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三菱 ランサー セディア新車試乗記(第125回)

Mitsubishi Lancer Cedia



2000年06月02日

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キャラクター&開発コンセプト

ワンクラス上まで取り込む5ナンバーセダン

「セディア」のサブネームを冠した新しいランサーは、これまでのランサーとミラージュ・4ドアセダンに代わる5ナンバーセダン。従来、ランサーはギャラン系ディーラー扱いとなる他、姉妹車としてカープラザ系ディーラー向けにミラージュ4ドアを用意していたが、今回、これを新たに「ランサー・セディア」という車名で統一したわけだ。これは混乱していた車種を整理するともに、イメージの奪回、車格の向上を図るのが狙い。そのコンセプトは「5ナンバーセダンの新しいスタンダード」で、三菱の最新技術を注ぎ込んだ新世代パッケージング&パワートレーンが最大のポイントとなる。一回り大きなセダンとして生まれ変わったわけだ。

排気量は1.8リッターと1.5リッターの2タイプ。もちろん三菱お得意のGDI。組み合わせられるギアボックスは三菱初となる無段変速機CVTを全車に採用する。駆動方式はFFのみ。乗車定員は5名となる。

なお、「セディア」とはセンチュリーとダイアモンドからなる造語。そこには21世紀に向けて三菱の新しいセダン像が込められているという。

価格帯&グレード展開

シンプルなグレード構成。値下げ敢行

旧型と比較して非常に分かりやすいグレード構成に整理されており、1.5リッターが安い方から「MX」「MX-E」「MX-S」の3タイプ。1.8リッターが「SE-G」「SE-R」そしてCVTに6速マニュアルモードを採用したスポーティーグレード「Touring」の3タイプが用意される。旧型と比較して非常に分かりやすいグレード構成に整理されている。

ディオンと同じく、かなり大胆なバーゲンプライスとなっている。例えば旧型のMXが135.8万円だったのに対して新型のMXは123.8万円としており、10万円以上の実質的な値下げを敢行。

本来、ライバルは今年フルチェンジを控えるトヨタ・カローラ、ホンダ・シビックなどだが、今回の車格の向上により、さらにワンクラス上のミディアムセダンもライバルとして取り込むことになる。

パッケージング&スタイル

典型的な3BOXスタイルだが、サイズアップでライバルの一歩先を行く

ベースとなったのはミラージュ・ディンゴ。5ナンバーサイズを基本としつつもキャビンフォワードデザインを採用したボディのサイズは、全長4360mm×全幅1695mm×全高1430mm、ホイールベース2600mm。最上級グレードは大型バンパーの採用により全長4480mmとなる。

旧型比で全幅こそ5mm増に抑えられているものの、全長では+70mm(大型バンパー車は+190mmも!)、全高で+35mm、ホイールベースは100mm延長されている。ノーズの角を切り落として取りまわし性を高めたダイアモンドカットノーズと呼ばれる顔つきは、高い品質感とメリハリを利かせた精悍さを醸し出すもの。また、このクラスとしては非常に贅沢な4灯一体化ヘッドランプを採用するのも注目に値する。デザイン的には大きな冒険はないが、車格のアップが狙いということは、想像に難くないはず。

ベースモデルの車重アップでランエボどうなる?

このようにランサー・セディアは完全に1ランク上の上級セダンに生まれ変わった。立派になりすぎたことには賛否両論あると思うが、それより個人的に気になるのがエボリューションVIIについて。セディアの車重は装備が増えたこともあるが、旧型より100kgも重くなっているのだ。ランエボVIIはいくら軽量化させるとはいえ、現行のエボVIからの車重アップは避けられないはず。三菱ってクルマを大きくすることや、装備を過剰にすることについては得意だが、軽量化になると“ちょっと”というところがあるだけに心配してしまう。グループCではなく、WRカーとして戦うつもりなのか? それとも280馬力規制の乗り越えるのか? 興味津々である。

ロングホイールベースを生かした広々キャビンは、上質かつクリーン

ボディが大きくなっただけに、室内は当然広くなっている。室内長で+75mm、室内高で+10mm。この他、ヒップポイントも高くするなど、旧型を否定するかのごとく全ての設計が改善されている。快適性は5ナンバーセダンとして申し分のないものだ。

photo_3.jpgその広さをさらに強調するのが、大きく前傾した水平基調のシンプルなインパネだ。台形のセンターパネルに操作系を集中化させており、最上部には7インチのMMCS(車両情報も備える三菱独自のナビシステム。全車にオプション)を配置。メーターはハイコンストラスト、トヨタで言うところのオプティトロンを採用。ちょっぴり未来的だが、比較的落ち着いたムードを作り出している。この感覚は多くの人に受け入れられそうだ。

内装色はグレードによってブラウン系とダークグレー系を用意しており、その質感は、外観と同じく同クラスの中ではかなり高いもの。が、高級車と呼べるほどは上質でないのも確か。なお、トランク容量は430リットルとクラストップを謳っており、セダンには珍しくアンダーボックスを備える。さすが元RV王国!

基本性能&ドライブフィール

セディアの目玉、三菱初のCVTは、GDIと相性バッチリ!

