Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > スズキ アルト ラパン ターボ

スズキ アルト ラパン ターボ新車試乗記(第247回)

Suzuki Alto Lapin Turbo

 

photo_s.jpg

2002年12月07日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

大ヒットのラパンがちょっとパワーアップ

2002年10月17日に発売されたラパン・ターボは、ラパンに低中速重視の低圧ターボ、スズキ言うところの「M(マイルド)ターボ」を装着したモデル。デザイン変更を極力避けた外観が語るとおり、ラパンのスポーツ版ではなく、日常での使いやすさを狙ったものだ。

ラパンは本年1月末に発売された軽自動車。2001年末にデビューしたMRワゴンがベースだが、低く丸みのある箱型ボディなど、レトロ風ながら思い切ったデザインを採用。「自分の部屋にいるような」癒し系の内装も特徴だ。エンジンは54psのNA3気筒1種類でスタートした。

スズキ車ではワゴンRに次ぐ売れ行き

目標台数5千台だったラパンは発売直後の2月こそ3,171台と低調だったが、3月4,292台、4月に4,905台と右肩上がりで数字を伸ばし、5月には6,515台、6月にはなんと10,821台と1万台を突破。瞬間的にだが、この月にスズキで一番売れたクルマとなった。その後も6~9000台/月と売れ行きは絶好調。これは普通車を含む月間ベストテンに入ってもおかしくない数字だ。コンスタントに1万台以上を売るワゴンRには敵わぬものの、7月から10月までの実績ではスズキ車の2位をキープ。当初、ニッチ狙いと思えたラパンは、今やスズキにとって重要な稼ぎ頭だ。

価格帯&グレード展開

NAの4種類にターボが加わって計5タイプに

ラパンの自然吸気エンジンモデルは現在4種類。G(95万円)、X(106.8万円)、X2(109.8万円)、そして9月に追加された、外装にメッキ、内装に木目調パーツの「アルト ラパン モード」(108.3万円)。いずれも4WDはプラス12.2万円。

5万円でターボ(とその他イロイロ)が付く

新しく追加されたターボは111.8万円(4WDはプラス12.2万円)。装備はXに近いが、その価格差はたった5万円。それだけで馬力にして6ps、トルクにして2.1kgアップする。さらに前ブレーキはベンチレーテッドになり、タコメーターも付いて(代わりにアナログ時計が消えたのは寂しいが)、専用フロントバンパーにハロゲンフォグランプも装備と、すごくお買い得。ダメ押しは後席の背もたれが分割式になったこと。こりゃもう「ラパン買うならターボ買ってください」と言わんばかりの設定だ。

ちなみに4輪ABS(ブレーキアシスト付)は、NAと同じ2.5万円のオプション。これはぜひ付けたい。ナビシステム10万円、パールホワイト塗装の2万円アップも同じ。

パッケージング&スタイル

癒し系デザインはほぼそのまんま

昔のアルマイト製弁当箱をイメージしたというレトロデザインは、販売実績から見て間違いなく受け入れられたようだ。そこかしこに昔の名車のパクリ? もあるような気もするが、「S」エンブレムのウサギマークといった芸の細かさなど、遊び心が感じられて楽しい。

そのセンスはターボでも健在。普通ならエアロパーツや大径ホイールで武装するところを、ラパンターボはオリジナルの外観を出来る限りキープ。例えば、インタークーラー冷却用の空気取り入れ口だ。真下にインタークーラーがあるので、普通はボンネットにエアスクープを付けるが、ラパンターボはデザインにこだわってわざわざフロントのラジエーターグリルから空気を取り込む。タイヤもNAと同じ155/65R13。ホイールデザインも同じだ。外装でターボ専用となるのはフォグランプ付きバンパー、大型メッシュタイプのラジエーターグリルのみ。フォグランプの有無で見分けるのが一番簡単だ。

全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,505mmのサイズは変更なし。全高1,505mmは最近の新型軽自動車の中ではかなり低い方。ラパンやeKワゴンが売れてるということは、普通車同様、背の高いミニバン型軽自動車ばかりが売れた時代もそろそろ終わり、ということか?

増えたのは回転計とフォグ

内装でターボ専用となるのは、アナログ時計のあった場所にタコメーターが埋め込まれた他、後席シート背もたれが分割可倒式になった。

天井が高すぎない室内空間は、相変わらず居心地がいい。NAと同じシートも触感や形状が固めのソファのようで気持ちいい。サポートも適度にあるし。後席の広さもまったく文句なく、なにより全体の和みデザインが素晴らしい。

基本性能&ドライブフィール

800ccくらいの感じ。走っても癒される

試乗したのは2WD(111.8万円)。2.5万円のABSがオプションで付き、合計114.3万円のモデルだ。アクセルを踏んだ時の感覚は外観同様、ターボっぽくない。NA(54ps/6500rpm、6.4kgm/3500rpm)から馬力で1割増し、トルクで3割増しの60ps/6,000rpm、8.5kgm/3,000rpmだが、知らなければパワーに余裕のある自然吸気エンジンと間違えそうなほど。ターボラグはほとんどない。スズキ広報では「800ccくらいの排気量の感じを狙った」と言っていたが、まさにそんな感じ。車重はNAから20kg増しの810kgだ。

パワーがそんなだから、相変わらず乗り心地や操縦安定性のバランスも取れている。足はソフトで、コーナーではアンダーステアに終始。先週試乗した完全新設計のダイハツ・ムーヴと比べると、重厚感や安定性、しなやかさの点で一歩譲る感もあるが、ミニバンタイプのムーヴよりロールは少なく、まとまり感ではラパンが上。程よく自然なパワー感と重心の低さが良い方向に働いている。

