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日産 ラフェスタ 20M新車試乗記(第351回)

Nissan Lafesta 20M

(2.0リッター・CVT・199万5000円)

 

2005年01月28日

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キャラクター&開発コンセプト

SHIFT_ open feeling(開放感をシフトする)

2004年12月2日に発売された日産ラフェスタは、3列シート・7人乗りのミニバン。実質的に“パパママ”リバティの後継車で、5ナンバー&両側スライドドアも受け継ぐ。しかし今時それだけではインパクトが薄い。そこで新たに「シフト(アンダーバー)」されたのが「open feeling(開放感)」だ。具体的には、大型パノラミックルーフ(ガラスサンルーフ)を全車標準とし、乗員すべての開放感を追求。このパノラミックルーフが、カタログでもテレビCMでも最も強くアピールされている。

シャシーはメガーヌと共有

シャシーは通称「Cプラットフォーム」と呼ばれるルノー・メガーヌIIのもの。日産車がルノーのシャシーを使うのはこれが初。サスペンションも基本は共通だが、補強は日産独自で行った。いずれにしても日産とルノーはかなり互換性や相互補完性のある開発体制を進めているようだ。駆動系は新開発のMR20DE後方排気エンジンと、同じく新開発のCVTで統一。

車名「ラフェスタ(LAFESTA)」は、イタリア語の「祝・休日」「楽しいできごと」が由来。広告キャッチフレーズは "Big view design" 。CMではライザ・ミネリが唄い、フランク・シナトラがさらにカバーした「ニューヨーク、ニューヨーク」をバックに、パノラミックルーフ越しの摩天楼を映し出している。販売目標は月間5000台。

価格帯&グレード展開

おおよそ200万円前後

3グレード展開で、ベーシックの「20S」(185万8500円)、主力の「20M」(199万5000円)、専用バンパーやインテリア、ルーフレール付の「PLAYFUL」(205万8000円)。つまり素の状態ならおおよそ200万円前後だ。予算に余裕があれば、カーウイングスナビやインテリジェントキー(しめて30万円ほど)はぜひ追加したいところ。パノラミックルーフ「レス」仕様なら7万3500円安い。4WDは25万2000円高。

パッケージング&スタイル

5ナンバーサイズで背が低い

ボディサイズは試乗車の20M(FF)で全長4495mm×全幅1695mm×全高1600mm。全長は短く5ナンバー幅で、取り回しは優秀。最小回転半径5.1メートルはこのクラスでは抜群に小さい。印象的なのは背の低さで、両側スライドドア車としてはかなり低く、ボディが薄く見える。

ホイールベースはメガーヌ(2625mm)より延びて2690mm。スクエアなリアスタイルが日産のラシーン(1994年)を思い出させる。空力を捨てて、フロントもスクエアにしても良かったのでは? 最近のクールな日産車とは少し趣が違うが、北米で売られている現行クエストと少し雰囲気は似ている。あちらは全長5メートル超だが。

乗降性は良好。ガラスルーフは畳一枚分

インテリアは最近の日産車らしく個性的で面白い。シートの背もたれがすべて短く、2列目/3列目からの見晴らしがすごくいい。

全車、両側スライドドアとなるが、助手席側の電動機構はオプション(10万5000円)で、運転席側が手動のみとなるのはかなり残念。運転席側が電動だとドライバーにはとても便利なのだ。床はかなり低くので、乗り降りはたいへんしやすい。

 

この見晴らしをさらに良くしているのが、1500mm×800mmとほとんど畳一つ分の広さのパノラミックルーフだ。これが頭上にあるのは大迫力で、後席からの眺めは最高。サイズ的にはプジョー307SWに譲るそうだが、国内では最大級。ガラス部分は固定だが、4分割の電動シェードで開口は自由に調節できる。全部閉めれば、夏の暑さも心配ない。合わせガラス製で、もちろん紫外線を100%カットするUVカット機能付。

2列目が特等席。「ベビーフレンドリーモード」も可

2列目の居住性は高く、ここが間違いなく特等席だ。後席専用の風量調節付き空調吹き出し口も備える。また、運転席からセカンドシートの子供とコミュニケーションがとりやすいよう、セカンドシートを前にスライドさせた「ベビーフレンドリーモード」なるシートアレンジも可能となっている。

 

3列目シートはクッションが薄くて足元スペースもミニマムだが、見晴らしがいいのでけっこう耐えられる。サンルーフの効果がここでも大きい。家族や友達とワイワイ言いながらなら1時間くらいは耐えられそうだ。

