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レクサス SC430新車試乗記(第383回)

Lexus SC430

(4.3リッター・6AT・680万円)


2005年09月17日

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キャラクター&開発コンセプト

トヨタソアラからレクサスSC430へ

1991年登場の初代レクサスSCは日本では3代目ソアラ、海外ではSC400として投入された。従来のソアラとテイストが違ったのは、すでに北米=レクサスが主眼だったから。10年後の2001年には4代目ソアラ/SC430が登場。想定ライバル車は北米西海岸で人気のメルセデスSLやジャガーXK。同エリアでは販売上コンバーチブルが必須なため、電動メタルトップが採用された。

2005年8月30日、日本でのレクサス開業と同時にレクサスSC430として再登場。変更点は車名やバッジのほか、従来の5ATから6ATへの格上げ、AFS(アダプティブ・フロントライティング・システム)の採用、レクサス基準によるリファイン、G-Linkや保証内容の向上など。目標台数は月間100台。生産を担うのは、手の込んだ車両が得意な関東自動車工業(東富士工場)。

価格帯&グレード展開

一番高いレクサス

価格は680万円。装備の充実から見てソアラ(税込み630万円~)から価格据え置きと言っていい。オプションは8コート塗装のコスモシルバー(15万7500円)、ランフラットタイヤ(2万1000円)、リヤスポイラー(3万1500円)、寒冷地仕様(1050円)くらい。ベース価格は今のところ日本のレクサスで一番高いが、GS430(630万円)のオプション付きには逆転される。

パッケージング&スタイル

4年経っても個性的

ボディサイズは全長4535mm×全幅1825mm×全高1355mm。ソアラより少し長くなったが、外観デザインに大差はない。しかし、バッジ、灯火類のほか、全体の仕上げが違うせいか、雰囲気から一目でレクサスと分かる。試乗の合間に、多くの老若男女から視線を浴びたのは、元々の造形が派手なせいもあるだろう。何にも似ていないという点ではトヨタ車随一。

誕生石のように

コンセプトは「ジュエル(宝石)」で、撮影中に特に美しいと思ったのはトランクリッドのデザインだ。ボディカラーは誕生石のように12色あり、イエローグリーン、ブラウンといった奇抜な色がある。塗装品質は素晴らしい。試乗車の「ライトブルーメタリック」は、たまたま隣に並んだ某輸入車の塗色とそっくりだったが、映り込みの平滑さは雲泥だった。「塗装が良すぎて、かえってのっぺり見える」とはそのブランドのスタッフの強弁。

セミオーダーで色選び

ゴージャスなインテリア。ウォールナット(本木)、入念になめされたセミアニリンレザーに加えて、電動で開閉するナビモニターカバー/オーディオヘッドユニットカバーなどは、ソアラ時代と同じ。デザインの洗練度は一世代前のレベルだが、そこがまたクラシカルで豪華に見える。試乗車の黒革/ウォールナットなど内装色は13通り、ボディカラーとの組み合わせで149通りある。オープン時とクローズド時でサウンドを自動補正するマークレビンソン製オーディオを標準装備する。

今やオープンカーの主流

電動メタルトップはこの4年ですっかり普及した。ソアラ以前はSLK、プジョー206CC、シルビア・バリエッタくらい。ソアラ以後にはSL、コペン、307CC、メガーヌグラスルーフカブリオレ、キャデラックXLRなどがあり、これからは日産マイクラC+Cやボルボ C70などもっと増える。開閉時間は25秒(ロック自動)を謳うが、実際にはもう少し速い。5km/hくらい(ちょうどクリープする速度)でも作動するし、信頼性も高い。

リアシートがトランク代わり

4人乗りだが、見ての通りリアシートは大人が座れるものではない。荷物を置くのには便利だ。ポルシェ911シリーズのように、後席背もたれを倒してトランクらしく出来る機能は備わらない。

標準仕様(非ランフラット)でメタルルーフを収納した状態(写真)では、荷室容量わずか89リッター。隙間には辛うじてブリーフケースや小ぶりのカメラバッグ、三脚が入った。スペアタイヤを降ろせば(オプションのランフラットを選べば)、ゴルフバッグ1個分の135リッター、クーペ状態なら368リッターになる。

基本性能&ドライブフィール

クラシカルで優雅

今回は先週リポートしたGS430と交互に試乗したため、自ずと比較になってしまったのをお断りしておく。この両車、設計年次は丸々4年違うが、4.3リッターV8(280ps、43.8kg-m)や6AT(ギア比やタイヤサイズ含む)のカタログスペックは全く同じ、車重も1750kg(GS430試乗車)と1730kg(SC430試乗車)でほぼ同じだ。

