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ジープ チェロキー ロンジチュード新車試乗記(第733回)

Jeep Cherokee Longitude

(2.4L 直4・9AT・FF・379万0800円)

新プラットフォーム
新パワートレイン
新デザインで自由になった!
新世代Jeepに試乗!

2014年06月27日

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キャラクター&開発コンセプト

チェロキーの5代目(KL型)。エンジンは横置に


新型ジープ チェロキー(KL型)

北米では2013年11月に、日本では2014年5月17日に発売された新型ジープ チェロキー(KL型)は、フィアット クライスラー社のミドルクラスSUV。チェロキーとしては5代目になる。

新型チェロキーは、ジープブランド車では初めてフィアットとクライスラーが共同開発したプラットフォームを採用。エンジンは従来の縦置きから横置きに変わり、チェロキー初のFF車も設定。プラットフォーム自体はアルファロメオのジュリエッタと基本設計を共有する。ただし4WD車にはハイ/ロー2速のトランスファーやデフロック機能を装備するなど、ジープらしさは健在だ。

9速ATを搭載。燃費性能は3~5割アップ


2代目XJ型チェロキー。世界中で大ヒットし、日本では一時期ホンダディーラーでも販売された

エンジンは新開発の「タイガーシャーク」こと自然吸気2.4リッター直4と、「ペンタスター」こと自然吸気3.2リッターV6の2本立て。前者はフィアットが開発したマルチエア(後述)を採用したもので、後者は現行グランドチェロキーやラングラー用3.6リッターV6の排気量縮小版になる。

トランスミッションにはトルコンATで目下、最多段の9速ATを採用。これはZFが開発したもので、レンジローバー イヴォークの2014年モデルにも搭載されている。

 

3代目KJ型チェロキー(写真は米国仕様のリバティ)

これらの要素により、JC08モード燃費は8.8~10.4km/Lとなり、先代KK型3.7リッターV6・4ATモデルよりも、同じV6同士なら約30%、新しい直4モデルなら約55%も向上した(日本仕様JC08モードで比較)。もちろん燃費性能だけでなく、斬新なデザイン、先進安全装備の充実なども、新型の大きな売り。

生産は米国オハイオ州のトレド工場(Toledo North Assembly Plant)。広告キャッチコピーは世界共通で「Built Free」。直訳すれば、自由な発想で作られた、といったところか。

 

4代目KK型チェロキー

なお、初代チェロキーは、ジープ ワゴニアから派生したSJ型(1974~83年)からスタート。2代目のXJ型(1984~2001年)は、スクエアかつモダンなデザインで、米国だけでなく欧州や日本でも大ヒットした。3代目KJ型(米国名リバティ、2002~07年)は、一転して丸みを帯びたデザインを採用。4代目KK型(同じく米国名リバティ、2008~13年)では、再びスクエアなデザインに戻っていた。

 

価格帯&グレード展開

計3グレードで、379万0800円からスタート


今回試乗したロンジチュード。2.4リッター直4のFF車になる

日本仕様は計3グレード。自然吸気2.4リッター直4・SOHCエンジン(177ps、23.4kgm)のFFモデル「ロンジチュード」、自然吸気3.2リッターV6・DOHCエンジン(272ps、32.1kgm)のクロカン系4WDモデル「トレイルホーク」、同じく3.2リッターV6・4WDで高級志向の「リミテッド」というラインナップ。なお、ロンジチュードは英語で経度や縦を意味するが、新型チェロキーのエンジンは縦置き(longitudinal)ではなく横置き(Transverse)になる。

海外仕様には6MTもあるが、日本仕様は全車9速AT。

32万4000円のセーフティパッケージは必須


こちらはトレイルホーク。大径タイヤ、オーバーフェンダー、専用サスペンションなどを備え、高い悪路走破性を誇る

ロンジチュードとトレイルホークには、メーカーオプションで「セーフティパッケージ」(32万4000円)を用意。装備内容は、オートハイビームヘッドライト、ミリ波レーダーによるアドバンストブレーキアシスト、ACC(アダプティブクルーズコントロール、※ストップ&ゴー機能付)、車線逸脱警報システム、前面衝突警報システム、走行中に斜め後方を監視するブラインドスポットモニター、後退時に接近してくる他車を検知するリアクロスパスディテクション、バックカメラ、縦列/並列パークアシスト、運転席8ウェイ電動シート&電動ランバーサポート、パワーリフトゲートなどなど。これで最新の先進安全装備が全部のせになる。

 

