Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > レクサス LS460 “バージョン SZ・I パッケージ”

レクサス LS460 “バージョン SZ・I パッケージ”新車試乗記(第577回)

Lexus LS460 “version SZ・I Package”

(4.6リッターV8・8AT・945万円)

LS460の新グレード、
バージョンSZは、
LSらしからぬ?スポーティセダンだった!

2009年11月07日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

デビュー4年目で内外装をリファイン。新グレード“バージョンSZ”を追加


今回試乗したLS460 “バージョン SZ”

レクサスの「LS460」(現行モデルは2006年9月発売)とそのハイブリッド版「LS600h」(2007年5月発売)がそろってマイナーチェンジを受けた。発表は9月で、正式な発売はLS460が10月16日、LS600hが11月9日だ。

マイナーチェンジの内容は内外装のリファインなどだが、目玉となるのがLS460をベースにしたスポーティ仕様“バージョン SZ”の新設定だ。合わせて後席の「おもてなし」を重視した“バージョンUZ”も追加されたが、今回の試乗記ではバージョンSZを中心に紹介する。

LS460はデビューから3年、ハイブリッドのLS600hは2年半経つが、その間に世間の経済状況は大きく変化しており、今回あらためて掲げられた販売目標は発売当初のLS460で月間1300台、LS600hの月間300台に対して、シリーズ全体で月間550台とされている。

■参考
・新車試乗記>レクサス LS600hL “後席セパレートシート パッケージ” (2007年6月)
・新車試乗記>レクサス LS460 “バージョン U・I パッケージ” (2006年10月)

価格帯&グレード展開

796万円からスタート。“バージョン SZ”は910万円


LS460L “バージョン UZ”

“バージョン”違いで細かくグレード分けされるLSだが、おおまかな新ラインナップは以下の通り。“バージョン SZ”は910万円、それにセミアニリン加工の本革やアルカンターラ張り天井を備えた“バージョン SZ・I パッケージ”が945万円となる。LS460では価格的に中間くらいのグレードだ。

なお、国内では当初LS600hのみの設定だった「L(ロングホイールベース」モデルが、昨年(2008年)9月からLS460にも追加されている。

【4.6リッターV8・8AT・2WD/4WD】
・LS460 (5人乗り)     796万~1062万円
  ★今週の試乗車(“バージョンSZ” 910万~945万円)

・LS460L (4/5人乗り)   1081万~1247万円

---------------

【5.0リッターV8+モーター・4WD】
・LS600h (5人乗り)    1000万~1280万円
・LS600hL (4/5人乗り)  1370万~1550万円

パッケージング&スタイル

全車デザインを一部変更


“バージョンSZ”。写真のボディカラーは唯一の赤系となるレッドマイカクリスタルシャイン

今回のマイナーチェンジで全車、フロントグリル、ヘッドランプ、バンパー、リヤのコンビネーションランプ、バンパー等のデザインが変更され、ボディサイズは若干伸びて全長5060mm(+30)×全幅1875mm(同)×全高1465mm(同)となった。ホイールベースは変わらず2970mmだ(LS460Lは全長5180mm、WB3090mm)。最高級セダンとして世界のどこに出しても恥ずかしくないサイズだが、それほど威圧感はないのが日本車レクサスらしい。

バージョンSZは専用パーツを多数奢る

バージョンSZには、さらにSZ専用フロントグリル(通常のメッキ横桟に対して黒のクロスメッシュ)、専用サイドロッカー(いわゆるサイドシル)モール、専用アンダースポイラー(前後)が備わり、さらに他のLS460より10mm太く、1インチ大きい245/45R19タイヤとBBS製の鍛造アルミホイールが装着される。その前輪にチラリと見えるのはブレンボ製の対向6ポッドキャリパーだ。ローダウンはされていないが、エアサスペンションもSZ専用チューニングとなる。見た目以上に「手が込んでいる」(コストが掛かっている)という感じだ。

なお、新色が加わってLS460で全10色になったボディカラーには、今回からすり傷が付きにくく、かつ復元性を備えた新開発のクリア塗装「セルフ リストアリング コート」が採用された。特徴としては日産のスクラッチ シールド塗装と同様のものと考えていいだろう。

