キャラクター&開発コンセプト
ボディサイズを大型化。デザインを一新
「レガシィ」シリーズの5代目が2009年5月20日に発売された。1989年デビューの初代以来、この20年間で360万台の世界累計生産台数を誇るスバルの代表車種は、今回も伝統の水平対向エンジンと「シンメトリカルAWD」をコア技術として進化を図っている。
具体的にはボディサイズを大型化して室内空間を拡大。デザイン面では歴代レガシィの象徴でもあったサッシュレスドアやCピラーのブラックアウトを廃止して、がらりとイメージチェンジを図っている。プラットフォームに関してはエンジンマウント方式をスバル水平対向エンジン史上で初めて変更し、「クレードル構造マウント」を新採用。これによって快適性、衝突安全性、操縦性を改善している。また全車にこのクラスの国産車では初となる電動パーキングブレーキを採用している。
チェーン式CVT「リニアトロニック」を採用
伝統の水平対向エンジンは、4気筒については2リッターを廃止して2.5リッターに統一(ノンターボはSOHC、ターボはDOHC)。6気筒DOHCは従来の3リッターから3.6リッターへ排気量を拡大した。また2.5リッターノンターボには新開発のチェーン式CVT(無段変速機)である「リニアトロニック」を採用して燃費性能を確保している。
開発コンセプトは「グランドツーリング イノベーション」。これは「ドライバーズファン」に、「パッセンジャーズファン」と「エコパフォーマンス」を加えた3つの要素から成る。つまりは今の時代にふさわしく、乗員全員の快適性や環境性能をより重視したモデルである、ということだろう。
シリーズ全体の販売目標は先代の月間6000台から半減して3000台だ。
CMタレントにはデ・ニーロを起用
ツーリングワゴンの広告キャッチコピーは「Love Your Life.」。テレビCMには俳優のロバート・デ・ニーロを起用し、渋めにレガシィの魅力をアピールしている。一方、B4の「Dance with B4」という広告コピーは、映画「Dances with wolves」(1990年)に引っかけたものか。ちなみにこの映画の監督・主演は、かつて3代目レガシィのCMに起用されたケビン・コスナー。アウトバックのコピーは「無敵。アウトバック(Subaru The Outback)」となる。
なお歴代レガシィのCMキャラクターには海外の大物俳優や歌手が起用されてきた。初代はブルース・ウィリス、2代目はロッド・スチュアートとメル・ギブソン、3代目はケビン・コスナーとジェニファー・ロペス。4代目には300万台達成記念として再びブルース・ウィリスが登場し、また従来の慣例を破るものとしてサッカーの三浦知良選手が起用されている。
■参考(過去の新車試乗記 スバル レガシィ シリーズ)
・スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.0GT (2006年6月)
・スバル アウトバック 3.0R (2003年12月)
・スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.0GT spec.B (2003年6月)
・スバル レガシィ B4 ブリッツェン 6 (2002年10月)
・スバル レガシィ ランカスター 6 (2000年6月)
・スバル レガシィ B4 (1999年4月)
・スバル レガシィ ツーリングワゴン (1998年7月)
価格帯&グレード展開
販売主力は200万円台~300万円前後
ボディタイプは「ツーリングワゴン」、セダンの「B4」、クロスオーバーの「アウトバック」と3種類。エンジンも2.5リッター4気筒(CVT)、2.5リッター4気筒ターボ(5ATと6MT ※アウトバックを除く)、3.6リッター6気筒(5AT ※アウトバックのみ)の3種類がある。駆動方式はもちろん全車AWDだ。アウトバックの3.6のみ300万円台後半となるが、販売主力はこれまで通り200万円台~300万円前後だろう。
■ツーリングワゴン 236万2500円~343万8750円 ★今週の試乗車
10・15モード燃費:11.0km/L(2.5GT・6MT)~14.0km/L(2.5i・CVT)
■B4 220万5000円~328万6500円
10・15モード燃費:11.4km/L(2.5GT・6MT)~14.0km/L(2.5i・CVT)
■アウトバック 267万7500円~370万1250円
10・15モード燃費:10.0km/L(3.6R・5AT)~14.0km/L(2.5i・CVT)
パッケージング&スタイル
