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新車試乗記 第759回 ホンダ ジェイド ハイブリッド Honda Jade Hybrid

(1.5L 直4+モーター・7速DCT・272万円~)

ストリームの後継か
オデッセイの直系か
はたまたアヴァンシアの再来か。
都市型3列に試乗!

2015年05月22日

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キャラクター&開発コンセプト

3列シートの6人乗りワゴン


ホンダ ジェイド ハイブリッド X
(photo:Honda)

国内では2015年2月12日に発表、翌13日に発売された「ジェイド」は、新開発の「超高密度低床プラットフォーム」を採用した3列シート・6人乗り乗用車。セダンのような、ワゴンのような、ミニバンのような、といった多様な要素を備えるモデルで、開発コンセプトは「マルチ・サプライジング」。広告キャッチコピーでは、1500mmの低全高ゆえ都市部に多い機械式立体駐車場もOKということで、「都市発想」「都市型3列」を謳っている。

 

2代目ホンダ ストリーム(2006~14年)
(photo:Honda)

直接的には同じく3列シートだったストリーム(2014年に販売終了)の後継車だが、一方では、背高の両側スライドドア車になった現行の5代目オデッセイと異なり、低全高だった3代目/4代目オデッセイ(2003~13年)の雰囲気を引き継ぐモデルでもある。

プラットフォームは、フロント部分が海外向け現行シビックベースで、それより後ろは新開発。リアには新開発のダブルウイッシュボーンサスペンションが採用されている。日本市場を含めたグローバルカーとして開発されており、2013年から中国で生産と販売が始まっている。

■外部リンク
ホンダ>ニュース>2013年上海モーターショー

■参考記事
新車試乗記>ホンダ ストリーム (2006年8月掲載)

 

日本向けはハイブリッド車でスタート


超高密度低床プラットフォームを採用。パワートレインはよりコンパクトに、全高やフロアはより低くされた
(photo:Honda)

中国向けは1.8Lの純ガソリン車だが、日本向けはヴェゼル ハイブリッドと同じ1.5L直噴エンジン+7速DCT+モーターの「スポーツハイブリッド i-DCD」を搭載したハイブリッド車のみでスタートした。

ただし、燃料タンクはフィット/ヴェゼル ハイブリッドのような前席下(センタータンクレイアウト)ではなく、リアに搭載。逆に駆動用リチウムイオンバッテリーは荷室ではなく、プリウスαの3列シート車のように運転席と助手席の間(センターコンソール)に搭載する。ホンダのハイブリッド車で駆動用バッテリーをここに積むのは今回が初。JC08モード燃費は24.2~25.0km/Lを達成している。

 

2列目を前方に寄せた状態。後ろにスライドさせると左右席のアームレストがくっつく
(photo:Honda)

また、全高がセダン並みの1530mmしかないのに3列シート車であるのも特徴で、さらに2列目は後輪ホイールハウスを避けるように斜めに前後スライドする「Vスライドキャプテンシート」になっている。

■外部リンク
ホンダ>ニュース>「ジェイド」を発売(2015年2月12日)

 

1.5L直噴ターボの「ジェイド RS」を追加


ホンダ ジェイド RS
(photo:Honda)

ハイブリッド車の発売から約3ヶ月後の5月21日には、純ガソリン車の「ジェイド RS」が追加された。エンジンとトランスミッションは、新型ステップワゴンと同じ直噴1.5L ターボ(150ps、203Nm)とCVT(無段変速機)。こちらはJC08モード燃費18.0km/Lを達成している。

RSでは専用の内外装を採用したほか、シャシーも強化。ハイブリッド車に対してフロントの剛性を15%、リアの剛性を20%アップしたサスペンション、専用セッティングのスプリング&ダンパー、ブレーキ制御を利用した「アジャイルハンドリングアシスト」を採用したほか、アンダーフロアパネルにトンネルブレーズを追加し、フロア回りの剛性アップも図っている。

■外部リンク
ホンダ>ニュース>「ジェイドRS」を追加(2015年5月21日)

 

月販目標は3000台


ホンダ ジェイド (1991年)
(photo:Honda)

国内向けの生産は埼玉製作所・狭山工場で、販売目標はRSも含めて月間3000台。

ちなみにJadeとは翡翠(ヒスイ)のことだが、かつてホンダの2輪車には同名の250cc 4気筒ネイキッドモデルがあった。2輪好きにはちょっぴり懐かしい響き。

■外部リンク
ホンダ>2輪製品アーカイブ>JADE

 

価格帯&グレード展開

ハイブリッドが272万円~。ターボが253万円


標準グレードの「ハイブリッド」。16インチのスチールホイール+205/60R16タイヤを履く。写真はハイブリッド専用色のプレミアムブルーオパール・メタリック
(photo:Honda)

