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スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.0GT新車試乗記(第420回)

Subaru Legacy Touring Wagon 2.0GT

(2.0Lターボ・5AT・313万9500円)

2006年06月23日

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キャラクター&開発コンセプト

外観変更、「SI-DRIVE」の採用

フルチェンジから3年経った2006年5月、初の大掛かりなマイナーチェンジを受けて登場したスバル・レガシィ。改良内容で目立つのは、ボディ外板の変更を含む内外装のブラッシュアップと、2リッター4気筒ターボと3リッター6気筒・水平対向エンジンに採用された「SI‐DRIVE(エスアイ・ドライブ=Subaru Intelligent Drive)」の2点だ。スバルらしく、ボディ剛性のアップや足回りの再セッティングといった地道な改良も行われている。

価格帯&グレード展開

SI-DRIVE付は300万円前後

従来通り、レガシィは3シリーズで展開。「B4」(208万9500円~319万2000円)、「ツーリングワゴン」(210万円~334万9500円)、SUV風の「アウトバック」(268万8000円~339万6750円)だ。エンジンは以下の5種類で、言うまでもなく全て水平対向。駆動方式は全車フルタイム4WD(AWD)となる。

■2.0リッター4気筒SOHC(140ps) ※B4とワゴン
■2.0リッター4気筒DOHC(4AT:180ps、5MT:190ps) ※B4とワゴン
■2.0リッター4気筒DOHCターボ(5AT:260ps、5/6MT:280ps) ※B4とワゴン
■2.5リッター4気筒SOHC(177ps) ※アウトバック
■3.0リッター6気筒DOHC(250ps)※全シリーズ(B4、ワゴン、アウトバック)

200万円少々からスタートするが、販売主力は250万円前後以上。目玉のSI-DRIVE付の2リッターターボおよび3リッター6気筒モデルは300万円前後になる。

パッケージング&スタイル

少し濃い顔付きに

ボディサイズはこの4代目で5ナンバー幅を30mm越えたが、十分に抑制が効いた全長4680mm×全幅1730mm×全高1470mm。従来のあっさり淡白なデザインから、マイナーチェンジで少し濃い顔付きになった。バンパーやライト形状だけでなく、ボンネットやフロントフェンダー形状も変更。リアにはメッキモールが付いた。

過去のレオーネ(1984~91年)からレガシィに引き継がれたサッシュレスウインドウは、最近の実用セダン/ワゴンでは珍しい。

黒基調+メッキモールで質感アップ

センターのメタル調パネルに代えて、一眼レフカメラのような質感のブラック樹脂に変更。また、シフトレバーを囲むメッキモールを四角から円へ変更。それに合わせて、メッキモールで丸く縁取ったドリンクホルダーを二つ設置(従来のドリンクホルダーは実用本位のデザインで、シャッター式の蓋が付いていた)。全体に落ち着いた質感を得たほか、上位グレードにテレスコを追加するなど、実用面での改良も行われている。

3つの出力特性を選べる「SI-DRIVE」セレクター

マイナーチェンジの象徴と言えるのが、センターコンソールのSI-DRIVEセレクターだ。丸いダイアルの形状や質感は、精密機器や航空機、いやWRCのラリーカーみたいと言うべきか、なかなかカッコいい。このセレクターで「i」(インテリジェント=省燃費)、「S」(普通のスポーツ)、「S♯」(スポーツシャープ)の3つの出力特性が切り換えられる。

セラクターはカチッカチッと切り替える機械式スイッチではなく、右に回す(S♯)もしくは左に回す(S)、そして上からプッシュする(i)の3通りがある電子式スイッチだ。よってセレクターの向きは常に同じで、ブラインドタッチでどのモードに入っているかは分からない。確認するには、メーターパネル内の液晶モニター(出力特性を表すグラフ状になっている)を見る必要がある。

ステアリング(コラム部分)にもモード切替が可能な(正確には「S」と「S♯」、あるいは「 i 」を含む「元のモード」への復帰)スイッチが付く。

基本性能&ドライブフィール

ガンガン来るS♯

試乗したのはツーリングワゴンの2.0GT(5AT)。エンジンは今までと同じ2リッター等長等爆、「ツインスクロール」シングルターボ(AT車は260ps、35.0kg-m)で、10・15モード燃費13.0km/Lも変わらないが、燃焼効率や出力特性は入念に改良されているようだ。

