キャラクター&開発コンセプト
目標は「ゼロ・エミッション車で世界のリーダーになる」こと
予約受付を2010年4月1日に国内で開始、12月3日に正式発表。12月20日に発売された「リーフ」は、日産初の量産型EV(電気自動車)。国産大手メーカーの量産EVとしては、三菱のi-MiEV(2010年4月に市販開始)に次ぐ2番手だが、リーフは5人乗りの普通車で、EV専用車となる。
リーフはフロントにモーター、キャビン床下にリチウムイオン電池を搭載。航続距離はJC08モードで200kmを達成。加速性能は排気量3リッター並みをうたい、最高速度は145km/hとなる。フル充電に掛かる時間は200Vの普通充電で8時間、急速充電では約80%まで30分だ。
日米欧でほぼ同時に発売。生産も世界3拠点で行う予定
日産のリチウムイオン電池は、最小構成単位の「セル」が、薄型のラミネート構造なのが特徴。セル4枚=バッテリーモジュール1個で、それが48個集まって一台分の電池パック(写真。右手前が進行方向)となる
(photo:日産自動車)
日産・ルノー連合は、「ゼロ・エミッション車で世界のリーダーになる」という目標を掲げており、新型リーフはそのための大々的なグローバルモデルでもある。日本同様、2010年12月に北米、ポルトガル、オランダで、2011年2月には英国とアイルランドでも発売され、今後さらに販売地域は拡がる予定だ。
生産は神奈川県横須賀市にある追浜(おっぱま)工場で、2010年10月にスタート。ジュークやキューブと同じラインで混流生産され、年間5万台の生産が可能だという。当分はここが海外向けも担うが、2012年後半には米国テネシー州のスマーナ工場(生産能力は年間15万台)で、2013年初頭には英国サンダーランド工場(同5万台)でも生産が始まる。
リーフに搭載されるリチウムイオン電池は、日産とNECの合弁会社であるオートモーティブ・エナジー・サプライ株式会社(AESC)の座間事業所が供給。ここでセル4枚を1つのモジュールに組み込む工程を行ない、その後に追浜工場で48個のモジュールを一つのバッテリーパックにまとめ、車両に搭載する。リチウムイオン電池についても、2012年から海外拠点での生産が始まる予定だ。
■過去の参考記事
・モーターデイズ>新車試乗記>ベクトリックス VX-1 (2010年5月更新)
・モーターデイズ>新車試乗記>三菱 i-MiEV (2009年12月更新)
■外部リンク
・日産>プレスリリース>欧州カー・オブ・ザ・イヤー2011受賞(2011年01月25日)
・日産>プレスリリース>リーフの国内第一号車を神奈川県に納車(2010年12月22日)
・日産>プレスリリース>リーフがワールド・カー・オブ・ザ・イヤー2011を受賞(2011年4月22日)
・日産>プレスリリース>米国にてリーフの納車を開始(2010年12月11日)
・日産>プレスリリース>リーフを発売(2010年12月3日)
・日産>プレスリリース>賃貸集合住宅の駐車場における充電設備に関する共同検討(2010年11月25日)
・日産>プレスリリース>EV専用情報通信システム(ICT)を「日産リーフ」に導入(2010年11月01日)
・日産>プレスリリース>追浜工場でリーフの生産を開始 (2010年11月01日)
・日産>プレスリリース>「日産リーフ」の国内予約状況について (2010年04月22日)
・日産>プレスリリース>リーフの日本での予約注文を4月1日より受付開始 (2010年03月30日)
価格帯&グレード展開
購入補助金で実質300万円を切る
グレードは「X」と「G」の2種類だが、装備に大きな差はなく、後者にバックビューモニター、オートスピードコントロール、ソーラーセルモジュール(補器用バッテリー充電用)、ETCユニット、6スピーカー(標準は4スピーカー)などが付く程度。ボディカラーは全5色で、アクアブルーとホワイトパールが特別塗装で4万2000円アップになる。ちなみにゴーン社長が乗っているのは黒(スーパーブラック)らしい。
価格は376万4250円~だが、EVのリーフには国から購入補助金が78万円出るので(2011年度)、実質的な車両本体価格は以下のように300万円前後だ。ただしこれは6年間、乗り続けることが条件となる。
また少なくとも2011年6月現時点では、取得税と重量税も免税(0円)となるし、翌年の自動車税も半額になるので、普通のガソリン車よりも諸経費はかなり安くなる。ちなみにリーフの自動車税は1000cc未満の普通車と同じ2万9500円だ。ただし、リーフの場合は購入時に200Vの充電設備を自宅に設置することになるので、これの費用が10万円ほど掛かる。
■X 376万4250円 → 298万4250円
■G 406万0350円 → 328万0350円 ※今回の試乗車
また、リーフには「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム」と称したサービスパックを月々1500円で個人向けに用意している(法人用サービスも別にある)。内容は、「カーウイングス for EV」などの「EV-IT」の通信料、各ディーラーでの充電サービス、日産レンタカーの割引サービス、エマージェンシーサポートなど。申し込みは新車購入時のみで、5年間の利用が可能だ。内容的にとりあえず加入した方がいい、という判断になると思う。
また日産によると、同クラスのガソリン車と比較した場合、6年間に払う燃料代はガソリン車が67万円なのに対して、EVの電気代は8万6000円となり、結果として車両価格込みの総支払い額は同クラスのガソリン車と同等になるという。実際には使用状況や比較するガソリン車の種類などによって、経済性の高低は変わってくるはずだが、EVが性能的にも経済的にも、ガソリン車と比較できるところまで来たのは確かだ。
パッケージング&スタイル
ボディサイズは3代目プリウス並み、デザインは新幹線700系?
