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レクサス NX200t “Fスポーツ” AWD新車試乗記(第740回)

Lexus NX200t “F Sport” AWD

(2.0L 直4ターボ・6速AT・518万円)

デザインで突き抜けた!
そしてターボは
新型リモートタッチは
どうだった?

2014年09月20日

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キャラクター&開発コンセプト

レクサス初のコンパクトSUV


2013年 東京モーターショーで発表されたLF-NX ターボコンセプト

2014年7月29日に発売された「NX」は、レクサス初のコンパクトクロスオーバーSUV。ミドルクラスSUVのRXシリーズより、一回り小さいモデルになる。

NXの原型と言えるのは、2013年秋のフランクフルトモーターショーで登場したコンセプトカー「LF-NXハイブリッド」。同年の東京モーターショーでは次世代2.0リッターターボエンジン搭載との触れ込みで「LF-NX ターボコンセプト」を発表。そして2014年4月に北京モーターショーで初めて市販モデルが発表された。

 

新型レクサス NX200t(市販車)

開発コンセプトの「Premium Urban Sports Gear」は、直訳すれば、高級感があり、都会的で、スポーティなギア(格好いい道具)。プラットフォームは現行3代目ハリアー(2013年12月発売)がベースで、すなわちエンジン横置きのFFもしくは4WD。世界的に拡大している高級コンパクトSUV市場に投入するモデルで、ライバル車としてはアウディのQ3、Q5、BMWのX1、X3、レンジローバー イヴォーク、メルセデス・ベンツ GLAなどが想定されている。

レクサス初のガソリンターボ、そしてハイブリッドの2本立て


新開発2リッターターボエンジンを搭載したNX200t
(photo:トヨタ自動車)

先行するライバル車に対抗すべく、新型NXではレクサス初のガソリンターボエンジンとなる新開発2.0リッター直4ターボ(8AR-FTS型)の「NX200t」と、現行ハリアー譲りのハイブリッドシステム、すなわち2.5リッター直4(2AR-FXE型)+モーターの「NX300h」をラインナップする。

生産はトヨタ自動車九州(株)の宮田工場で、月販予定台数は700台。

なお、発売から約1ヶ月後までの初期受注台数は累計約9500台に達し、内訳はガソリン車とハイブリッド車でほぼ半々ずつとのこと。

 

現行ハリアーと同じハイブリッドシステムを搭載したNX300h
(photo:トヨタ自動車)

■過去のニュース
トヨタ、新型レクサス「NX」を発表 (2014年7月)

■過去の新車試乗記
トヨタ ハリアー (2014年2月)
レクサス RX450h (2009年2月)
レクサス RX350 (2009年2月)

 

価格帯&グレード展開

ターボ車は428万円~、ハイブリッド車は492万円~


NX200t Fスポーツ。写真は3眼フルLEDヘッドランプ装着車(Fスポーツではオプション)
(photo:トヨタ自動車)

ラインナップは前述の通り、2.0リッター直4ターボ(238ps、35.7kgm)+6ATの「NX200t」、そして2.5リッター直4+モーター(システム出力197ps)の「NX300h」の2本立て。

それぞれFFとAWD(4輪駆動)があるが、300hのAWDに関しては後輪をモーターのみで駆動する電気式AWD「E-Four」になるのでプロペラシャフトはない。

価格は200tが428万円~518万円で、300hはそれより64万円高い492万円~582万円。ちなみにハリアーは自然吸気2リッターガソリン・CVT車が約280万円~、ハイブリッド車(AWDのみ)が約370万円~とNXよりかなり安いが、エンジン車同士ではパワートレインが全く異なるし、ハイブリッド車同士では装備等が大きく異なる。

 

NX300h Fスポーツ。写真はロービームのみLEDヘッドランプのタイプ
(photo:トヨタ自動車)

プリクラッシュセーフティシステム+全車速追従機能付レーダークルーズコントロール(アイドリングストップとの連携機能付)は全車オプション(6万4800円)。ボディカラーは計10色で、新色のソニッククオーツや、試乗車のソニックチタニウム(現行GSと同じ色)など質感の高い色が揃う。

 