基本性能&ドライブフィール

過不足ない動力性能

試乗したのは中間グレードの20M。と言っても、ラフェスタはエンジンも変速機も一種類しかなく、標準タイヤもすべて195/60R15サイズとなっている(オプションで16インチもある)。ここまで走りに関係する仕様を統一した例はちょっと珍しい。

インテリジェントキー(オプション)なのでキーはポケットに収めたまま、エンジンスタート。けっこう強力なトルコン付きなので発進は普通のAT車みたいだが、アクセル全開だとちゃんと?CVT(無段変速)らしくブォーーンと一定回転を維持して加速する。街中で普通に乗る限り、CVT特有の違和感はなく、クルマに興味のない人なら普通のトルコンATと区別はつかないだろう。車重は1440kg(試乗車)と重めだが、過不足ない動力性能と言える。

走りより快適性重視。心なしかルノー車っぽさも

とはいえ、他の2.0リッターエンジン+CVT車(トヨタ・アイシスやホンダ・ストリームなど)の走りが妙にスポーティなことを考えると、後発であるラフェスタの走りが明らかにいいとは言えない。実際、試乗中に、運転感覚が近いと思ったのは他社の1.5リッタークラスのCVT車だ。

逆に言えば、ミニバンらしく快適性重視の道を進んでいるのは、実はラフェスタだ、とも言える。実際、乗り心地はなかなかいい。完全にソフトではないが、路面からの大きな入力をドシャーンではなく、ドムッとしっかり受け止めるところなどは、ちょっとルノー車っぽい。

シャシーの素性はワインディングではっきり確認できた。サスペンションが固くない上に、タイヤもスポーツ系じゃないのに、見た目に似合わないペースで走ることが出来る。パワーステアリングのフィーリングも文句なし。弱アンダーを維持しながらステアリングを切るとちゃんと曲がり、リアタイヤも最後までついてきてくれる。また、パドルで操作できる6速マニュアルモードの反応も素速く、なかなか楽しい。自動シフトアップはしてしまうが、反対にシフトダウンもよく受け付けてくれるので、ここぞという時に不満なく走れる。

高速走行は毎度のことながらCVTの得意とするところで、低い回転域で巡航するから平和。急加速すると、うなるのはこれまたCVT。総じて法定速度プラスアルファで流すためのクルマというところだ。

ここがイイ

徹底した後席への気遣いがいい。エアコンの風を天井に向けて吹き出すことで、2列目もしくは3列目に風を送ることできる空調モードが備わるところ。2列目には風量調節スイッチ付き(HiとLo)のエアコン吹き出し口も備わる。一つのエアコンユニットで、後席の快適性までまかなう工夫が面白い。

そしてシートバックが低いのもいい。後席はとても開放感がある。シートは安全面からも体をホールドすべき大型たれ、という原則論があるが、このカジュアルな低さを支持したい。ただしヘッドレストの適正装着指導はしっかりすべき。

天井を覆いつくす? サンルーフがいい。乗る人みんなを明るく開放的な気分にさせるパノラミックルーフと大きな窓(プレスリリース)であることは確かだ。標準装備というのは英断。

「乗り降りしやすい両側スライドドアと小回りの利くコンパクトボディ」(プレスリリース)というパッケージングは確かにいい。電動スライドシート、インテリジェントキー、見やすい日産カーナビ、マグカップが置けるベビーフレンドリーモードなど実にいいです。

フランス車のようにヌメッと曲がっていくコーナリングもフランス車好きにはたまらないはず。

ここがダメ

操作しにくいシフトレバーはまずい。ウォークスルー時に邪魔なため短くしたらしいが、何度かミスシフトしてしまったし、指をはさんでしまうことさえあった。モーターアシストでシフト操作力を軽くしたので、メーカーは指でつまんで操作してもらいたいらしいが、それも裏目に出ている(やっぱり握ってしまって指を挟む)。早急に対策が必要と思われる。完全に電子制御シフトにしたBMWのiDriveの方が少なくとも指をはさまない分いい。

立派なパドルシフトが付くが、それを使うにはシフトレバーにこっそり備わるボタンを押す必要があるのはなぜ? ポルシェのようにパドル操作で自動的にマニュアルに移行、しばらく操作が無ければATに自動復帰、という方法がベストだろう。

重いスライドドア(運転席側後席)もちょっと。電動でなければ、せめて操作力だけでも軽くすべき。重いといえば、走りもやや重さを感じさせるもの。アンダーパワー感までフランス車と同じようにするのはちょっと。

