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スズキ アルト ラパン SS新車試乗記(第286回)

Suzuki Alto Lapin SS

(0.66Lターボ・5MT・112.3万円)

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2003年09月26日

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キャラクター&開発コンセプト

ボーイズバージョン加わる

2003年9月3日にラパンシリーズに追加された「SS」は、若い男性向けのスポーティモデル。4速オートマチックに加えて、ラパン初の5速マニュアル仕様を持つ。エンジンは64psの高圧ターボ、サスペンションは10mmローダウンの専用サスペンションで、タイヤはベース車の155/65R13から165/65R14にサイズアップされている。

目を引くのは専用の丸型ヘッドランプをはじめとする昔のボーイズレーサー風の外観だ。ボディのそこかしこに「SS」(ストリートスポーツ)のバッジが張られる。室内にはMOMOの革巻ステアリングやヘッドレスト一体型の専用スポーツシートも採用している。

アルトからラパンへ世代交代?

2002年1月に発売された「アルト ラパン」は、レトロ風ながら個性的なデザインの外装と「自分の部屋」感覚のインテリアを持った軽自動車。エンジンは54psのノンターボ3気筒でスタート。10ヶ月後には日常での使いやすさを狙った「Mターボ」(60psの低圧ターボ仕様)が加わっている。

当初の目標台数は月間5000台と設定され、発売直後となる2月の実績も3171台と、販売的にはそれほど期待されていなかったラパンだが、その後じわじわと台数を伸ばし、半年後にはなんと月間1万台を突破。瞬間的に月間のスズキ最量販車となった。2年目の今年もその勢いは衰えず、月間平均約8000台(1~8月)をキープし、ワゴンRに次ぐスズキの主力車種となっている。ただしその分アルト(月間約5500台)の影が薄くなっているとも言える。

シリーズ全体もマイチェン

「SS」の追加と同時に、ラパンはシリーズ全体がマイチェンされた。意外にも今までなかったベンチシート仕様を追加、この仕様のみ豪華にオートエアコンが装備される。また、NAモデルの一部車種は10・15モード燃費も改善された(19.0km/L→19.8km/L)。さらに内装カラーや素材を変更、外装色も追加された(シャーベットオレンジメタリック)。シリーズ全体の月間販売目標は1年半前の目標5000台から1.6倍に引き上げられて8000台とされた。

価格帯&グレード展開

Mターボ(60ps)より5.5~10万円くらい高い

ラパンSSは、5MT(112.3万円)と4AT(119.8万円)で、4WD車はそれぞれプラス12.2万円。「女の子むけ」?のMターボより、単純に言えば5.5万円高い。大幅トルクアップ(約3割増)のエンジンや1インチアップのタイヤといった内容を考えると割安感あり。ただしオーディオ(ヘッドユニット)がオプションとなるので、実際は10万円くらい差がある。ボディカラーは新色のグレー(アズールグレーパールメタリック。写真)など5色を用意。

シリーズ全体は、標準車の「G」(95万円)、装備充実の「X」(106.8万円)、そして新しく加わったベンチシート仕様の「L」(112.3万円)、「ベネトンバージョン」(109.3万円)や「キャンバストップ」(129.8万円)といった様々なモデルで構成される。

パッケージング&スタイル

ミニ・クラブマンにちょっと似

外観上の大きな特徴はフロントの丸型ライト。もともとレトロっぽいラパンにピッタリだが、何かに似てる…そう思って考えてみると、英国車であるミニの派生車種として登場したミニ・クラブマン(1969~80年)が頭に浮かんだ。と言っても、若い人は知らないと思うが・・・・・・。ミニのフロント部分のデザインだけ変更したモデルで、日本にも輸入された。

クラブマンはオリジナル・ミニのデザインを平凡にした感じで、結局人気は出なかったが、ラパンSSの場合、少なくとも丸型ライトはクルマ全体のイメージにマッチしていて、よく似合っていると思う。

「SS」復活!

メッシュ(金網)のラジエターグリル、Mターボ車のものより一回り大きな丸型フォグが埋め込まれたバンパー、14インチのアルミホイールなどが「往年のスポーツカーのイメージ」(スズキ資料)を演出。ボディの前後左右、そして速度計に配された「SS」のサブネームは、メーカーに関わらず1960~70年代のクルマ(特に軽自動車)のスポーツグレードに多用されたものだ。1960年代末のスズキ・フロンテのトップグレードも「SS」だった。

こだわりの内装

ある意味、内装の変更は外装より大掛かり。まず、コラムシフトだけだったラパンにマニュアルシフトのレバーを設置するため、フロア構造を設計変更。ギリギリのコストでやっている軽自動車、そしてスズキにとって、これはそうとう気合いが必要なことだと想像する。

 

シートは専用のヘッドレストの一体型セミバケットシートで、よく見ると赤いステッチがオシャレ。運転席シートはダイヤルで調整できるランバーサポートを備える。ステアリングはMOMO製の革巻、速度計とタコメ-ターもちょっと昔風の目盛りとレタリングを使った専用デザインだ。インパネは専用のシルバー塗装(通常のラパンはアイボリー)となり、細かいところだと空調吹き出し口のリングがメッキ(通常のラパンは艶消しアルミ調塗装)となる。このモデルを企画した人やエンジニアのこだわりが感じられる仕様だ。

 

基本性能&ドライブフィール

アイドリングから高回転まで静か

SSには4ATもあるが。今回試乗したのはもちろん5速マニュアルだ。エンジンはKeiワークスと同じ64ps、10.8kgmの高出力型ターボ。2~5速のギア比がkeiワークスに比べて少しハイギアードなのはkeiワークスが大径の165/70R14タイヤを履くせいもあると思うが、となると1速のギア比は明らかに低く、発進が得意なことをうかがわせる。

