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ルノー ルーテシア インテンス / RS新車試乗記(第714回)

Renault Lutecia Intens / RS

(1.2L 直4ターボ・199.8万円~ / 1.6L 直4ターボ・299万円~)

姿かたちもエンジンも
ついでにミッションも一新した
愛しのルーテシアに
Fall in Love!

2014年01月10日

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キャラクター&開発コンセプト

デザイン、エンジン、ミッションなど全てを刷新


新型ルノー ルーテシア

欧州では2012年秋にデビュー、日本では2013年7月に発表され、9月に発売された新型ルーテシア(海外名クリオ)は、Bセグメントのコンパクトカー。初代は1990年の登場で、今回のモデルは4代目にあたる。日本ではややマイナーな存在だが、欧州では極めてポピュラーなモデルで、グローバルでの販売累計は1200万台を超える。また、1991年には初代が、2006年には3代目が欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。

クリオ4こと4代目ルーテシアの特徴は、2010年のパリモーターショーで発表されたコンセプトカー「デジール」で提示されたデザインや、新開発の直噴ターボエンジン、同じく新開発の6速DCT(デュアル クラッチ トランスミッション)の採用など、抜本的かつ多岐にわたるもの。ルノーの方向性や世界戦略を示す重要なモデルになっている。

新型RSも登場。直噴ターボ、6速DCT、5ドアを採用


新型ルノー ルーテシア RS

2013年11月には、200psを発揮する1.6リッター直4・直噴ターボエンジンを搭載した新型ルノースポール(以下RS)も日本で発売された。歴代ルーテシアRSは、3ドアハッチのMTのみだったが、新型は5ドアハッチの6速DCTのみとなり、5ドアと2ペダル志向が強い日本市場には相性のいいモデルになっている。

生産はトルコのバルサ(Bursa)工場をメインに、フランス国内のフラン(Flins)工場でも行われるが、RSだけは名門アルピーヌの本拠だったフランス北部のディエップ工場で最終組立が行われている。

 

2010年に発表されたコンセプトカー「デジール(DeZir)」(東京モーターショー2013にて)

■過去の新車試乗記
ルノー ルーテシア RS (2010年2月)
3代目ルノー ルーテシア (2006年4月)
2代目ルノー ルーテシア (1999年2月)

 

価格帯&グレード展開

全車に直噴ターボ、6速DCT、5ドアを採用


普通のルーテシアの場合、ボディーカラーは全7色。インテンスの場合、ホイールカラーもコーディネイトできる

従来は3ドアと5ドアを用意するのが習わしだったルーテシアだが(欧州にはエステートもある)、新型は今のところ欧州でも3ドアのみ。

欧州には1.5リッター直4ディーゼルターボや新開発の0.9リッター直3ガソリンターボ(90ps)も投入されているが、日本市場にはその4気筒版となる1.2リッターガソリンターボ(120ps)を導入。また、RSには日産の横浜工場で生産される1.6リッター直4ターボ(200ps)が搭載される。

トランスミッションはRSを含めて6速DCTのみになった。ハンドル位置はすべて右になる。先代ルーテシアは4ATだったし、一昔前までRSは左ハンドル・MTのみだったので、隔世の感がある。

199.8万円からスタート。RSは299万円~



RSのボディカラーは5色。写真はデジールのカラーを再現したルージュ フラム メタリック

価格は、16インチスチールホイールを履き、リア窓が手回しになるエントリーグレード「アクティフ」(受注生産)の199万8000円からスタート。中間グレードの「ゼン」(215万円)をはさみ、17インチアルミ、オートエアコン等を標準装備し、内外装カラーをコーディネイトできる「インテンス」(238万円)が上級グレードとして用意される。

RSには、日常ユースに合ったサスペンション設定の「シャシー スポール」(299万円)と、サーキット走行までカバーするサスペンション設定やステアリングギア比を持つ「シャシー カップ」(309万円 ※ジョン シリウス メタリックのみ324万円)の2種類を用意。前者はシルバーの17インチホイールと205/45R17タイヤ、後者はブラックの18インチホイールと205/40R18タイヤを履く。

 

車両協力:ルノー名古屋東

■ルーテシア
・アクティフ  199万8000円(受注生産)
・ゼン     215万円 
・インテンス  238万円 ※今回の試乗車

■ルーテシア RS
・シャシー スポール 299万円
・シャシー カップ  309万~324万円  ※今回の試乗車

 

