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ジャガー XJ 3.0 エグゼクティブ新車試乗記(第419回)

JAGUAR XJ 3.0 Executive

(3.0リッターV6・6AT・769万円)



2006年06月17日

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キャラクター&開発コンセプト

XJの新エントリーグレード

ジャガーXJシリーズのエントリーグレードとして、2006年1月に「XJ 3.0エグゼクティブ」が設定された。現行XJシリーズのデビュー当時は、3.5リッターV8の「XJ8 3.5」がその役目を担ったが、翌年には元々本国にはあった3リッターV6の「XJ6 3.0」が上陸。今回の「XJ 3.0エグゼクティブ」は、その名称と装備を変更して、さらに魅力をアップしたモデルだ。レザー内装や豪華装備は上級グレードに引けをとらないものとされ、そこが「エグゼクティブ」の名の意味するところになる。

価格帯&グレード展開

上級グレードに近い装備で769万円

2006年6月からの新ラインナップは計5モデルで以下の通り。6気筒の「XJ6」、8気筒の「XJ8」という名称が廃止され、基本的には「XJ + 排気量」で呼ぶようになった。

  • 「XJ 3.0 エグゼクティブ」(769万円)
  • 「XJ 4.2 エグゼクティブ」(895万円)
  • 「XJ 4.2 ソブリン」(1140万円)
  • 「XJ 4.2 ソブリン L」(1220万円)
  • 「XJR」(1295万円)

今回から3.0も18インチタイヤを履くようになり、ますます外観は上級グレードと差がなくなった。CATS(電子制御アダプティブダンピング)付のエアサスも全車が装備する。

パッケージング&スタイル

このサイズで、車重はミドルクラス並み

オールアルミ製ボディは全長5090×全幅1900×全高1450mm。最高級サルーンらしい堂々たるサイズだが、印象としてはむしろ威圧感がなく、控えめですらある。1968年に始まる歴代XJの魅力は何と言っても、低くて、滑らか、前後を絞ったスタイリングだが、新型でもそれを継承しつつ、一方で不評だった居住性を改善。結果、絶妙なバランスで現行XJのデザインは成り立っている。

 

これほどの大型車でも、車重は3リッターモデルで1630kgしかない。これは競合するレクサスLSはもちろん、一回り小さいGS350(1640kg)より軽く、最大の魅力がこの軽さにあると言っていい。見た目で「アルミっぽさ」が伝わってこないのがちょっと惜しい。

ドアは軽いが、室内には伝統の重み

03年デビュー当時と大差のないインテリア。ウォールナットウッドパネルとレザーシートに、メッキパーツでアクセントを添える手法は手馴れたもの。上級モデルではレザーがさらに上質なものに変更され、ウッドの使用部位が増える。

アクセルとブレーキペダルが一緒に前後する電動調整式フットペダルは全車に装備。シートやヘッドレストの上下、ステアリングのチルト/テレスコも電動だ。DVDナビも全車標準だが、こちらは地図ソフトの古さが難点。

 

見た目はアルミと分からなくても、ドアを閉めた時の「カチャッ」という軽い音は、いかにもそれらしい。ドア自体の重量はスチール製の半分らしく、おかげで普通の力で閉めると半ドアになりやすいが、ここはあえてそのままにしてあるのだろう。

広い後席、十分と言いたい荷室

広いドア開口部の奥に、十分な足元スペースを備えたリアシート。特に横方向の余裕は大きい。この3.0エグゼクティブでは、リクライニング機能などの豪華な装備は省略される。

 

トランク容量は470リッター。決して広くなく、天地も狭いが、スタイルが命のXJには十分と言うべきだろう。左側にCDチェンジャーとDVDナビ本体、床下にはスペースセーバースペアタイヤ、奥はトランクスルーしそうに見えるが、しない。