パッケージング&スタイル

“ジャパンクール”なカッコ良さ


片側3灯のフルLEDヘッドランプ(標準装備ないしオプション)やスピンドルグリルは、ISとの共通性を感じさせる。試乗車はFスポーツ

「プレミアム アーバン スポーツギア」を目指したスタイリングは、今風に言えば“ジャパンクール”なカッコ良さを持つもの。各部のモチーフは現行ISに通じるが、NXはコンパクトSUVという比較的新しいジャンルゆえか、セダン系にありがちなコンサバの壁を突き抜けた感じ。それでいて大人っぽい高級感もあり、ちゃんとレクサスしている。中でも目を引くのが、昔風にブリスターフェンダーと呼びたくなるフェンダーフレアで、ガンダム的でもあり、また往年のセリカ GT-FOURも彷彿とさせる。

全幅は日本市場に配慮して1845mm


NX200tにはデュアルマフラーカッターが、300hには同じ場所にテールフィンが備わる

ボディサイズは全長4630mm×全幅1845mm×全高1645mmで、RX(4770×1885×1690mm)より140mm短く、40mmナローで、45mm低いなど、全ての点で一回り小さい。

また、ベースが同じ現行ハリアー(4720×1835×1690mm)と比べても、90mm短く、45mm低くて、やはりショート&ロー。ホイールベースはハリアーと同じ2660mm。

一方、ライバルのQ5やX3と比べると、全長や全高は似たようなものだが、全幅はQ5、X3、イヴォークが1900mmあるのに対して、NXのそれはQ3、X1、GLAと同等の1845mmに収まっている。これは日本の機械式立体駐車場に対応するためとのこと。

 
 

インテリア&ラゲッジスペース

高級感に加えて、遊び心も盛り込む

インパネもエクステリアに負けず劣らずダイナミック。レクサスらしい質感を備えながら、畳み掛けるように新しい意匠を盛り込んでいる。新型リモートタッチの使いにくさは気になるが(後述)、一方でエアコン等の操作には流行りの液晶タッチパネルではなく、昔ながらのスイッチを使う。コストは掛かっても、こちらの方が操作しやすいということか。

 

センターコンソールの蓋を外せば手鏡に。「おくだけ充電」はレクサスでは初採用

また、センターコンソールのニーパッドにはスーパースポーツのLFAに使われているLEXUS刻印入りのキャップボルトをあしらうほか、センターコンソールの蓋が手鏡になるといった女性に受けそうな遊びもある。かつてのスペシャリティクーペ的なノリを感じさせる。

 

新型リモートタッチは、ポインターを動かすとタッチパッド自体が振動するフィードバック機能を備える

カラーヘッドアップディスプレイは、速度、エンジン回転数、ナビ情報、エコ運転インジケーター、車線逸脱警報などを表示

Fスポーツ用のスポーツシート。ベンチレーション機能を最強にすると9月でも寒いくらいに涼しい
 

後席使用時でもゴルフバッグを横向きに3個、その上に1個の計4個を積める

オプションで電動リクライニング&電動格納機能付リアシート、そして電動リアゲートを用意

後席は下手な中型セダンより広く、乗り降りしやすい。電動リクライナーのスイッチは座面横
 

基本性能&ドライブフィール

ターボっぽくないターボ


トヨタにとっては2007年に終了した「3S-GTE」以来のガソリンターボ。ボア×ストロークは3Sと同じ86.0mm×86.0mmのスクエア

試乗したのはターボエンジンのNX200t(AWD)。

「8AR-FTS」と呼ばれる2.0リッター直4エンジンは、ツインスクロールターボチャージャーに加えて、ターボ用に新開発した直噴+ポート噴射併用システム「D-4ST」、可変角を拡大して通常のオットーサイクルから燃費重視のアトキンソンサイクルへの切り替えを可能にした「Dual VVT-iW」(iWはintelligent Wide)、さらに水冷エキゾーストマニホールド一体シリンダーヘッドや水冷インタークーラーなどの新技術を山盛り、てんこ盛りにしたもの。ボアピッチこそ既存のAR系エンジンと同じだが、ブロックからすべて新開発とのこと。気になるスペックは、最高出力238ps、最大トルク350Nm (35.7kgm)となかなかハイパワー。

 