注目のSI-DRIVEだが、始動直後のエンジン冷間時は、普通の「S」か「i」しか使えない。まずは通常のSで走り始めるが、これだとパワー感は従来通り。マイナーチェンジ前は、等長等爆ユニット独特の、ザーーーというサウンドが印象に残ったが、今回はその音がかなり抑えこまれ、少し静かになったかな、と思う程度だ。5000回転以上回した時のパンチは十分だが、それ以下では刺激的ではなく、マイルドと言ってもいい。

エンジンが温まったところで今度は「S♯」にチェンジ。最高出力は「S」と同じだが、パワーの立ち上がり方とアクセルのツキはまったくの別物。というかオートマで乗って、これほど低中回転でガツンとレスポンスするクルマはターボはもちろん、NAでも珍しい。「WRカー」みたいと思わせるに十分な激変ぶりだ。

ATについて触れると、今回のマイナーチェンジでは、AT全車にマニュアルモード時の自動シフトアップが追加されている。コーナー手前で勝手にシフトアップされて困る時もあるが、あっという間に吹け切ってしまう高性能車でもあり、一般的には使いやすい方式だと思う。また、3リッター6気筒の5速AT車にはシフトダウン時に回転合わせを行う「ダウンシフト・ブリッピングコントロール」が付いた。トルコン式ATでは確か日産車に続くもののはずだ。

NA並みのパワー感と燃費の「i」

過激なS♯に疲れたら、今度はインテリジェントな(燃費優先の)「i」モードを選択。こちらはピークパワーがほぼNA並みに抑えられ、結果的に10・15モードが2リッターのNA(2.0R)と同じ13.0km/Lとなる。面白いのは、想像していたような低圧ターボみたいな感じではなく、あくまで全体のトルクもNA風に落とすところ。おかげでちょっとアンダーパワーなクルマみたいになる。それでも当然ながら一般道で普通に走るには、全く十分なパワー。ハイパワー車にありがちなアクセルを全開にしたいという誘惑にかられないところもいい。

改良された乗り心地、圧倒的な脱出加速

マイナーチェンジ版は、乗り心地がいいのも印象的だ。前回試乗した2.0GTが「spec.B」主体だったこともあるが、ずいぶんマイルドに思える。タイヤは快適性とスポーツ性で定評のある専用チューンのポテンザRE050Aで、ロードノイズは低く、少々飛ばした程度ならグリップもコントロール性も申し分ない。モノコック結合部の板厚アップやダンパー構造の変更といった改良のおかげもありそうだ。高速をとばすと、ピタリと路面に張り付いたAWDらしい安定感が心強い。このあたりこそレガシィを買ったユーザーが良かったと思えるところだろう。

一方、それなりに攻め込んだ時には、スペックBにない曖昧な動きや大きな姿勢変化が出る。ゆえに、スポーツワゴンらしいシャープさを求めてスペックBを設定するメーカーや、それを選ぶユーザーの気持ちもよく分かる。しかし、普通の2.0GTでもアクセルをガンガン踏めるのは確かで、そうした時の、特にコーナーからの脱出加速にはRRのポルシェに迫るものがある。絶対的な速さはともかく、振り回す面白さでは「素」の2.0GTでも十分。

ここがイイ

良心的で、真面目な作り。良い乗り心地。どのモードでも(例えばスポーツ#モードでも)マイルドなパワー特性。滑らかで気持ちいいパワーステアリング。ほどよい大きさのボディによる取り回しの良さ。

SI-DRIVE搭載はレガシィだけでなく、クルマにとって画期的な出来事。走りと燃費を両立させるにはこの手があったわけだ。日常と非日常を1台で楽しめるのは素晴らしい。

パドルシフトとインテリジェントモードの、意外な相性の良さ。どういうことかというと、ローパワーのクルマをパドルシフトで精一杯走らせることができる楽しさがあったのだ。インテリジェントモードはエコにもいいが、そんなふうに走りの楽しさのためにも使える。スペックBには6MTも新搭載されているから、テクニックに合わせてクルマをスペックアップすることが1台のクルマでできてしまうだろう。

ワゴンとしてはリアシートのワンタッチフォールディングシステムが便利。

ここがダメ

そこはかとなく高級感に欠ける印象のインテリア。確かに高級車ではないと思うが、スバルの旗艦でもあり、全体の質感をもう一歩高めて欲しいと思う。同様にエクステリアデザインももう少し、いかにもカッコ良くならないものか。グリルにアイデンティティを表すのが世の習いとなっているが、例のグリルアイデンティティに失敗して以降、迷走が続いていると思われるフロントまわりは特に残念。

