キャラクター&開発コンセプト
5リッターV8とモーターで4輪を駆動
LS460(2006年9月発売)のハイブリッド版が、07年5月17日に発売された「LS600h」とそのロングモデルの「LS600hL」。LS460用のV8をベースに開発した5.0リッターV8(394ps)に高出力モーター(224ps)を組み合わせ、システム全体で「6リッター車並み」の445psを発揮する。ハイブリッド車の頂点というより、レクサスブランドの最高峰とされたモデルだ。
大パワーを路面に伝えるべく、FRハイブリッド車としては初めてフルタイムAWD(All-Wheel-Drive=4輪駆動)を採用。これにより0→100km/h加速 5.5秒の駿足を誇る一方、10・15モード燃費はこのクラスで群を抜く12.2km/Lとしている。
生産はGS450hと同じトヨタ自動車の田原工場(愛知県)で、販売目標は月間300台。今後半年間で国内は4000台、グローバルでは7000台を販売する予定。
価格帯&グレード展開
970万円から1510万円まで
価格は標準ホイールベースの「LS600h」が970万円-1220万円の計6グレード。ロングホイールベースの「LS600hL」が1330万円-1510万円。最大540万円もの価格差だが、パワートレイン自体は全車共通となる。
レクサスの最高峰たる600hだが、さらに頂点となるのが今回試乗した600hLの「後席セパレートシート・パッケージ」(1510万円)。後席用DVDシステム、マッサージ機能、冷風をシート表面から吹き出すベンチレーション機能、電動リクライニングなどの機能を満載している。
ちなみにGSハイブリッドたるGS450hは680万~770万円。つまりLS600h(標準車)との差はきっかり200万円だ。一方、ガソリンのLS460標準車も770万円だから、こっちとも200万円差となる。
パッケージング&スタイル
「L」は全長およびホイールベースを130mm延長
標準ボディはガソリン車(LS460)と同じ全長×全幅(5030×1875mm)だが、試乗した600hLはホイールベースを120mmストレッチ。全長5150mm×全幅1875mm×全高1475mm、ホイールベース3090mmと堂々たるサイズになる。なお、海外のLS460にも「L」はあるが、国内向けのロングボディ車はハイブリッドのみだ。
世界初のLEDヘッドランプ
LS600hの証となるのが、世界初のLEDヘッドランプ。奥に光源となるLEDがあり、それを横3連のプロジェクターレンズで前方に照射する。もちろんAFS機能が備わり、ステアリングと車速に連動して左右に首を振る。LEDのメリットは独特の光り方のほか、HIDさえもはるかに上回る長寿命だそうで、明るさの低下がほとんどなく、車両本体に等しい耐久性があるという。光量自体の確保は難しくないらしい。今後の課題はコスト減と量産化とのこと。
ブルーがハイブリッドの目印
ハイブリッド専用の意匠は3連のLEDヘッドランプを除けば、青色をあしらったバッジ類(フロントの「L」、サイドの「Hybrid」、リアの「600h」)が主。これらのバッジの青い部分が光る、という説があるが、正解は「光らない」。またヘッドランプやリアコンビネーションランプのレンズにも微妙に青味が付けられている。エンジンカバーのロゴ(LEXUS HYBRID DRIVE)や、カードキーおよび通常のスマートキーの「L」文字背景もブルーとなっている。
トヨタハイブリッド初のタコメーター
室内でハイブリッド独自の部分は、まずエネルギーの出入りを「チャージ(充電)」「エコ」「パワー」の3つに分けて針で示す「ハイブリッドシステム・インジケーター」。また、メーターパネルの真ん中で、エネルギーの流れや燃費等を表示するTFT液晶モニターも新しい。もう1つ、日本車初の本革張りダッシュボードもハイブリッド専用となる。欧州の超高級車には昔からあるものだが、「匠の技による立体裁断、精緻な縫製、厳選した素材」(広報資料)をうたっている。
だが、むしろLS600hLでのトピックは、古典的ながら、トヨタの純ハイブリッド車で初となるエンジン回転計だろう。ハイブリッドらしさは薄れるかもしれないが、エンジンの状況が一目で分かるのはやはり便利。内燃機関が主である以上、回転計は大きさや優先順位の問題はともかくとして、これはやはりあった方がいいという印象を受ける。
乗せてもらうならLに限る
