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ルノー ルーテシア新車試乗記(第62回)

Renault Lutecia

 

1999年02月19日

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キャラクター&開発コンセプト

万人に親しまれるフレンチ・ベーシック

本国フランスで6年連続販売台数1位というベストセラー大賞? に輝くルノー・ルーテシア(本国名:クリオ)は、Bセグメントに属するFF2ボックスのコンパクトカーだ。昨年8年振りのフルモデルチェンジを受けた2代目ルーテシアに搭載されるエンジンはガソリンが1.2リッター、1.4リッター、1.6リッター、1.6リッター16バルブで、ディーゼルは1.9リッター、合計5タイプが用意される。日本に導入されたのは1.6リッターSOHCモデル。ライバルとしてはVWポロ、プジョー206(間もなく日本導入)などがあげられる。

価格帯&グレード展開

サイドエアバッグも標準装備、価格は189万円と198万円

日本導入されたのは「RXE」という本国では最上級にあたるグレードで、装備する1.6リッター直4エンジンに4速ATを組み合わせたもの。ボディは3ドアと5ドアが用意され、ハンドル位置は右でオーディオ、エアコンはもちろんこと、デュアル&サイドエアバッグも標準装備する。価格は3ドアが189万円、5ドアが198万円となる。

パッケージング&スタイル

おとなしめだが個性的、フレンチ流の新基準ベーシック

ボディサイズは3ドア、5ドアともに全長3770mm×全幅1640mm×全高1420mm。ホンダロゴとほぼ同じ大きさ。先代よりも全長が50mmほど長くなっているが、むやみにデカクして「プレミアム・フレンチ・コンパクト」と名乗らなかったことは、好感が持てるところ。小型車の在り方をしっかりと考えているといえるだろう。

曲線を主体としたボディデザインの最大の魅力は、大きなヘッドランプとガラスがルーフまで回り込んだ「おしり」だろう。写真で見る限り、ありきたりの「丸っこい」デザインに写るかもしれないが、実写を見ればかなり個性的なジャンルに属するデザインだと感じるはず。しっかりと立体感が強調されており、おとなしめだけど個性的といった感じだ。また「なごみ系」のタレ目顔は、日本でも多くの人に受け入れられそう。ルノーの先鋭的なデザインワークが影を潜めたため、数は出そうなクルマだ。

平凡なデザイン、プラスチッキーな品質

photo_3.jpgインテリアはメーター、センターパネル、スイッチにいたるまで、丸をモチーフとした外観デザインとシンクロさせているが、外観から受けたほどのインパクトはない。いたってオーソドックスなデザインだ。ルノー独自のあの斬新なインパネが消えてしまったのはちょっと残念なところ。インパネ品質も先代よりは向上しているものの、プラスチッキーなチープな印象は否めなく、見た目にはGM小型車クオリティーに近いものがある。

誰もが使いやすい国際的小型車としてはこれでいいのだろうが、かつてのフランス車(現行でもツゥインゴ)のような度肝を抜かれる? 演出がないのはやはりちょっと寂しいところ。欧州戦略という宿命を課せられたクルマだけに、こういった無難なデザインなのだろう。そんな平凡の中にもホーンスイッチがウインカーレバー先端にあったことが嬉しかった。ちなみにカップホルダーはない。

「あ、フランス車のイスだ」と感じることができる

何よりも嬉しかったのは、相変わらず素晴らしい出来を保っているシート(シート表皮の柄はあまり好みではない)。厚みがあって硬くないのに沈まないもので、体を優しく包む込むような感触はまさにフランス車のもの。右ハンドル化によるペダルのオフセットが心配だったが、それもない。後席も座り心地はいいが、さすがに膝回りがかなり窮屈。5人乗車時で225リッター容量のラゲッジスペースは深さ、奥行きともにこのクラスとしては合格点だろう。

