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レクサス IS250C “バージョン L”(3/3)新車試乗記(第561回)

Lexus IS250C “version L”

2009年06月19日

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ここがイイ

レクサスらしいエレガントさ。電動ルーフに込められた主張

レクサスらしいエレガントな表現と車両キャラクターがマッチしており、レクサスの中では最もまとまりの良さを感じるエクステリアデザイン。白の内装もありがちではあるが、これはこれで分かりやすくていいのでは。こういう遊び心のあるクルマをトヨタが出すことは評価すべき。

メタルトップは15個のモーターを使って、まったく油圧なしで動くため、静かで、外気温にも左右されず、細かい制御がしやすいという。たぶん元々は50km/hくらいまでなら動かせる設計にしたのだろう。走行中に動かないようにしたのは、会社上層部がビビッたのか、あるいは役所のからみか。それでもルーフの開閉操作をDレンジに入れたまま出来ることはすばらしい。ほんのちょっと動くことは出来るから(警告が出て作動はいったんストップしてしまうが)、途中で信号が赤になってしまった時も慌てずに済む。安全パイをとって「シフトレバー位置連動」、「ブレーキペダル連動」としなかった開発スタッフの主張が感じられる部分で、高く評価したい。空調もオープン用の制御が別に用意されている。

最小回転半径はコンパクトカー並みか、それ以下の5.1メートル。重くなったこともあって乗り心地はいいし、優雅な「お買い物グルマ」としてもおすすめ。

ここがダメ

クーペ時の後方視界

ダメというほどではないが、トランクリッド位置が高いため、後方視界があまり効かないのは小さな弱点。メタルトップのオープンカー、特にウエッジシェイプデザインのモデルで後方視界が効かないのは半ば仕方ないところではあるが、初めての人はびっくりするだろう。固定式のロールバーも視界の邪魔ではある。

総合評価

オープンカーと「クルマの記憶」

北米を中心に世界65カ国で月1600台を売るというIS-C。このほかに日本で100台。つまりクルマ不況の日本では、トヨタの中ではどうでもいいクルマの筆頭だ、と言ったら、豊田新社長に怒られるだろうか。実際のところ、今このクルマを買えるマインドを持つ「お金持ち」が年間1200人もいるとは思えない。いやこのクルマを買う人はお金持ちだと、先入観を持つことが間違っているのかも。ISだし、ハードトップだから実用車にもなり得る。500万円という価格も、ダウンサイジングと一世帯あたりの所有台数を削減する傾向の中では、ちょっとアッパーな庶民にも決して無理っぽくない数字だ。例えば今までクラウンとミニバンを所有していた50代の夫婦が、「クルマはもう小さいものが一台だけあればいいが、それなりの満足感と安心感、さらにはクルマの楽しさを備えるものが欲しい」なんて考えたときには、かなりいい選択肢となる。あとは「このご時世で新車を買うのはちょっと・・・・・・」というマインドの問題だけだ。

開発の担当者は記者発表で「日本では小さい子供のいる(オシャレな)カップルに乗ってもらいたい、こういう楽しいクルマに小さい頃から乗れば、子供はクルマ好きに育つはず、」という。実際にクルマで子育てをしてみて、子供がクルマ好きになるのと子供と一緒に乗ったクルマとの因果関係はあまりないと個人的には思うが、オープンカーという特別なクルマは、子供心に残ることは間違いないはず。特にすさまじい風にさらされる後部座席に座った開放感は、子供の心に何らかの記憶を刻みつけるだろう。その印象がいいか悪いかは微妙だが・・・・・・。とにもかくにも、そうした「クルマの記憶」を子供に与えることがとても重要、という点は同感だ。世のクルマ好きはたぶん、幼少時から家にあったクルマをすべてそらんじているはずだから。

クルマ好きがニヤリとするクルマを

他に開発者は「今年はエモーショナルでFUNなクルマを力を入れて出していきたい」とも。日本車が変わったと言われる1989年以降の10数年、確かにトヨタはそんなクルマを次々に打ち出していたものだ。奥田社長の時代、世の中はけして好況ではなかったと思うが、「こんな変なクルマをよくぞトヨタが作った」と思い当たるクルマが当時いくつも登場している。ある意味、今をときめくプリウスも、初代はそんなクルマの一台だったと言えるだろう。

しかしここ数年のトヨタ車に感じられる、ある種のつまらなさは、クルマ好きとして憂うところがやはり強い。試乗記を読み返してみても、ハイブリッド車以外でいいと思ったクルマは、この5年ほどの間ほとんどない。いわゆる無難なクルマのオンパレードだ。

トヨタではなくレクサスではあるが、IS250Cはその意味では意欲的にエモーショナルでFUNなクルマになっていると思う。しかも実用的だ。まあレクサスブランドである分、ちょっと価格は高めだから、なかなか庶民としては買う気になれないが、トヨタにはこの技術を横展開してクラウンコンバーチブルとか、ヴィッツカブリオとか、そんなFUNなクルマを作って欲しいもの。5月の販売では新型プリウスがカローラを抜いてしまったが、みんなが同じプリウスというのもどうにもつまらないから、プリウスカブリオなどはいかがだろうか? クルマ好きの豊田新社長のもと、クルマ好きがニヤリとするクルマをトヨタが作ることを、クルマ好きは期待している。それが景気にも作用すると信じたい。今、豊田新社長に寄せる期待はとてつもなく大きいのだ。

試乗車スペック
レクサス IS250C “バージョン L”
(2.5リッターV6・6AT・535万円)

●初年度登録:2009年4月●形式:DBA-GSE20-AKTLH(L) ●全長4635mm×全幅1795mm×全高1420mm ※18インチホイール装着の場合。標準は全高1415mm ●ホイールベース:2730mm ●最小回転半径:5.1m ●車重(車検証記載値):1730kg( 860+870 )●乗車定員:4名●エンジン型式:4GR-FSE ● 2499cc・V型6気筒・DOHC・4バルブ・縦置 ●ボア×ストローク:83.0×77.0mm ●圧縮比:12.0 ● 215ps(158kW)/ 6400rpm、26.5kgm (260Nm)/ 3800rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/65L ●10・15モード燃費:11.2km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:後輪駆動(FR) ●サスペンション形式:前 ダブルウイッシュボーン/後 マルチリンク ●タイヤ:前 225/40R18 /後 255/40R18(Bridgestone Turanza ER33) ※オプション ●試乗車価格:589万2850円( 含むオプション:225/40R18タイヤ&18×8インチアルミホイール+後 255/40R18タイヤ&18×8 1/2アルミホイール 6万6150円、プリクラッシュセーフティシステム+レーダークルーズコントロール 14万7000円、クリアランスソナー(ルーフ開閉制御機能付) 4万2000円、本木目+本革ステアリング&シフトノブ 4万9350円、アルミ製スポーツペダル 3150円、マークレビンソン プレミアムサラウンド サウンドシステム 23万5200円) ●試乗距離:約200km ●試乗日:2009年6月 ●車両協力:トヨタ自動車株式会社

 
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