最上級グレードのリミテッド。こちらもトレイルホーク同様に4WDで、2速PTU(ローギアモード)を装備

最上級グレードのリミテッドなら、それら先進安全装備は標準で、オプションに「ラグジュアリーパッケージ」(21万6000円)を用意する。その内容はプレミアムナッパレザーシート、蒸れを防ぐベンチレーテッドフロントシート、コマンドビュー デュアルペインパノラミックサンルーフ(大型電動ガラスサンルーフ)など。

ボディカラーはトゥルーブルー、ブライトホワイトなど全5色。ラインナップと価格(消費税8%込み)は以下の通り。

■Longitude  2.4L 直4+9AT (FF)   379万0800円  ※今回の試乗車
■Trailhawk  3.2L V6 +9AT (4WD)   429万8400円
■Limited   3.2L V6 +9AT (4WD)   461万1600円

 

パッケージング&スタイル

四角からウエッジシェイプへ激変

新型チェロキーの変身ぶりを象徴するのが外観デザイン。ロンジチュードのボディサイズは全長4630mm×全幅1860mm×全高1700mm、ホイールベース2700mmで、先代KK型と全長、全幅、ホイールベースでは大差ないが(それぞれ+130mm、+75mm、+5mm)、全高だけは一気に120mm低くなり、全体のカタチも四角からウエッジシェイプへ激変した。

中でも目を引くのがフロント部分。ヘッドライトに見えるのは、実はLEDクリアランスランプで(海外ではデイライト)、本当のヘッドライトはフロントバンパー配置になる。この辺のアイディアは、日産ジュークと同じだ。

 

また、ジープ伝統の「7本スロットグリル」は従来の絶壁調から、クーペみたいなボンネット一体型になり、ノーズ全体はロー&ワイドに、そして長くなった。全長が延びた分のほとんどはフロントオーバーハングが占める。

サイドに関しても、ベルトラインが緩やかに弧を描き、コジャレたキャラクラーラインが入るなど、すっかり洗練された(ちょっとアルファロメオ風?)。伝統的なジープの無骨さは、トレイルホークを除けばほとんど見当たらないが、一方でいわゆる戦隊物のような未来感は強まっている。

 
 

インテリア&ラゲッジスペース

すっかり都会的かつ便利に


日本仕様は「Uconnect(ユーコネクト)」と呼ばれる最新メモリーナビシステム&8.4インチタッチパネルが全車標準

インテリアも今どきのクロスオーバーSUV風に変身。まず、運転席によじ登る感じがなくなり、ごく自然に乗り込めるようになった。ドア開口面積や開口角度も大きいので、後席の乗り降りはミニバン並みに楽。

インパネはどちらかと言えば欧州車風で、アメ車風の大ざっぱな感じはない。電動パーキングブレーキを採用するなど、多くの日本車より進んでいる部分もある。なお、ステアリングの裏にボタンがあるので、シフトスイッチかと思ったら、オーディオ操作ボタンだった。

 

センターコンソールにはUSB(iPhone等に対応)、SDなどの端子を用意

一方でアメ車っぽいと思ったのはシート関係。クッションは柔らか目で、座面が分厚く、ちょっとばかりペダルが遠い。あとフットレストがなく、左足で踏ん張るところがなくて心もとない。そして独特の甘い匂い。アメリカのどこへ行っても漂っている、あの匂いがある。束の間のアメリカ旅行気分。

なお、衝突安全性に関しては、7エアバッグを標準装備し、米国道路安全保険協会(IIHS)で最高レベルの「トップ セーフティピックス+」や、欧州ユーロNCAPで最高評価の5つ星を獲得している。北米では衝突安全評価の良否が販売に直結するので、このあたりは抜かりがない。

 

後席は前後スライドや、背もたれを倒すと沈み込むダイブダウン機構を備える

後席は、トールワゴン的な空間、座り心地、乗降性を持つ。ドアは直角に近いところまで開く

写真はロンジチュードのファブリックシート。セーフティパッケージ装着車は電動シート
 

ステーションワゴンのような荷室。左側のバッグはオプションの工具セット(ブースターケーブルなど)

ロンジチュードはパンク修理キットを、トレイルホークとリミテッドはフルサイズスペアを標準装備

セーフティパッケージ装着車ならリアゲートは電動になる。あればあったで便利な装備
 

基本性能&ドライブフィール

直4・FF仕様のロンジチュードに試乗


2.4リッターエンジンは、マルチエアシステムを搭載。クライスラー車ではダッジ ダートに次いでの採用

試乗したのは、FF車の「ロンジチュード」。車両本体は379万0800円だが、セーフティパッケージ装着車は411万4800円。

2.4リッター直4・SOHCエンジンは、通称「タイガーシャーク」と呼ばれる新世代ユニット。一番の特徴は、FIATパワートレインが開発し、フィアット500 ツインエアやアルファロメオ ジュリエッタでも採用されている電動油圧式可変バルブシステム「マルチエア」を採用していること。排気バルブはカムシャフトで駆動するが、吸気バルブの方は排気側カムシャフトで発生させた油圧を使って電子制御する電気油圧式で、これによりBMWのバルブトロニックのように(仕組みは全く異なるが)、吸気量をスロットルバタフライに代わってコントロールする。ただ、ツインエアやジュリエッタのようなターボではなく、自然吸気になる。最高出力は177ps、最大トルクは229Nm (23.4kgm)。