パッケージング&スタイル

これなら5ドアでもいい


17インチタイヤ(205/45R17)を履くインテンス。ドアパネルおよびフェンダーの抑揚に注目

前述のように、新型ルーテシアは5ドアのみ。5ドアで統一する方向は、アルファロメオの現行ジュリエッタなどと同じで、世界的な流れだ。リアドアのアウターハンドルをピラーにビルトインし、一見3ドア風に見せる手法は最近では珍しくないが、そもそもスタイリング自体がかなりスポーティ。3ドア好きでも、「これなら5ドアでもいいか」と思わせるスタイルになっている。

なお、先代RSは微妙にオーバーフェンダーだったが(RS専用のダブルアクスル ストラットサスペンションを収めるため)、新型RSのそれはベース車と同形状になっている。

デザインしたのは、あの人


RSにはF1のフロントウイングをモチーフにしたフロントバンパーが備わる。写真はシャシーカップ仕様

エクステリアデザインは、フロントフェイスからサイド、ルーフラインに至るまで、表情豊かで、抑揚も大きい。ライバル車の一つであるポロが地味で、無愛想に見えてしまうほどだ。

新型ルーテシアのデザインをディレクションしたのは、すでに各媒体で話題となっているように、2009年にルノーに入社し、前任のパトリック・ル・ケマン氏に代わってデザイン部門のトップとなったオランダ出身のローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏。実は同氏、以前はフォードなどに在籍し、2009年までマツダで「Nagare」などのコンセプトカーを手がけてきた人。そう言われみると、何となく現行マツダ車の面影があるような……。日本人としてはちょっと複雑?

 

写真のボディカラーはジョン エクレール、つまりエクレア(稲妻という意味もある)の黄色

RSにはディフューザー形状のリアバンパーやツインマフラーが備わる。メガーヌRSより派手かも

ホイールベースはBセグ車としては最長レベル
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転半径(m)
ホンダ フィット ハイブリッド(2013~) 3955 1695 1525 2530 4.9~5.2
VW ポロ(2009~) 3995 1685 1460~1500 2470 4.9
トヨタ アクア (2011~) 3995 1695 1445 2550 4.8~5.7
ルノー ルーテシア(2013~) 4095 1750 1445 2600
ルノー ルーテシア RS(2013~) 4105 1750 1435 2600
VW ゴルフ 7(2013~) 4265 1800 1460 2635 5.2
 

インテリア&ラゲッジスペース

ルノーらしさを踏襲。RSにはオレンジの差し色


ブラック基調が標準になる普通のルーテシア。インテンスではカラーコーディネイトも可能

インテリアもダイナミックかつシンプル。VWに対抗すべく、質感は必然的に上がっているが、ルノー車らしい丸みのあるモチーフもしっかり継承されている。内装カラーはブラックが標準だが、上級グレードのインテンスでは、ボディカラーによっては内装トリム(ダッシュボード上部、シート地やドアトリムの一部)やアルミホイールの一部に、ルージュ(赤系)、ブルー、マロン(茶系)といったカラーがあしらわれる。

 

RSには専用装備のほか、オレンジ色のアクセントが入る

RSに関しては、専用ステアリング、パドルシフト、専用スポーツシートなどが装備される。ちなみにチタン製パドルシフトは、日産GT-Rからの流用品とのこと。これもルノー・日産アライアンスによる恩恵か。MT用のシフトレバーやクラッチペダルがないのが、ちょっと淋しかったりして。

 

