新車試乗記 第589回 スズキ キザシ Suzuki Kizashi

(2.4リッター直4・CVT・278万7750円)

欧州車と戦うべく
送り出されたスズキの旗艦は、
その「ココロザシ」が泣かせる
稀代の名車だった!

日時: 2010年03月06日

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    キャラクター&開発コンセプト

    欧州Dセグメント車に真っ向勝負

    東京モーターショー開幕直前の2009年10月21日に発売された「キザシ」は、スズキの新しいフラッグシップセダン。同社初の本格Dセグメントカーとして、欧州車に真っ向勝負を挑むべく開発されたモデルだ。

    プラットフォームは完全新開発。エンジンはエスクードの2.4リッター直4を改良したもので、変速機は日本仕様の場合CVT(無段変速機)のみとなる。

    逆風下でのデビュー。国内では受注販売


    2007年の東京モーターショーで発表された「コンセプト キザシ2」

    車名の「キザシ」は、2007年から世界各地のモーターショーで発表された一連のコンセプトカーに使われたもの。キザシ1、キザシ2、キザシ3と発展し、最終的に市販車にも使われることになった。

    漢字では「兆」となり(北米では漢字ロゴが広告イメージに使用されている)、何かが始まりそうな印、予兆のこと。「世界の市場に向け、新しいクルマ作りに挑戦する」という想いが込められているという。なお、芽生えるという意味もあり、その場合は「萌」と書く。


    2009年の東京モーターショーに出展されたキザシ

    開発当初はグローバルで大々的に販売する予定のキザシだったが、2008年秋に始まった世界同時不況で計画を修正。さらに2009年末に発表されたVW社との資本提携も、ことキザシにとっては逆風となってしまった。

    それでもすでに北米では2010年モデルとして販売を開始。現地ではSX4、ヴィターラ(日本名エスクード)と共に3本柱となるモデルなので、かなりの台数が期待される。評判も上々のようだ。

    一方、国内向けの右ハンドル車は受注生産のみ。販売実績(登録台数)はこれまでのところ、10月:35台、11月:122台、12月:79台、1月:68台となっている。

    価格帯&グレード展開

    オーディオ類を除き、ほぼ全部乗せで278万7750円

    受注生産となる国内向けキザシは、モノグレード。選べるのは駆動方式くらいで、FF車が278万7750円、最新型の電子制御4WDシステム“i-AWD”(電動パワーステアリングと協調制御する)を採用した4WD車が299万7750円となる。

    電動レザーシート、クルーズコントロール、前後パーキングセンサー、ディスチャージヘッドライト(ロー側)は標準装備。ただしオーディオやナビは未装着で、販売店アクセサリー等で装着することになる。


    ボディカラーは黒(スーパーブラックパール)、銀(プレミアムシルバーメタリック)、試乗車の白(スノーホワイトパール)の3色。銀色と白は3万1500円高

    なお発売後しばらくしてから、ミリ波レーダーによるプリクラッシュセーフティシステム付アクティブクルーズコントロール(ACC)もメーカーオプションで追加設定されている。スズキ車ではすでにエスクードで採用実績があり、機能的には一般的なレーダークルーズコントロールと同じものだ。

    【スズキ キザシ】 2.4リッター直4(188ps、23.5kgm)・CVT

    ・FF      278万7750円 ★今週の試乗車
     ※10・15モード燃費:12.6km/L

    ・4WD      299万7750円
     ※10・15モード燃費:11.4km/L

    パッケージング&スタイル

    欧州車に負けない、存在感のあるスタイリング


    ダックテール状に後端がつままれたトランクリッド。分割したパネルをレーザー溶接でつないでいる

    実車を前にすると塊感が強く、「厚み」を感じさせるのが印象的。左右に張り出したフロントフェンダーと相まって、前から見ると新種のクロスオーバーSUVみたいにも見える。

    また235/45R18というタイヤもこのクラスでは異例とも言える大きさ。なにしろ新型ゴルフのGTIでも225/45R17、シロッコの上級モデルですら235/40R18で、それよりも外径が大きい。スタイリング的にはこれがかなり効いている。

