト、16インチアルミホイール等

パッケージング&スタイル

サイドビューは「FCXクラリティ」の小型版


車両協力:ホンダカーズ東海

ボディサイズは全長4390mm×全幅1695mm×全高1425mm、ホイールベースは2550mmだ。全長はプリウスより55mm短いだけだが、ホイールベースは150mmも短いなど、実はプリウスより少なからず小さい。

フロントのデザインは新型オデッセイやアコードと足並みを揃えたもの。伸びやかなリアオーバーハングが印象的なサイドビューは、燃料電池車「FCXクラリティ」をモチーフにしたものだ。Cd値(空気抵抗係数)はプリウス(0.26)、シビックハイブリッド(0.27)に及ばない0.28だが、プリウスより全幅が30mm狭く、全高も65mm低い上、グラスエリアの絞り込みも激しいので、前面投影面積はインサイトの方が明らかに小さい。絶対的な空気抵抗値(前面投影面積×Cd値)はほとんど互角と思われる。

初心(初代シビック)に戻ったボディサイズ

全幅を5ナンバー枠に収めた点は、4分の3近くを欧米で売ることを考えると異例の判断だ。開発スタッフによると、ホンダの海外拠点からは「そんなに幅が狭いなら、要らない」とまで言われたらしいが、それでも5ナンバー枠に収めたのは前面投影面積の問題のほかに、小さな初代シビックでもアメリカで立派に成功したあの時の原点に戻ろう、という思いがあったからだという。

初代インサイトや2代目CR-Xを思い出す

リアビューは緩やかに下がるリアウインドウと斜めにねじりながら絞り込んだCピラーを後方に伸ばしたところで、いきなり垂直に断ち切ったもの。これはまさしく初代インサイトと同じだ(見方によってはCR-Xだが)。垂直部分にガラスをはめ込み、後方視界を確保する手法は2代目プリウスと同じだが、これももともとはホンダの2代目「サイバー」CR-X(1987年)やインサイトで採用されたもの。バックミラー越しの景色に、昔を思い出すホンダ乗りは少なくないはず。

インパネはシビックハイブリッド似

回転計をステアリングのリム内に、デジタル速度計をリムの上に見せる配置のインパネ(マルチプレックスメーター)は、現行シビックやシビックハイブリッドと似たもの。

ステアリングのデザインも、そのシビックやフィットとほとんど同じに見える。シビック同様にチルトとテレスコが可能なのは、ドライビングポジションに加えて、メーター視認性を確保するためでもある。シートにはリフターも付く。

青より緑がエコ! メーター色でエコ運転度を伝える「コーチング機能」

デジタル速度計にはインサイトならではの仕掛けがある。それはグリーンからブルーへ変化するメーター色(アンビエントメーター)などでエコドライブ度を感覚的に伝える「コーチング機能」と呼ばれるものだ。アクセルをじわっと開けるエコドライブならメーター色はグリーン。エコドライブを意識せず、普通にアクセルを踏んでしまえばブルーグリーンになり、無頓着にグイッと踏み込むと濃いブルーに変化する。要するにグリーンのまま、ブルーにならないように走ればいいわけだ。

エコ運転度を教えてくれる「ティーチング機能」


こちらはメーカーオプションのインターナビで、「ティーチング機能」を表示したところ

試乗車のナビは8GBフラッシュメモリー式の販売店オプション品だったが、メーカーオプションのインターナビなら「エコドライブ度」の履歴を残したり、採点してもらえたりする「ティーチング機能」が付いてくる。さらにパソコンなどでインターナビ会員用のホームページにアクセスして、それらのデータを見ることができるほか、全国の会員と燃費ランキングを競うこともできる。

インターナビ・プレミアム・クラブ>エコアシスト ティーチング機能

育てるハイブリッド

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(photo)本田技研工業

とはいえ素の状態でも、メーター中央の液晶ディスプレイには、平均燃費(トリップメーターA・Bにそれぞれ連動)、瞬間燃費(バーグラフ式)、エネルギーフローなどを表示。走行後、イグニッションを切った時には、その日のエコドライブ度が葉っぱのマークで採点される(10点満点ならぬ10葉満点)。

 
insight-08ecoscore.jpg
(photo)本田技研工業

さらにその下には「その日までの成長度が分かる生涯成績」を別の葉っぱマークで表示。エコ運転を続けていると、葉っぱが成長して最後には花が咲くが、逆に反エコな運転だと葉っぱがしおれてしまう。インサイトは、育てるハイブリッドだ。

少なくともタクシーには使えない

新型インサイトで評価が分かれるのは、この後席だろう。最初に面食らうのが、リアドア開口部のヘッドクリアランスがタイトで乗り込む際に頭をぶつけそうになってしまうこと。身長165センチ程度でも、かなり意識して頭を屈めないとルーフに頭が当たってしまう。

中の広さも微妙だ。欧州車的にアップライトな着座姿勢はいいが、これは実はリアシート下に燃料タンクがあるから。結果としてやはりヘッドルームがタイトになり、正しい姿勢を取ると身長170センチでも頭がルーフにかすってしまう。低いルーフ(特に左右両端)や小さなサイドウィンドウからの圧迫感も今どきのクルマにはないレベルで、一昔前のシビック・3ドアみたい。ホンダらしいと言えばらしいが、開放感があるとは決して言えない。ライバル車であるプリウスはタクシー車両としても人気があるが、率直に言ってインサイトのタクシーはまずあり得ないだろう。そういう用途にはシビックハイブリッドがある、ということだ。

なお前席サイドエアバッグと合わせて、前・後席カーテンエアバッグは全車オプションとなる。プリウスも主力グレードはオプションだ。

ワゴン風に使える荷室はプリウス似

荷室はプリウスと似たような感じ。リアシートを畳めばステーションワゴンのような使い方が可能で、5ドアゆえに開口部も広い。面白いのは、フロアボードを起こしてグイと手前に引っ張るだけで、写真の状態よりフロアを一段下げられること。5人乗車時の最大荷室容量は、プリウスの460リッターに対して400リッターだ。

 

床には小さなリッドがあり、そこから床下収納(8リッター)にアクセスできる。荷物を積んでいない状態なら、ガバッとフロア全体を起こすことも可能で、床下には発泡スチロール製ボックスにパンク修理キットや工具が収まっている。

バッテリー&コントロールユニットを小型・軽量化

床下のボックスを取り外すと、銀色に輝く小箱が現れる。これが新開発のニッケル水素バッテリー(サンヨー製)と PCU(パワー・コントロール・ユニット)の一式である「IPU(インテリジェント・パワー・ユニット)」だ。シビックハイブリッドでリアシートとトランクの間にあったものだが、インサイトの新型IPUはユニット全体で19%小型化・28%軽量化されている。当然ながら現行プリウスのものより明らかに小さく、しかもリアサス(H型トーションビーム)スレスレの低い位置にある。

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