Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.5i Sパッケージ

スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.5i Sパッケージ新車試乗記(第560回)

Subaru Legacy Touring Wagon 2.5i S Package

(2.5L 水平対向4気筒・CVT・283万5000円)

水平対向&AWDの
「遺産」を継承!
大きくなってもレガシィは
レガシィだった!

2009年06月12日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

ボディサイズを大型化。デザインを一新

「レガシィ」シリーズの5代目が2009年5月20日に発売された。1989年デビューの初代以来、この20年間で360万台の世界累計生産台数を誇るスバルの代表車種は、今回も伝統の水平対向エンジンと「シンメトリカルAWD」をコア技術として進化を図っている。


今回もツーリングワゴン、B4、アウトバックの3シリーズで展開する5代目レガシィ
(photo:富士重工業株式会社)

具体的にはボディサイズを大型化して室内空間を拡大。デザイン面では歴代レガシィの象徴でもあったサッシュレスドアやCピラーのブラックアウトを廃止して、がらりとイメージチェンジを図っている。プラットフォームに関してはエンジンマウント方式をスバル水平対向エンジン史上で初めて変更し、「クレードル構造マウント」を新採用。これによって快適性、衝突安全性、操縦性を改善している。また全車にこのクラスの国産車では初となる電動パーキングブレーキを採用している。

チェーン式CVT「リニアトロニック」を採用

伝統の水平対向エンジンは、4気筒については2リッターを廃止して2.5リッターに統一(ノンターボはSOHC、ターボはDOHC)。6気筒DOHCは従来の3リッターから3.6リッターへ排気量を拡大した。また2.5リッターノンターボには新開発のチェーン式CVT(無段変速機)である「リニアトロニック」を採用して燃費性能を確保している。

開発コンセプトは「グランドツーリング イノベーション」。これは「ドライバーズファン」に、「パッセンジャーズファン」と「エコパフォーマンス」を加えた3つの要素から成る。つまりは今の時代にふさわしく、乗員全員の快適性や環境性能をより重視したモデルである、ということだろう。

シリーズ全体の販売目標は先代の月間6000台から半減して3000台だ。

CMタレントにはデ・ニーロを起用

ツーリングワゴンの広告キャッチコピーは「Love Your Life.」。テレビCMには俳優のロバート・デ・ニーロを起用し、渋めにレガシィの魅力をアピールしている。一方、B4の「Dance with B4」という広告コピーは、映画「Dances with wolves」(1990年)に引っかけたものか。ちなみにこの映画の監督・主演は、かつて3代目レガシィのCMに起用されたケビン・コスナー。アウトバックのコピーは「無敵。アウトバック(Subaru The Outback)」となる。

なお歴代レガシィのCMキャラクターには海外の大物俳優や歌手が起用されてきた。初代はブルース・ウィリス、2代目はロッド・スチュアートとメル・ギブソン、3代目はケビン・コスナーとジェニファー・ロペス。4代目には300万台達成記念として再びブルース・ウィリスが登場し、また従来の慣例を破るものとしてサッカーの三浦知良選手が起用されている。

■参考(過去の新車試乗記 スバル レガシィ シリーズ)
・スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.0GT (2006年6月)
・スバル アウトバック 3.0R (2003年12月)
・スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.0GT spec.B (2003年6月)
・スバル レガシィ B4 ブリッツェン 6 (2002年10月)
・スバル レガシィ ランカスター 6 (2000年6月)
・スバル レガシィ B4 (1999年4月)
・スバル レガシィ ツーリングワゴン (1998年7月)

価格帯&グレード展開

販売主力は200万円台~300万円前後

ボディタイプは「ツーリングワゴン」、セダンの「B4」、クロスオーバーの「アウトバック」と3種類。エンジンも2.5リッター4気筒(CVT)、2.5リッター4気筒ターボ(5ATと6MT ※アウトバックを除く)、3.6リッター6気筒(5AT ※アウトバックのみ)の3種類がある。駆動方式はもちろん全車AWDだ。アウトバックの3.6のみ300万円台後半となるが、販売主力はこれまで通り200万円台~300万円前後だろう。