基本性能&ドライブフィール

軽量ゆえ非力でも速い

試乗したXJ 3.0のエンジンは、最新のSタイプが積む3リッターV6(243ps、30.6kg-m)と共通のもの。オートマチックはおなじみのZF製6ATだ。大型セダンとしては慎ましいほど小排気量なので、のけぞるようなトルク感はない。しかし車重は1630kgしかないので、高回転でウィーンと独特のサウンドを発するV6を容赦なく回せば、十分な加速が得られる。メーカー発表(UK仕様)の最高速は225km/hで、高速道路で徐々に速度を上げていくとわかるが、確かに200㎞/hくらいの巡航は快適にこなせそうだ。直進性も素晴らしく、静粛性も高い。エンジン自体に特別な魅力はないし、高速域ではさらなるパワーが欲しくなる。しかし日本の道路事情ではそのパワーに大きな意味はないだろう。

英国ライトウエイトスポーツカーを思わせる

一方で、とても個性的なのが、まっすぐ走っていても独特の軽快感があるシャシーだ。ライトウエイトスポーツみたいに路面の凹凸を水切りのように軽く飛び越えてゆく感覚を、このクラスで味わえるとは・・・・。よくある「重厚感」とは一味違う走りと言える。エアサスによる乗り心地は、しっとり系ではなくむしろ固めだ。

この印象はコーナリングでも変わらない。3年前の箱根での試乗会でも確認済みだが、いつものコースを走った今回も、クラス離れした軽快な身のこなしが味わえた。特に今回のようなV6モデルは、エンジンの軽さや非力さという意味を含めて、英国軽量スポーツ、ただしボディはでかい、という感じで、何をやっても慣性マスの少ないフィーリングに終始する。ノーズの軽い感じがいいのだ。ボディの剛性感はドイツ車的なガチッ、ズシッという重々しいものではなく、いかにもアルミ的なカチッとした硬さ。軽いのに硬い、という独特の感覚がこのクルマの魅力だろう。

ここがイイ

カテゴリーとしては普通の高級サルーンなのだが、走りが妙に軽快で、VIPを後部に乗せていようと、ドライバーはこっそりアルミボディの異質感が味わえるというマニアックな部分。それがこの価格で買えるというお得感もある。

今やここにしかない英国風の内装。そんなクラシカルなインテリアに溶け込むナビ画面は、見事に違和感がない。さらに上級車には後席用ヘッドレストディスプレイ+独立オーディオコントローラもある。何より電動調整式フットペダルがあるため、小柄な人でも運転席を比較的後方にセットできることが素晴らしい。これ、日本車ではトヨタブレビスで絶賛したが、国産ではあれ以来あまり見かけることのない装備。それがジャガーにあるとは。

ここがダメ

このクラスのクルマとして考えると、エンジンには十分な魅力やパワーがない。ドイツ車ユーザーには不満がつのりそう。そこが英国的でイイと捉えるのは、マニアックな英国車党じゃないと難しいかもしれない。またXJはサイズがでかいので、それをよしと出来ない人には購入リストにすら入れられないのが残念。マンションの立体駐車場に入るかどうかが、分かれ目だ。入らない人はXタイプを選ぶことになるが、冷静に考えるとXタイプの2.0エグゼクティブ(FFモデル、398万円)でも、かなり近い世界が味わえる。

DVDの地図ソフトはかなりデータが古い。昨年春に開通した高速道路が入っていないというのは、あんまりだ。このソフト問題はジャガーユーザー共通の問題のようで、まだ抜本的な解決を見ていない。ジャガーワンメイクなのだから、インポーターなりが費用負担して、早く、安く、新しいソフトを発売して欲しいものだ。

伝統のJシフトは左ゲート(マニュアル)のポジションが曖昧で、楽しんでシフトする気になれない。そろそろ当たり前のマニュアルモードを用意すべき時に来ていると思われる。

総合評価

XJシリーズが2003年に新型になって以降、英国自動車産業において大きく変わったことはローバーの破綻だろう。これによって事実上英国サルーンはジャガーだけになった(アストンマーチンからも登場するようだが、ちょっとカテゴリーが異なる)。いわゆる木と革をふんだんに使った伝統的(懐古趣味的?)英国風インテリアが欲しいと思ったとき、それが味わえるのは今やジャガーだけ。となるとこのインテリアで、ジャガーの旗艦で、しかもけっこう安くて、というXJ3.0は「リーズナブル」な高級車に見える。

