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スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.0GT spec. B新車試乗記(第274回)

Subaru Legacy Touring Wagon 2.0GT Spec.B

(2.0リッターターボ・5AT・310万円)

2003年06月27日

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キャラクター&開発コンセプト

水平対向エンジンと4WD

ツーリングワゴンと銘打って大ヒットとなった初代レガシィがデビューしたのは1989年。そして今回、2003年5月23日(セダンのB4は6月23日)に発売された4代目は、「走りと機能と美しさの融合」が開発テーマ。シャシーやエンジンを進化させると共に、デザインでも新しい試みを行っている。

没個性的なクルマが少なくない今、レガシィには際立った特徴と伝統がある。その一つが今回から「シンメトリカルAWD」と呼ばれるようになった縦置き水平対向エンジン&4WDシステムだ。特に水平対向エンジンは今やスバルとポルシェしか採用しない希少なエンジン形式。また販売の7割をステーションワゴンが占める点、さらに高性能ターボモデルがその半分を占める点も、他車では考えられないユニークな特徴だ。

「コアメカニズム」の進化

基本パッケージ、メカニズムは従来通りだが、新型では「コアメカニズム」の進化として、多くの技術改良が施されている。シャシーの高剛性化はもちろん、大幅な軽量化はそのうちの一つ。エンジン搭載位置をさらに低くするなど、操縦性の向上にも余念がない。エンジンはツインターボから「ツインスクロール」シングルターボに変更、変速機には待望の5速ATを投入し(ターボのみ)、フィーリングや燃費面での向上を目指している。

今回から2.5リッター4気筒(170ps)モデルは廃止され、代わって先代の155psから190ps(ATは180ps)にパワーアップされた2.0リッターDOHCエンジンが加わった。水平対向6気筒モデルはひとまずカタログから消えるが、いずれ追加されるようだ。目標台数はシリーズ全体(B4含む)で月間6000台。

価格帯&グレード展開

NAが205~307.5万円。ターボが270~390.5万円

レガシィは全車4WD。価格は自然吸気モデルの2.0i(全車4AT、140ps)が218~250.5万円。DOHCエンジンの2.0R(190ps)の5MTが240~302.5万円、4AT(180ps)がその5万円アップとなる。レガシィと言えばターボだが、その高出力エンジンを見ても分かるとおり、新型はNAモデルに気合いが入っている。

一方、従来通り看板モデルとなるターボは、2.0GT(5MT、280ps)は288~360.5万円、同5AT(260ps)が288~375.5万円。2.0GT「spec.B」の5MTが303~375.5万円、同5ATが310~390.5万円。

2.0i「カジュアルエディション」(205万円)は2.0i標準車より13万円安く、2.0GT「カスタマイズ・エディション」(270~279.5万円)は2.0GT標準車(5AT)より25万円安いが、装備が大幅に省略されるのでまったく一般的ではない。カスタムベースというのが名目だが、実際は価格を安く見せるための、いわゆるアドバルーンモデルだ。いずれも受注生産となる。

パッケージング&スタイル

35mm増えて、約200mm減った

新型レガシィで話題となっているのが、5ナンバー枠を越えた1730mmの全幅だ。スバルの説明では、大径タイヤを装着して従来通りの小回り性能を確保するにはこの幅が必要であり、実質的な取り回しは向上した、とする。ホイールハウス内に余裕を作った、ということだ。実際、先代で5.4~5.6メートルだった最小回転半径は、新型では全車5.4メートルに収まっている。いずれにしろ取り回しは実際の見切りが重要となるし、世界的に見てこのクラスで1730mmという幅は抑えが効いている方だ。全長4680mm×全幅1730mm×全高1475mm、ホイールベース2670mmは、幅を除くと先代と大きく変わらない。

レガシィらしさは残しつつ

洗練された外観は、新型の大きな魅力の一つだろう。前後がグッと絞られると共に、ボディサイドのキャラクターラインが消えて、一気にシンプルになっている。それでいてレガシィらしさを手堅く残した微妙なサジ加減がいい。ライバルの国産ステーションワゴンがモデルチェンジでガラッと変えてくるのと対照的で、欧州車のようなデザインチェンジとも言える。

Cd値はツーリングワゴンで0.30、B4で0.28。床面のフラット化やアンダーカバー装着が効いているようだ。細かいところでは、ドアミラー一体型のターンランプとリアフォグにLEDを採用する。