実際、走りはリッターカーにまったく遜色ない。特に、エンジンを回してもうるさくないのがいい。3500回転を越えるとパワーがグッと盛り上がり、5000回転前後からさらにもう一回盛り上がり、そしてレッドゾーンの7500回転を越えて8000回転まで頭打ち感なくスムーズに回り切る。3気筒独特の振動やノイズはほとんど気にならず、アイドリングも驚くほど静か。車外騒音が高い場所で停車した時は、タコメーターでエンジンが掛かってるかどうか確認が必要だったほど。ラパンにはNAモデルやMターボなど何度か乗っているが、これにはちょっと驚いた。

快適性と安定性は文句なし

期待のマニュアルギアボックスは、シフトストロークが長めなのが残念。大げさに言えば、パンチを打ち出すように左手を繰り出す必要がある。とは言うものの、一昔前のFF車の一般的な(ケーブル式の)マニュアルギアボックスのシフトフィールはどれもこんな感じだった。慣れてしまえばどうということはない。

リアブレーキはドラムだが、フロントはMターボと同様のベンチレーテッドディスク。スポーツ車としてはペダルフィールが少し心許ないが、「ストリートスポーツ」としては十分か。タイヤは165/55R14の「ポテンザ RE030」とサイズも銘柄も立派だが、けっこうロールするのでコーナーを攻める気にはならない。逆に言うと、ストロークする足とグリップの高いタイヤとの組み合わせで、安定性はとても高い。極端なことをしない限り、トルクステアやタックインといった挙動は出ない。

エンジンが静かなことに加えて、乗り心地もいい。10mmローダウンとは言うものの、ノーマルのラパンと同じか、それ以上に快適と感じた。

意外にも高速クルーザー

今回は高速道路を200kmほど走ったが、高速巡航はラパンSSの得意科目と言っていい。100km/h巡航は5速で約3800回転と低く、このくらいならロードノイズとどっこいどっこいで、まったくうるさくない。時々4速に落としたままシフトアップを忘れる。

リミッターが作動する135km/hまでは、4速で引っ張るのが手っ取り早い。5速はクルージング時のオーバードライブ的に使える。ターボエンジンの軽自動車で高速道路を走ると、ブーストのかかっていないレスポンスの悪い状態か、リミッターがかかるところまで加速してしまうか、といった両極端な状態になることがあるが、ラパンSSはパワーやエンジン特性が適切なせいか、そうはならない。理不尽なリミッターを除けば、高速道路を使って楽しく遠出ができるクルマだ。

ここがイイ

SSの名に似合わず、これが静かで快適。この高速巡航性能を鑑みるに、もはや法定速度までなら軽でも十分な性能だと思う。ATのラパンで名古屋・東京間を往復した時、混んでる東名ならどうせ100km/h程度しか出せないので特に不満がなかったが、今回はMTゆえさらに快適な走行が味わえた。文句なし。

ここがダメ

「ストリートスポーツ」を言い訳?に、シフトフィールやペダルフィールが良くないこと。スポーツモデルであることを期待すると肩すかし。コーナーでもスポーツモデルとは言えない。同様にブレーキもやや弱いと思う。

快適性とトレードオフではあるが、パワートレインがアクセルのオン/オフの度にユサユサ動いてしまうこと。これも正統派スポーツモデルでない証拠。スポーツモデルと期待しなければ、ここがイイに変わるが。

総合評価

思い起こせば今から30数年前、スズキフロンテSSは2サイクル360ccエンジン(何とRR)に鞭を入れても、急坂では60km/hを割ったし、100km/h巡航は必死だった。フロンテSSの正統な継承者であるラパンSSは、21世紀の現在、軽自動車の完成型を示している。もうこれ以上、軽は良くなる余地がない。あとは最高速リミッターのなくなることを熱望するだけだ。

photo_5.jpgということでハードの完成してしまったラパンは徹底的に遊んでいる。2年前のモーターショーに出たときから、なんちゃってクラシカルスポーツモデルがあったが、このSSはまさにそれでしょう。ベースになる形が良くて、性能的に完成した自動車を使って楽しく遊ぶことは、これからのクルマ文化。ラパンは素材として最適だ。映画「ワイルドスピード2」で名をあげたカスタムパーツメーカーのダムドが、ラパンのルノー4顔を発売しているが、これなんかは好例。

これでラパンはスポーツモデルまでが出たわけで、こうなると欲しいのは「ワゴン」。モーターショーに出ていた、2ドアワゴン(写真)の発売を熱望。サイドにウッドパネルを貼ってあるヤツ。こいつにルノー4顔をつけると、かなりおもしろいクルマになるんだが。そういうクルマを安く出して、若者のクルマ離れをくい止めたい。SSやもし出ればワゴンのラパンは、男の子でも楽しめるのだから。ベース車みたいなのもあるといいな。

試乗車スペック
スズキ アルト ラパン SS(0.66Lターボ・5MT・112.3万円)

●形式:TA-HE21S●全長3395mm×全幅1475mm×全高1495mm●ホイールベース:2360mm●車重(車検証記載値):800kg(F:500+R:300)●エンジン型式:K6A●660cc・DOHC・4バルブ・直列3気筒ターボ・横置●64ps(47kW)/6500rpm、10.8kgm (106Nm)/3500rpm●使用燃料:レギュラーガソリン●10・15モード燃費:19.4km/L●駆動方式:前輪駆動●タイヤ:165/55R14(ブリヂストン製 POTENZA RE030)●価格:112.3万円(試乗車:120.1万円 ※オプション:オーディオヘッドユニット 6万7400円、フロアカーペット 1万600円)

公式サイトhttp://www.suzuki.co.jp/dom4/lineup/lapin_ss/index.html

 
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