■ツーリングワゴン      236万2500円~343万8750円  ★今週の試乗車 
 10・15モード燃費:11.0km/L(2.5GT・6MT)~14.0km/L(2.5i・CVT)
 
■B4             220万5000円~328万6500円
 10・15モード燃費:11.4km/L(2.5GT・6MT)~14.0km/L(2.5i・CVT)
 
■アウトバック        267万7500円~370万1250円
 10・15モード燃費:10.0km/L(3.6R・5AT)~14.0km/L(2.5i・CVT)

パッケージング&スタイル

見慣れるまで時間が掛かりそう


ツーリングワゴンの「2.5i S パッケージ」

試乗したツーリングワゴンのサイズ(先代比)は全長4775mm(+95)×全幅1780mm(+50)×全高1535mm(+65)。ホイールベースは2750mm(+80)。ある意味グローバルカーとしては順当なサイズになったわけだが、国内の従来レガシィユーザーからすれば少々面食らう大きさか。なにしろトヨタで言えばクラウンあたりと大差ないサイズだ。

なお最小回転半径は5.5メートルで、特に小回りが効くわけではないが、先代比+0.1メートル(全幅の増加分×2)には抑えている。横幅のある水平対向エンジンを積む以上、ここは仕方ないところ。

 

スタイリングも大胆に変化したが、この変わりっぷりもある意味レガシィの伝統か。特徴としてはレオーネからレガシィまで継承されたサッシュレスドアの廃止、Cピラーブラックアウト化の廃止、+50mmの全幅を活かしたショルダーの張り出し、歴代レガシィとは一線を画す高めの全高などが挙げられる。ヘッドライトのアウターレンズの形状も複雑で凝ったものだ。ただやはりサイズと同じように、デザインの方も見慣れるまで時間が掛かりそう。

 

インテリア&ラゲッジスペース

低い着座位置に別れを告げて室内空間重視へ

インテリアに関しては、デザインも空間構成も完全オールニュー。特にヒップポイント、視点、天井などが先代レガシィより高くなったのが大きい。具体的には室内高が+40mm、室内幅が+100mm、カップルディスタンス(左右席の間隔)が+30mm増して、ワンランク余裕が出たほか、乗り降りもしやすくなった。

 

シートの座り心地やホールド性も良好で、小柄な日本人にもフィットする。また上級グレードではランバーサポートも含めて10ウェイ電動となる。

ちょっと気になるのはおそらく縦置CVTが張り出すせいだろう、助手席の足もとが狭いことくらいだ。

「SI-DRIVE」を全車に採用

2006年のマイナーチェンジから先代レガシィに採用された「SI-DRIVE」セレクターは全車標準装備。これは「 i 」(インテリジェント=省燃費)、「S」(普通のスポーツ)、「S♯」(スポーツシャープ)という3つの出力特性/変速プログラムが選択できるものだ。操作方法も従来通りで、上からプッシュすると「 i 」、左に回すと「S」、右に回すと「S♯」だ。

ステアリングには6MTを除く全車にパドルシフトが備わるが、その代わりにシフトレバーを前後に動かしてマニュアルシフトするシーケンシャルゲートは廃止されている。思い切った判断だが、思えば一時期ポルシェも996や997前期型などのティプトロニックSで、この+-ゲートを廃止していたから前例はある。ただしポルシェの場合、7速PDKを採用した最近のモデルから再び+-ゲートを復活させているが。

 

なおスバル車に採用されているキーレスアクセスのドア施解錠はアンロックの時がタッチセンサー式、施錠がリクエストスイッチ式というトヨタ車と同じもの。これは特にアンロックがドアグリップを握るという自然な動作の中で出来るため理にかなっており、慣れると使いやすい。

タクシーにも使えそうなリアシート

「新型は広くなった!」とはっきり実感できるのがリアシートだ。先代より80mm伸びたホイールベースはエクシーガのそれと同値であり、タンデムディスタンス(前後席間の距離)は68mm増加。ヒップポイントも上がっており、この手のセダン/ステーションワゴン系としては随一の広々感がある。これなら特に雪が多い地域では、タクシーとして使うにもうってつけだ。