120mmのホイールベース延長はダテではなく、「L」のリアシートは文句なしに広い。嬉しいのが、600hの上級グレード(Iパッケージ)と600hLに付く後席の電動&ベンチレーション機能付きシートの座り心地だ。非電動シートだと背もたれがやや寝ており、小柄な人だと何となく落ち着かないが、これなら背もたれの角度とそれに連動する座面長を、スイッチ1つで調節できる。「乗せてもらうならLに限る」というのが、贅沢ながら正直な感想だ。
また、標準ホイールベースのLS460試乗記の時には「ミニバンのように天井から釣り下がる後席用ディスプレイの位置がかなり後席の乗員に近く、凝視しているとクルマ酔いしやすい」と書いたが、このロングモデルだとモニター位置が適度に離れるため、まったく違和感がなかった。後席用エンターテイメントシステムをつける場合も「L」がいいと言える。
「最高のおもてなし」が味わえる4人乗り仕様
なお試乗した「後席セパレートシート パッケージ」車(4人乗り)には、この他にマッサージ機能や電動オットマン、格納式のテーブル、後席専用DVDプレーヤー、左後席用シートクッションエアバッグ(座面の前方をエアバッグによって持ち上げ、サブマリン現象を防ぐ)、後席DVDモニター&地デジ、酸素濃度コンディショナー、後方プリクラッシュ、Gセキュリティ等々が付く。
特にパナソニックと共同開発されたマッサージ機能(計8個のニューマチックチェンバーによる「ツボ押し」とバイブレーター)は念が入っている。肩たたきこそしてくれないが、思わず「ここは家電量販店のお試しコーナーか」と思ってしまうほど。5人乗り600hLとの差額は180万円だが、これに乗るならお抱え運転手も欲しいところ。(右写真2枚とも:トヨタ自動車)
トランク容量は目をつむって
600hの弱点はトランク容量(330L)の小ささ。言うまでもなくニッケル水素電池を積むためで、おそらくゴルフバッグ2つ、といったところか。タクシーともなれば積載性能は重要だが、このクラスのセダンともなるとどうなのだろうか。床下には他のレクサス同様、整然と工具が並び、その下に応急用スペアタイヤが収まる。
基本性能&ドライブフィール
システム出力は445ps、車重は2.2トン以上
試乗車はLS600hLの4人乗り仕様。車重は2380kgと、600h標準車の170kg増し、600hL標準車の60kg増しだ。新開発の5.0リッターV8(394ps、53.0kgm)は、LS460用の4.6リッターV8(385ps、51.0kgm)をベースに、6.5mmロングストローク化したもの。これにモーター(224ps、30.6kgm)の加勢が加わり、システム全体の出力は445psとなる。GS450hの345ps、ハリアーハイブリッドの272psよりもちろん強力だが、車重も増えたのでLS460やGS450hより明らかに速いわけではない。メーカー発表の0-100km/h加速タイムも、GS450hの5.6秒に対してLS600hは5.5秒と、たった0.1秒差だ。
| システム出力(エンジン+モーター) | 車重 | パワーウエイトレシオ | |
| レクサスLS600h | 445ps(394ps+224ps) | 2210kg | 4.97kg/ps |
| レクサスLS460 | -ps(385ps+-) | 1940kg | 5.04kg/ps |
| レクサスGS450h | 345ps(296ps+200ps) | 1890kg | 5.48kg/ps |
| トヨタ ハリアーハイブリッド | 272ps(167ps+<前167ps+後68ps>) | 1930kg | 7.10kg/ps |
| トヨタ プリウス | 110ps(76ps+50ps) | 1260kg | 11.45kg/ps |
ひたすらスムーズ、一次直線的な加速
LSハイブリッドの真価はこうした絶対的な数値ではなく、ハイブリッド車特有のトルクフルでデッドスムーズな加速感にある。トルクの落ち込みも、変速による途切れもない、一次直線的な速さである。GS450hだと2段変速のリダクションギアが高速側に移る100km/h以上で、突き抜けるような加速に移行するが、LSは同じリダクションギア付きでもひたすらスムーズに車速を上げてゆく。これはGSはスポーティに、LSは上質に、といったセッティングの差のようだ。なお0-400m加速は14.3秒、海外仕様の最高速は250km/h(リミッター作動)だが、言うまでもなく国内仕様は180km/h+で出力制御される。