総合評価

ラフェスタはユーザーを子供のいるファミリーとしている。それに特化した作りであるがゆえ、単なるクルマ好きにはなかなか評価しづらいクルマだろう。主役はセカンドシートの住人であり、全てがそのために作られているわけだ。例えばシートバックが低いのは前方を見晴らしやすいようにだし、センターコンソール高めにあるディスプレイは、後ろの子供からでも見やすい。もちろん特徴である巨大なサンルーフは圧倒的に後席のためのもの。空調も前述のように後席を重視している。この風を行き渡らせるためにもシートバックは低い方がいい。またシートバックが低いことでシートをたたむアレンジが楽で、フルフラットにする事も可能。クルマを止めたときはそこで遊べる。

スタイリングの地味さも多くの子育て世代には、けして悪い話ではない。全ての人がおしゃれな生活、目立つ服装を好むわけでなく、そうした生活臭のあるクルマはできれば凡庸なスタイルがいい。子育て中もファッショナブルなお母さんはいないこともないが、基本は髪を振り乱して育児に、家事に奮闘することになるはずだ。そんな生活のパートナーとして、気負って乗らなくてはならない、かっこいいクルマは不要だろう。その点では地味なラフェスタは最適とも言える。ライバルになるアイシスも考えてみれば地味なスタイリングだ。このあたりは設計者の隠れた意図が見える。デザインの日産がなぜこんなに地味なスタイリングのクルマを、という疑問はそう考えれば解けなくもない。

そうしたクルマである以上、パワー感やコーナリング性能などはさほど問題ではないし、むろん特に不足があるわけではない。それよりフランス車っぽい緩い乗り心地は、このクルマにはぴったりだ。つまりクルマ好きには評価しづらくても、必要とする人には見事に適合するクルマといえる。電動スライドドアも、狭いながらも座れるサードシートも、このクルマには必需品なのだ。

例えば30才前後の夫婦で小さな子供を二人持つ家族が、クルマにあまり興味のない60才前後の父母が待つ実家へ帰省したとしよう。実家はおそらくミニバンを持ったことのない世代。電動スライドドアでまず驚かせ、インテリジェントキーでさらに驚かせる。音声認識のカーナビやサイドビュー&バックビューモニターを感心させ、走り出せばジジババ子供の後席4人はグラスルーフの楽しさを満喫できる。あまり派手じゃないから、ご近所の目も気にならない(田舎へベンツで帰省したりすると問題が多い地域は、今でも確かにある)と、これで200万円なら、デフレも悪くないと思えてくる。

クルマは乗る人を写し出す鏡だ。とはいえ誰でもオシャレで目立つクルマが欲しいと思ったら大間違い。ラフェスタが提案する、派手じゃない暮らしを欲する人(それを表すクルマが欲しい人)は、かっこいいミニバンで自分と家族を演出したい人の倍以上いるのではないか。クルマは目立たず、それでいて機能的な方がいい、そういう人のためのミニバンがラフェスタだ。これはこれで大正解。絶対に満足できるはず。ただ一つ注文を付けるなら、シフトレバーはいっそボタン式にすべき。この短さでは、もはやシフトのためでなく単なるセレクターだし、クルマを便利家電感覚にするためにも、シフトレバー廃止を提案したい。

試乗車スペック
日産 ラフェスタ 20M
(2.0リッター・CVT・199万5000円)

●形式:CBA-B30●全長4495mm×全幅1695mm×全高1600mm●ホイールベース:2700mm●車重(車検証記載値):1440kg (F:860+R:580)●乗車定員:7名●エンジン型式:MR20DE●1997cc・DOHC・4バルブ・直列4気筒・横置●137ps(101kW)/5200rpm、20.4kgm (200Nm)/4400rpm●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/55L●10・15モード燃費:15.0km/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:195/60R15(YOKOHAMA ASPEC)●価格:199万5000円(試乗車:256万4100円 ※オプション:キセノンヘッドランプ 5万2500円、バックビューモニター 2万8350円、サイドブラインドモニター 2万1000円、カーウイングスナビ 26万2500円、インテリジェントキー 5万2500円、プラズマクラスター&セカンドシート吹き出し口 1万5750円、ETCユニット 3万1500円、助手席側電動スライドドア 10万5000円)●試乗距離:約140km

日産>ラフェスタhttp://www2.nissan.co.jp/LAFESTA/top.html

 
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