“バージョンSZ”には待望のパドルシフトを装備

内装にも様々な仕様があるが、今回の最新モデルでは一見してデビュー当初より華やかさを増したように見える。特に写真のバージョンSZでは、黒とサドルタンのコンビネーションがなかなかスポーティだ。SZにはサイドサポートが若干盛り上がった専用スポーツシートも採用されている。

またバージョンSZには、LSシリーズにこれまでなかったパドルシフトがついに採用された。しかもIS F同様、シフトダウン時に回転合わせしてくれる「ブリッパー」付だ。

速度計が280km/hスケールに

LS460には今回からカラーTFT液晶を使ったファイングラフィックメーターもオプション設定された(試乗したバージョンSZは未装着)。同時に速度計の目盛りは従来の180km/hスケールから280km/hフルスケールに変更。やっと輸入車に見劣りしないものとなった。もちろんリミッターは従来通り180km/h+で作動する。

内装カスタマイズプログラム「L-Select」もスタート

なお、今回のマイナーチェンジと合わせて、新しい内装カスタマイズプログラム「L-Select」も導入された。ステッチカラーだけで8色も用意されるなど、木目パネル等の意匠も合わせて実に3万通りの組み合わせが可能だという。スライスした木を直角に編み上げて市松模様にした「編杢」と呼ばれる木目パネルなど、和風の意匠もあって面白い。

なお、今回からスペアタイヤレス(パンク修理キットを搭載)を標準化。これにより荷室容量はLS460で約50リッター、LS600hではハイブリッドバッテリーの小型化と合わせて計約90リッター拡大された。従来330リッターしか無かった600hにとっては大きな進化だ。

基本性能&ドライブフィール

最初から「普通のLS460とは違うぞ」感あり

今回の試乗は10月末に富士スピードウェイ周辺の道路で行われた「レクサス オールラインナップ試乗会」にて行ったもの。試乗会の目玉であるバージョンSZに乗る時間は短かったが、その印象は事前の予想以上に際立ったものがあった。

その直前にはトルセンLSDが新採用された最新の「IS F」やLS460Lの新グレード「バージョンUZ」にも試乗したが、それらの印象はおおむね以前と同じ。一方、バージョンSZには乗り込んだ瞬間から「普通のLS460とは違うぞ」感がある。まずイイのが先にも触れた専用スポーツシートだ。IS Fほどのバケット形状ではない分、腕の動きを妨げないのがいい。

そして走り出した瞬間から、何となくクルマが軽い印象を受ける。4.6リッターV8エンジン(385ps、51.0kgm)は基本的に通常のLS460と変わらず、8速ATのギア比もまったく同じだが、走らせた印象は何かLS460ではない、もっと軽いクルマのようだ。

ブリッパー付パドルシフトを採用

おそらくパワートレインで言えば8ATに施された専用チューニング、足まわりで言えば新開発の減衰力可変式ショックアブソーバーなどによる専用サスペンションがそう思わせるのだろう(実際のところ、それくらいしか変更されていない)。さらにセンターコンソールの「パワーモード」スイッチをオンにすれば、SZ専用のトルク/変速制御に切り替わり、明らかにパワー感が増す。

IS Fのように高回転で「コォーーン」と(少々わざとらしく)音色を変えはしないが、エンジンサウンドは最初「マフラーもSZ専用?」と思ってしまったほどよく響く。アクセルを踏み込めば、「シュゥン!」と一瞬でレブリミットまで吹け上がり、パドルシフトを操作すれば、「ファァン!」とブリッピングしてシフトダウン。8速もあるから、ちょっとしたワインディングでも細かくギアを選べるのがいい。トヨタ車の流儀に従い、マニュアルモード時は自動シフトアップしないが、中速域で十分にパワフルなのと素速い変速レスポンスを備えることから、そうそうレブリミットに当ててしまうことはない。