なお、スイッチで走行モードを「ノーマル」から「パワー」に切り換えると、スロットルレスポンスとエンジン回転数の制御マップを変更。結果としてアクセル操作でウワッ!と加速するようになり、エンジン回転をより高めにキープする。「パワー」モードではエンジンブレーキの効きも強まるが、さらに強力なエンブレが欲しい時はシフトレバーを右に倒して「S」モードに、それで足りなければシフトレバーを引いて8速マニュアルモードによるシフトダウンを行なう。こういった具合にエンブレ対策はかなり入念だ。
4WDシステムの肝その1【トランスファー】
エンジンとモーター、モーターのみ、エンジンのみと3つのモードで走る、トヨタならではのシリーズ・パラレル式ハイブリッドの走りは、基本的にこのLS600hでも同じ。従来のハイブリッド車と異なるのは、エンジンがV8であること(今までは直4かV6)と、エンジン縦置きの4WDであることの2点だが、技術的に面白いのが後者の4WDシステムだ。
まずトランスミッションから前輪への駆動力を取り出すトランスファーについてだが、GS350の4WD車ではチェーンをかけて斜め下に駆動力を引き出していたが、それだと助手席側の足もとが張り出してしまう。そこでLSハイブリッドでは3軸式ギアトレーンを使って、助手席スペースを侵食しないよう迂回させている。場所が場所だけにギアノイズが出ないよう、ギアの全ての歯を研磨し、歯当たりを改良。かくして助手席で耳をすませても、ギアノイズどころか、4WDであることさえ感知できない。このトランスファー自体の設計はトヨタだが、ギア(歯車)の設計と加工はアイシンが行なったという。
(右写真:トヨタ自動車)
4WDシステムの肝その2【トルセンLSD】
もう1つ、駆動系でウム?と思わせるのがトランスファーに組み込まれたセンターデフ用のトルセンLSD。トルセン(トルクセンシング=トルク感応式)LSDは第1世代のウォームギア式、90年代かからの第2世代となるヘリカルギア式がよく知られているが、今回600hに使われたのはレクサスGX470(海外向けランドクルーザープラド)に使われた第3世代となる遊星ギア式のトルセンLSDをさらに発展させた第4世代。トランスファーと一体化したことでデフケースを不要とした点が画期的とのことだが、面白いのは前後の駆動力配分だ。誤解のないようにトヨタのプレス資料から引用すると、
「(新開発の)トルセンLSDは、通常走行時に前後の駆動力配分を後輪寄りの40:60とし、走行状況に応じ、50:50または30:70の駆動力配分を瞬時に選択」
とある。つまり、各配分率の中間がないということで、これはよく知られている第1、第2世代のトルセンLSDのような無段階変化とは働きが異なる。エンジニアに、
「では、切り換わる瞬間は体感できるのか?」と聞くと、
「瞬間的に行なわれるのでまったく分かりません」とのこと。
確かに乗ってみてもまったく感知できず、4WD特有の路面を前輪で引っかく感じも乾燥路ではまったくなく、完全にFR車のような感覚で乗れてしまう。それにしても電子制御のかたまりのようなハイブリッド車で完全メカニカル4WDとは意外で、思わずエンジニアに「駆動配分は電子制御ではないのですね?」と念を押して聞いてしまった。この遊星歯車式のトルセンLSDは応答速度が速く、立ち上がりトルクの鋭い600hのハイブリッドパワートレインと相性がいいという。
なお、「トルセン」の商標は、2003年に株式会社ボッシュオートモーティブシステム(現 ボッシュ株式会社)のトルセン事業部門(旧ゼクセルの一部門)を買取した旧 豊田工機、現在の株式会社ジェイテクト(JTECT)が保有している。
株式会社ジェイテクトhttp://www.jtekt.co.jp/index.html
8速マニュアルモードは完全なる仮想ギア
ハイブリッドシステムの要である「ハイブリッド・トランスミッション」はGS450hの発展型となるもの。エンジンから出た駆動力は「ジェネレーター(発電機)」「動力分割機構」「モーター」「2段変速式リダクションギア」と伝わり、ここからLS600hでは「トランスファー(トルセンLSD+3軸ギア)」を介して、前と後ろのプロペラシャフトへ分配される。