ただ、実際に走らせて意外なのは、思ったほどターボっぽくないこと。VWやアウディ、BMWといった今どきの直噴ターボ車と比べてもターボ感はない方で、自然吸気ですと言われたら、そうですかと信じてしまいそう。エンジンサウンドは、オーディオスピーカーによる「アクティブサウンドコントロール」(200t、300h共にFスポーツに装備)で演出されているようで、どこまで“本物”か分からないが、音も何となく自然吸気エンジンっぽい。

 

走行中に見る余裕はないが、メーター中央の液晶ディスプレイにはブーストメーターも表示できる

全開加速を試みればシューンと高回転まで爽やかに回りきり、それなりに速いが、「うわ、はえーな」と驚くほどではない。車重はAWDでオプション満載の試乗車で1820kgあり、パワーウエイトレシオは7.65kg/psとまずまず。

変速機はターボエンジン用に改良された6速ATで、パドルシフトのほか、コーナリング中の変速制御を最適化する「G AI-SHIFT制御」も採用されている。しかしスペック的には率直なところ、欧州車でスタンダードになっている8速ATや9速AT、7速DCTと比べて見劣りするところ。

ワインディングもスポーティに破綻なく走る

Fスポーツには減衰力が従来の9段階から30段階で可変するようになった新開発のNAVI・AI-AVS(Adaptive Variable Suspension system)や、サスペンション基部を左右でつなぐパフォーマンスダンパーを標準装備。足回りも専用チューニングで、タイヤはFスポーツの場合、標準はサマータイヤの235/55R18になるが、試乗車が履くオプションのFスポーツ専用アルミでは、なぜか225/60R18になる。

ワインディングでは今どきのクロスオーバーSUVらしく破綻なく走る。普通なら強いアンダーステアに陥る状況でもよく曲がるし、姿勢変化も少ない。また、試乗車はAWDゆえ、ホイールスピンもほとんど全くない。NX200tのダイナミックトルクコントロールAWDは、ステアリング操舵量まで検出しながら前後100:0~50:50までトルク配分を可変するもので、パワーを完全に手なづけている。

 

試乗車はオプションのFスポーツ専用アルミと225/60R18(BS デューラー H/L)装着車

また、NXのボディはいわゆる線レーザーではないが、スポット溶接より細かいピッチで溶接できるレーザースクリューウェルディングや、パネルを面接合することで振動減衰効果もあるという構造用接着剤を使ったもの。ドイツ車の巌(いわお)のような感じとは違うが、剛性感は確かにある。

ただ、欲を言えばもう少しパワー感とか、鋭い身のこなしが欲しくなる。この感じはドライブモードセレクトで「SPORT S+」を選んでもあんまり変わらない。少なくともISやGSほど過激に変化しない。また、山道ではエンジン回転がドロップしがちで、もしミッションが8速だったらどうだったかも気になる。

レーダークルーズの設定は115km/hまで

今回は名古屋・御殿場間の往復などで、東名や新東名を600km以上を走行。100km/h巡航時のエンジン回転数は約1800回転で、ペースを上げても静粛性や直進安定性は変わらず、しれっと高速巡航してくれる。何の不満もない一方で、胸のすく加速感とか、ものすごい直進安定性とか、ものすごい静粛性とかいった際立った印象が残らない。

オプションの全車速追従機能付レーダークルーズコントロールは、前回のVWポロ試乗記でも触れたように、速度設定は115km/hまで。ちなみにNXのレーダークルーズコントロールは、レクサス車で初めてアイドリングストップとの連携機能を備えていて、渋滞時などに車両が停車するとアイドリングストップを行うだけでなく、前車の発進を感知してエンジンが自動で再始動する。

 

プリクラッシュセーフティシステムは、ドライバーが全くブレーキ操作を行わない場合、例えば先行車20km/h、自車50km/hの場合(つまり相対速度差30km/h)であれば、衝突回避もしくは被害軽減を行うとのこと。また、ドライバーがブレーキを踏んだ時にはプリクラッシュブレーキアシストが作動し、例えば先行車20km/h、自車80km/h(相対速度差60km/h)では、最大60km/h程度まで減速するという。前者は主に脇見運転を想定したものだが、後者はブレーキ性能をちゃんと引き出すと同時に、ドライバーの技量を補なうもの。緊急時にブレーキペダルを全力で“蹴飛ばすように”踏むのは誰もが必ず出来ることではないので、あれば心強いと思う。