LSらしからぬ軽快なハンドリング

連続したコーナーを走ると驚くのが、その動きの素直さ。安定志向が強く、何となく意のままにならなかった従来のLS460に対して、バージョンSZは面白いようにフロントがインを向き、その動きに同調してリアのスリップアングルが絶妙に増えて、ほとんどステアリングを切り増しすることなく、ゼロカウンター気味にコーナーを立ち上がることができる。

もちろんコーナー脱出時にはトラクションコントロールが作動して(警告灯が点滅)、断続的に出力を絞るが、失速感は少なく、トラクション感が持続する。LSDはこのバージョンSZにも入っておらず、開発スタッフによればブレーキ制御によるLSD効果も特に強めてはいないようだが(ブレーキLSDに頼るとサーキットなどではリアブレーキが「一発(でダメになる)」らしい)、かなりのところまでコントローラブルな感覚がある。その気になればVSCを切ってドリフトも出来るのでは? と思ってしまうほどだ。

ホイールはBBS製の鍛造(たんぞう)で、タイヤは前後とも245/45R19サイズ(試乗車はダンロップのSPスポーツ MAXX)。プレスリリースには「強力なグリップを発揮」とあるが、おそらくチューニングの妙だろう、実際のグリップ感はごくごくマイルドで、とても限界がつかみやすい。IS F(前225/40R19、後255/35R19)のように素人にはどこが限界かつかみにくいものとはまったく異なる。排気量5リッター、車重1980kgのクルマをつかまえて言うのも何だが、軽量FRスポーツのような動きだ。

ブレーキに関しては、フロントにブレンボ製の対向6ポッドキャリパー、そして大径(380mm)スパイラルフィン式ディスクと高摩擦パッドが奢られている。その絶対的な制動力や耐フェード性を試すチャンスはなかったが、タッチそのものは良好で、ブレーキ鳴きも当然なく、冷間時の効きも含めてまったく不満はない。ただしブレーキパッドの消耗は通常より早めのようで、カタログにもその旨お断りの言葉がある。

ここがイイ

楽しいハンドリング

LSであることを忘れる、気持ちいいハンドリング、軽快な走り。逆に言えば、よくチューニングされた足まわりなどを得たことで、今まで隠れていたLS460のスポーティ方向のポテンシャルが味わえるようになった。

その走りの楽しさは、同じ日に乗ったGS460やIS350 “バージョンF”に比べても明らかに上。振り回す面白さで言えば、IS Fよりも上だ。基本的に同じエンジンを積むGS460には古典的な高性能ミディアムクラススポーツセダンらしさがあって悪くはなかったが、内外装デザインを含めて全体に古さが感じられてしまうのは否めない。その点、LS460には最新モデルらしい滑らかな上質感がある。

 

何となくお決まりな印象のあったレクサスの内装に、カスタマイズプログラム「Lセレクト」が導入されたこと。この種のサービスは輸入車では当たり前だが、レクサスには「編杢」など個性的な素材も用意されるなどオリジナリティもある。

ここがダメ

この“バージョンSZ”に関して言えば、特になし。

総合評価

LSは世界の高級車となったか?

LSが登場してまだたった3年か、と思わず遠い目をしてしまう昨今。3年前と今とでは、経済情勢はそれこそ雲泥の差。モーターデイズでは10年前の試乗記も公開しており、後になって当時のクルマがどんなだったか、またその頃の社会情勢がどうだったかというあたりも若干読み取れる。そんな時事ネタをいつも試乗記には織り込んでいるつもりだから、今回もそのあたりは書いておかざるを得ないだろう。

今回、LSに試乗した翌週にトヨタがF1撤退を発表し、その後の中間決算では2年連続となる予定の赤字幅がついに縮小してきている。多くの涙を伴った営業努力の結果だ。それにしても3年前にLSが出た頃、トヨタは世界一のメーカーを目指して躍進中で、今の状況など多くの人が予想できなかったはずだ。もちろんトヨタ自身もそうだったはずで、世界最高のセダンを作り出したという自負のもと、LSは送り出された。そしてさらに、高級でありながらも環境に負荷をかけないクルマがトヨタ高級車のアイデンティティとなっていく、はずだった。

 