昨今の直噴ターボエンジンに慣らされた身からすると、2000回転を割るような回転域でのトルク感は薄めだが、アクセルを踏み込めばシュゥーーンと軽く吹け上がり、1730kgのボディを軽快に加速させる。過去のチェロキーのように、トルクリアクションでボディを揺すったり、多めのトルコンスリップでルーズに加速したり、なんて感じはなく、乗り味もまったくユサユサしない。当前と言えば当然だが、新型チェロキーは完全に現代のクロスオーバーSUVになっている。

9速ATを使い切れない

そんなわけで、いかにも普通に走ってしまうロンジチュードだが、意外だったのは街中では低めのギアで割と引っ張る傾向(3000回転以上とか)が強いこと。それでいてアクセルを抜けばシフトアップして回転を下げようとするので、エンジン回転が上下しがちになる。燃費よく走らせるには、アクセル操作にちょっとした気遣いが必要だ。このあたりは、トルクフルなV6の方がいいかも。

また、アイドリングストップ機能はないため、それによる始動ショック等の煩わしさはないが、直4エンジンの場合は、アイドリング振動やノイズが少し気になってしまう。

そしてワインディングや高速道路で気付いたのが、9速ATのギアリングが日本の道に合っていないこと。各ギア比(V6も共通)は以下の通りで、9速もあるのに全体にステップ比が大きい。

■1速4.700、2速2.842、3速1.909、4速1.382、5速1.000、6速0.808、7速0.699、8速0.580、9速0.479
(最終減速比は、直4・FF仕様が3.734、V6・4WD仕様が3.251)

 

つまりイメージ的には、一般的な6速ATに、超ハイギアードな7速、8速、9速を足した、という感じ。これにより、トルクのあるV6モデルならいざ知らず、少なくとも2.4リッター直4モデルの場合は、一般道だと5速か6速にしか入らず、また高速道路の100km/h巡航でも、8速、約1650rpmという感じで、9速トップにはどうしても入ってくれない。9速トップを十分に活かすには、120km/h以上の車速が欲しいところ。

ちなみに米国のフリーウエイで多い制限速度は75mph(約121km/h)で、ユタ州など一部地域では80mph(129km/h)もある。つまり米国でなら合法的に、そして有効に9速ATが活かせそうではある。

「Jeep」の名に恥じない悪路走破性


チェロキー トレイルホーク(写真は北米仕様)

参考までに4WDモデルのオフロード性能にも触れておく。3.2リッターV6のトレイルホークとリミテッドの駆動方式は、電子制御のオンデマンド式4WDだが、そこはジープ。一般的なオンデマンド式4WDとは一線を画したもので、様々な特徴を持っている。

その一つがリアアクスル分離機能。これにより、乾いた高速道路などでは前輪駆動で走って燃費を稼ぐ一方、状況に応じて4WDに切り替わる仕組みになっている。

もう一つジープらしいのが、FFベースのSUVでは極めて珍しいハイ/ロー2速のパワートランスファーユニット(PTU)を装備すること。いわゆる副変速機で、通常のHighギア(1.000)に対して、2.917の4Lowモードを備える。この2.917というギア比は、現行ジープで最も走破性が高いラングラー ルビコン(4.000)に次ぐ低さ。普通のラングラーは2.72だ。「ジープのファンはローギアモードの威力をよく知っているので、新型チェロキーにもそれがどうしても必要だった」とは開発者の弁。この4Lowモード時には前後のプロペラシャフトがロックされるため、パートタイム4WD車の4Lに匹敵する駆動力を発揮する。

また、リミテッドとトレイルホークには、オート、スノー(雪道)、サンド/マッド(砂地/泥道)といった状況に応じて最適な走行モードを選べる「セレクテレイン システム」も標準装備される。トレイルホークにはロック(岩場)モードもある。これはランドローバーで言うところのコマンドシステム的なものだ。

