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ジャガー Fタイプ コンバーチブル新車試乗記(第726回)

Jaguar F-Type Convertible

(3.0L V6 SC・8速AT・977万円)

V6スーパーチャージドで武装。
21世紀ジャガーは
快感発生マシンだった!

2014年04月18日

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キャラクター&開発コンセプト

EタイプのDNAを受け継ぐ2シータースポーツ

「Fタイプ」は、ジャガーの歴史的名車である「Eタイプ」(1961~75年)のDNAを受け継ぎ、約50年ぶりに開発された2シータースポーツカー。2012年9月のパリモーターショーで世界初公開され、日本では2013年5月に発売された。

ボディタイプには、電動ソフトトップのコンバーチブルと、遅れて2013年秋に発表(日本では2014年夏からデリバリー開始)されたクーペの2種類。ボディ骨格は、ジャガーが得意とするオールアルミ合金製モノコックで、搭載されるエンジンは3リッターV6 スーパーチャージャー(340ps、45.9kgm、もしくは380ps、46.9kgm)と5リッターV8 スーパーチャージャー(495ps、63.7kgm、もしくは550ps、69.3kgm)の2種類。トランスミッションは全車、ZF製のトルコン8速ATで、駆動方式はもちろん後輪駆動(FR)になる。

 

価格帯&グレード展開

オープンは977万円~、クーペは823万円~

2013年5月の発売以降も、V6スーパーチャージドの高性能版(380ps)やクーペが加わり、2014年4月現在は、以下の計7モデルをラインナップする。

単純計算すると、コンバーチブルはクーペの154万円高。また、V6とV8の価格差はおおよそ300万~450万円もあり、その間をV6の高性能版が埋める感じになる。

また、高級スポーツカーのお約束通り、オプションも豊富。上位グレードではカーボンセラミックブレーキなど、オプションだけで軽く300万円を超える仕様もあり得る。

 

【コンバーチブル】
■F-Type コンバーチブル    977万円
3リッターV6 SC(340ps、45.9kgm)  
■F-Type S コンバーチブル   1183万円
3リッターV6 SC(380ps、46.9kgm)  
■F-Type V8 S コンバーチブル  1286万円
5リッターV8 SC(495ps、63.7kgm) 

 

日本では2014年夏からデリバリーが始まるFタイプ クーペ
(東京モーターショー 2014)

【クーペ】(2014年夏にデリバリー開始)
■F-Type クーペ     823万円
3リッターV6 SC(340ps、45.9kgm)  
■F-Type S クーペ    1029万円
3リッターV6 SC(380ps、46.9kgm)  
■F-Type R クーペ    1286万円
5リッターV8 SC(550ps、69.3kgm)  

 

パッケージング&スタイル

小さく見えるが、超ワイド


ボディはジャガー自慢のオールアルミ製モノコック

第一印象は、とりあえず「カッコいい」だ。往年のEタイプをモチーフにしたロングノーズ、ショートデッキの流麗なスタイリングは、FRスポーツの王道を行くもの。また、フロントの丸っこいラジエイター開口部も、何となくEタイプっぽい。

リアは、切り詰めたオーバーハング、ディフューザー形状のバンパー、V6モデルではセンターデュアルマフラー、太ももの筋肉のように盛り上がったリアフェンダーで構成され、イタリア車にも通じる華やかさを感じさせる。ロー&ワイドなのはもちろん、全体に小さくコンパクトに見えるのが特徴だ。

 

実際に外寸をチェックすると、全長の4470mmは短いが、全幅は1925mmと思った以上にワイドで、実にジャガーの旗艦スポーツ、XKRよりも幅広い。ただし最小回転半径は5.2メートルとコンパクトカー並みに収まっている。

 

リアスポイラーは100km/h以上で上昇。最大120kgのダウンフォースを発生させる

ロングノーズ、ショートデッキ、盛り上がったリアフェンダー、切れ上がったテールはEタイプ譲り

キャンバス製の電動トップは、走行中(50km/h以下)でも約12秒で開閉できる
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転半径(m)
ジャガー Eタイプ シリーズI (1961) 4450 1660 1220 2440
ポルシェ ボクスター <981型> (2012~) 4375 1800 1280 2475
ジャガー Fタイプ コンバーチブル (2013~) 4470 1925 1310 2620 5.2
ポルシェ 911シリーズ <991型>(2012~) 4500 1810~1880 1295~1305 2450
フェラーリ カリフォリニア(2009~) 4575 1910 1325 2670
ジャガー 2代目XK シリーズ(2006~) 4790 1895~1915 1320~1330 2750 5.3
 