リアシートにエクシーガのような前後スライド機能はないが、背もたれのリクライニングは可能で、角度の調整幅も先代より広くなったと思う。またリアドアの開口面積も大きくなって乗り降りが楽になり、またサイドウインドウの面積もCピラーが後退した分、広くなった。これらも先代より広くなったと感じられる要因だ。

なおサイド&カーテンエアバッグ(フロントを含めて計6エアバッグ)は、ベースグレード(2.5i、2.5GT)を除いて標準装備。またベースグレードでもオプションで選択できる。

荷室の使い勝手はおおむね先代通り

5人乗車時のトランク容量は先代比+61リッター増しの520リッター。拡大方法は先代と同じで、荷室側レバーによる遠隔操作で背もたれを倒すシングルフォールディングとなる。

 

床下には発泡スチロール製の床下収納があり、その下にテンパースペアと工具が搭載される。燃料タンク容量はエクシーガと同じ65リッターだ。エクシーガはこれと同じホイールベースのシャシーに実用的なサードシートを押し込んでいるわけだが、レガシィにはそれがない分、全高が125mm低く、床下収納が大きいというわけだ。

基本性能&ドライブフィール

電動パーキングブレーキを採用

試乗したのはツーリングワゴンの「2.5i Sパッケージ」。新型レガシィの目玉である「2.5i」のパワートレインはフラットな出力特性の改良型2.5リッターSOHCエンジン(170ps、23.4kgm)に新型CVT「リニアトロニック」を組み合わせたものだ。

「S パッケージ」は要するにスポーティ仕様だが、見た目だけではなく、足まわりに2.5リッターターボ(285ps、35.7kgm)の「2.5GT Sパッケージ」と同じアルミ鍛造製フロントロアアーム、フロント倒立式ビルシュタイン製ダンパー、そして225/45R18タイヤ(ポテンザ RE050A)を備える。パワーはそこそこながら「足のいいやつ」だ。

乗り込んで最初に戸惑うのが電動パーキングブレーキだろう。歴代レガシィはハンドブレーキ、エクシーガでは(スバル車では珍しい)足踏み式だったが、これはスイッチをドライバーの右奧に配したもの。アクセルを軽く踏めば自動解除されるが、後退する時はそうならないようで、スイッチを引いて解除する必要がある。

エンジンとの相性もいいCVT。「 i 」モードで十分

横置CVTの4WD車はすでに珍しくないが、縦置チェーン式CVTの4WD車はこれが世界初とのこと。アウディのA4やA6にあったCVT車にもクワトロはなく、FFのみだった。

多くのCVTが現在そうであるように、この「リニアトロニック」にもトルコンがあるため普通のAT車のようにクリープがある。また5%以上の登坂路ではヒルホールド機能も働くので、坂道発進で気を遣うことはない。

また一般的な金属ベルトの代わりにチェーンを使うせいか、ノイズも小さく、エンジン回転の上昇と実際の加速にも一体感がある。クルマに多少詳しい人でも予備知識なしでボンヤリ乗れば、普通のAT車だと思ってしまうだろう。低回転から粛々とトルクを紡ぎ出す2.5リッターエンジンとの相性もいい。低燃費モードの「 i 」で走っていると2000回転を超えることはほとんどなく、100km/h巡航も1700~1800回転くらいでこなす。

エンジン搭載方式の変更でより静かに

また前述のように新型レガシィでは、1966年発売のスバル1000以来初めてエンジンマウントの構造を一新し、モノコックへ直接マウントする方式から、ゆりかご状の一種のサブフレームに搭載する「クレードル構造マウント」に変更している。これにより水平対向独特のザーーというノイズはほとんど気にならないくらい静かになった。またこのマウント方式は衝突安全性や操縦安定性のほか、ターボユニットの効率アップ(排気管近くのエンジン直下に配置できる)といったメリットもあるという。

乗り心地はこの「Sパッケージ」の場合、多少硬めではあるが、かつての「スペックB」ほどではなく、ファミリーカーとして十分通用するレベル。メーカー装着のビルシュタイン製ダンパーもいろいろだが、その中では最もマイルドなものの一つだと思う。