また、同じくオプションのステアリング制御付LDA(レーンディパーチャーアラート)は、車線をカメラで読み取り、逸脱を警告するだけでなく、車線内に留まるように操舵アシストまで行う。技術的には特に新しくはなく、アシスト力も注意していないと気づかないくらいの強さだった。最近乗った例では、スバル レヴォーグのEyeSight(ver.3)に備わるステアリング制御の方が、より強くアシストしてくれる気がする。

試乗燃費は8.1~11.8km/L。JC08モード燃費(NX200t)はFFが12.8km/L、AWDが12.4km/L


タンク容量は60リッター(300hは56リッター)。指定燃料は200tがハイオクで、300hはレギュラーでOK

今回はトータルで約800kmを試乗。試乗燃費(車載燃費計)は、いつもの一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約90km)が8.1km/L。一般道を大人しく走った区間(約30km)が8.9km/L、名古屋-箱根間の往復で高速道路(約500km)およびワインディング(約60km)を走った区間(計580km)が10.1km/L、高速道路で80~100km/hで大人しく走った区間(約150km)が12.0km/Lだった。

撮影を含めたトータル燃費は、車載燃費計によると9.4km/L。合計で約90リッターのハイオクガソリン(リッター180円~185円)を消費し、約1万7000円が飛んだ。

 

棒グラフは、おおむね今回の試乗における燃費推移。10km/L台は高速道路でないと難しい

JC08モード燃費は、試乗したAWDが12.4km/Lで、FF車が12.8km/L。これは、プレミアム指定のRX350(8.8~9.1km/L)より約4割も良く、レギュラー指定のRX270(10.0km/L)より約3割良い。ただし、その上を行くのがハイブリッドの300hで、FF車は19.8~21.0km/L、AWDでも19.6~19.8km/Lと良く、しかも指定燃料はレギュラー。というわけで計算上は200tより64万円高い300hを買っても、8万~9万km走ればいちおうチャラになるはず。

 

ここがイイ

第一にスタイリング。そして待望のターボが出たこと

独創的でアグレッシブなスタイリング。最近のトヨタ車の中でもベストかもと思う。身も蓋もないことを言えば、デザインがNXの売れている最大の理由だと思う。

トヨタ久々のガソリンターボエンジンにより、やっと過給ダウンサイジングの流れに乗ったこと。ユーザー的にも、快適性は従来のV6エンジン車とまずまず同等で、燃費は3~4割良く、このカッコいいスタイリングと手頃なボディサイズ、そして高級SUVとしては妥当な価格のクルマが手に入るようになったわけで、売れているのも当然だろう。

ここがダメ

今ひとつ印象の薄い走り。使いにくい新型リモートタッチ

トヨタが満を持して出したと言うべきターボ車ゆえ、つい走りに期待してしまったが、ファン・トゥ・ドライブ感はやや淡白で、クルマ好きや欧州車好きが唸るような種類ではないこと。また、スペック面では8速ATの採用が見送られたこと。普通に走る限り、6速でもネガティブな印象はないが、8速なら高速燃費の底上げも出来たはずだし、ステップ比も小さくなってワインディングでの走りはよりスポーティになったはず。何より新型車なのに、欧州のライバル車に最初から段数で負けているのが残念。

 

リモートタッチは、とりあえず現状では従来型の方が良かったのに、という印象。確かにタッチパッドは文字入力も出来るし、アウディなども採用しているから今後発展する可能性はあるが、従来のジョイスティック的に動くコントローラーを指先で動かすタイプの方が、操作感は良かった。そもそも右ハンドル車で乗る日本の場合、タッチパッドを左手で操作するのは、根本的に無理がある(左利きにはいいかもしれないが)。従来型リモートタッチをもっとカイゼンするという手もあったと思う。

 

レーダークルーズコントロールの設定速度は、前回のポロ試乗記でも触れた通りで、もう少し引き上げてもいいのでは。国内業界のリーダーであるトヨタには、何とか“自主規制”見直しの音頭取りをして欲しいところ。