基本性能&ドライブフィール

平凡なスペックのエンジンに頭脳を持つAT

ルーテシアに搭載されるエンジンは新開発で、最高馬力90PS/5250rpm、最大トルク13.5kgm/2500rpmを発生する1.6リッター直4SOHCユニット。F1エンジンを作るメーカーのエンジンとしては随分、控え目。これに道路の状況やドライバーの走り方に応じて9つのプログラムから自動的に最適なモードを選択してくれる電子制御4速ATが組み合わせられる。こちらも新開発だ。

懐の深い走り、圧倒的な乗り心地の良さ、ずっと続くフラットなトルク

経済性と取り回しの良さは国産コンパクトと同じだが、決定的に違うのが走りのコンセプトだ。上級モデルと同じルノー独自の走りが堪能できる。 パワーに関しては、最近の1.6リッター国産スポーツモデルと比べると半分程度。だが、車重が1060kg~1090kgと軽いので、加速に関しては大きな不満はない。中間加速に関してはさすがにもう少しパワーが欲しくなるところだが、パワー指向にしていない分、低回転からピークトルクがずっと出ているので走りやすく、扱いやすいというのも確か。注目したいのはやはり学習機能付きATのデキ。シフトショックが非常に少なく、レスポンスも良く、峠道や坂道でも自動的にシフトアップ/ダウンを行うので、歯がゆい気持ちにならない。ただ、坂道では素晴らしくエンジンブレーキが利くので、日本車のATに乗り慣れた人にとっては違和感があるかもしれない。日本車のようなオーバードライブカットスイッチがあるのも、今までのフランス車らしくないところ。

「乗り心地の王者」フランス車だけに、乗り心地は最高に素晴らしい。以前、ヴィッツの試乗記に「フランス車のよう」と書いたが、やはり石畳の道で育った本家フランス車は、一日の長があるだけに格別。足回りはフランスのイメージからするとやや硬めの印象を受けるが、大きな段差でもジワッと吸収してしまうのはさすが。タイヤがゴトゴト言っているのに室内に振動がないという、見事な乗り心地はさすが。コーナーリングでも車体姿勢が把握できるようにロールはするが、どこまでも地が足についた安定感あるもの。結構攻めることもできる。またハンドリングは同クラスの国産車と比べると重めで手応えあるもの。欧州車好きの人なら必ず気に入るはずだ。

室内はアクセルに力を入れてもエンジン騒音がほとんどなく、実に静か。高速巡航の直進性も高く、150km/hあたりでも十分走れるし、加えてシートがいいから、疲労やストレスを感じないロングドライブを約束してくれるだろう。ただ風切り音はかなり大きい。

ここがイイ

当たり前と言えば当たり前のカタチだが、それでも全体としては独自のカタチがあり、さり気ない主張があるのがいい。小さいクルマだが、意外に大きく見え、二代目ゴルフと並んでいても小さく見えなかった。椅子の良さは言うまでもないが、上下にリフトする幅が非常に大きく、好みのポジションがとれる。どうして日本車にはこの機構が付くものが少ないのだろう。一番上にセットしても160cm台の人なら頭上には十分空きがある。

ここがダメ

パッケージングではやっぱりヴィッツの勝ち。大人4人乗るにはリアの足元がやっぱりちょっと狭い。リモコンキーがついているが、リモコンの感度があんまり良くないのが気になった。スイッチを2度、3度と押すことが多かった。

総合評価

photo_2.jpgフランス車は好きな方なので、ちょっと贔屓めなのかもしれないが、こんなにいいと思ったのは久々。力がないくせに、モワーとしたトルク感で十分走り、乗り心地はやたらにフラット。しかも今回はフランス車の欠点だったATが格段に良くなっている。ちゃんと60km/hでは4速に入っているし、坂道では効きすぎるほどエンブレも効く。国際マーケット(といっても西欧が中心だが)に向け、かなり無国籍なクルマっぽくなっているが、フランス車らしさをうまく味として残しており、さすが頑固なフランス人が作ったクルマらしい。

 

公式サイトhttp://www.renault.jp/

 
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