そこはかとなく運転席優先

室内は数字的にも実際の広さ感も、先代とほぼ同じという印象。違うのは外観同様にぐっと洗練されたインパネ・デザインだ。先代でもブリッツェンなどのインパネの質感は高かったが、これで主力モデルもこのクラスの水準に達したと言える。なお今やBMWでさえ左右シンメトリーなデザインになりつつあるダッシュボードだが、レガシィのインパネは微妙に運転席側に傾斜しており、ドライバーズカーであることを主張する。

メーカーオプションのDVDナビはタッチパネル式。社内、ではなく車内LANと連携して、瞬間燃費や走行記録、メンテナンス情報などが表示できる。また、レガシィではおなじみの「マッキントッシュ」サウンドシステムもオプションで用意。

便利にはなったが、天地は狭くなった

ワゴンとしての機能では、大きな変化が一つ。先代ではダブルフォールディング、つまり「座面を跳ね上げてから背もたれを倒す」方式だった荷室が、バックレストを倒すだけのシングルフォールディングになったことだ。しかも荷室側のボタン(電磁式)一つで簡単に倒せるなど、とても便利になった。戻す時もシートベルトを挟まないのがまた嬉しい。ただし、荷室は天地方向に明らかに狭くなった。絶対容量より日常の使い勝手を取った、ということか。

バックドアはアルミ製で、実際に操作した感じも軽い。ボディ最後端だから当然、ハンドリングにも大きく貢献するはずだ。もちろん、フロントフードもアルミ製となる。

基本性能&ドライブフィール

羽根が生えたがごとく

試乗したのはシリーズで一番人気と思われる2.0GTのspec.B(5速ATモデル)。イグニション・オンで各メーター(燃料計も含む)の赤い指針がブゥン、右いっぱいに振れる演出に、毎度のことながら「オオッ」と思いつつスタート。ヒップポイントは先代からは5㎜下げたと言うが、低目が好きな人でも一番下まで下げることはあまりないと思う。それぐらい、低くなる。

驚くのは加速のスゴサもさることながら、加速「感」がリニアでスムーズなこと。オートマチックということもありドッカンターボぶりは薄いが、アクセルを半分か2/3くらい踏んだ時の(実際のスロットル開度は全開に近いかもしれない)、羽根が生えたような「フワッ」という加速感が気持ちいい。

「新スバルボクサーサウンド」

それでいて前言と矛盾するが、シングルターボらしい、前方に吸い込まれるような加速も健在。「等長等爆排気システムの採用で水平対向らしさは無くなってつまらなくなったのではないか」という試乗前の心配も杞憂だった。ドコドコ感はないが、4000回転を越えてからのギューーーーンというサウンドは、スポーティ。「新スバルボクサーサウンド」と名付けたくなる気持ちは、だからよく分かる。 こういう演出にかけて、最近のスバルは役者だ。

もっと良いのは、これだけのハイパワー車でありながら、暴力的な感じがしないこと。最初のうちは全開加速を繰り返してしまうが、微妙なスロットルワークでユルユルと走るのもそれなりに楽しい。エンジンタイプもパワー感もまったく違うが、知的なフィーリングはRX-8のNAロータリーに通じると思った。運転中のストレスも少なく、乗った後の嫌な疲労感もない。

グイグイくる乗り心地

乗り心地は、荒れた路面だとそうとう揺すられる。スピード域が上がるとフラットになるかもと思ったが、試乗車の場合はあまり印象に変化はないように感じた。ただし、デイズ・スタッフの何人かは「これくらいなら気にならない」という意見だった。少なくとも、細かな突き上げや鋭いハーシュネスは気にならない。

足まわりはビルシュタイン製ダンパーに専用タイヤ「POTENZA RE050A」(215/45R18)という組み合わせだ。試乗車は走行1000kmちょっとだったが、この手のサスペンションは馴染みが出る可能性はあるし、人間の方も慣れてくる。実際、二日間の試乗のうち、最後の方はけっこう気にならなくなった。

思うがままに、意のままに

地味ながら、重要なセールスポイントとなっているのが、劇的と言っていい軽量化だ。新旧カタログを並べて比べると、50kg~90kgも軽い。このクラス、特に欧州車ではモデルチェンジの度に50kg~100kgくらい増えるのが当たり前なので、逆に軽くなったというのは掛け値なしにすごい。