細かい話だが、最近のレクサス車に採用されるアナログ時計は、今回のNXでも光が差し込む日中などに見にくかった。アナログ式のまま、運転中でも瞬時に時間が分かるデザインにすべき。

総合評価

不況などどこ吹く風

4月の消費税増税以降、景気はやや悪化という観測もある一方で、株価は円安効果などで好調なようだが、実際のところ、景気がいいという感覚は全くない。とはいえNXは「7月29日の発売から9月3日までの約1ヶ月間で、累計約9500台、月販目標700台の約14倍となっている」というプレスアナウンスがあり、また新型ハリアーの方も愛知県726万人をテリトリーとする名古屋トヨペットの場合、発売された昨年12月から今年8月末までの受注が7779台で納車が5222台、つまり納車待ちがまだ約2500台もある状況だという。どちらも高額車であり、不況などどこ吹く風という感じに見える。

スポーツカーと違ってSUVは法人需要も多いだろうから、全て個人が買っているわけではないはずだが、それにしてもたいした売れ行きだ。特にNXはアグレッシブなデザインでカッコ良く、試乗中もある人から「儲かってますねえ」と嫌味を言われたほど。「いや、試乗車ですから」と言い訳したが、それくらい人目につくクルマで、そういう目にも耐えられる、儲かってますと言える人が相当数いるわけだ。これをアベノミクスの成功と捉えるか、貧富の差が広がっていると捉えるかは、なかなか興味深いテーマだが、さて。

 

NXも売れているが、ポルシェのマカンもずいぶん受注があるとのこと。こうしたコンパクトサイズのプレミアムSUV人気を支えているのは、やはり女性ではないか。多くの女性がSUV好きだが、レクサス RXあたりでも日本で使うにはかなり大きいので、ちょっと普段使いには辛いところだった。それはポルシェのカイエンあたりも同様。だからコンパクトなNXやマカンが売れることになる。購入するのは男性が多いはずだが、実際は奥さんが乗るというパターンでは。NXのインテリアはリッチ感十分で、ファッショナブルな女性ならまず気にいるはず。走りの方は…これはもう普通に街乗りするには十分だろう。クルマに対してウルサイ方々には色々突っ込みどころもあるかもしれないが、女性の足としてはまあ文句はないと思う。

レクサスというブランドも、クルマウルサ方にとって最高級ブランドというまでには、まだまだ至ってはいないが、こと日本の奥様になら高級ブラントとして十分に成立している。NXは登場してまだ間もないが、目を引くスタイリングもあり、セダンやスポーツカーは好きじゃないけどSUVなら乗りたい(しかも安心な日本車で)という、ちょっとリッチな奥様方垂涎のクルマになっていることが、今の売れ行きを支えている、と言ってもいいのでは。本当はトヨタ初の小排気量ターボの出来はどうよ、走りはどうよ、とシビアに考えたいところだが、まあそれは売れ行きとはまったく関係ない。そのあたりがクルマという商品の面白くも難しいところだ。

リモートタッチは現時点ではスマホにかなわない

ただ、そんな奥様にも気になるところはあるはず。それが新しいリモートタッチだ。これまで日本車で一番良い操作系だと絶賛してきたレクサス(一部トヨタ車にもあるが)のリモートタッチだが、今回の新型はちょっと厳しいと正直思ってしまった。タッチパッドながら、指先にフィードバック(振動)があるという、これまでPCの世界でも存在していない独特の操作感は、どうにも違和感があった(フィードバックの強度は調整できるが)。何よりこのインターフェイスは左ハンドル車が前提ではないかと思う。右手操作であれば、あるいは左利きであれば、かなり評価は変わるはず。左手ゆえ思うように操作できないもどかしさは、現状ではこのクルマの価値をかなり下げている。難しいとは思うが、右ハンドル車なら右手で操作できる位置に持ってくることも考えてもらいたい。その場合でも助手席用には今の位置に必要なので、右ハンドル車は2つ用意することになってしまうが…。