前述の通り、日本向けはハイブリッド車とターボ車の2本立てになり、全て6人乗り。駆動方式はいずれもFFになる。

ハイブリッドは2グレード構成。16インチスチールホイールを履く標準グレードの「ハイブリッド」が272万円。先進安全装備の「Honda SENSING」、17インチアルミホイール(ノイズリデューシング=消音装置付き)&タイヤを標準装備した上級グレードの「ハイブリッド X」が292万円。

 

Xに標準のノイズリデューシングアルミホイール
(photo:Honda)

ターボ車の「RS」は、専用内外装の他、17インチアルミホイール(Xと同じノイズリデューシング付)、専用サスペンション等を標準装備して253万円。ただし、Honda SENSINGは標準グレードやRSでも約11万円でオプション装着できる。

 

右上はACCの作動表示。標識認識はかなり精度が高く、交差点を曲がったりすると消えて、再び標識があると数秒後に表示される
(photo:Honda)

ちなみにHonda SENSINGは、ミリ波レーダーと単眼カメラを装備し、衝突軽減ブレーキ(CMBS)、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)、LKAS(車線維持支援システム)、先行車発進お知らせ機能、道路標識の認識機能(速度制限、侵入禁止など)などをセットにした高度なもの。ジェイドを買うなら、ぜひ装着したい。

インターナビは全車オプション。メーカーOPなら「レーンウオッチ」付


左にウインカーを出した時に作動する「レーンウォッチ」用のカメラ
(photo:Honda)

ナビは全車オプションで、中でもメーカーオプションのHonda インターナビ(23万7600円)には、国内向けホンダ車では初の妖怪ウオッチ、じゃなくて「LaneWatch(レーンウオッチ)」がセットで備わる。これは助手席ドアミラー下部のカメラで、ウインカー操作時などに左後方の映像をナビ用ディスプレイに映し出すもの。後述するが、車線変更する時などは感動的に便利。

 

「レーンウォッチ」作動時。ウインカーを出している間に加えて、ウインカーレバー先端のボタンを押しても表示できる

他にハイブリッドXとRSでは、オプションで本革シート+前席パワーシート&シートヒーターも装着できる。

ボディカラーは全8色(プレミアムブルーオパール・メタリックはハイブリッド車のみ、コバルトブルー・パールはRSのみ)。マンダリンゴールド・メタリック(ブラウン)という個性的な色もあるが、車名の由来となったジェイド(翡翠)色はない。

 

パッケージング&スタイル

スカイデッキ、オデッセイ、アヴァンシアが生きている


試乗車はハイブリッドX。フロントデザインはホンダ車共通の「ソリッド・ウイング・フェース」

外観デザインは3列シート車に見えないもので、新種のステーションワゴン風。実はすっかり忘れていたが、今から6年前の東京モーターショー2009には、ジェイドの予告となるコンセプトモデル「スカイデッキ」が展示されていた。方向性はこの頃すでに決まっていたことが分かる。

 

東京モーターショー2009に出展されたホンダのコンセプトモデル「スカイデッキ」

さらには前述の通り、3代目と4代目オデッセイの面影もジェイドには見て取れるし、もっと遡れば、「4ドアクラブデッキ」と称した上級5人乗りワゴン、アヴァンシア(1999~2003年)のコンセプトも生きている。これも一種のホンダDNAだろう。

 

ホンダ アヴァンシア (1999~2003年)
(photo:Honda)

3代目ホンダ オデッセイ アブソルート (2003~2008)
(photo:Honda)
 

ウエストラインの低さに注目

独特なのは、ウエストライン(ベルトライン)が最近のクルマでは異例と言えるほど低いこと。これは当然、ドライバーからの視界の良さに貢献しているし、グラスエリアの大きい特徴的な外観も形作っている。

しかし一方ではスポーティさも出すため、前後フェンダーを微妙に盛り上げながら、ルーフを後方でスラントさせて、伸びやかなウエッジシェイプ形状を実現している。同様のコンセプトを狙ったトヨタのマーク X ジオスバル エクシーガあたりを思うと、かなりスポーティにまとまっている。

 

ホンダの新ジャンルワゴンと言えば、ホンダ アコード エアロデッキ(1985~89年)

エアロデッキ同様、リアゲートはルーフまで食い込んでいて、3列目頭上の天窓ガラスごと開く
 

各寸法はアヴァンシアに激似

ボディサイズは全長4650mm×全幅1775mm×全高1530mmで、特に「セダン並みの低全高」が特徴。なにしろ全高はシャークフィン型アンテナを除くと実質1500mmしかない。外寸に関しては、そこがプリウスαとの最大の違いでもある。