インテリア&ラゲッジスペース

インパネはシンプルさを追求


8インチタッチスクリーンを持つナビは標準装備

内装デザインもEタイプの現代版たるべく、FRスポーツカーの王道を行くシンプルなもの。ドライバーの眼前に配した二眼メーターやD型ステアリングも、デザイン自体はごくシンプル。シフトレバーもジャガーお得意のロータリー型ではなく、一般的なスティック型になっている。シンプルさの追求は、より多くの風量が必要になると、ダッシュボード上面からせり上がってくる空調吹き出し口の設計に表れている。

荷室容量は196リッター、クーペなら407リッター


電動シートは標準装備。乗降性は悪くないが、ドアが長い(先端が張り出している)ことに注意

それから、Fタイプで面白いのは、ドアのアウターハンドルの仕組み。リモコンキーでアンロックするとカシャッとノブが飛び出し、ロックするとカシャッと引っ込むタイプで、走り出した時も自動的にカシャッと引っ込む。空力性能に優れる、というのが売り。

コンバーチブルの場合、購入にあたって割り切りが必要なのは、積載性だ。室内には、助手席を除いて、ほとんど手荷物の置き場がないし、トランク容量も196リッターに留まる。ちなみにボクスターのリアトランクは130リッター(フロントは150リッター)、マツダ ロードスターNC型は150リッター。ゴルフバッグは、一つならギリギリ載るかも、というレベル。なお、リアゲートを持つクーペなら、約2倍の407リッターになる。

 

アンロック状態のドアハンドル。試乗車はオプションのスマートキー付で、リクエストスイッチがある

電動シートの操作スイッチはメルセデスのようにドアトリムに配置

試乗車はフラットボトム形状のスポーツステアリング(パドルシフト付)を装備
 

コンバーチブルのトランク容量は196リッター。黒いのはパンク修理キットと取扱説明書

前後重量配分を適正化するため、トランク床下にバッテリーと、なんとウインドウォッシャータンクも配置

センターコンソールにはCDスロットやUSB端子等も装備
 

基本性能&ドライブフィール

エンジン始動で咆える!

試乗したのはV6 スーパーチャージド。走行中(50km/h以下)でも12秒で開閉できるソフトトップを開け放ち、始動ボタンを押すと、タコメーターの針がレッドまで振り切れ、「バウォォォン!」とエンジンが咆える。もちろん、エンジン回転が本当に振り切れてるわけではなく、演出として針がスイープしているだけだが、深夜や早朝のお出かけでは、近所にちょっと気を使いそう。

ゆっくり走っている間も、ジャガー製V6スーパーチャージド・エンジンは、ウウウウと不敵に唸っているが、運転操作に特別難しいことは何もない。街中では、ZF製の8速AT(8HP)によって滑らかに、従順に走ってくれる。そして赤信号で止まれば、アイドリングストップ。今やポルシェやフェラーリですら、アイドリングストップするのだから驚くべきことではないが。

 

シフトレバーは通常のスティックタイプ。ESPオフスイッチの右側にアクティブ スポーツ エグゾーストのONスイッチがある

横幅が1925mmもあるので、狭い道では気を使うが、最小回転半径も5.2メートルしかなく(フィット RSと同じだ)、全長が短いので、取り回しは意外にいい。一つ困るのは、フロントオーバーハングが長いせいか、フロントバンパーの下にあるスポイラー(黒の樹脂)がスロープや段差で簡単に擦ること。ここは消耗品?と思って諦めるしかない。

スイッチONで、F1風サウンド

もちろんFタイプは、カッコよくて乗りやすいだけのスポーツカーではない。アクセルペダルを軽く踏み込めば、パワートレインは即座に反応し、エンジンサウンドが迫力を増す。そのまま右足を踏み込めば、「クォォォン」という快音を響かせながら一気に6000回転オーバーまで吹け上がり、鋭く加速。こうなるともうアクセルを踏み込みたい、という誘惑に抗えない。さすがジャガー、これは確かに獰猛。

しかもセンターコンソールにある「アクティブ スポーツ エグゾーストシステム」のスイッチをオンにすると、バイパスバルブが開き、エンジンサウンドの音量が上がるだけでなく、重低音に変化する。車外ではそんなでもないが、キャビンの中には爆音に近い快音が朗々と響き渡り、アクセルオフでは「バ、バ、バ、バッ!」とアフターバーンの音が炸裂する。まるで、F1の2.4リッターV8のサウンドを生で聞いているみたい。というわけで、Fタイプは音だけでも、けっこう舞い上がってしまう。

