Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > ルノー ラグナ 5ドア V6

ルノー ラグナ 5ドア V6新車試乗記(第268回)

Renault Laguna 5 Door V6

(3.0リッター・365万円)

2003年05月17日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

2年遅れて導入

「ラグナII」こと2代目ラグナは、フランス本国で2001年1月に発売、日本には2年遅れの03年1月に導入された。フランス車らしく、5ドアハッチバックとワゴンの2種類で展開。ちなみに「ラグナ」とは、スペイン語で「潟」とか「大きな池」を意味するようだが、愛知県にはトヨタも出資する「ラグーナ蒲郡」という海浜レジャー施設がある。メガーヌには音引きが入るのだから、ラグナもラグーナの方が自然に思えるのだが。

昔はすべて数字だった

大まかにルノーの中型セダンの歴史を振り返ってみると、やはり最初は日本でノックダウン生産された「日野ルノー」こと4CV(1947~61年)だろう。その後はドーフィン(56~68年)、レースで活躍したゴルディーニで有名な「8」(62~71年)、リアエンジンから前輪駆動に転換した「12」(69~80年)、その後継となる「18」(78~86年)、そして「21」(86~93年)とつながる。いずれも地味だが、欧州では成功したクルマばかりだ。

初代ラグナはルノー21の後継車として1993年に本国デビューし、94年に日本上陸。角張った21から一転して丸みのあるスタイルに包まれた初代ラグナは、実用性に優れたセダンとして欧州では手堅くヒットした。

余談だが、90年頃からルノーは車名を数字で表すことを止めて、クリオやサフランといった名前をつけるようになった。プジョーは未だ3桁数字だし、シトロエンもエグザンティアからC5やC3というように記号に戻っており、ワールドワイドに売るとなると、数字の方がかえって都合のいいことが多そうではある。クリオは商標の関係で、日本ではルーテシアとなっている。

価格帯&グレード展開

セダンとワゴンで、315~375万円

日本に導入されるのは3種類。3.0リッターV6を搭載する「5ドア V6」(365万円)と「ワゴン V6」(375万円)、そして2.0リッター4気筒の「ワゴン 2.0」(315万円)だ。3.0リッターは5速AT、2.0リッターは4速ATとなる。

欧州仕様のエンジンは、1.6、1.8、2.0の4気筒、3.0のV6、1.9と2.2のディーゼルと、超ワイドなラインナップ。グレードも「オーセンティック」「ダイナミック」「エクスプレッション」「プリヴィリッジ」「イニシャル」と多種多様だ。なお、本国ルノーのフラッグシップは、すでに発売中のヴェル・サティス。トップグレードは日産のVQ35DEを搭載する。こちらの日本導入予定は今のところ無い。

パッケージング&スタイル

見た目はコンパクト

全長4580×全幅1790×全高1435mmは、先代より80mm長く、45mm幅広い。幅としては堂々の3ナンバーだが、見た目は5ナンバーかと思うほどコンパクトだ。威圧感のないデザインがそう見せるのか。大きさはプジョー406やシトロエンC5とほぼ同じ。ドイツ車だとアウディA4やオペル・ベクトラ、日本車では日産プリメーラがサイズ的には近い。

大人っぽいインテリア

インテリアは微妙な曲線を持つメタル調の樹脂で、うまく質感を出している。日本車にはないセンスだ。スタートボタンやハザードスイッチの照明も気の利いたデザインで、安っぽくない。ドアノブのつや消しアルミ調仕上げもシックだ。12V電源はシガーライターを含めてなぜか4つも装備している。

未来の鍵「マルチファンクションカード」

クレジットカードのような形状(厚さは4mmもあるが)の「マルチファンクションカード」は、ルノー版の最先端カードキー。センターコンソールのスロットにフロッピーディスクよろしく差し込むと、コンピューターがIDコードを認識してイモビを解除、これで「Start」ボタンを押せば、エンジンが始動する。スロット周りの洗練されたデザインもあいまって、とても未来的だ。しかも助手席側から見える場所にスロットやスタートボタンが配置してあり、隣の人にもさりげなく自慢できる。

カードはキーレス機能付き。本国ではドアノブに触れるだけでアンロックできるハンズフリー仕様もあるようだが、日本では電波法の関係で採用されない。いずれにしても鍵穴は基本的に無く、防犯には有効だ。ただし、電池切れに備えてカードキーには普通の金属キーが内蔵されており、実は助手席ドアにカバーで隠された鍵穴がある。エンジン始動の際は、IDを認識するだけなので電池切れでも問題はない。

シートはルノーが世界一?