しかし、乗った印象は見事に違う。GSはゼロクラウン系から始まった新世代の走りだが、SCは明らかにそれ以前の「ソアラ」そのもの。クラシカルなラクシュアリーカーの乗り味であり、セルシオに近い。面白いのは、弊社のポルシェ専門誌「911DAYS」スタッフが「これは優雅だ」と高く評価したこと。スパルタンな997カブリオレの世界とは正反対で、そこが高級オープンカーらしい、というのが理由だ。

パワーボートみたい

よく動くモノチューブダンパーは路面の凹凸を飲み込み、それでいてフラットな乗り心地は、マジックカーペット(空飛ぶじゅうんたん)的。このボディ構造にして、軋み音や段差を乗り越えた時のドシンバタンという音も一切ない。ただ、剛性が高いというよりは、サスペンションやブッシュで路面からの入力を吸収してしまう感じだ。アクセルをぐいと踏み込めば、ノーズを心もち持ち上げて、ちょっとダルそうにダッシュする。屋根を開けて走ると、まるでパワーボートに乗っているよう。まっすぐ走る時でも、GSよりどことなく重く、鈍い。エンジン音にしろロードノイズにしろ不快な音は抑えられているが、クーペ状態でも静粛性はGSほどではない。

気になったのが吊下げ式のアクセルペダル。オルガン式のGSから乗り換えると、操作感が安っぽく感じる。もう一つ、舗装の荒れたコーナーに勢いよく飛び込むとステアリングシャフトがガタガタするのも気になった。

コーナリング性能はGSと比較にならない

山道も走ってみたが、結論から言えばGSと違ってコーナリング性能は低い。豪快にスクワットしながら加速するが、そこから先でまずブレーキが心許ない。ノーズダイブは小さいが、制動力が不足気味でタッチも曖昧。スローなステアリングはつかみ所がなく、かなり当てずっぽうな操作になってしまう。

街中でユルユル転がす

インテリジェントかつ体育会的な走りは求めず、街中でユルユルと、時にはスパッとダッシュを楽しみながら、安楽にオープンで走らせるのがSCに一番似合う。快適だし、パワーもあるので高速巡航は余裕かと思ったが、直進安定性は今ひとつ。この部分でもGSとは差がついた。最大の要因はシャシー性能の低さ、そして短いボディ、高い重心、ソフトなサスペンション、太目の扁平タイヤとハンディには事欠かない。UK仕様(5AT、 282ps)の最高速度(発表値)は250km/hとある。

ここがイイ

他のコンバーチブルモデル(輸入車)にない信頼感はやはりレクサスというかトヨタ車。さらに、すでに4年たっているわけで、その分、完熟状態と言えるだろう。

内装のコーディネイト。カラーバリエーションの豊富さはプレミアム感があっていい。選んでパーソナルなクルマを作れるというのは、最近の日本車ではなかったこと。それを含めたクラシカルな味わいが魅力と言えるだろう。

グリルのレクサスエンブレムがスマート。ソアラの時代は例の重々しいソアラマークがあったが、レクサスになってすっきり。先日愛知県内でレクサスのパチ物エンブレムを売っていた業者が捕まったが、ソアラユーザーはその前に買っておきたかったのでは。エンブレムを替えれば、ほぼSCになってしまうのだから(苦笑)。そういうバッジチューンは今後増えるかも。

ここがダメ

設計が古いのは明らかだが、印象的にも古くさく感じる。一昔前ならフルチェンしてもおかしくない4年前のモデルゆえ、仕方ないか。乗り味にも深みがないから、クルマ好きが乗るとすぐ飽きそう。オープントップがおおよそ5㎞/h以下でしか開かないのも残念なところ。ポルシェの最新型では(幌タイプではあるが)50㎞/hくらいまで開閉可能だ。

G-Linkはオーナーズセンターにつながる音声通話が売りのひとつのはずだが、DCMの音声通話機能(自動車専用ハンズフリー電話)がSCに無いのはプレミアムとは言えない。G-Linkをフルに活用するためには必需品のはず。携帯電話をつなげばいいが、そんな面倒なことをお金持ちはしない。決定的なのはGS/ISが利用できて、SCだけが利用できないG-Linkの安全機能が生じてしまったこと。それは「ヘルプネット」と呼ばれるサービスで、事故や急病の際にボタンを押すだけで(エアバッグ作動時は自動で)、自動車専用ハンズフリー電話(これがSCにはないことが問題)によって救急車などの出動を要請できる。この時、車両登録ナンバーや現在位置も自動送信される。万一の場合を考えれば、これほど魅力的な装備(言わば保険)はないが、それがSCにだけ用意されない。ハードウエア上の問題でどうしても出来なかったそうだが……。

同様にランフラットタイヤはなぜオプションなのか。空気圧モニターまであり、たいした価格でもないのに。そしてETCユニットもオプション。どちらも車両価格から見れば安い物なんだから標準にした方がいい。