抜群のハンドリングに磨きがかかった

正直、この「 i 」だけでずっと走っても何の問題もないが、例のSI-DRIVEを「S」にすればエンジン回転が少し跳ね上がり、メリハリのついた加減速が可能になる。「S♯」はこれをさらに極端にしたモードで、この「2.5i」ですらスロットルレスポンスに鋭さが感じられるようになる。電動パワステも制御するかと思ったが、こちらは変化しないようだ。

「S♯」モードが生きるのはやはりワインディングロードで、パドルシフトで6速マニュアルモード(変速時間は0.1秒以下という)なども駆使しつつ、しっかりトラクションをかけながらコーナーをグイグイ走らせると、そこで初めて水平対向エンジン+「シンメトリカルAWD」の進化の度合いが実感される。

ブレーキング時のノーズダイブの少なさや抜群の安定性、ノーズの軽さ、旋回スピードの高さ、そして脱出時の完璧なトラクションなどは、やはり先代レガシィにもあったものだが、特に安定感と接地性の良さは先代以上かも。少なくともこのサスペンションと日本のワインディングロードとの相性はとてもイイ。1.5トン前後という、このクラスの4WD車としては異例に軽い車重と相まって、アウディのクワトロあたりとはまた違う、いかにも重心が低そうな走りを見せてくれる。今回はドライだったが、雨の日ならこのあたりの性能はもっと印象的だったと思う。

なお「シンメトリカルAWD」と総称される新型レガシィの4WDシステムだが、実際その方式には3通りある。今回試乗した2.5のCVT車は、電子制御クラッチで前後配分を変化させる「アクティブトルクスプリットAWD」だ。また2.5ターボの5ATおよび3.6は、遊星ギアを使って前45:後55という後輪重視の基本配分を行いつつ、電子制御クラッチによる能動的な制御も併用する「VTD-AWD」となる。そして2.5ターボの6MTには、ベベルギア式センターデフとビスカスカップリングで前50:後50の基本配分を行う「ビスカスLSD付センターデフ方式AWD」だ。これだけでは分かりにくいので、あえておおまかに言えば、後の方式になるほどよりアナログ的な(メカニカルな)制御と言える。

■参考
スバル>テクノロジー>シンメトリカルAWD http://www.subaru.jp/about/spirits/technology/sawd/index.html

CVT車の10・15燃費は13.2~14.0km/L。試乗燃費は約8km/L

今回は一般道と高速道路を交えて197kmを試乗。途中で撮影を行ったり「S♯」モードなども試しながら、試乗燃費は平均燃費計で8.0km/L、満タン法で8.3km/Lとなった。

なお、2.5リッターノンターボ+CVT車「2.5i」の10・15モード燃費は14.0m/L(「 i 」モード使用時の数値)だが、試乗した「Sパッケージ」の場合、若干落ちて13.2km/Lだ。これは下位グレードに比べて幅で2センチ、径で2インチアップのタイヤが主因だろう。なお指定ガソリンはターボだとプレミアムだが、このノンターボ(および3.6リッター)は経済性に配慮してレギュラーとなっている。

ここがイイ

日本車で一番使えるワゴン。電動パーキングブレーキ。抜群のハンドリング

ボディサイズが大きくなったことで、ワゴンとしての意義が高まったこと。日本車で一番使えるワゴンであることは確か。それでいて新型CVTの搭載で燃費も良くなったし、全車AWDでありながら値段はそんなに高くなっていない。ある意味スバル車ではクラウンに相当するものだが、諸々の実用性という意味ではクラウン以上。

快挙と言っていい電動パーキングブレーキの採用。さらにトップグレードの「SIクルーズ」には、全車速追従機能(0~100km/h)のほか、停止機能も備わる(最発進にはスイッチ操作が必要)。この点でも(電動パーキングブレーキの採用を見送った)クラウンマジェスタより進んでいる。一方、ナビ系はトヨタそのものというべきで、絶対的な使いやすさでは現時点の最高とは言い難いが、操作に慣れているという点でモーターデイズは評価したい。つまりは誰でもが使いやすいと思う。