荷室は今となっては特に広いとはいえない。ワゴンである以上、もう少しサイズが欲しいと思うが、これは次のフルチェンジを待つしかないところだ。

総合評価

このモデルで語るべきは、やはりSI-DRIVEだろう。電子制御スロットルとしたことでなしえたこのシステムは、1台のクルマに3つの別人格(性格)を持たせることを可能にしたわけで、今までにない夢のクルマになったといっていい。これまで1台のクルマは1台の人格しか持っていなかったわけだが、1台で3台分楽しめるという点では、もっとも投資費用対効果が高いクルマということもできる。

およそ個人がクルマを選ぶ場合、ブランドや価格に加え、そのクルマの性格を好むか好まざるかが分かれ目になった。速いのに荷物が積めない、荷物は積めるのに遅い、速いけど安っぽい、豪華だけど遅い、速いけど燃費が悪い、経済的だけど遅い、とたいてい相反していたわけで、その折り合いをつけることがクルマ選びともいえたのだ。しかしレガシィならそこを悩まなくてもいいかもしれない。これは画期的なことではないか。

もっとも最近の若い人の場合、速いということはあまり気になる要素ではないかもしれない。「走り、走り」というのは遅かったクルマの記憶を持つ中高年ばかり。よく走るクルマで育った若者は、走りはクルマ選びの要因に入らないかもしれない。しかしレガシィのGT以上ならブランドやユーティリティで選んでも、強烈な走りがもれなくついてくる。これで虜になり、走り好きな若者が増えればいいのだが。と、そんな効果も期待してしまう(新車ではなく中古車となったときにこういう現象が起きるような気がする)。

多くのクルマの基本性能がここまで上がってきた以上、やがて足回り特性を含めて好みで走りの性格が変えられるクルマが今後増えてくるはずだ。そしてそれはやがて主流になるだろう。レガシィはまだエンジンだけだが、次のフルチェンジではSI-DRIVEに足回りも追加されるに違いない。そしてやがてはボディも自由に替えられるようになるだろう。今でも電動メタルトップのオープンカーならそれができる。クローズドからオープンへボタン一つで変身させ、インテリジェントモードでゆったりオープンクルージングを楽しむ。そして剛性の高いクローズドクーペに変身させたあとは、エンジン特性と足回り特性をスポーツ#モードに切り替えワインディングを攻める、なんて。そんな夢のクルマはもうじき登場するはずだ。

やがてはボディ形状やエンジン特性、足回り特性のみでなく、ホイールベースすら走りに応じて変えられるクルマが出てくるかもしれない。つまり運動性そのものを変えられるわけだ。例えばトヨタのiユニットのように。後年、06年のレガシィによってクルマがまた一歩ロボットに近づいたと記憶されるだろう。今回のレガシィは小メーカーの密かなマイチェンだが、クルマにとっては大きな進化だと思う。当然ながらレガシィ自身にとっては、今回はマイナーではなくフルのチェンジといってもいい。3年前の新型レガシィが基本性能を高めたフルチェンジだとすれば、大きく進化した今回こそ本当のフルチェンジだ。

スバルはトヨタと提携した。そんなスバルから、トヨタにはまだない独自のハイテク機能を持つクルマが生まれてきた。スバルにはぜひ今後もこの独自性を押し進めて欲しいものだ。先日長年付き合いのあったスバル特約店(街のモータース)の社長が亡くなったのだが、この人はスバルの修理に関する生き字引のような人だった(合掌)。こういうスペシャリストがスバリストを支えていたことも、スバルが独自性を維持できた原因だろう。街のモータースをはじめ、スバルビジネス全体でトヨタとの共生ができることを望まずにいられない。

試乗車スペック
スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.0GT
(2.0Lターボ・5AT・313万9500円)

●形式:CBA-BP5●全長4680mm×全幅1730mm×全高1470mm●ホイールベース:2670mm●車重(車検証記載値):1480kg(F:860+620)●乗車定員:5名●エンジン型式:EJ20●1994cc・水平対向4気筒・DOHC・4バルブ・ターボ・縦置●260ps(191kW)/6000rpm、35.0kg-m (343Nm)/2000rpm●カム駆動:タイミングベルト●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/64L●10・15モード燃費:13.0km/L●駆動方式:電子制御フルタイム4WD●タイヤ:215/45R17(BRIDGESTONE POTENZA RE050A)●試乗車価格:313万9500円(含むオプション:-)●試乗距離:約220km ●試乗日:2006年6月 ●車両協力:名古屋スバル自動車株式会社

公式サイト http://www.subaru.co.jp/legacy/touringwagon/index.html

 
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