高速巡航も余裕(NAもイイけど)

今回は高速道路をメインに合計約800kmほど試乗。ジャトコ製4速ATのトップ100km/h巡航は、約3,900回転。風向きによっては苦しいが、最高速はリミッター(ウエストゲートによって過給圧を下げる)が作動する135km/h前後。リミッターがなければ150km/hはかたい。となると、1リッター以上1.3リッター未満といった性能を秘めているといえそうだ。

130km/hで頭打ちのNAと比べると中間加速ではたいへん余裕がある。ギア比は最終減速比が5.482から4.897と約1割ハイギアードになっているので静粛性も高い。高速域で一番気になる音は、どちらかと言うと風切り音だ。これはボディ形状による部分が大きいと思われる。

電動パワステはやっぱり要改善

気になったのは相変わらず高速域で電動パワステが軽過ぎること。直進性は悪くないだけに、それさえ改善されれば高速巡航もさらに快適になるはず。完成度が高いだけあって、この点は惜しい。

いずれにしても、今ラパンを買うならターボでしょ、という感じだが、燃費はNAの方が良いはずだし(10・15モード燃費は19.0km/Lと1.6km/L優れる)、街乗り中心の人ならNA版をすでに買っていても後悔する必要はない、と言っておこう。

ここがイイ

ミニバンタイプでなくても十分広い室内。特にフロントスクリーンが立っていて、しかも前方にあるから、ドライバーの頭上及び頭部前方の圧迫感がない。普通のドラポジをとるとサンバイザーに手が届かないほどだ。これは小柄な人が乗ることが多い軽にはうれしい。シートを前に出しても空間が広いのだ。むろん、大柄な人が乗る場合も大きなメリットだが。

乗り心地の良さもなかなか。高速道路でも道路のつなぎ目のショックがきつくないからリラックスできる。

ここがダメ

試乗車に装備されていたクラリオン製のMD/CDプレーヤーは、結局試乗の最終時まで思うように使いこなせなかった(基本的にこういうものは、取り説を読まないようにしている)。ボタンの押し方の組み合わせで様々な機能がついているのだが、こちらとしてはシンプルにCDやラジオをいい音で聞きたいだけ。教会風の音場が作れたりするのだが、馴染めないのでノーマルに戻したいと思っても、直感的に操作できない。ラジオ局のプリセッティングも結局できなかった。こういうものを使いこなせないのはオヤジの証拠らしいが、ラパンのユーザー層である若い女の子なら使いこなせるのだろうか? 音はいいだけに、もっとシンプルな操作系が欲しいと思った。

総合評価

ラパンの良さはNAの時に書いたが、低圧ターボとなってもはや一部小型車を抜いた、といえそう。軽に800ccくらいのエンジンが載れば「ほぼ完璧なミニカー」になるというのは、業界の人なら誰もが考えていることだが、ラパンターボは低圧ターボでそれを成し遂げてしまっている。街乗りでは低回転域からのトルクでユッタリ走れるし、高速では130㎞/hの巡航が無理なくこなせる。このあたりは初期型1リッターヴィッツを凌いでいる。

今回、名古屋、東京間をこのクルマで往復するという試乗をしてみたのだが、流れの遅い日中の東名なら、全く問題なくついていけるどころか、流れをリードできるほど。様々なクルマでロングツーリングをするが、「軽」であるラパンターボも特に劣る印象はなく、快適に走り切れた。これならもう何処へでも行ける。ただ燃料タンクが30リッターで、25リッターあたりで警告灯がつくため安心巡航距離は300km(試乗時の実燃費は11.9km/リッター)しかなく、東京までの途中で給油する必要があるのはちょっと面倒だった。

しかしこうなると邪魔なのは速度リミッターだ。速い車に後ろにつかれた場合、車線を譲るのにもう一加速欲しいと思う場面が出てくる。リミッターの効くあたりでも5,000回転ほどで、エンジン的にはまだ余裕がある。軽自動車の制限速度は今や普通車と同じ100km/hなのだから、もはやリミッターをつける意味は無いように思うのだが。

いずれにしてもラパンターボは、低圧ターボによって軽の理想であった800cc並みのエンジンと、軽を感じさせない室内の広さと、ファンシーさという付加価値を持っている。ミニバン型を好まない軽ファンにとっては、理想のクルマといってもいいだろう。ただ、いいオヤジが乗るにはどうにもファンシーすぎる。東京モーターショーに出品されたウッドパネルを張った2ドアワゴンボディにこのエンジンを積んだ仕様の登場を熱望したい(ピックアップが出ればさらによし)。

試乗車スペック
アルト ラパン ターボ(3気筒ターボ・2WD・4AT)

●形式:TA-HE21S●全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,505mm●ホイールベース:2,360mm●車重:810kg(F:510+R:300)●エンジン形式:K6A●659cc・DOHC直列3気筒12V ターボ・横置き●駆動方式:前輪駆動●60ps/6,000rpm、8.5kgm/3,000rpm●10・15モード燃費:17.4km/L●タイヤ:155/65R13(ファルケン SINCERA SN-651)●価格:111.8万円(試乗車:114.3万円 ※オプション:ABS 2.5万円)

公式サイトhttp://www.mylapin.com/lapin_turbo/index.html

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

スズキ 最新の試乗記10件

最近の試乗記一覧

関連コンテンツ一覧