後席の格納はシングルフォールディング(背もたれが倒れる)のみ。段差はあるが、これはこれでありか

後席は先代と大差なく、CセグとBセグの間といった感じ。4エアバッグ標準装備で、ユーロNCAPでは最高評価の5つ星を獲得

ステアリングにはチルトに加えて、先代にはなかったテレスコ(伸縮調整)が採用された
 

荷室容量はBセグ車でトップクラスの300リッター。RSはパンク修理キットになる

RSのリアシート。シート地やシートベルト以外は基本的に同じ

RSのスポーツシートは、メガーヌRSほどではないが、高いサポート性を持つ
 

普通のルーテシアには、フランス人好みの吊下式スペア(フルサイズの185/65R15)を装備

標準装備のオーディオは流行りのタッチパネル操作。ただしサテライトスイッチも装備する

ルノーお得意のカードキーを採用。コンソールに差してボタンで始動する
 

基本性能&ドライブフィール

「直噴ターボ+DCT」感は控えめ


ルーテシアの1.2リッター直噴ターボ。ついにチェーン駆動になった

今回は1.2ターボのルーテシア(インテンス)と1.6ターボのルーテシア RS(シャシーカップ)に試乗した。

まずは普通のルーテシアから。エンジンは新開発の1.2リッター直4・直噴ターボで、最高出力はメーカーが主張するように1.6リッター並みの120ps/4900rpmを発揮。また、最大トルクは2リッター並みの19.4kgm/2000rpmを誇る。それぞれ発生回転数が異様に低いのは直噴ターボならでは。

 

普通のルーテシアには、センターコンソールに「ECO」ボタンが備わる。かなり大人しくなるが、通勤なら十分かも

6速EDC(エフィシェント・デュアル・クラッチ)と呼ばれるミッションは、要するにフォードやボルボなどでおなじみのゲトラグ製6速DCT。それらと同じで、発進、加速、変速といった一連の動作は、よく言えば6速ATみたいにスムーズだが、VWのDSGみたいな鋭いレスポンスやダイレクト感はない。予備知識なしで乗った場合は、DCTであることに気付かないかも。

 

試乗したインテンスは17インチタイヤを履くが、乗り心地はまったく問題ない

車重はこのインテンスで1210kgだから、パワーウエイトレシオは約10kg/ps。街中での加速感は数値から想像される通りで、国産車で言えば1.5リッタークラスのコンパクトカーに近い。

直噴ターボだが、ターボラグは皆無で、出力特性は自然吸気エンジンみたいに超フラット。それはいいのだが、一方で体感的なパワー感は期待されるほどではなく、吹け上がりはやや重々しい。パワートレインに関しては、同じ1.2ターボのポロ TSI ハイラインやコンフォートライン(105ps、17.8kgm、車重1100kg)に、ちょっとまだ譲るという印象。エンジン特性に加えて、車重が少し重いせいもあるかも。

■参考試乗記:VW ポロ

高速域では、さすがフランス育ち

一方で。思わず見なおしてしまったのが、高速道路での走りっぷり。まずエンジンが、低回転型っぽいカタログ数値とは裏腹に、高回転域で実によく伸びる。最高速(発表値)は199km/hとのことだが、確かに頑張ればそれくらい出そう。

でもって、直進安定性やフラット感も高い。プラットフォームは先代のキャリーオーバーだが、リアサスがトーションビームでも、ここまでやれるのかという感じ。シャシーはポロに勝っている、と思う。ハイスピード域では風切り音がザワザワと高まってくるが、このクラスでは許容すべきレベル。フランスの高速道路(オートルート)は制限速度が130km/hだが、そのあたりで巡航するには何の不満もない。ちなみにクルーズコントロールは全車標準だ。

RSは200ps!だが、メガーヌRSほど激しくない


RSの1.6直噴ターボ「M5M」は、実は日産ジューク ターボに搭載されているMR16DDTをベースにしたもの。生産も横浜で行われる

RSに乗り換えると、まず専用チューンのボボボン!という排気音が頼もしい。メガーヌ RSのスポーツモードほではないが、ルノー・スポールらしい体育会系の音が心をくすぐる。

RSの1.6リッター直4・直噴ターボエンジンは前述の通り日産製だが、専用チューンとのこと。最高出力は200ps/6000rpmで、1.2ターボの6割7分増。最大トルクは24.5kgm/1750rpmで、同じく2割6分増になる。パワーウエイトレシオ6.4kg/psという数値は、ゴルフ6のGTIに匹敵する。

 

RSには「ECO」ボタンの代わりに、「スポーツ」ボタンが備わる。

ミッションは1.2ターボと同じ6速DCTで、変速フィーリングも一緒。後で各ギア比を比べたら、最終減速比も含めてまったく同じだった。

ただ、RSには出力特性や変速プログラムを変更できる「RSドライブ」が備わり、ノーマル、スポーツ、長押しでレースと3つの走行モードを選択できる。レースは、シフトチェンジが0.15秒まで短縮され(ただし自動シフトアップはしなくなる)、ESCの作動も解除される自己責任モード。またスポーツとレースでは、発進前の静止状態でエンジン回転数を2500回転で保持する「ローンチコントロール」も使える。