見慣れるまで時間が掛かりそう
試乗したツーリングワゴンのサイズ(先代比)は全長4775mm(+95)×全幅1780mm(+50)×全高1535mm(+65)。ホイールベースは2750mm(+80)。ある意味グローバルカーとしては順当なサイズになったわけだが、国内の従来レガシィユーザーからすれば少々面食らう大きさか。なにしろトヨタで言えばクラウンあたりと大差ないサイズだ。
なお最小回転半径は5.5メートルで、特に小回りが効くわけではないが、先代比+0.1メートル(全幅の増加分×2)には抑えている。横幅のある水平対向エンジンを積む以上、ここは仕方ないところ。
スタイリングも大胆に変化したが、この変わりっぷりもある意味レガシィの伝統か。特徴としてはレオーネからレガシィまで継承されたサッシュレスドアの廃止、Cピラーブラックアウト化の廃止、+50mmの全幅を活かしたショルダーの張り出し、歴代レガシィとは一線を画す高めの全高などが挙げられる。ヘッドライトのアウターレンズの形状も複雑で凝ったものだ。ただやはりサイズと同じように、デザインの方も見慣れるまで時間が掛かりそう。
低い着座位置に別れを告げて室内空間重視へ
インテリアに関しては、デザインも空間構成も完全オールニュー。特にヒップポイント、視点、天井などが先代レガシィより高くなったのが大きい。具体的には室内高が+40mm、室内幅が+100mm、カップルディスタンス(左右席の間隔)が+30mm増して、ワンランク余裕が出たほか、乗り降りもしやすくなった。
シートの座り心地やホールド性も良好で、小柄な日本人にもフィットする。また上級グレードではランバーサポートも含めて10ウェイ電動となる。
ちょっと気になるのはおそらく縦置CVTが張り出すせいだろう、助手席の足もとが狭いことくらいだ。
「SI-DRIVE」を全車に採用
2006年のマイナーチェンジから先代レガシィに採用された「SI-DRIVE」セレクターは全車標準装備。これは「 i 」(インテリジェント=省燃費)、「S」(普通のスポーツ)、「S♯」(スポーツシャープ)という3つの出力特性/変速プログラムが選択できるものだ。操作方法も従来通りで、上からプッシュすると「 i 」、左に回すと「S」、右に回すと「S♯」だ。
ステアリングには6MTを除く全車にパドルシフトが備わるが、その代わりにシフトレバーを前後に動かしてマニュアルシフトするシーケンシャルゲートは廃止されている。思い切った判断だが、思えば一時期ポルシェも996や997前期型などのティプトロニックSで、この+-ゲートを廃止していたから前例はある。ただしポルシェの場合、7速PDKを採用した最近のモデルから再び+-ゲートを復活させているが。
なおスバル車に採用されているキーレスアクセスのドア施解錠はアンロックの時がタッチセンサー式、施錠がリクエストスイッチ式というトヨタ車と同じもの。これは特にアンロックがドアグリップを握るという自然な動作の中で出来るため理にかなっており、慣れると使いやすい。
タクシーにも使えそうなリアシート
「新型は広くなった!」とはっきり実感できるのがリアシートだ。先代より80mm伸びたホイールベースはエクシーガのそれと同値であり、タンデムディスタンス(前後席間の距離)は68mm増加。ヒップポイントも上がっており、この手のセダン/ステーションワゴン系としては随一の広々感がある。これなら特に雪が多い地域では、タクシーとして使うにもうってつけだ。
リアシートにエクシーガのような前後スライド機能はないが、背もたれのリクライニングは可能で、角度の調整幅も先代より広くなったと思う。またリアドアの開口面積も大きくなって乗り降りが楽になり、またサイドウインドウの面積もCピラーが後退した分、広くなった。これらも先代より広くなったと感じられる要因だ。
なおサイド&カーテンエアバッグ(フロントを含めて計6エアバッグ)は、ベースグレード(2.5i、2.5GT)を除いて標準装備。またベースグレードでもオプションで選択できる。
荷室の使い勝手はおおむね先代通り
5人乗車時のトランク容量は先代比+61リッター増しの520リッター。拡大方法は先代と同じで、荷室側レバーによる遠隔操作で背もたれを倒すシングルフォールディングとなる。
床下には発泡スチロール製の床下収納があり、その下にテンパースペアと工具が搭載される。燃料タンク容量はエクシーガと同じ65リッターだ。エクシーガはこれと同じホイールベースのシャシーに実用的なサードシートを押し込んでいるわけだが、レガシィにはそれがない分、全高が125mm低く、床下収納が大きいというわけだ。