2750mmのホイールベースは先代より80mm伸びたが、今やこのクラスでは平均的。室内も特に広々しているわけではないが、結論から言って前席、後席ともに、居心地は素晴らしい。シートの座り心地は「フランス車」の期待を裏切らないもの。ルノー独特のソラマメみたいな形のヘッドレストのフィット感も良いし、レザーシートのちょっと変わったデザインや風合いが実に楽しい。何とちょっとしたフリルまでついている。シトロエンやプジョーがさほどでもなくなった昨今、クラスを問わず今やシートはルノーが世界一、と思わせる。後席の左右に、巻き込み式のワンタッチ収納式サンシェードを備える。昔からあるものだがやはり便利だ。

ユーロNCAPで5つ星の安全性

左右独立式オートエアコンや電動シート、クルーズコントロールといった快適装備に加え、8個のエアバッグなど安全装備も充実。安全性もセールスポイントの一つで、ラグナはユーロNCAPの衝突安全性で初めて5つ星を獲得したクルマ。ちなみに5つ星は他に、同じルノーのヴェル・サティス、メガーヌII(今秋、日本導入予定)、そしてメルセデスのCとE、サーブ9-3くらいしかない(02年末時点)。

基本性能&ドライブフィール

パワートレインはアヴァンタイムと一緒

試乗したのは3.0リッターV6のセダン。エンジンは「L7X」ユニット、変速機はアイシンAW製5速ATと、つまり先ごろ生産中止が発表されたアヴァンタイムと207ps、28.5kgmの数値も含めてまったく同じだ。違うのは1790kgのアヴァンタイムに比べて260kgも軽い1530kgの車重で、よって加速はラグナの方が軽快だ。

ATは基本的に2000回転以下をほとんど使わないセッティングで、そこから上はトルク感こそないものの、レッド6400回転まで滑らかに回る。2速、3速の守備範囲がまあまあ広いので、カチャカチャとマニュアルシフトする必要はほとんどない。

物腰柔らかな高速ツアラー

スピード域を問わず、乗り心地はクラスを越えて最高レベルだろう。ノイズや振動も小さい。足まわりはソフトだが、高い接地感が頼もしい。電動油圧式パワステは終始軽いが、正確さやフィーリングは優れた油圧式に劣らず、とてもいい。ESPの介入はインパネの表示を見ないと気付かないくらい自然で、その頃にはそうとうハイペースで走っている。そう言えば、トルクステアもまったく気にならなかった。

高速走行でもその快適さはどこまでも続く。少なくとも日本の高速道路で巡航できる速度なら、ひたすら快適で安定している。100km/h巡航は1800回転強とハイギアリングで、本国発表の最高速は146mph(235km/h)とかなりの高速型。120㎞/hを越えたあたりからは少し風切り音が気になり、いわゆる静かな室内ではなくなってくるが、少しステレオのボリュームを上げれば、快適な空間は維持できる。

ここがイイ

フランス車らしさを満喫できる。絶妙なシート、広い後席、伝統の地味なハッチバックボディ、60㎞/hあたりまでトップに入らないATプログラム、コンソールのオーディオをカバーするフタ、ロールせずに曲がってゆくコーナリング、相当よくなったもののハイクォリティというところまでは行かないプラスチック類のクォリティなど、C5よりフランス車ぽい。衝突安全性も5つ星だ。