パワーは十分。ただし車重は重い


V6標準車はセンター出しマフラー。同モデルの場合、アクティブスポーツエグゾーストシステムは37万円のオプション

V6スーパーチャージドの最高出力は340ps、最大トルクは45.9kgm。一昔前なら途方もないパワーで、数字的には現行の911カレラ(3.4リッター自然吸気)の350ps、39.8kgmに匹敵する。ただ、一方で車重は1730kgもあり、911カレラ カブリオレより約250kg、同じオープン2シーターのボクスターより実に約300kgも重い。Fタイプはオールアルミ製ボディだが(911やボクスターは基本的にスチール)、それが体感できるほど実際の「軽さ」に結びついていない感はある。

また、ZFの8速「クイックシフト」ATは、滑らかさよりダイレクト感を重視したもの。何となくレクサス IS-Fや現行IS350の8速AT(アイシンAW製)に似ていて、ロックアップを効かせてリニアにパワーを伝達し、シャキシャキと変速するが、その度合いはよく出来たDCTほどではなく、時にタイムラグが、時にはガツッとシフトショックがある。

高速オープン走行は、まさに非日常


標準タイヤは18インチ(245/45ZR18、275/40ZR18)だが、試乗車はオプションの19インチ(245/40ZR19、後 275/35ZR19)で、銘柄はピレリ Pゼロ。さらに20インチ(255/35ZR20、295/30ZR20)も選べる

ワインディングや高速道路も走ってみたが、これくらいの高性能車になると、一般道で出来るのは味見程度。ボディの剛性感は、オープンボディとは思えないほど高く、大きな入力があっても全くビクともしない。

V6標準モデルのダンパーは非可変式だが(上級モデルは電子制御ダンパー付)、前後ダブルウイッシュボーンの足回り(アーム類は鍛造アルミ製)は異様にガッシリしていて、コーナリング中でもタイヤが常に「正しく」設置しているのが手に取るように分かる。車重が重くなってしまったのは、このシャシーを手に入れるためだったのかと思える。

ちなみに前後重量配分は、試乗車の場合、53:47(920kg+810kg)。トランスアクスルではないFR車としてはバランスがよく、実際コントロールもしやすい。

 

高速道路ではオープンでも走ってみた。フロントウインドウが短く、ウインドウディフレクター類がないので、風の巻き込み(頭の後ろから吹いてくる)は現代のオープンスポーツとしては強く、少なくともアウディTTロードスターやボクスターよりビュービュー来る。とはいえ、耐えられないほどではないし、ガシッとしたボディから来る安心感は高い。F1風サウンドと風切り音にさらされるオープン走行は、まさに非日常という感じ。

ちなみに最高速と0-100km/h加速(UK仕様)は、コンバーチブルの標準車が260km/hと5.3秒、高性能版のS(380ps)が275km/hと4.9秒、V8モデルが300km/hと4.3秒。

ちなみに、669万円のボクスター(PDK)は262km/hと5.5秒、1434万円の911カレラカブリオレは284km/hで4.6秒、2360万円もする911ターボカブリオレは315km/hと3.3秒。

試乗燃費は7.5~8.2km/L。JC08モード燃費は9.8km/L


指定燃料はもちろんプレミアムで、タンク容量は70リッター。満タンで1万円(お釣りなし)は仕方ないところ

今回はトータルで約250kmを試乗。試乗燃費(車載燃費計)は、いつもの一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約90km)で7.5km/L。また、一般道を大人しく走った区間(約30km)が8.2km/Lだった。JC08モード燃費は9.8km/L。総じて、エンジンを歌わせる走りだと5~7km/L台だが、郊外の一般道や高速道路をのんびり流すだけなら8~9km/L台、という印象だった。

なお、他グレードのJC08モード燃費は、V6・380ps仕様が10.6km/L(なぜか340ps仕様よりいい)、V8モデルは8.1km/L。

 

ここがイイ

剛性感の高いシャシー。エンジンサウンド。素早く開閉できる電動ルーフ

オープンボディであることを感じさせない、ものすごく剛性感のあるボディ。足回りもよく、前後とも接地感は抜群にある。

演出たっぷりのサウンドは、確かに快音。フェラーリ要らず。かなりアドレナリンが出る。

走行中でも50km/hまで、12秒で開閉可能な電動オープン。このあたりはポルシェのボクスターや911 カブリオレにほぼ並んだ。また、オープン時の開放感も高い。若干、風の巻き込みは多めだが、それもオープンらしさの証。