抜群のハンドリング。安定していて速くて、しかも楽しい。じゃじゃ馬をねじ伏せるような感覚は皆無で、VDCに守られた多分に人工的なものだが、これこそが今のクルマ。インプレッサWRCのように過激に曲がりやすいものではなく、ごく自然に大人のワインディング走行ができる。

ここがダメ

操作系についていくつか。メーカーOPの地デジ対応

そのハンドリングの良さは、少なくともドライだと相当飛ばさないと体感しにくいこと。普通に走ってしまうと普通のクルマに感じてしまう。またマニュアルシフト用に、パドルシフトしかないのも残念。ステアリング連動で回転するパドルなので、操作性はイマイチ。シフトレバーでシフトできればと何度も思った。

 

せっかく電動パーキングブレーキを採用したのに、パーキングレンジへのシフトに連動して自動で掛からないこと。ボタンもちょっと押しにくいところにある。押しにくいと言えば、エンジン始動ボタンもステアリングの影にあるので、慣れるまでついついのぞき込んで探してしまった。

メーカーオプションの「プレミアムサウンドシステム&HDDナビ」(6スピーカー)の音があまり良くない。この上に「マッキントッシュ・サウンドシステム&HDDナビ」(8スピーカー・5.1チャンネルサラウンド対応)があるので、それへの差別化かもしれないが。

また上記オプションを付けた場合でも、地デジを見るには販売店オプションの地デジチューナー(ワンセグで5万400円、12セグだとマッキントッシュで13万7865円、非マッキントッシュだと16万4115円)を追加する必要がある。こうなるといっそ販売店オプションのナビを選びたくなるが、メーカーとしては工場装着ならではのメリットを活かし、なおかつ価格的にもリーズナブルなものを用意するのが理想では。

試乗した「2.5i Sパッケージ」の場合、「環境対応車普及促進税制」適合となり、取得税と重量税が50%オフとなる。だがそれには条件があり、キーレスアクセス&プッシュスタートやサンルーフ、あるいはマッキントッシュサウンドシステムなどをオプションで追加して、車検証記載の車両重量を1520kg以上にしなくてはいけない。こんな「環境対応」があるだろうか。レガシィにではなく、このお役所仕事に大きな大きなダメを。

総合評価

いつもグリルで苦労している

カタログにある線画の3面図をながめていると、このクルマのデザインがなかなか素晴らしいのに気がつく。かなり全高があるのはやや気になるが、最近多い「スタイリッシュな」ワゴンに比べると、いかにも道具っぽく、ワゴンらしく見えるのには好感が持てるのだ。

ただカラー写真で見たり、もちろん実車を見たりすると、何か少しボテッとした、あるいはごてごてした垢抜けない印象もある。これはたぶんフロントグリルまわりが重たいデザインだからだろう。サイズが大きくなって「立派感」が必要になったがゆえに、より力を入れた、とは思うがゴチャゴチャしすぎ。こういった話は軽自動車のR2が出たときにも書いたと思うが、スバルはフロントまわりのデザインでアイデンティティを出すのに本当に苦労している。いっそごくシンプルにしてしまえばいいのに、といつも思うのだ。

サイズアップは必然。頂点に達した感があるシンメトリカルAWD

台数が出る北米市場を考えればこのサイズアップは必然だろうし、先代より大きいとはいえ、横幅などはあの新型ゴルフより10mm狭いわけで、昨今決して非難されるレベルではないと思う。

それよりも高さがたっぷりあることによる空間的なゆとり、ホイールベースが伸びたことでの足元のゆとり、そして何よりワゴン本来の荷室のゆとりはこのクルマの価値を高めている。ラージクラスの国産ワゴンは今やアコードツアラーとアテンザスポーツワゴンくらい(これらはレガシィより幅が広い)であり、スバルがトヨタ系になったことでトヨタからは今後もう出てこないだろう。その意味では、キング・オブ・国産エステートだ。かつてクラウンにもエステートがあったくらいで、ワゴンというのであれば本来このくらいのサイズが欲しいものだ。サイズアップを堂々と主張しているのは素晴らしいと思う。