ちなみにアヴァンシアの全高もちょうど1500mmで(4WD車は1545mm)、ホイールベースはジェイドと5mmしか違わない。

 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転半径(m)
初代ホンダ ストリーム (2000~06) 4550 1695 1590~1605 2720
2代目ホンダ ストリーム (2006~14) 4570 1695 1545~1570 2740
トヨタ プリウス α (2011~) 4615~4645 1775 1575~1600 2780 5.5~5.8
ホンダ ジェイド (2015~) 4650 1775 1530 2760 5.5
ホンダ アヴァンシア(1999~2003) 4700~4795 1790~1810 1500~1545 2765 5.6~5.7
3代目ホンダ オデッセイ(2003~08) 4765~4770 1800 1550~1570 2830 5.4
4代目ホンダ オデッセイ(2008~13) 4800 1800 1545~1565 2830 5.4
5代目ホンダ オデッセイ(2013~) 4830 1800~1820 1685~1715 2900 5.4
 

インテリア&ラゲッジスペース

アウトホイールメーターを採用


インパネの中央にはインターナビ用のディスプレイを配置。かつてのプログレッシブコマンダーはなく、タッチパネルで操作する

運転席からの眺めは、横方向に広がるインパネに加えて、大きな3角窓やドア付けサイドミラーによる視界の広さが印象的。

ダッシュボード上の薄型メーターパネルは、最新のホンダ車に多いタイプで、ステアリングリムの上から見る、いわゆるアウトホイールメーター方式。一方、ステアリングリム内には加飾パネルがあるだけで、「せっかくの一等地なのにもったいないなぁ」と思うのは、新型ステップワゴンと同じだ。

ただ、この加飾パネルは、上級グレードのXでは木目調になり(アイボリー内装では明るいユーカリウッド調、ブラック内装では黒基調のジオメトリック木目調)、触ると木の地肌のように凸凹している。これは凸凹をつけた水圧転写フィルムを使うことで実現した新技術とのこと。

スペシャリティカーみたいな1列目


上級グレード「X」のシートサイド部には、ホンダ車で最近多いレザー調素材「プライムスムース」を採用。座面や背もたれのファブリックは、スポーツウェアのような通気性のある素材

駆動用のリチウムイオン電池をセンターコンソール内に搭載する方法は、トヨタ車ではプリウスα(7人乗り)やエスティマハイブリッドなどでお馴染みだが、ホンダのハイブリッド車では初。これの主な目的は、3列目シートのフットルームや格納スペースを確保するため。おかげで、センターコンソールはS2000もかくやというほど大きくて高い(RSでは少し低い形状のセンターコンソールに変更される)。

前席のヒップポイントは現行アコード並みに低く、横にはセンターコンソールがあるから、乗車感覚はスペシャリティカー的でもあり、「低さ命」だった1980年代のホンダ車的でもある。

 

2列目はV字スライド。3列目は+2


斜め後方に大きくスライドする2列目の「Vスライドキャプテンシート」。アームレストは取り外すこともできる

2列目のキャプテンシートは、170mmの前後スライドが可能。この種のロングスライド機能は、後輪ホイールハウスとの干渉を避けるため、横スライドと縦スライドを組み合わせる方法が一般的だが、ジェイドでは「Vスライドキャプテンシート」と名乗るように、スライドレールが斜めになっていて、後ろにスライドさせると内側に寄る仕掛けになっている。ただし、最後端にすると、ドアアームレストが遠くなるし、隣の人との距離も近くなるから、中間位置くらいがベストかも。いずれにしてもこのクルマは4名乗車までで乗るのが良い。

 

写真は2列目をタンブルした状態で撮影している。空間よりもクッションの薄さが気になるところ

3列目は、基本的には+2(プラスツー)。大人でも座れるが、クッションが薄く、乗り降りもしにくいので、ここにはあんまり座りたくないなぁ、というのが正直なところ。

それでも外観から想像するほど、中は狭くない。燃料タンクは従来ホンダ車以上の超薄型だし、マフラーも従来品より約30%薄型化。リアサスは低床化に有利なダブルウィッシュボーンで、しかもアッパーアームを湾曲させて3列目の足元空間を稼いでいる。頭上には「天窓」もある。

 

2列目をタンブル格納した状態。フィットのチップアップ状態に近い積載スペースが得られる

3列目の頭上にはリアゲートと一体になった天窓がある。この方がヘッドルームも稼げる
 

多彩すぎる?シートアレンジ


3列目シートを格納すれば、ステーションワゴン的な眺め

荷室の基本形は、3列目を格納した状態だろう。3列目は日常的には使えないし、3列目を起こした状態では、荷室が狭すぎるからだ。

2列目の背もたれを倒せば長物も積めるし、必要なら2列目を前方にタンブル格納もできる。こうすると前輪を外したスポーツ自転車の2台縦積みも可能。とはいえ、上質感が売りのクルマとしてはちょっと凝り過ぎ、盛り込み過ぎ、という風にも思える。

 

3列目使用時の荷室。奥行きはないが、それなりに深さはある

3列目を格納し、2列目をタンブルした状態。慣れれば操作は難しくない
 
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