それでいて剛性感も高い。spec.Bという尖ったモデルのせいもあるが、高速走行中のガッシリ感、安定感、安心感は、新型アコードや最新の欧州製中型セダンに負けないと感じた。頑なにサッシュレスを守るドアの「バスッ」という閉まり音にもちょっと驚く。

山道ではシャシーの安定感もさることながら、前輪でグイグイ加速&曲がってゆく感じが強烈。走る、曲がる、止まるにおいて、慣性の法則を感じさせない。試乗車はVDC(ヴィークル・ダイナミクス・コントロール)非装着だったが、ほとんどその必要を感じなかった(あるに越したことはないが)。パワステは軽いが、フィールはいい。ブレーキの剛性感はポルシェに匹敵するくらい高い。

待望の5速のAT

新開発の5速ATは、やはり4速ATより断然いい。きめ細かく変速するし、変速ショックも少なく、燃費にも貢献しているはずだ。燃費を気にしなければ、シフトレバーを右に倒したスポーツモードが特にいい。エンブレも絶妙に効いてくれて、中低速ワインディングならこれがベストだ。

そこから前後に動かすとシーケンシャルモード。自動シフトアップはない。さらにステアリング上にはポルシェのティプトロ風に+-ボタンが付く。しかも開発面でポルシェと繋がりがあると言われるスバルらしく、ティプロトロニックSのようにボタンを操作するだけで数秒間だけ自動的にマニュアルモードに入る(すぐにDモードに復帰する)。このロジックはこういったマニュアルモード付きATのベストの一つだろう。

気になったのはスイッチの形状。+と-がブラインドタッチだけでは分かりにくく、クリック感がない。この点、ポルシェのボタンはまったく初めての人でも押しやすく、カチカチと操作感も良い。スイッチ形状はそっくり真似ても良かったのでは、と思う。同じ水平対向つながりだし。

リミッターまで一直線

5速トップでの100km/h巡航は2500回転。最大トルクは2400回転で発生するので、ここから踏み込むだけでも十分速い。が、一速落として4000回転以上回すと、もうどうなっちゃうのっていう加速でスピードリミッター作動(メーター読みで190km/hくらい)まで一直線にワープする。ドライブバイワイヤーなので、そこまで行ってもいきなり失速せず、メーターを見なければ気付かないくらい緩やかに加速が止まる。前述のようにスタビリティは完璧。高速ツアラーとして一級。

燃費が悪いのは自分のせい

最後に、レガシィと言えば何かと話題になる燃費についてだが、朝の通勤で混みあった幹線道路でATに新しく備わった「ECOモード」を試してみた。その時になって、時速60kmまでなら1500~2000回転までで十分に気持ちよく走ることを発見。モニター上の瞬間燃費(とても見やすい)を見ながら走ったが、こうやって普通に走れば一般道でも8.0km/L前後は走る。ちなみに10・15モード燃費は12.0km/L。

問題は、前のクルマがいなくなった時。誘惑に負けてグッとアクセルを踏み込んだ瞬間から、燃費計のデジタル数字がコンマ1単位であれよあれよとカウントダウン…。つまりレガシィの燃費が悪いのは、不必要に加速する運転手のせいということか。

250km走ったトータルの燃費は約5.0km/L(車載コンピューターおよび満タン法で)。おそらくこれ以上悪いことは普通の状況ではないだろう。走り方によるが、他メーカーの3.0リッターモデルとほぼ同等と言えると思う。

ここがイイ

ついにオールニューチェンジ。すべてゼロから作り直した、という点で、様々な欠点が基本的にすべて克服されている。ターボに関しては好みの問題はあるが、ツインスクロールのシングルターボとされたことで、ターボの唐突感が消えたことも美点と言っていいだろう。サッシュレスドアなど、ある種どうでもいいところにこだわることで、アイデンティティを守ったことも評価できるところ。

試乗してよかった部分は5速AT、爆発的な加速、圧倒的なスタビリティ、マッキントッシュのオーディオ(先週のボルボXC90ほどではないが)、MOMOのステアリングの感触(やや細身で握りにステッチが入っているのが手のひらに心地よい)。

ここがダメ

試乗車個体の問題だったかもしれないが、シフトレバーがカチッとしておらず、ガタがあったのは興ざめ。またせっかくの5速なのにステアリングシフトは押しにくいだけでなく、体感的にも気持ちよいシフトワークができるとはいえなかった。