ナビとの対話形式で目的地設定ができるエージェント機能も、スマホ(グーグル)の音声認識があまりに正確で実用的なだけに、どうにもまだるっこい。トヨタ自動車がある名古屋駅前ミッドランドスクエアの横に「ウインクあいち」というセミナー等がよく催される新しいビルがあるが、これをどうしても音声認識してくれなくてまいった。もちろん有人オペレータにもつなげられるが、スマホでは一発で音声認識して即、道案内が始まる。それをそのままナビ画面に表示してもらえた方がどれほど楽かと思ってしまった。ビッグデータの恩恵を享受できる新スマートG-BOOKもまだNXには載せられていない。渋滞情報もVICSよりグーグルマップの方が正確に思えた。

また、飲食店など近隣の施設ガイドも現時点ではスマホにかなわないと思った。特にスマホは個人の嗜好に合わせてパーソナライズされるが、同じレベルまでカーナビを成長させるには結構な手間がかかるはず。人によるコンシェルジュサービスがかなりの部分、音声自動対応に置き換えられているので、よりスマホとの差を実感してしまった。また、安全運転のためには仕方ないのだが、走行中には目的地設定などの操作が中断してしまうのも難しい課題だと思う。

 

ブランド力、デザイン力で相当な力をつけてきたレクサスだが、もうひとつの柱であったハイテク・IT部分では、もはや多くのクルマやモバイル機器に追いつき追い越せ状態にあるように思う。最新のレクサス車なのに、その装備で「来るべき自動運転の世界」をイメージさせてくれないのは、メーカーばかりではなく、お役所のせいもあるだろうが、かなり残念だ。また販売に結びつきにくい、ガジェットオタク向けとも言えるような機能に力を入れても仕方ない、というのも分からなくはないが、先端技術は日本のお家芸だったはずで、クルマでもその部分で負けたらこれまた残念。

などと言っている場合ではない、スマホ事業も苦しいというソニー凋落(2015年3月期の見通しが2300億円もの赤字だという)のニュースを見たのは奇しくも韓国製のスマホだったのだから。気がついたら日本製ではないクルマに乗っているという時代が来るのは、あまり想像したくないと思う。そんな中で、トヨタ(とそのグループ)は希望の星なのだから、ぜひともがんばってほしい。

試乗車スペック
レクサス NX200t “Fスポーツ” AWD
(2.0L 直4ターボ・6速AT・518万円)

●初年度登録:2014年7月 ●形式:DBA-AGZ15-AWTLT ●全長4630mm×全幅1845mm×全高1645mm ●ホイールベース:2660mm ●最低地上高:165mm ●最小回転半径:5.6m ●車重(車検証記載値):1820kg(1070+750) ※マークレビンソンの+10kg、後席6:4分割可倒式シート (電動リクライニング&電動格納機能付) の+10kgを含む ●乗車定員:5名

●エンジン型式:8AR-FTS ●排気量・エンジン種類:1998cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴+ポート噴射(D-4ST)・ターボ・横置 ●ボア×ストローク:86.0×86.0mm ●圧縮比:10.0 ●最高出力:175kW(238ps)/4800-5600rpm ●最大トルク:350Nm (35.7kgm)/1650-4000rpm ●カムシャフト駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/60L ●JC08モード燃費:12.4km/L(※AWD)

●駆動方式:AWD(電子制御AWD) ●サスペンション形式:前 マクファーソン ストラット+コイルスプリング/後 ダブルウイッシュボーン+コイルスプリング ●タイヤ:225/60R18(Bridgestone Dueler H/L 33)

●試乗車価格(概算):585万8240円 ※オプション:プリクラッシュセーフティシステム+レーダークルーズコントロール 6万4800円、クリアランスソナー&バックソナー+パノラミックビューモニター+ブラインドスポットモニター 15万1200円、レーンディパーチャーアラート(ステアリング制御付)+オートマチックハイビーム+カラーヘッドアップディスプレイ 3万7800円、後席6:4分割可倒式シート(電動リクライニング&電動格納機能) 5万4000円、アクセサリーコンセント(AC100V・100Wセンターコンソール後部) 8640円、おくだけ充電 2万3760円、マークレビンソン プレミアムサラウンドサウンド システム 25万4880円、パワーバックドア 5万4000円、寒冷地仕様(ヘッドランプクリーナー、リアフォグランプ、ウインドシールドディアイサー等) 2万9160円 ●ボディカラー:ソニックチタニウム

●試乗距離:約800km ●試乗日:2014年9月 ●車両協力:トヨタ自動車株式会社

 
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