 

とはいえ、その印象は、スペックほど暴れん坊ではなく、ちゃんと手なづけられたもの。ブレーキ制御を使って差動制限を行う「R.S.デフ」が効いているのか、トルクステアもほとんどない。メガーヌRSのスポーツモード(265psで、PWRは5.4kg/ps)のように、「クルマに技量を試される」感がないのは、MTではなく、2ペダルだからか。

ちなみに、先代ルーテシアRSの自然吸気2リッター直4エンジンは、202ps/7100rpm、21.9kgm/5400rpmという高回転型。新旧の差はいろいろあるが、そのうちの一つは先代だとパワーバンドをキープするために、特に山道では上までぶん回す必要があったのに、新型ではそのへんがズボラでもOKになったこと。もちろん、ここでもMTからDCTになったことが効いている。

針の目を通すハンドリング


シャシーカップは黒の18インチホイールに、ダンロップのスポーツMAXXを履く

RSには、専用セッティングのスプリングやHCC(ハイドロリック・コンプレッション・コントロール)なる専用ダンパーが装備されるが、試乗車はよりハードな「シャシーカップ」仕様。シャシースポールに比べて3mmローダウンされ、フロントサスは27%、リアは20%ハードになるほか、ステアリングギア比がよりクイックになり、さらにパッツンパッツンに引っ張った205/40R18タイヤを履く。

コーナーでの身のこなしは、普通のルーテシアとは別物で、シャープかつダイレクト。ステアリングとフロントノーズが直結しているみたいに動くのが面白く、やはりルノーの高性能モデルはハンドリングマシンだと思い知らされる。また、この針の目を通すようなハンドリングを知ってしまうと、シャシーカップを選びたくなる。これに比べてシャシースポールは明らかに姿勢変化を許すセッティングになるようだ。

また、シャシーカップでも乗り心地は特に悪くない。ボトミング特性に優れたHCCのおかげか、段差などで突き上げが気になることもほとんどなかった。後席は分からないが、助手席から乗り心地に不評が出ることは多分ないと思う。

そんなわけで、高速道路での走りは余裕に決まっている。最高速は先代の225km/hを上回り、230km/h(UK仕様)とあった。

ただ、やはり排気量は1.6リッターということで、メガーヌRSやゴルフGTIのような2リッターターボ車に比べると、エンジンをブン回して、一生懸命走る感はある。静粛性も、ギア比が同じせいもあってか、1.2ターボと大差なく思えた。

試乗燃費(1.2ターボ)は11.9km/L。指定燃料はもちろんハイオク

今回は2台合わせて、トータルで約200kmを試乗。試乗燃費(車載燃費計)は普通のルーテシアだけで行い、いつもの一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約90km)で11.9km/Lだった。これはかなり飛ばしての数値なので、大人しく走ればもっといいはず。JC08モード燃費は、いずれも未発表。

燃料タンク容量は、このクラスでは標準的な45リッター。指定燃料はいずれもハイオク。

 

ここがイイ

デザイン、シャシー、RSの乗り心地

スタイリングはこのBセグメントで出色の出来。あれほど質感高く、知的に見えたポロが、新型ルーテシアと較べてしまうと、ずいぶん退屈に見えてしまう。デザインコンセプト通り、「恋に落ちる」かどうかはともかく、少なくともライバル車のデザインが前より色あせて見えかねないのは確か。

今後、ルノー全車で統一されていくというフロントグリルは、さすがに最初からデザインされただけに、カングーのような違和感がない。また妙な威圧感なしに、見事にブランドを主張しているのはさすが。

高速道路での走りっぷり。シャシーはこのクラスではベストの一つだろうし、1.2リッターのターボエンジンも高速域では期待以上の仕事をきっちりこなす。

乗り心地のいいRSの足。スポーティ=硬いといまだ思っている人が多いが、シャシー性能が高まれば、乗り心地も良くなる。街乗りでもまったく問題ない。

ここがダメ

内装あれこれ、日本のナンバーの位置

好みの問題かもしれないが、フローティングタイプ(浮いているように見える)のセンターダッシュパネルをクロームメッキで縁取っているのは、なんだかちょっと安っぽく見える。また、RSの内装にはメガーヌRSにある、えも言われぬスペシャル感というか、いっちゃてる感が欲しかった。確かにスポーツシートがあり、オレンジのアクセントも効いているが、もう少し硬派でも良かったと思う。それからフランス車ではいつものことだが、ペットボトルの置き場がない。ドアポケットにねじ込めばなんとかなるのは分かったのだが。