また、Dモードだとアクセルを戻してもエンジンブレーキがイメージどおりにはきかない。勝手に走っていってしまうという違和感が残った。

総合評価

レガシィは「ブランド」というものを確立した数少ない日本車だ。すべての日本車にとって転機となった年といわれる'89年に登場した初代レガシィは、それまでのスバルといえば「スバリスト」が乗るマニアックなクルマ、あるいは軽自動車というイメージを覆し、日本のステーションワゴンの代名詞に育った。

それは商用車イメージをかたくなに拒否したことが大きいだろう。カルディナという車名に商用車を思い起こす人はいても、レガシィはあくまでワゴン(乗用車)としてしかイメージできない。ゆえにこのタイプのクルマの中で常に特別な存在でいられたわけだ(スバルとしてはレオーネを商用車として生産し続けることができたのは幸いだった)。このあたりのマーケティング、あるいは偶然が、レガシィをスバルにとってのドル箱に育て上げたわけだ。

ニューレガシィはすべてを一新しながらも、キープコンセプトである。ステーションワゴンというボディ形状が当たり前になり、ライバルも増え、多様化するクルマのタイプの中でかつてのような人気を失っている現在、このキープコンセプトが自らを守るものであり、自らの首を絞めるものでもあるあたりに、スバルの難しさがある。ワゴン人気が上向きだった時期は我が世の春を満喫できたが、現在、ユーザーのワゴン離れが着実に進んでいることは間違いない。

そのため先代からセダンの拡販が図られてきて、一定の成果を収めてはいるが、セダンのユーザーは「スバリスト」が多いようにも見受けられ、必ずしも一般的な人気を獲得しているとは言い難い。

まるでポルシェのように、14年もの間、改良に改良を重ねてきたレガシィだが、ここに来てついに根本から一新された。試乗車はインプレッサのように軽いフィーリングで、先代同様恐ろしく速いものの、ドッカンターボではなくなってスムーズネスが増し、挙動は素晴らしく安定している。こうしたハードウェアの強力な進化が、ブランド力を強化し、販売を増すかというと、そうは簡単にいかないあたりが難しいところ。多くの人にとって「レガシィに乗っている」ことが重要であり、フラット4であることも、フルタイム4WDであることも、レガシィに乗る決定的な要因ではないからだ(ポルシェだって水冷になっても売れ続けている)。

新型レガシィは紛れもないレガシィであるがゆえ、既存のレガシィユーザーにとって強く買い換え欲を刺激するものではないだろう。またワゴンに興味を持たない人に強い印象を与えるものでもない。フラット4は独自だがロータリーほどの強烈さはなく、ターボも4WDも、もはや当たり前のものになってしまった。4WDからAWDへと名称を変えたあたりにレガシィの苦悩が見える。

とはいえ、フォローをするようだが、ワゴンというカテゴリーでは依然、圧倒的なアドバンテージを持っている。先代GT-Bより走りは軽くなり、デイズ編集部にある10年前のポルシェ911(タイプ964)より圧倒的に速く、安定しており、快適で、安全だ。4人が快適に乗れ、荷物がたっぷり積め、カーナビからオーディオまで先進装備も十分。ブランドも立っている。燃費も改善されている。今乗っているレガシィに不満がないのなら、このレガシィはさらに不満がない。ユーザーはぜひ買い換えをして、日本経済に貢献して欲しいと思うのだ。

試乗車スペック
スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.0GT spec. B
(2.0リッターターボ・5AT・310万円)

●形式:TA-BP5●全長4680mm×全幅1730mm×全高1475mm●ホイールベース:2670mm●車重(車検証記載値):1490kg(F:870+R:620)●エンジン型式:EJ20●1994cc・DOHC・4バルブ・水平対向4気筒ターボ・縦置●260ps(191kW)/6000rpm、35.0kgm (343Nm)/2400rpm●10・15モード燃費:12.0km/L●駆動方式:フルタイム4WD●タイヤ:215/45R18(ブリヂストン製 POTENZA RE050A)●価格:310万円(試乗車:352.5万円 ※オプション:クリアビューパック、濃色ガラス、マッキントッシュサウンドシステム、DVDナビなど) ●車両協力:名古屋スバル自動車株式会社

公式サイトhttp://www.subaru.co.jp/legacy/touringwagon/index.html

 
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