    ただ全体としては「プレミアム」感を目指したというより、質実剛健さを残している。メッシュ風フロントグリル(一見、無塗装だが、実はダークメッキ処理)やウインドウの周囲にクロームメッキをあえて使わなかったのが象徴的だ。

    グローバル規格のボディサイズ

    ボディサイズは全長4650mm×全幅1820mm×全高1480mm、ホイールベースは2700mm。ライバル車と共に小さい順(全長を基準)で並べてみると、

    VW ジェッタ     (4565×1785×1470mm WH:2575mm)
    <トヨタ アベンシス (4645×1760×1480mm WH:2700mm)
    スズキ キザシ  (4650×1820×1480mm WH:2700mm)
    <アウディ A4    (4705×1825×1440mm WH:2810mm)
    <VW パサート   (4785×1820×1490mm WH:2710mm)
    <トヨタ カムリ    (4815×1820×1470mm WH:2775mm)

    となる。特に全幅あたりは完全にグローバルサイズだ。

    インテリア&ラゲッジスペース

    文句なしの内装質感。装備もてんこ盛り

    インテリアも外観に負けず劣らず品質感が高い。目新しさこそないが、ダッシュボードに施された定番の革シボ加工、光沢を抑えたサテンメッキの加飾パネル、樹脂パーツに施されたマット調の表面仕上げ、そしてステアリングからドアインナーハンドルまで手触りのいいレザーを使うなど、Dセグ車でやるべきことは全部やっている。夜間にはLED照明がシフトレバー周辺を照らすらしい。

     

    精緻なレタリングのメーター。速度計は240km/hまで刻まれる

    機能装備も文句なし。ナビやオーディオこそ販売店オプションだが、雨滴感知式ワイパー、オートライト(短いトンネルでは点灯しない新方式)、自動防眩式ルームミラー、デュアルゾーンエアコン、平均燃費等の情報ディスプレイ(ステアリングスイッチで操作)などを標準装備。ステアリングにはパドルシフトも付いている。

    電動レザーシート標準。運転ポジションも決まる

    内装の主役と言えるのが、全車標準の電動レザーシート。レザー自体の質感もよく、一部にダブルステッチを使うなど高級感も十分。調整はフル電動で、運転席側が座面角度やランバーサポートの調整を含む10方向(メモリー機能付)、助手席が4方向に動く。またステアリングにはチルトとテレスコもあるので、ポジションは誰でも思った通りに決まるはずだ。300万円未満のセダンとしては、かなり奢った装備では。

    あえて言えば、レザーシートに付きもののシートヒーターが4WD車のみで、2WD車ではオプションでも選べない点、そして助手席側では座面の高さを手動でも調整できない点がちょっと残念。

    後席はジェッタというよりパサート並み。9エアバッグを標準装備

    後席はかなり広々。2700mmのホイールベース、1820mmの全幅、1480mmの全高とアーチ状のルーフが効いていて、居住性はVWで言えばゴルフやジェッタではなく、上級のパサートに近い。

    なおリアシートはメイン(中央部)の一部のみ本革で、他は合成皮革とのこと。しかし最近のフェイクレザーはすごく出来がいいので、たいていの人は言われない限り気づかないはずだ。

    エアバッグは前席フロント×2、前席サイド×2、カーテン×2、後席サイド×2、運転席ニー×1の計9個。このあたりも欧州の最新Dセグメント車と完全に並んでいる。

    トランク容量は小さめだが、トランクスルーはOK

    トランク容量は432リッターと、ライバルのFF車より小さめ。側突対策を含めたボディ剛性確保のためか、荷室側面から上部にかけての出っ張りが原因か。ちなみにアルファ159は405リッター、アウディA4は480リッター、アベンシスは520リッター、ジェッタは527リッター。パサートは565リッターでダントツ。

     

    さらにアームレスト部分の貫通のほか、6:4分割のトランクスルーも可能。後席側でロックを外し、背もたれを倒すだけのタイプ。

    床下には発泡スチロール製のボックスに工具と小物収納スペースがあり、その下にスペアタイヤを搭載する。

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