さらにジープと言えば、過酷なクロカンコースでの車両開発で知られるが、そこでの走破性を証明するのが「トレイル レイテッド(Trail Rated)」バッジ。これを新型チェロキーで唯一持つトレイルホークには、さらにヘビーデューティな装備が奢られている。

 

その一つが、泥道や雪道などの急坂を登る際に、後輪の駆動力を確保するロッキングリアディファレンシャル(機械式のLSDではなく、ブレーキ制御式のようだ)。これを備えたトレイルホークの4WDシステムは「Jeep アクティブドライブロック」、ない方のリミテッド用は「Jeepアクティブドライブ II」と区別されている。

トレイルホークにはさらに、悪路の下り坂に加えて、上り坂でも1~8km/hの速度を自動的に維持し、ドライバーがステアリング操作に専念できるようにする「セレクスピード コントロール」が装備される。これはトヨタの現行ランドクルーザー(200系)に搭載されている「クロールコントロール」と同種のもの。

さらにタイヤは、ロンジチュードの225/60R17やリミテッドの225/55R18に比べて、外径が一回り大きく、幅も一回り大きい245/65R17になる。また、これを収めるため、樹脂製オーバーフェンダーが装着されるほか、最低地上高は40mm増して220mmになる。

その結果、トレイルホークでは、29.9度のアプローチアングル、22.9度のランプブレークオーバーアングル、32.2度のディパーチャーアングルを確保。渡河水深限界値は508mmとなっている。

試乗燃費は7.3~10.0km/L。JC08モード燃費は10.4km/L


アメ車でいいのはレギュラー仕様が多いこと。タンク容量は60リッター

今回はトータルで約250kmを試乗。試乗燃費(車載燃費計)は、いつもの一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約90km)が7.3km/L。また、一般道を無駄な加速を控えて走った区間(約30km×4回)が9.3km/L、9.4km/L、9.5km/L、10.0km/Lだった。総じて街中でゴー・ストップが多い場合の実用燃費は7km/L台かな、という印象。

JC08モード燃費は、試乗したロンジチュードが10.4km/L、3.2リッター4WDモデルが8.8~8.9km/L。先代KK型チェロキーのJC08モードは6.7km/Lだったので、いちおう3~5割増くらいにはなっている。指定燃料がレギュラーなのは嬉しいところだ。

 

ここがイイ

明らかにクルマとして進化した。最新の先進安全装備

かつてのXJ型やKJ型チェロキーはもちろんのこと、先代チェロキーと比べても、段違いで「乗用車」になっていること。要するに、普通の感覚で運転できる。大多数のユーザーにとっては、新型の方が快適に乗れるはずだし、燃費もずいぶん良くなった。

セーフティパッケージを選べば、STOP&GO機能付、つまり全車速対応のACC(ミリ波レーダー式のクルーズコントロール)や自動ブレーキシステム、車線逸脱警告システム、後方監視システム、パーキングセンサーと連動した自動ブレーキシステム、そして縦列/並列駐車時にステアリング操作を自動でやってくれるパークセンス(これは他社のものと同様、実際にはセットが面倒で実用的ではないが)、オートハイビームなど、最新レベルの先進安全装備が付いてくる。チェロキーを買うなら必須オプションで、実際の装着率も100%に近いとのことだ。

ここがダメ

エンジンと9速ATのマッチング

日本の法定速度では9速ATをまったく使い切れないこと。100km/hで走ってもトップギア(9速トップ)に入らないクルマに乗ったのは今回が初めて。これは本文にもある通り、ギアリングにも要因はあるが、さらに言えば2.4リッターエンジンと9速ATのマッチングが今ひとつ良くないせいもあると思う。低回転でトルクフルな2リッター直噴ターボなどと一緒になれば、ガラリと印象が変わりそう。

左サイドのドアミラーには、サイドカメラが装備されているが、その映像をナビモニターに表示するには、タッチパネルで操作する必要があるため、走行中にとっさに表示するのが難しい。いっそ専用モニターにするという手もあったと思う。

オートエアコンの自動温度調整は、始動直後がやや不安定で、暑かったり、寒かったり。放っておくと、適正な温度になるが、ちょっと癖があった。

ドライビングポジションはアメ車独特で、座面がやや高く、ペダルがやや遠め。乗っていると慣れるが、小柄な人はちょっとつらいかも。左足もとにフットレストがなく、踏ん張れないのもちょっと気になった。