走りも心底いいと思った。「i」モードではいわゆるパワー感のない走りだが、確かに街中ならこの程度で十分。これで燃費が稼げるのであれば、この走りも積極的に評価していい。「S」モードはやや中途半端な位置づけだが、「S♯」にしてワインディングを走ると、スバルがここまで注ぎ込んできた低重心水平対向エンジンや走りのための左右対称AWDという技術が、新しいシャシーを得たことで頂点に達したという感を強くする。ものすごく安定したまま、ものすごくハイペースで、しかも楽しく走れる。ポルシェ911カレラ4のパワートレインを前後ひっくり返したようなもの? まさにそんな感じだ。やはり水平対向エンジンと4WDは、クルマにとって理想のパワートレーンなのだろう。スバルはトヨタのスポーツカー部門(とワゴン部門)を担うべくトヨタグループ入りしたということだが、それもさもありなん。思い起こせば最後のトヨタ・カルディナは、走りで打倒レガシィを明確に掲げたクルマだった。もし今もカルディナがあったら、このレガシィにはたして真っ向勝負が挑めるだろうか。

国内最大クラスのステーションワゴンとして

8.0km/Lあるいは8.3km/Lという燃費はものすごくいいとはいえないが、レギュラーガソリンだから十分許せる範囲だろう。やはりこれはCVTが効いているはずだ。過去の試乗記ではアコードワゴンがプレミアムで7.6km/L、アテンザはセダンだったがレギュラーで8km/Lだったから、このレガシィはAWDであるにも関わらず、実質的に一番いいことになる。10・15モード燃費もアコードツアラー 24TLの11.4km/L、アテンザセダン 25EXの12.8km/Lに対して、13.2km/L(試乗車)とそれらより優れている。その意味でもライバル車より使えるクルマになったと思うのだ。ならば同じプラットフォームのエクシーガが3列シートなのだから、できることならレガシィにも荷室に回転式のサードシートなどを用意してもらいたかった。安全性の問題や実際に使われるかどうかと聞かれれば、あまり意味のないものと答えるしかないが、国内最大クラスのステーションワゴンとしては、そんな遊びがあってもいいではないか、と。

ちなみにかつてのクラウンエステート(1999~2007年)のスリーサイズは4835mm×1765mm×1525mm(4WD仕様)、ホイールベースは2780mm。 レガシィは4775mm×1780mm×1535mm、ホイールベース2750mmと見事に近い。トヨタ・スバル連合の中でクラウンワゴンの地位を担うと考えれば、トヨタマーケティングの中でスバルの存在意義が見えてくるわけだ。といって(ないとは思うが)今後トヨタブランドで売るようなことだけはやめてもらいたい。その意味でも早く「スバルグリル」を確立すべきだと思うのだ。

試乗車スペック
スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.5i S パッケージ
(2.5L 水平対向4気筒・CVT・283万5000円)

●初年度登録:2009年5月●形式:DBA-BR9 ●全長4775mm×全幅1780mm×全高1535mm ●ホイールベース:2750mm ●最小回転半径:5.5m ●車重(車検証記載値):1510kg( 870+640 )●乗車定員:5名●エンジン型式:EJ25 ● 2457cc・水平対向4気筒・SOHC・4バルブ・縦置 ●ボア×ストローク:99.5×79.0mm ●圧縮比:10.0 ● 170ps(125kW)/ 5600rpm、23.4kgm (229Nm)/ 4000rpm ●カム駆動:タイミングベルト ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/65L ●10・15モード燃費:13.2km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:電子制御式4WD ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 ダブルウィッシュボーン ●タイヤ:225/45R18( Bridgestone Potenza RE050A ) ●試乗車価格:335万5800円( 含むオプション:キーレスアクセス&プッシュスタート、プレミアムサウンドシステム&HDDナビ、クリアビューパック、濃色ガラス、オールウェザーパック、フロアカーペット、ドアバイザー、スプラッシュボード等 )●試乗距離:200km ●試乗日:2009年6月 ●車両協力:名古屋スバル自動車株式会社

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 
 
名古屋スバル自動車

最近の試乗記一覧