この3年でLSは世界の高級車として認められたのか。世界においてはそうと言えるかもしれないが、日本の多くのクルマ好きはいまだにLSなんて、と言う。日本のクルマ好き(そのうちかなりの人が輸入車好き)は、LSが輸入車を超えたなどとは思っていない。お金持ちもセカンドカーならいざ知らず、ファーストカーとしてはなかなか買わないのが現状だ。クルマの善し悪しを超えるブランドの力は、輸入車にはまだまだ健在で、LSの苦戦は経済状況のせいばかりでなく、日本人の高級品に対する舶来指向がやはり簡単に払拭できないことが大きい。

日本の製品は安くて高性能。外国製で高いものは性能ではなく付加価値。今まではこれが日本の価値基準だ。さらに一つ付け加えると、高くて高性能なものは使いこなせない(苦笑)。そこを打破するものが、ほどほどに高くて高性能なハイブリッド車ということになり、LSもハイブリッド車には大きな存在意義がある。LSはもうハイブリッド一本にしてしまって「最先端ハイブリッド最高級セダン」でいいと思う。また今後フルチェンジしたらたぶんそうなるだろう。しかし現在はそこまで特化させることが難しく、今回もガソリン車にスポーツ系のバージョンSZやコンフォート系のバージョンUZという2つのスタイルが追加され、LSのアイデンティティはますます曖昧になった気がする。

ガソリン車の「最後の華」

そうはいってもバージョンSZは、クルマ好きにとっては賞賛すべきクルマだろう。その走りは、様々な制御技術の手の内にあっても安全で楽しいという点で、高性能日本車の究極の姿だからだ。F系のリアルスポーツモデルは日常性の面で辛いが(それゆえISにも“バージョン F"が出た)、快適な最高級セダンでありながら、まるでライトウエイトスポーツのように楽しめることで「お金があったら欲しいクルマ」の一つに仲間入りした。
リッチで快適な室内空間と乗り心地、V8の高性能ガソリンエンジンによるなじみ深いパワー感、FRらしい挙動としなやかなコーナリング感覚、電子制御で確保された安全性。そういったものの集大成として、ガソリンセダン誕生以来、人々が求めてきた最高の姿がここにある。電気の自動車、安価な自動車が求められる21世紀。ガソリン車の時代が去っていく中、バージョンSZは20世紀を生きてきたガソリン自動車の、もしかすると「最後の華」かもしれない。余裕のあるオーナードライバーはぜひこれを買いましょう。

試乗車スペック
レクサス LS460 “バージョン SZ・I パッケージ”
(4.6リッターV8・8AT・945万円)

●初年度登録:2009年10月●形式:DBA-USF40-AEZQH(SI) ●全長5060mm×全幅1875mm×全高1465mm ●ホイールベース:2970mm ●最小回転半径:5.5m ※バージョンSZの場合。 標準車は5.4m ●車重(車検証記載値):1980kg( -+- ) ※バージョンSZの場合。 標準車は1940kg ●乗車定員:5名 ●エンジン型式:1UR-FSE ● 4608cc・V型8気筒・直噴・DOHC・4バルブ・縦置 ●ボア×ストローク:94.0×83.0mm ●圧縮比:11.8 ● 385ps(283kW)/6400rpm、51.0kgm (500Nm)/4100rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/84L ●10・15モード燃費:8.7km/L ※バージョンSZの場合。 標準車は9.1km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:後輪駆動(FR) ●サスペンション形式:前 マルチリンク/後 マルチリンク ●タイヤ:245/45R19( Dunlop SP Sport MAXX 101 ) ●試乗車価格:990万3600円( 含むオプション:プリクラッシュセーフティシステム+レーダークルーズコントロール 14万7000円、インテリジェントパーキングアシスト<超音波センサー付> 11万9700円、パワートランクリッド 5万7750円、セキュリティカメラ+G-Security 8万4000円、DSRCユニット<ETC付> 2万2050円、寒冷地仕様 2万3100円 )●試乗距離:-km ●試乗日:2009年10月 ●車両協力:トヨタ自動車株式会社

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

最近の試乗記一覧

関連コンテンツ一覧