このリーズナブルさはジャガーにずっとあるもので、10年前にはXJ6 3.2(伝統の直6)が 622万円(消費税抜き)だったし、5年前にはXJ3.2(新型V8)も622万円(同)。特にこの旧XJの廉価版はかなり人気を博したモデルだった。つまりジャガーは旗艦でもだいたいこのあたりをボトム価格(XJ3.0はナビなどの装備がある分、700万円を超えているが)とするメーカーであり、メルセデスやBMW、あるいはレクサスなどの旗艦モデルと比べると、ワンランク下のブランドとも言える。上級ブランド(今やグレードといってもいいが)としてデイムラーがあることも、それを裏付けるところだ。

そうしたブランドの地位を補填するのが、よそにはない英国流の内外装で、これはローバーが消え去った今、さらに価値を強めたと言えるだろう。XJ3.0でもそのエクステリアは誰が見てもジャガーそのもので、インテリアの造作も伝統どおりの英国仕様。さらに伝統的な走りの良さも健在で、見かけのようなショーファーカーではなく、運転を楽しめるクルマに仕上がっている。全長は5メートルを越え、全幅も 1.9メートルにもなるボディを軽々と振り回して走れるのは、このクルマの重要なセールスポイントだ。それに加えて違和感のない位置にきれいに納まった標準装備のカーナビ(DVDデータの古さはいただけないが)やら、電動パーキングブレーキ、上級車にあるアダプティブ・クルーズ・コントロール(レーダークルーズ)などの装備も悪くない。

というわけで高級車は数あれど、ジャガーはいい位置にある。安い割にわかりやすく高級で、最新テクノロジーで作られているのにクラシカルな雰囲気で、知名度が高い割に数が少なくて、旗艦のビッグボディなのに変な威圧感がない。一般人から見ても「好感度」が高い高級車で、エンスーぽくも見えるから高級車に乗っていても敵を作らない。何より運転していて楽しい。トータルに見て、相当お買い得感が高いのではないか。

反面、壊れるかも、値落ちが激しいかも、品質的にはちょっとチープかも、といったネガもあるのだが、ここらは納得さえすればそう問題ではない。それより、実は一番問題なのは「似合うか」ということだろう。XJともなれば若い人(若く見える人)やカジュアルな人、アメリカンな人、安手のスーツの人、クルマに無知な人、お金のなさそうな人(本当はあるとしても)などには、どうにも似合わない。逆にあまりにはまりすぎるのを嫌う人(ジャガーの似合う人ってかなり嫌みな感じ、と思えてしまう人)も敬遠するだろう。アウトロー関係の人にも威圧感が少ないので人気はあまりないようだし、こうなると似合う人ってけっこう限られるのでは。

 

さりげなくオシャレなスーツをいつも着こなし、知的な職業でクルマ好き、もちろんお金もあって、喧嘩もしないような人。XJオーナーのイメージはそんな感じか。そこで最近道行くXJを見かけるとドライバーをのぞき込んでしまうのだが、やはり似合ってない人の方が多すぎる。実際、クルマが良くて買いたいと思っても、我が身を振り返ってしまうとやはり躊躇してしまうのだ。乗る人を相当に選ぶという高級車の筆頭がジャガーXJであり、それがブランド的な強みでありながらも、自動車メーカー(インポーター・ディーラー)という、クルマをビジネスとして扱う側にとっては厳しいところともいえるだろう。価格はリーズナブルなんだが。

試乗車スペック
ジャガーXJ 3.0 エグゼクティブ
(3.0リッターV6・6AT・769万円)

●形式:CBA-J71VB●全長5090mm×全幅1900mm×全高1450mm●ホイールベース:3035mm●車重(車検証記載値): 1630kg(F:860+770)●乗車定員:5名●エンジン型式:VB●2967cc・V型6気筒・DOHC・4バルブ・縦置●243ps (179kW)/6800rpm、30.6kg-m (300Nm)/4100rpm●カム駆動:タイミングチェーン●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/85L●10・15モード燃費:7.6km/L● 駆動方式:後輪駆動(FR)●タイヤ:235/50ZR18(Pirelli P6000 POWERGY)●試乗車価格:769万円(含むオプション:なし)●試乗距離:約120km ●試乗日:2006年5月 ●車両協力:渡辺自動車 ジャガー名古屋中央

公式サイト http://www.jaguar.co.jp/jp/ja/vehicles/xj/overview/introduction.htm

 
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