ここがダメ

両極端な面があるエンジン。アルミにしては重い車重。コンバーチブルの積載性

V6スーパーチャージドは、ゆっくりエコでも走れるが、そうするとトルク感がなく、面白みがなくなる。かと言って、回すとかなり激しくなる。中間がなく、ちょっと両極端な印象。飛ばすとエンジンが刺激的で、心拍数がけっこう上がるのは「ここがイイ」に入れるべきか。あと、エンジン始動時のバオンは、気になる時もある。静かに始動できるモードも欲しい。

8速ATは、減速時に燃料噴射をセーブするため、律儀にシフトダウンするが、その際に少し滑らかさを損なうことがある。また、全開加速時のシフトアップでガツンと来るのはスポーティと言えばスポーティだが、DCTがショックレスでシフトアップするのと比べてしまうと、どうかなという感じ。また、マニュアル操作でのシフトダウン時には、ブリッパーで回転合わせするが、その際に回転を上げすぎて、スムーズに回転がつながらないことがある。もう少しミッションの制御は詰める余地がある印象。

本文でも触れたように、軽快なスタイリングやイメージに対して、1730kgという車重はやはり重い。オールアルミボディでもあるし、ピュアスポーツ(とジャガーは言っていないが)を謳うならば、もう少し軽さが欲しい。

コンバーチブルの場合、積載性が低い。ボクスターのリアトランクは130リッターだが、浅くて広く、開口部も広く、フロントにはもうひとつ150リッターのトランクがある。ただ、クーペであれば、ケイマンより積める。

これも本文で触れたが、フロントスポイラーはかなり擦りやすい。多少擦ってもいいやと割りきって乗ることになると思うが、擦りにくいのに越したことはない。

総合評価

Fタイプを買える人

ジャガー Fタイプ、欲しいよなあ、と思う。V6でも1000万円のスポーツカー、しかもオープン。これに乗れる人ってどんな人なんだろう、と庶民感覚ではあらためて思う。資本金一億円以上の会社の役員における平均年収は1150万円というデータがある。給与所得者は大企業でも意外につつましい。このクラスではちょっと買えないか。でも自営業者なんて人は、儲かれば青天井に金ができるので、Fタイプでも「一番高いV8を持ってこい」ということになるはず。もちろん、こういう人はなんだって買えるだろう。

ちなみに平成24年日本人全体の給与所得者4555万人のうち、年収が1000万円から1500万円の人は129万人、1500万円から2000万円の人は26万人、2000万円を超える人は16万人いる。つまり1000万円以上の人は、全体のわずか3.9%だ。とはいえ、これが夫婦共稼ぎでとなると、倍増まではいかなくても相当プラスされるだろう。それは結構な人数だと思う。自営業者と合わせれば数百万人の人たちは、まあこの1000万円しないFタイプのV6なら十分買えそうだ。

 

あとは遺産相続か? 日本の60代以上が持つ金融資産は840兆円という巨額で、個人金融資産の60%にも達するという。となれば相続税を払わなくてはならないくらいの額を、子や孫が相続した場合、Fタイプくらいなら買ってもよさそうだ。そういう人はかなりいるし、遺産を消費することで日本経済は活性化する(あまりそういうことが多いと国債を支えきれず破綻するという話もあるが)。まあそれらに該当しない庶民的には宝クジかな。テレビCMでやってるように、6億円当たったら、Fタイプでもフェラーリでも買えるだろう。

などと考えると、案外、Fタイプを買えそうな人は日本中にいるものだ。そこで買う人の気持ちになって想像をたくましくしてみよう。Fタイプでも、V6コンバーチブルだったらポルシェ ボクスターがやっぱりライバル。ボクスターは一見安いが、オプションをつけていくと、すぐに1000万円になってしまう。という点で価格的にはいい勝負。では並べて置いてみた場合、どうか。これはエキゾチックな分、Fタイプに分がありそう。華はボクスターよりFタイプにある。ただ、積載性はボクスターに分があるから、ゴルフや旅行などによく行く人ならそちらを選ぶことになる。しかし、2シーターオープンを持ってる人は、他にもクルマがあると思うので、そう悩む必要などないだろう。実際にふだん2シーターオープンに乗ってみると、手荷物をいちいちトランクに入れなくてはならないのが面倒。これはFタイプでもボクスターでも、しょせん同じことだ。