動力分割機構はエンジン、モーター+出力軸、ジェネレーターの3つを結びつけるもので、ここが電気式無段変速の役目も果たす。8速マニュアルモードはもちろん擬似的なものだが、回転計が備わったせいか、GS450h(回転計なし)より格段にリアリティが増した。この8速ギア比は完全に仮想のもので、ギア比はまったくの非固定。そもそもシフトレバーをDから右に倒して入れるSモードは、エンジンブレーキ用と性格付けられており、例えば8速トップ=もっとも高いギア比、ではまったくなく、実際にはかなりの高回転となる。文字にすると理解しにくいが実際には使いやすく、とてもよく考えられていると思った。
なお、プリウスなどと同様、モーターのみで走る「EV走行」スイッチも備わるが、バッテリーの充電が不足気味のことが多く、不可となることが多かった。
(右写真:トヨタ自動車)
VDIMの集大成
スロットル、ブレーキ、電動ステアリングの協調制御を行なうVDIM(車両運動統合制御)を全車に装備(前後サスペンションに付く電動のアクティブスタビライザーはLS600hのバージョンSのみ)。タイヤ(標準は235/50R18)を含めて全体に乗り心地重視なので、ワインディングで思い切り走らせると電子制御系が介入し始めるが、おかげでスポーティではないものの、限界域のライントレース性は高い。VGRS(ギア比可変ステアリング)とかVDIMの集大成といった感じで、ドライバーが最低限の分別を保つ限り、鉄壁の姿勢制御を行なってくれる。アクティブ制御のVDIMゆえ、失速する、介入があからさまに感知される、などといった違和感はかなり極端なことをしない限りない。
参考実燃費は6.1km/L
参考までに試乗中の燃費だが、80km/h~100km/hの高速巡航では7.9km/Lを維持。一般的な街乗りでは6.1km/Lあたりで安定し、約300km走った後のトータルでも結局6.1km/Lとなった(いずれも車載燃費計の表示。満タン方でもほぼ同値)。10・15モード燃費である12.2km/Lの約半分だが、この車重と動力性能のガソリン車なら、5km/Lを割るのが普通だし、6km/L台ならばトヨタのいう「6リッター車並みの性能で、3リッター車並みの燃費」という表現は妥当だろう。
ここがイイ
とてつもない制御技術と機械技術の集合体でありながら、そうした技術臭を極限まで取り除いた世界。ドイツ車が殺気みなぎる武者なら、LS600hLは殺気を押し隠した忍者か。ぐうの音も出ない出来栄え。ハードウェアとしては素晴らしいの一言。
様々なハイテク見本市。中には?な装置もあるが、とにかく現時点でのすべてが載っている。またユーティリティ類もすべてあるといってもいいだろう。酸素濃度を高めた空気を発生させる「酸素濃度コンディショナー」や「四座独立温度調整エアコン」などの過剰ともいえる装備も、これからのクルマを占う意味では重要。試乗車には後席にもコンフォタブルエアシートが用意されていたが、革シート車なら今後すべてに標準化すべき装備だと思う。
タイヤが路面を踏みしめる感覚。そのフィーリングは先日乗った2000万円オーバーの某高級セダンに迫る。
ここがダメ
内装の、特に本革張りインストルメントパネルの仕上がりが今ひとつ。立体造形の複雑な凸凹の上に革を張ってあるため、密着感が今ひとつ。ステッチのラインも試乗車ではズレが見受けられたし、何よりステッチの糸が現実には膨らんでいるのに、光の加減で凹んでいるように見えてしまう。こういったあたりは、やはり高級車作りの歴史がまだ浅いゆえの課題かもしれない。したがってこの価格でありながら、乗ってすぐ高級感に圧倒されるということがないのだ。
600h標準車の後席快適性。エントリーモデル?とはいえ、総支払額1000万円オーバーの高級車。なのに収納式コートフックにダンパーが入っていなかったり(試乗した600hLにはある)、着座姿勢がうまく取れなかったり、といった差別化はちょっと淋しい。コンフォタブルエアシートも無いのだ。
相変わらず、後席DVDモニターの電動開閉が運転席からはできない。後席の人を送り届けて、走り出そうと思ったらDVDモニターがじゃまでバックミラーが効かない、ということが今回も何度もあった。このモニター、運転席から手は届くのだが、手動では閉まらない。後席に回って、コンソールからリモコンを取り出し、開閉ボタンを押すしかない。せめて手動で閉まるようにして欲しい。また地デジチューナーはいまだオプションだ。
総合評価