総合評価

日本でも売れたXJ型チェロキー

日本でチェロキーといえば、アメリカンSUVとしては空前の大ベストセラーとなった2代目XJ型を思い出す。日本デビューの1985年以降、その角張ったスタイリング、扱いやすいコンパクトなボディサイズ(年式によって異なるが、全長4400mm×全幅1770mm×全高1650mm前後)で人気となり、1990年代の四駆ブームに乗っただけでなく、途中から投入された4リッターエンジン、米車初の右ハンドル、手頃な価格も追い風になって、日本市場に定着してよく売れた。なにせ1994年頃には300万円を切る価格のモデルもあり、しかもまだ自社のSUVを持っていなかったホンダのディーラーでも販売されたので、なんと年間1万1000台を売った。これは昨年の例だとVWポロ並みの販売台数だ。ホンダがジープを売るなんて、今では想像もできない話だが。

それだけ売れたから、街中でもよく見かけたし、昨今でもまだ走っているのを見かける。XJチェロキーが開発された1980年代初め、ジープブランドはAMC(アメリカン・モーターズ)傘下にあり、さらにそのAMC株の半分近くをルノーが持っていた。その意向もあって、こうしたコンパクトな「欧州でも乗れるジープ」が作られたようだ。とはいえ、売れた最大の原因はそのスタイリングと言ってもいいだろう。当時ちょっとだけ乗ったことがあるが、オンロードでの走りや快適性には、正直なところ取り立てて見るべきところはなかった。それでも売れまくったのは、クルマはやっぱり見た目が大きいということなのだろう。

世界の主流はこっち

今回の新型チェロキーも、巡り巡って欧州の意向が反映したモデルだ。AMCはすでになく、ジープブランドはクライスラーへ行き、そしてそのクライスラーもフィアットへと、まあ流れ流れてどこへ行くというのがジープブランドの歴史。しかし今回、そのフィアットの影響もあって、スタイリッシュな欧州風SUVとなったのは、ある意味では幸いなことだったと思う。「クルマはやっぱり見た目が全て」だとしたら、XJ型とは正反対の方向であっても、この流麗なスタイリングは結構ポイントが高い。カッコいいと思う。グリルにはちゃんとアイデンティティが生きているし。ここに来て、いよいよ角ばったSUVはクラシックカーの世界のもの(XJ型もすでにその仲間入り)と言える。また、いつも書くようにSUVはオンオフを問わないスーパーカー。新型チェロキーでもそこはきちんと押さえていて、オンロードでの走りや快適性はもちろん、本格的なオフロード性能を備えたグレードも用意している。本来の「ジープ」というブランドを愛する人にも、おおむね好評なようだ。

 

新型は当然ながら米国や欧州での衝突安全評価もトップクラス。先進安全装備も満載で、その部分でも文句はあるまい。燃費は際立って良くはないが、ボディサイズからすれば、まあ妥当なところだし、先代KK型より飛躍的に良くなっている。また、レギュラーガソリンでOKというのは、ガソリン価格が高騰する中、嬉しいところだ。本文にあるように、9速トップはさすがに日本の道では宝の持ち腐れになりかねないが、トヨタ流に言えば、アメリカ車だからアメリカの道を知っている、ということだろう。また当然、欧州では9速ATにそれなりのメリットがあるだろうから、そちらこそが世界の主流ということになる。いよいよ日本の常識は、世界の非常識ということ。新型チェロキーも新東名が全線片側3車線で作られ、設計速度通りの速度規制であれば、もっとエコなクルマとして評価できるかもしれない。高速域で燃費性能を改善できる最新装備が、宝の持ち腐れとなりかねない日本の現状、こんな皮肉な話もないだろう。

 

試乗車スペック
ジープ チェロキー ロンジチュード
(2.4L 直4・9AT・FF・379万0800円)

●初年度登録:2014年4月 ●形式:ABA-KL24 ●全長4630mm×全幅1860mm×全高1700mm ●ホイールベース:2700mm ●最小回転半径:5.8m ●車重(車検証記載値):1730kg(-+-) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:B ●排気量・エンジン種類:2359cc・直列4気筒SOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:88.0×97.0mm ●圧縮比:10.0 ●最高出力:130kW(177ps)/6400rpm ●最大トルク:229Nm (23.4kgm)/3900rpm ●カムシャフト駆動:- ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/60L ●JC08モード燃費:10.4km/L

●駆動方式:FF(前輪駆動) ●サスペンション形式:前 マクファーソン ストラット+コイルスプリング/後 マルチリンク+コイルスプリング ●タイヤ:225/60R17(Michelin Primacy 3)

●試乗車価格(概算):416万3400円 ※オプション:セーフティパッケージ 32万4000円、ロードサイドセーフティキット 1万9440円、プレミアムフロアマット 2万9160円 ●ボディカラー:ブライトホワイト C/C ●試乗距離:約250km

●試乗日:2014年6月 ●車両協力:中京・愛知クライスラー

 
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