明らかに変だと思ったのは、リアゲートを閉める時に手を掛ける部分の凹みが、手が引っかからない形状になっていること。仕方ないので、リアゲートのヘリに手をかけて締めることになった。要改善。

フロントの日本のナンバープレート位置に違和感がある。本国の細長いものなら、この位置でいいが、日本のナンバーならもうちょっと位置を上げないと。スタイリングが見事なだけに惜しい。後付パーツが出てくるとは思うが。

パワートレインは、直噴ターボ、6速DCTと、今必要とされる要素をしっかり取り入れたもので、動力性能そのものも十分だが、1.2ターボ、1.6ターボ共に、6速DCTの印象も含めて、何となくダイレクト感やスムーズさは物足りない。このあたりは、依然VWグループ車がリードしていると感じる。

総合評価

付加価値を求めると、目は自ずと輸入車に向く

日本市場における2013年の輸入車販売は、絶好調だった。総販売台数28万540台という数字は、前年比で16.1%増。除軽市場の8.6%(前年比1.5%増)が輸入車で、これは1966年の統計作業開始以来、過去最高の数字だという。

そこまで輸入車が売れているのは、要するにクルマ好きが魅力的なクルマを買おうと思うと、輸入車が一気に浮上してくるからだ。足としてのクルマではなく、クルマに何らかの付加価値を求めた場合、クルマ好きの目は自ずと輸入車に向く。景気云々より、その傾向がますます高まっているということだろう。

今や新車販売の4割を占める軽自動車も、付加価値という点では同様。軽の場合、大きくは経済性という付加価値だが、デザイン的にも個性的なクルマが増えているのが、売れている理由だと思う。代々のカローラをセールスマンに進められるまま代替している、という人の絶対数は、どんどん減り続けているはず。それでもいまだに国産車が持ちこたえているのは、クルマにあまり興味がなく、それでも必要という人の絶対数が小さくないからだろう。

カッコイイことが今でも重要

そんな日本市場にまた1台、素晴らしくカッコイイ小型車が欧州からやってきた。そこに付加価値はいろいろあるが、カッコイイというのもその一つだろう。ルーテシアはもう、誰が見たってカッコイイ。カッコ良く見せる手法としては、ちょっとあたりまえにも思える、などとと嫌味を言いたくなるほどに。じゃあ、対抗しうるカッコイイ国産コンパクトカーって……、なかなか頭に浮かばない。

クルマが売れるというのは、なんでもいいから、とにかくカッコイイクルマであることが今でも大きいのではないか。一見してカッコイイから、欲しい、買いたいという気持ちが涌くわけで、そうなると実用性などは二の次になる。室内が広いに越したことはないが、運転している限りは、ドライバーにとって運転席周りだけが全てなのだから、パッケージングのためにスタイリングを犠牲にするのはナンセンスだ、と過激に主張したくなる。

しかし日本の小型車は逆に、ひたすら効率的なパッケージングにこだわった結果、どれも同じような形で、なおかつカッコよさを失ってしまった。ルーテシアの後部座席は特に広くないけれど、むちゃくちゃカッコイイから、これでいいというもの。このクラスならこれで十分だし。同乗者に広いと褒めてもらうためにクルマを買うわけじゃない。というか、このクラスで本当に実用性に不満のあるクルマなら、売れないだろうし、もはやそういうクルマは、このクラスにないといってもいい。ルーテシアも今回、一見3ドアに見える5ドアしかないのは、そういうことだろう。

また、走りだって、ダウンサイジングターボエンジンとDCT、そこへさらに素晴らしいシャシーが加わって、ワインディングではRSでなくとも十分に楽しめた。それでいて燃費も悪くない。このあたりも日本車と逆だ。燃費を良くすることが命題で、走りは二の次。カッコよくはないが広く、燃費はいいが走らない。そうした日本車に対する不満は、ルーテシアに乗ればたちどころに解消される。特に、何だこの高速巡航の気持ちよさは。これならもうどこまでも、運転の楽しさを持続したまま走って行ける。