エンジンラインナップは、1.3~1.8ターボまで多彩に揃えていた旧型とは一転し、直4の1.5リッターと1.8リッターの2本立てというシンプルな構成となった。もちろん2つとも実績のある自慢のGDIで、最高出力/最大トルクはそれぞれ、100PS/137kgm、130PS/18.0kgmを発生する。ガソリン指定は1.5がレギュラー、1.8がプレミアム(レギュラー使用も可)となる。

これらのエンジンに組み合わせられるギアボックスが、三菱初となる無段変速機CVTだ。学習制御機能を持ち、その名も「INVECS II」。直噴エンジンのトルク制御精度が高く、低燃費域が広い特徴と、CVTの幅広い変速比を連続的に制御できる特徴を高レベルで融合させた現在、最強の省エネパワートレーンといっていいだろう。実際、様々なエネルギーロスを大幅に低減させることで、従来のGDI+ATよりも約10%燃費向上を実現しているのだという。10・15モード燃費で17.6km/h(1.5リッターの場合)と、ここでもクラストップを謳っている。

ちなみに、このCVTは自社製。そのために新たにラインを製作したという気合いの入れようだ。三菱車の2リッター以下のモデルは順次、CVTに切り替わっていくとのこと。今回、敢えてCVT以外の選択肢を省いたという強引なCVTの拡張戦略は、賛成できるところ。

なお、今後登場予定のランエボVIIには、これらGDI+CVTではなく、従来型の2.0リッター直4ターボが搭載されるらしい。

6速モードを持つスポーツグレードは、ワンクラス上の上質な乗り心地

まず、はじめに試乗したのは最上級であるのと同時にスポーティーグレードでもある「Touring」だ。このCVTには、通常のDおよびDsモードの他に、さらに6速マニュアル操作が可能となる。ギア比は2.319~0.455で、5速(0.700)と6速(0.455)がオーバードライブとなる。

クリープ現象のある出だしは、非常に滑らかで快調。CVTというのは、アクセルペダルを強く踏み込むとエンジン回転だけが上昇し、あとからスピードがのってくるという共通の特徴(弱点)があったものだが、セディアはその時間差がほとんどないというのも特筆すべき点。というのも、従来のCVTならエンジン回転だけが先行するようなアクセルの強い踏み方でも、セディアのCVTはギア比が一気にロー側に移行しないように制御されているのだ。このため、アクセルを全開にしても、エンジンの回転は鈍いというケースも出てくる。時間差からくる違和感からは開放されても、結果的にはストレスを感じないわけでもない。

まぁそれも、6速モードを選択すれば解消だ。シフトチェンジはレッドゾーンを越えない限り、何段でも瞬時に可能。乗り心地はソフトタッチながら足回りは適度に締まっており、ロールは自然。グリップ状況が掴みやすく、非常に素直なハンドリングをみせる。とにかく、全てが丁度いい具合に味付けされている。パワーそのものは知れたものだから、ひどく挙動を乱すこともないし、何より6速のギア全てが公道で使えるというのが嬉しい。

高回転まで回すとCVT特有の金属音がやや気になるが、エンジン音は抑えられており、日常域には静粛性は高いレベルにある。上質なファミリーセダンの名に恥じない上質な走りといっていいだろう。

量販グレードの「MX-S」は、「Touring」に比べて乗り心地はさらにソフトになり、ここ一発という加速が欲しいときはさすがにモノ足りなさを感じる。全体に車格が半ランクぐらい下がった感じだ。しかし、ファミリーセダン本来の性格を思えば、これで十分ともいえる。

ここがイイ

ついに三菱もCVTを採用したこと。以前も書いたけれど、モーターにも通じるCVTのフィーリングは、うまくやれば通常のATを間違いなく超える。あのトヨタもオーパでついにCVTを採用している。

そしてオーパよりタッチの差で早く、相性バッチリのGDIとCVTを組み合わせたことは評価。元々直噴は電子制御されたエンジンなので、その燃焼情報をタイムロスなしにCVTのプーリーの幅を決める油圧制御装置に伝え、最も効率のいいところだけを使って走ることができる仕掛けだ。この一連の制御をひとつのコンピュータチップで行っており、低速(20Km/h程度)でロックアップできるCVTの特徴を生かして徹底的低燃費仕様としてある。理論上は文句なし。

ここがダメ

理論上は文句ないが実際の燃費はどうなのだろう。GDIはいうほど燃費が良くないというのが通説になっているが、これはエコゾーンをキープして走るのが難しいから。CVTはそれをクリアするためにひとつの回答だが、果たして。今回は燃費を計れなかったから、是非オーナーはレポートをお送りいただきたい。ちなみにエコランプをつけて走るには相当慎重な運転が必要だと感じた。

また、新たな時代に求められる新しい5ナンバー基準を徹底追及したとメーカーは主張するが、結局はボディの大型化、値段の安さしかアピールしきれていないようにも思う。大きく快適で安い、はミニバンには正しいが、セダンには正しいのだろうか。

総合評価

photo_2.jpg三菱の商品は毎度ながら、ホント良くできていると感心させられる。「GDI+CVT」をはじめとする三菱の最新技術が惜しみなく詰め込まれていることを考えれば、非常に意欲的で完成度の高い「良くできた」セダンだ。デザイン的には新鮮味はないが、これも大衆セダンの宿命と考えれば納得できる。ただ、ハードに偏りすぎなのか、“5ナンバーセダンの新しいスタンダード”というコンセプトの割には、新しい感動は何も伝わってこないと言うのも確か。意欲的だがあまりにジミ路線。ディンゴで先鋭的な人を狙い、セディアで保守的な人を狙うというマーケティングはわかるが、先鋭的な人は今、ディンゴみたいなセダンを求めているようにも思えるのだが。しかしダイムラークライスラーグループの中では三菱の技術は生きるはず。もしPTクルーザーの中身が三菱車なら、安心感が違うだろう。今後は期待してます。

公式サイト http://www.mitsubishi-motors.co.jp/

 
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