ボディサイズは全長4445mm×全幅1770mm×全高1545mm、ホイールベース2700mm。だいたいティーダくらいかな?と思っていたが、リーフの方が195mmも長く、75mmも幅広で、ホイールベースも100mm長いなど一回り大きかった。サイズ的に一番近いのは現行プリウス(4460×1745×1490mm、ホイールベース2700mm)だ。
デザインは車名の通り、Leaf(葉っぱ)のようなエコで優しいイメージ。エンジンのないノーズは新幹線700系のように平べったく、ラジエイターはないから当然グリルレス。カエルの目のように突きだしたLEDヘッドライトは日産コンパクトカーでおなじみの形状だが、リーフのそれは「サイドミラーに当たる風をコントロールし、風切り音と空気抵抗を低減」するらしい・・・・・・。逆にボディサイドは割とアッサリ。プリウス的な「派手な」空力デザインに見慣れた目からすると新鮮だ。
ボディ後半は、エコカーの場合だと空気抵抗値を減らすために「後ろ下がりのルーフ+コーダトロンカ(垂直に切り落とす)」になりがちだが、日産は大型リアスポイラー、細長いリアコンビランプ、ディフューザー形状のバンパーなどによって、独特の空力処理を行っている。好みは分かれそうだが、芸を感じさせるデザインだ。
| 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) | ホイールベース(mm) | 最小回転半径(m) | |
| ■日産 ティーダ | 4250 | 1695 | 1535 | 2600 | 5.2 |
| ■日産 リーフ | 4445 | 1770 | 1545 | 2700 | 5.2 |
| ■トヨタ 3代目プリウス | 4460 | 1745 | 1490~1505 | 2700 | 5.2~5.5 |
インテリア&ラゲッジスペース
未来的なインパネ。上下二段の「ツインデジタルメーター」を採用
インパネや操作系のデザインは期待通りに未来的。シンセティックレザー(合成皮革)やスエード調生地を内装に採用するなど、質感も日産車らしくイイ感じだ。
上下2段のデジタルメーター(液晶パネルではない)は、ちょっぴりホンダ風だが、EVゆえに回転計はない。見る頻度が多いのは、駆動用バッテリーの残量を示すバーグラフと航続可能距離だが、面白いと思ったのは、それと同じくらい大きく表示される駆動用バッテリーの温度計。いちおう気を使ってくださいね、ということか。
シフトセレクターのデザイン・操作性も秀逸
操作系で特殊なのは、球状の電制シフトセレクター。操作方法はプリウスの電制シフトに似ていて、中立位置から右側に倒すとN、そこから手前に引くとD、もう一度引くとエコモード。逆にNから奧に押すとR(リバース)という具合。そして頂点を上から押せばPに入る。マニュアル車の感覚だと、バックしたい時についついDに入れてしまうが、慣れてしまえば問題ない。パーキングブレーキも電動になる。
エンジン始動に相当するパワースイッチは、「START」ではなく、デジタル機器のような電源ONの絵文字。起動音は3種類から選ぶことができる。
後席の座り心地は独特
後席は床下に駆動用バッテリーを搭載するため、床が高く、また座面が少し短めで、太ももが座面から少し浮いてしまう。一方、荷室の拡大機能を犠牲にし、シートクッションを2代目キューブ並みに分厚くしている点は、あえて評価したい。小柄な人なら、とても座り心地がいいと感じるはずだ。ドア開口部も広く、開口角度も大きいので、乗降性もいい。
荷室容量は330リッターだが、拡大は限定的
荷室容量は330リッターで、VWゴルフ(350リッター)には及ばないが、Cセグメント車としては平均的で、9インチのゴルフバッグを2個積めるという。
しかし実際のところは、後席背もたれと荷室の間に堤防のような仕切りがあり、荷室はいかにも狭そうに見える。この中には車載充電器が入っているようだ。よって後席の背もたれを畳んでも、荷室はそう大して大きくならない。ハッチバック車でこんなに荷室拡大性が低いクルマも珍しい。
荷室には専用のバッグに、標準装備の200V普通充電用ケーブル(ケーブル長:7.5メートル)が入っている。接続そのものは簡単だが、ケーブル自体と付属するコントロールボックスがけっこう重く、充電の度に出し入れするのはちょっとたいへん。掃除機のコードみたいに充電リッドからスルスル出てきてくれると助かるのだが。
荷室フロアの吸音材付きボードを持ち上げても、その下には何もない。マフラーやスペアタイヤもないが、ボディ後端の下面はディフューザー形状になっているので、大したものは入らない、ということか。荷室左側にはコンチネンタル製のパンク修理キットとパンタグラフジャッキが押し込まれている。
バッテリーはキャビン床下に配置
バッテリーパックの重量は294kgあり、その全てがキャビン床下、つまりホイールベース内の最も低いところに搭載される。重量物を出来る限り低く、中心に集めるためと、衝突時にリチウムイオン電池にダメージが及ぶのを防ぐためだ。