カード式キーはオーディオのフタと並んで、盗難が多い(らしい)フランス車ゆえの先進装備。日本も10年前くらいまでは平和だったが、今やフランスを上回りそうなほど物騒になってしまったので、日本車にも早急に装備してほしいものだ。このカードキーは本国仕様ではメモリカードの役目もするよう。車歴がこのカードに記録されるなんてことは、当然あってしかるべきだが(これならメーター戻しもできないだろう)、ハイテク日本ではなぜか装備が進まない。カードキーがだめでも、今やキーレスエントリーはほとんど標準装備に近いのだから、ラグナのようにとっとと鍵穴を無くして欲しい。

ここがダメ

しかしカードキーとセットのハンズフリー機能が日本で使えないのは魅力半減。またオーディオのフタがあるがゆえ、カーナビの取り付けは絶望的。ダッシュボード上にも無理。久々に見たカーナビ取り付け不可のダッシュボード形状だ。今時の新型車としては、ちょっと辛いところ。1DINサイズ画面セリ下がり型カーナビの出現を望むほか無い(これならオーディオ上段の1DINに入りそう)。

フィーリングはいいパワステだが、鋭角に切り込んで急加速したとき、戻り(センター復元力)が悪くてヒヤッとした。そして加速のためキックダウンした後、アクセルを戻してもシフトアップしないプログラムも、日本車から乗り替えると相当違和感があるだろう。まあこれもフランス車らしい味なのだが。

総合評価

RX-8に乗ってからすぐ、今度はラグナに乗った。「なんということもないセダンだけど、RX-8より良かったりして」なんて軽口をたたいてから試乗したのだが、それは当たらずとも遠からずだった。むろん同じ土俵で評価すべきクルマでは全くないが、RX-8への興味と人気の絶大なる盛り上がり方に比べ、地味きわまりない存在のラグナも、乗ってみれば乗り心地が良く、適度にスポーティで、先進装備も多く、よく見りゃなかなかカッコいい。特にシートが絶妙ゆえ、国産車も含め、このクラスのセダンとしてはベストに近いだろう。どっちが欲しいかと問われると、結構悩む。

カーグラフィック2003年3月号のレポートでは、プジョー406、パサートV6、ジャガーXタイプと比較してレポーターは一番に押していたが、そこにシトロエンC5を加えてもモーターデイズは同意見。ただし、購入時に400万円近いお金を出す割に、セダンに必要なブランド感やステイタス感が全くないので、自分で買いづらいのはもちろん、なかなか人にも勧めにくい。ルノー・ジャポンとしてもあんまり売れないからブランド力を向上させる活動もできず、そういうことをしないからブランド力も上がらない、というジレンマだろう。ここ10年の日本におけるルノーは輸入が途切れ、それを立て直すべくヤナセが(嫌々ながら)正規輸入元になり、そのヤナセも傾いたと思ったら今度は日産が、と蛇行運転を続けている。ほんとに惜しい。

日産立て直しに成功して、ゴーン氏がルノー社長となったとき、勝手知ったる日本市場でルノーの大攻勢が始まるのかもしれない。ただしその頃のラグナIII? は、プラットフォーム共有しまくりで、日産車と大差ない乗り味になっているかも。その意味では、今のルノーを買うことがクルマ好き(というかフランス車好き)にとって正しい道というものだろう。ハードウェアとして買って損はないと断言できるが、値落ちを含め金銭的には相当きつい。それを納得できるなら、ぜひ。

試乗車スペック
ルノー ラグナ 5ドア V6

●形式:GH-GL7X●全長4580mm×全幅1790mm×全高1435mm●ホイールベース:2750mm●車重(車検証記載値):1530kg(F:1020+R:510)●エンジン型式:L7X●2946・DOHC・V型6気筒・横置●207ps(152kW)/6000rpm、28.5kgm(280Nm)/3750rpm●10・15モード燃費:ーkm/L●駆動方式:前輪駆動●タイヤ:205/55R16(Michelin Pirot Primacy)●価格:365万円(試乗車:同じ)

公式サイトhttp://www.renault.jp/

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

最近の試乗記一覧

関連コンテンツ一覧