キャラクター&開発コンセプト
ありそうで無かった新型クロスオーバー
クライスラー社のダッジブランドから登場した「JC(ジェイシー)」は、新型“トリプル・クロスオーバー”車。その謳い文句が意味するのは、ミニバンのように室内が広くて、7人乗りで、SUVのようにスポーティでスタイルが力強く、乗用車(セダンやステーションワゴン)のような走りと快適性を備える、というもの。
要するに従来のアメリカ車に多かったSUVにサードシートを押し込んだようなモデルではなく、乗用車をベースに(プラットフォームはミドルクラスセダンのアベンジャーがベース)、ミニバン&SUVモデルに仕立てた、というものだ。
本国での車名は「ジャーニー」
JCはアメリカ本国では「ジャーニー(Journey)」と呼ばれるが、日本ではいすゞが販売するマイクロバスと同名になることから、開発コードに因んで「JC」とされたようだ。なお英語でJCと言えば、スラングでイエス・キリスト(Jesus Christ)を指す場合がある。
■ダッジ 本国サイト>2009 ジャーニー(英語) http://www.dodge.com/en/2009/journey/
■いすゞ>ジャーニー http://www.isuzu.co.jp/product/bus/jny_pv/index.html
価格帯&グレード展開
2.7リッターV6+6ATで、362万2500円
米国には2.4リッター直4や3.5リッターV6、FFの他に4WDもあるJCだが、今回導入されたのは日本のアベンジャーと同じ2.7リッターV6でFFの「SXT」(右ハンドル)のみ。ただし4ATだったアベンジャーに対して、JCは6ATとなっている。
■SXT 2.7リッターV6・FF・6AT 362万2500円 ★今週の試乗車
セダンのアベンジャーには廉価版の「SXT ベーシック」(325万5000円)と豪華版「SXT」(413万7000円)の2つがあるが、JCのSXTは前者のベーシックに近い内容。HDDナビやレザーシートなどは備わらない。ただしアルミホイールやサイドビューカメラなど、欲しい装備は一通り備わっている。
パッケージング&スタイル
いかにもアメリカンSUV
ボディサイズは全長4895mm×全幅1880mm×全高1720mm。全長はアルファード、全幅はハイラックスサーフ、全高はエスティマ並みといったところだ。正統派アメリカンミニバン?であるクライスラーのグランドボイジャーだと全長は5.1メートル超、全幅は2メートル超と二回りは大きい。JCは日本的な感覚でも今やそう大きくない部類に入る。
225/65R17の大径タイヤ(本国には225/55R19の設定もある)を履き、ホイールアーチを張り出させたスタイルは、いかにもアメリカンSUVらしいもの。最低地上高は195mmあり、確かにミニバンというよりはSUVに見える。
一見アメリカンな作りだが、実によく工夫されている
インパネデザインはクライスラー系モデル全般に共通するシンプルなもの。メタル調塗装やメッキパーツなどで質感に気を配りつつも、全体としてはアメリカンファニチャーやGE社製の冷蔵庫に通じる、気のおけない作りがアメ車らしい。小物入れのカバーがボタンを押しても一瞬上がってこなかったり、すぐに閉まらなかったり、みたいな大ざっぱさはいかんともしがたいが、これもアメリカらしさの一つであろう。
ところが細部を見てゆくと、実によく工夫されていて評価がずいぶん変わってくる。バックミラーの上にはリアビューインテリアミラー(リアシートの様子が見渡せるもの)、ステアリングの裏にはオーディオ操作用スイッチを備えるし、ダッシュボードの小物入れは350ml缶が2本冷やせる保冷庫になっている。空調ダイアルは運転席、助手席、後席と3ゾーン別々で調整できるものだ。さらに助手席の座面クッションの下は、ノートパソコンくらいのものが入る収納スペースになっていて、思わず「おまえはスズキの軽か!」とつっこみを入れたくなる。
サイドビューカメラ標準。運転ポジションもちゃんと取れる
助手席ドアの内側には、クライスラーグループ車(グランドボイジャー、ダッジ・ナイトロ、ジープ・パトリオットなど)でおなじみ、サイドビューカメラのモニターを配置(アベンジャーには無かったが)。常時表示が可能だが、スイッチでオン・オフもできる。視線移動量が大きいので、走りながらだとちょっと見にくいが、左までギリギリに寄せたい時などには確かに便利だ。
シートはリクライニングは手動だが、前後と上下は電動というもの。調整幅はやたらとあり、小柄な女性でもそう困ることはないだろう。
スタンダードな作りのセカンド。90度開くリアドア
セカンドシートは欧州車のようなカッチリした作り。天井にはエアコンの空調操作ダイアルと吹き出し口、そしてLED式のルームライトやスポットを配置。足もとにはショートブーツくらいなら入りそうな床下収納ボックスがある。350ml缶なら最大12個入るようで、カタログの写真にはクラッシュドアイスと一緒に詰め込まれている。もちろんボックスは取り外し可能だ。
背もたれは40:20:40分割でリクライニングと折り畳みが可能。座面は60:40分割で前後に約120mmスライドする。不便だったり悩んだりすることのない、ごくごくスタンダードな作りだ。
ちょっと驚いたのはリアドアが90度まで開くこと。今度は思わず「おまえはダイハツの軽か!」とつっこみを入れたくなる。このクラスのクルマ(しかもアメ車)でこういう作りは珍しいと思う。
「5+2」は謙遜? サードも十分に実用的
これくらいのボディサイズのSUVだと、サードシートはエマージェンシー的なものが多く、JCもカタログでは「5+2」とうたっている。しかしFFベースでミニバン的なパッケージングのため、多くの3列シートSUVに比べればそのサードシートは実用的だ。着座姿勢もちゃんととれるし、セカンドシートの人に多少前に詰めてもらえれば足もとのスペースもまあ何とかなる。全列をカバーするカーテンエアバッグは標準装備だ。
乗り降りはレバー操作でセカンドシートの座面を跳ね上げ、前にスライドさせて行う。この時の通り道が広いので大人でも楽に乗り降りできる。
左半分だけフルフラットなんてことが可能
荷室の見どころはシートを折り畳んだ時。サードシートは50:50の分割可倒式で、きっちり水平に倒れるし、セカンドシートの背もたれも水平に倒れ、さらに助手席の背もたれまで水平に倒れて、ほぼ完全にフラットになる(すき間はあるが)。最大荷室長は2743mmだ。
なので、例えば左側の各シートを畳んだところにサーフィンのロングボードやカヌーなどの長尺物を積み、右側に3人(前から1+1+1)ないし4人(1+2+1)乗る、なんてことが可能だ。
荷室の左壁にはやはりクライスラー車で定番の充電式フラッシュライトが備わる。床下には大きめの収納があり、その下にはパンタグラフジャッキとホイールレンチ。スペアタイヤはテンパータイプで、吊り下げ式だ。