オープンの快感はオープンモデル以外では楽しめない

走りはピュアスポーツとして考えると、より軽量でミッドシップのボクスターに分があるように見えるが、サーキットで競い合いなどせず、公道で楽しむ限りは、共に不満などあろうはずはない。Fタイプの V6モデルの場合は、本文でも書いたとおり、低回転域のトルクがもうちょっと欲しくなってしまうのだが、これはやはり上級グレードに圧倒的なV8モデルがある以上、差別化としては致し方ないところか。絶対的な性能を求めるだけでなく、街中をトロトロ走るのであれば、V8の方がかえってふさわしいと思われる。しかし逆に言えば、V6はガンガン飛ばして楽しいモデルだ。凄まじいというほどのパワーではないので、エンジンを回すことが楽しめる。まあ、そこは免許証との折り合いをつけてもらわないといけない領域になってはしまうが。V6は飛ばして(エンジンを回して)楽しいモデルである。そこが重要。そして燃費だって性能の割にはいいほうだ。

Fタイプの場合、スタイリング的にはクーペに、より魅力があるように思われる。特にあの個性的なリアスタイルにはグッと来るし、いわゆるハッチバックだから実用性も高く、価格も150万円ほど安い。しかし、やはりコンバーチブルは屋根を開け放った時の非日常感が、クローズドタイプの倍なんてものではなく、それこそ何倍もの快感を得られる。走行性能はいろんなクルマで楽しめる類のものだが、オープンの快感はオープンモデル以外では楽しめない。しかも昔のオープンカーは、オープン走行のために大変な労力を要したものだが、今ならボタン一つの全自動で10秒ほどもあればいい。この素早さや簡単さを獲得したのは、ここ数年の話。ボクスターだって2011年まで販売していた先代モデルまで、ロックは手動だったのだ。これは昨今の大きな進化だろう。また、特にFタイプはスクリーンの上端がかなり前方にあって頭上に迫っておらず、開放感が高い。ここは素晴らしいメリットだ。やはりコンバーチブルの方がクーペより購入後の満足感は高いと思われる。

 

ということで、Fタイプ、年収1000万円超の人には、おすすめできるクルマだ。それでも一つ難があるとすれば、日常的に乗り回すにはちょっとつらいことか。いや、クルマとしては別に乗り回せるのだが、営業活動や冠婚葬祭には、さすがにちょっと乗って行きづらい。またオープンモデルは乗ってる人や室内が丸見えなので、クローズドモデルよりちょっと気を使う必要もある。あと花粉症の人もダメか。よく、日本ではオープンにする機会が少ないなどという人がいるが、屋根を低速で走行中に10秒前後で開閉できるタイプであれば、日本でもオールシーズン楽しめることは保証しておきたい。これから夏の昼間はやや厳しいが、夜、山中で止めて満天の星を眺められるのはオープンだけの特権なのだから。Fタイプはステイタスのためではなく、純粋に人生の楽しみとして乗るクルマだ。そこをいいと思ったら、どうぞ、すぐディーラーへ足をお運びいただきたい。あ、年収1000万円でなくても試乗はダイジョウブですから。

 

試乗車スペック
ジャガー Fタイプ コンバーチブル
(3.0L V6 SC・8速AT・977万円)

●初年度登録:2013年6月 ●形式:CBA-J608A ●全長4470mm×全幅1925mm×全高1310mm ●ホイールベース:2620mm ●最小回転半径:5.2m ●車重(車検証記載値):1730kg(920+810) ●乗車定員:2名

●エンジン型式:306PS ●排気量・エンジン種類:2994cc・V型6気筒DOHC・4バルブ・スーパーチャージャー・縦置 ●ボア×ストローク:84.5×89.0mm ●圧縮比:- ●最高出力:250kW(340ps)/6500rpm ●最大トルク:450Nm (45.9kgm)/3500rpm ●カムシャフト駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/70L ●JC08モード燃費:9.8km/L

●駆動方式:FR(後輪駆動) ●サスペンション形式:前 ダブルウイッシュボーン+コイルスプリング/後 ダブルウイッシュボーン+コイルスプリング ●タイヤ:前 245/40ZR19、後 275/35ZR19(Pirelli P-Zero)※標準は245/45ZR18、275/40ZR18

●試乗車価格(概算):-円 ※オプション:19インチ Propeller アロイホイール&タイヤ 20万4000円、アクティブスポーツエグゾーストシステム 37万円、Meridian 380W サウンドシステム 10スピーカー 17万円など、計約160万円 ●ボディカラー:サルサレッド ●試乗距離:約250km

●試乗日:2014年4月 ●車両協力:ジャガー名古屋中央(株式会社渡辺自動車)

 
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