LS600hの素晴らしさの一つは静かさだろう。止まっている時は原則としてエンジンがかかっていないし、その遮音性の高さから室内はしーんと静まりかえっている。この室内空間に似合うのは激しいロックや、まして演歌ではないはず。そこでかねてから合うであろうと思っていたブライアン・イーノの環境音楽「ミュージック・フォー・エアポーツ」をCDライブへ入れてみた。
するとまさに「ふさわしい」音空間が広がった。未来の空港(その頃の飛行機はすでに宇宙船かもしれない)に流れているBGMとして、30年も前の1978年に作られたこの環境音は、ピアノやシンセサイザーの音がかすかに聞こえてくるゆったりとしたサウンドで、音楽というより神経にまったく障らない音そのもの。この音を流しながら夜のビル街をハイブリッド車で流すと、そのマッチングは絶妙だ。外部の喧噪を遮断した室内から眺める、窓に流れゆく光のイルミネーション。すべてに軽い操作系、優しい乗り心地と絶妙な空調。思いたてば滑るような、それでいて強烈な加速で瞬間移動できる様は、移動する道具としてのクルマが一つの頂点に達したもの。これこそ望んでいた夢の自動移動手段の実現と胸が熱くなった。
マッサージ機能を持った後席のくつろぎは、ミニバンですでに実現していた快適な後席がついにセダンでも実現したという意味では画期的。こうなると運転もしたいが後部座席にも座りたい。自分がもう一人いれば、このクルマを買う意義はさらに高まるはず。自分はこの後部座席に座り、自分の分身として作られたロボットのショーファーに運転させる(あるいはクルマ自身が自動運転を行う)、それが未来のモータリゼーションであり、わずかながらそれを実現しつつあるのがLS600hL、といえるだろう。
そんな未来感に浸っていると、後方から乱暴な運転で黒塗りのセルシオとハリアーが追い抜いていく。やがてそれらは一見してその筋と思われる人々が路上に集う事務所前に停車。クルマから降りた人々をはじめ、路上の人々皆がLS600hを注視し、指をさす。そう、このクルマも黒塗りの白内装。その筋から注目されるクルマだった事実を、まざまざと思い知ることになった。
そういう人々にも注視されることは、LSが高級ブランド品の一つ、と高く認知されるようになっていることの証といっていいだろう。ただそういう部分とハイブリッドの未来感はあまりに離れたところにあるのではないか。このクルマの素晴らしさは欲しいが、ステイタス感は要らない、そんな人もいるのではないかと思う。となると欲しいのは、大きく快適なハイテクフル装備のプリウスだ。あるいはメッキグリルのない、未来的なデザインの上級ハイブリッド車。あえていえばシトロエンC6の形をしたハイブリッド車か。そんなものがあったらいいと思う。
現状、トヨタとしては最高級車とハイブリッドの組み合わせによるステイタスカーの制作は見事に成功している。LS600hなら輸入車ファンもそうとう気にしているし、乗ってみれば実際に買うだろうと思われる仕上がりのクルマになっている。苦境が伝えられるレクサスだが、長期的に見ればレクサスの展開は成功に向かっていると思う。であれば次はトヨタブランドでもいいから新しいカテゴリーとなる真の未来カーを出して欲しいもの。ステイタス車の皮を被ったハイテク車ではなく、ハイテク車らしい姿のハイテク車。レクサスのあとにそれを成功させたとき、真のトヨタの勝利が見えてくると思うのだ。
試乗車スペック
レクサス LS600hL “後席セパレートシート package”
(5リッターV8+モーター・1510万円)
●形式:DAA-UVF46-AEXQH(O) ●全長5150mm×全幅1875mm×全高1475mm ●ホイールベース:3090mm●車重(車検証記載値):2380kg(1240+1140)●乗車定員:4名●エンジン型式:2UR-FSE● 4968cc・V型8気筒・DOHC・4バルブ・縦置 ● 394ps(290kW)/ 6400rpm、53.0 kg-m (520Nm)/ 4000 rpm ●カム駆動:チェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/84 L ●モーター形式:1KM ●224ps(165kW)/ -rpm、30.6 kg-m (300Nm)/ - rpm ●駆動用主要電池:ニッケル水素 ●10・15モード燃費:12.2 km/L ●駆動方式:4輪駆動 ●タイヤ:235/50R18(Dunlop SP Sport MAXX A1 ) ●試乗車価格:1510万円( 含むオプション:- ) ●試乗距離:300km ●試乗日:2007年6月