今年も輸入車は売れ続ける

デザイナーのアッカー氏はマツダにいたという。マツダが日本車としては珍しくカッコイイクルマを連発して上向いているのは、この人の力が大きかったわけだ。その点では、これからのマツダ、ちょっと心配になってくる。ルノーデザインの前任者ル・ケマン氏は、あのアヴァンタイムをイメージリーダーとするアバンギャルドなデザインを推し進めた。個性的なルノー車は、日本ではあまりウケなかったが、それでもフランス車はシトロエンも含めて個性的であることが、重要な要件。それは主要販売エリアに住む人の生き方の問題でもあるだろう。個というものが確立しているというフランス人気質は、歴史的には市民革命を自ら成し遂げたことが大きいと言われる。個性を重視する社会なのだ。ちょっとステレオタイプな捉え方かもしれないが、それゆえフランス車は個性的だ、というのは間違ってはいないと思う。

江戸時代から日本人は和を尊び、お上に従順だ。今も変わらないその気質が、ここに来て個性的な物作りを妨げているように思える。いや、作る側はあんがいチャレンジするのだが、売れないのだ。トヨタだって2000年ごろには個性的な商品を連発したが、その多くは結局たくさんは売れなかった。個性的なスタイルは、日本人にはなじまないものだったことがはっきりしてしまった。それが今のクルマづくりに反映しているように思える。今後の世界市場を考えると、マツダに限らず心配になってくる。

 

ということで、ルーテシアを含め、今年も輸入車は売れ続けるだろう。消費税で景気が悪くなったとしても、もともと安くはないクルマをいざ買おうとなれば、たとえ少し高くとも納得したものを買いたいという消費者心理は変わらないからだ。

昨年ルノー ・ジャポンの新車登録台数は3771台(前年比21.3%増)と過去最高で、2001年のルノー・ジャポン設立以来、最高になるという。今年はルーテシアでさらに増えそうだ。もちろん、絶対的にはたいした台数ではないが、一方で、輸入車ブランドで販売台数トップのVWは、過去最高の6万7279台(前年比+19.7%)で、過去最高だった2001年の6万1121台を大幅に上回っている。商品力さえあれば、これくらいは売れる市場が日本にはあるわけだ。ルノーもまだまだ売れるはず。ルーテシアの出来の良さにはその牽引力が十分にあると思った。

 
 

試乗車スペック
ルノー ルーテシア インテンス
(1.2L 直4ターボ+6速DCT・238万円)

●初年度登録:2013年8月●形式:ABA-RH5F ●全長4095mm×全幅1750mm×全高1445mm ●ホイールベース:2600mm ●最小回転半径:-m ●車重(車検証記載値):1210kg(-+-) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:H5F ●排気量・エンジン種類:1197cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・横置 ●ボア×ストローク:72.2×73.1mm ●圧縮比:- ●最高出力:88kW(120ps)/4900rpm ●最大トルク:190Nm (19.4kgm)/2000rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/45L ●JC08モード燃費:-km/

●駆動方式:FF(前輪駆動) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット+コイル/後 トレーリングアーム+コイル ●タイヤ:205/45R17(Michelin Primacy 3)

●試乗車価格(概算):-円 ※オプション:- -円 ●ボディカラー:ジョン エクレール ●試乗距離:約-km

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試乗車スペック
ルノー ルーテシア ルノー・スポール シャシーカップ
(1.6L 直4ターボ+6速DCT・309万円)

●初年度登録:2013年11月●形式:ABA-RM5M ●全長4105mm×全幅1750mm×全高1435mm ●ホイールベース:2600mm ●最小回転半径:-m ●車重(車検証記載値):1280kg(810+470) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:M5M ●排気量・エンジン種類:1618cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・横置 ●ボア×ストローク:79.7×81.1mm ●圧縮比:- ●最高出力:147kW(200ps)/6000rpm ●最大トルク:240Nm (24.5kgm)/1750rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/45L ●JC08モード燃費:-km/

●駆動方式:FF(前輪駆動) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット+コイル/後 トレーリングアーム+コイル ●タイヤ:205/40R18(Dunlop Sport Maxx RT)

●試乗車価格(概算):-円 ※オプション:- -円 ●ボディカラー:ルージュ フラムM ●試乗距離:約-km

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●試乗日:2013年12月 ●車両協力:ルノー名古屋東(ガレージ新和グループ)

 
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