総合評価

ある人と話をしていたら「そうそう、あのレクサスのオープンカー、あれはかっこいいねえ。新しいクルマでしょ?」と問われた。「前のソアラですよ」と答えると、「あんまり見たこと無いので新型だと思った」と。国内で売れなかったソアラも、それがゆえレクサスには功を奏したようで、SCはすんなりとレクサスの高級車という地位を固めたようだ。

とはいえ、乗ってみれば正直なところGSとは比べものにならない古さを感じてしまう。そしてVSCやインテリジェント AFSはあるものの、他に見るべきハイテクはない。GSのようにハイテクこそレクサスの価値だ、とは、とても言えないローテクなクルマだ。インテリアの革とウッドのコンビネーションも古典的なもので、木が多い分だけ豪華な感じが増すというパターン。ウッドパネルが電動で開いて7インチ大型ナビディスプレイが登場するのはかっこいいが、タッチパネルが遠くて触れにくいのはマイナスポイント。まあウッドパネルが開いてディスプレイがでてくるって、昭和時代の豪華テレビみたいではあるが。

自慢の電動オープントップもクルージングしながらは開かず、走りにもオープンスポーツらしい軽快感がない。しかしそんな SCにも大きなアドバンテージがある。それはレクサスのスペシャリティモデルであることだ。天下のブランド品レクサスの、一番おしゃれな(といっても当面、3車種しかないが)クルマである。むこう数年、これに乗っていればスターになれること間違いなし。オープンモデルで4.3リッターV8。価格帯の近い「スポーツカー」たるポルシェボクスターあたりでも太刀打ちできない部分だ。エレガントさが違う。

つまりSCはレクサスを買える層の女性向けクルマと言ってもいい。お金持ちの夫婦で、旦那がGS、奥方がSCという図式は有りだろう。時々取り替えて乗ってもラグジュアリー感は同程度。しかも2台をフル装備で買っても、Sクラス一台分くらいの価格。夫婦で満足できるのであれば良い買い物だ。しかも購入後はレクサスのおもてなしを夫婦で受けられる。デイズがある名古屋のレクサスディーラーは全国有数の巨大さで、店舗ごとにもかなり個性があり、酸素バーがあったりゴルフ練習場があったりする。そういう施設をいろいろ使えるという意味では、夫婦が別々のレクサス店で買うといいかもしれない。レクサスディーラーは地域の競合トヨタディーラーがやっているから、サービス合戦の恩恵を受け、しばらくお大尽になった気分が味わえるだろう。

米国やメキシコで長く暮らし、今はカナダでレクサスに乗っている知人の日本人女性と話をしたが、米国では多くの人が貧困にあえいでいる、という印象があるようだ。もちろん彼女のようなカラードでもレクサスに乗れる人もいるわけで、いわゆる勝ち組、負け組のはっきりした社会であることは間違いないようだ。小泉政権が圧倒的な支持を得た日本も、やがてそうした社会になっていくのだろう。そういう社会になることをトヨタのマーケティングも予想してレクサスを立ち上げたわけだ。トヨタは今回の衆議院選ではっきり自民党支持を打ち出したが、それはレクサスの行く末を考えれば当然のことだろう。

しかし、間もなく閉幕する愛地球博に出展しているトヨタ館が見せた未来のクルマ社会は、そうした社会とはちょっと違うように思えた。トヨタ館でトヨタの描いた未来は、クルマがなくて貧乏人が災害から脱出できない社会ではなく、貧乏人でも楽しくクルマに乗れる社会だと思う。勝ち組の奥さんがSCを買ってお金を使うことで、負け組の人にもそれなりの幸せ(ハイテクなクルマ)がいずれは訪れる、レクサス成功後のトヨタのマーケティングがその方向へ向いていくことを願わずにはいられない。いずれにしてもSCにはもっとハイテクが欲しい。フルチェンジに期待したい。

試乗車スペック
レクサス SC430
(4.3リッター・6AT・680万円)

●形式:DBA-UZZ40-DKTQK●全長4535mm×全幅1825mm×全高1355mm●ホイールベース:2620mm●車重(車検証記載値):1730kg (F:930+R:800)●乗車定員:4名 ●エンジン型式:3UZ-FE●4292cc・V型8気筒DOHC・4バルブ・縦置●280ps(206kW)/5600rpm、43.8kg-m (430Nm)/3400rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/75L●10・15モード燃費:8.7km/L●駆動方式:後輪駆動●タイヤ: 245/40R18(DUNLOP SP SPORT 2030) ●試乗車価格:680万円(オプション:なし)●試乗距離:約300km

公式サイト http://lexus.jp/models/sc/index.html

 
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