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トヨタ マークX 250G “リラックス セレクション”新車試乗記(第580回)

Toyota Mark X 250G “Relax Selection”

(2.5リッターV6・6AT・269万円)

これぞトヨタの保守本流!
2代目となったX(エックス)は
トヨタ印の良品だった!

2009年11月28日

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キャラクター&開発コンセプト

内外装デザインを一新。3.5リッター車を新設定


今回試乗したのは、250G “リラックスセレクション”

トヨタのFRミドルクラスセダンとして9代続いたマーク「II」が「X(エックス)」になったのが5年前。そのマークXが2009年10月19日にフルモデルチェンジして発売された。

2代目Xの特徴は、一新された内外装デザイン、従来の3リッターV6に代わる3.5リッターV6の新設定など(2.5リッターV6は継続)。シャシーやパッケージングも改良されたが、プラットフォームは基本的にキャリーオーバーとなる。

生産拠点はトヨタ自動車・元町工場(愛知県豊田市)のみで(先代は関東自動車・岩手工場とのブリッジ生産だった)、販売は従来通りトヨペット店。目標台数は5年前の5000台から3000台に縮小されたが、発売後1ヶ月間の初期受注は4倍以上の約1万4000台となっている。

過去の新車試乗記>トヨタ マークX 300G プレミアム (2004年12月)

価格帯&グレード展開

売れ筋はエコ減税対象車の“リラックスセレクション”

先代のボトムプライスは250万円弱だったが、新型はデフレ時代に合わせて約10万円安い238万円からスタートする。ただし実際の販売主力は、いわゆるエコ減税対象車となる250Gの“リラックスセレクション”(269万円)や“Sパッケージ リラックスセレクション”(299万円)だろう。

【250G】
2.5L V6(203ps、24.8kgm)・10・15モード燃費:12.4~13.0km/l

 ■“F パッケージ”           238万円
 ■ベースグレード            267万4250円
 ■“リラックスセレクション”   269万円 ★今週の試乗車
 ■“Sパッケージ”            293万7500円
 ■“Sパッケージ リラックスセレクション” 299万円
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【250G Four】
2.5L V6(203ps、24.8kgm)・10・15モード燃費:11.4km/l
 ■“F パッケージ”           261万1000円
 ■ベースグレード            290万5250円
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【350S】
3.5L V6(318ps、38.7kgm)・10・15モード燃費:10.2km/l
 ■ベースグレード           352万5000円
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【Premium】
3.5L V6(318ps、38.7kgm)・10・15モード燃費:10.2km/l
 ■ベースグレード           337万円
 ■“Lパッケージ”            380万円

パッケージング&スタイル

よりスポーティに、より質感を向上。


Aピラーが80mm前進し、サイドパネルの抑揚が深くなった2代目エックス。Cd値は0.28

ボディサイズ(先代比)は先代とほぼ同じ全長4730mm(同)×全幅1795mm(+20)×全高1435mm(同)。全幅と同じく、トレッドも20mm拡大されている。

デザイン的には3連ヘッドライトなどを先代から継承しつつ、初代で気になったボンネットの盛り上がり感(ちょうど歩行者保護が厳しくなり始めた頃だった)がなくなり、さらにAピラー基点を80mm前に出したことで、ぐっとスポーティになった。

 

またフロントグリルの「X」バッジも、見慣れてきたせいか「バツ」に見えなくなって、堂に入ってきた感じがする。フロントフェンダーに新型クラウン風というか、マツダ・アテンザ風というか「峰」が加わったほか、ボディサイドの表情も豊かになり、品質感は確実に上がった。

 

先代のテール部分は絞り込んだ形状が個性的でカッコも良かったが、新型ではトランク容量の拡大などの要件を満たすためか、ボリューム感をアップ。それに伴い、リアコンビランプのデザインも今風(あえて○○風とは言わないが)に変更された。マフラーと一体のように見えたリアバンパー(実際にはマフラーとつながっていない)が今回から普通になったのも少々残念。ダミーはイヤという人もいたからか。

手堅い手法で、ユーザー好みの高級感を得る

家電のように少々安っぽいデザインだった先代のインパネはやっぱり不評だったようで、白色LEDを使った大型ルームランプやシフトレバーまわりの透明パネルといった意匠共々、あっさり廃止されてしまった。

変わって新型は一転してオーソドクスな「いかにも高級そうな」デザインを採用。ソフトパッドを多用した黒基調のダッシュボードやドアトリム、ツヤのあるウッド調パネルなど、まことに手堅い手法だが、それゆえすんなりと馴染めてしまう。何となく10年前の「高級車」といった感もないではないが、マークXのターゲットユーザーでこれを不満に思う人は少ないだろう。

 

「オッ」と思ったのは、ドライバーの方向に傾けられた握りの小さいATシフトレバー。マニュアル車のシフトレバーそっくりの握り心地で、悪くない。木目調パーツやメッキ、ブーツカバーといった周辺パーツの素材感も良い。正直この内装ならクラウンと比べても見劣りしないかも。

室内も若干広くなった

全幅の拡大に伴って、前・後席のショルダー部のドアトリムは25mm外側に出され、また前席も10mmずつ外側へ配置し直されたという(つまり左右席の距離が20mm離れた)。より広々感が増したという意味でも、クラウンに限りなく近づいた。

もちろん、クラウンとの差別化がないはずはない。気になったのはシートの作りで、フカフカした座り心地やホールド性の甘さ、腰のサポート部分のペナペナ感(電動ランバーサポートのせいか)など、率直に言って今ひとつ。表皮によって印象が違ってくる可能性はあるが、少なくともシート骨格はクラウンとは別物では。

リアシートも広々。クラウンに大きく見劣りせず

全高は低いが、2850mmのホイールベースはクラウンと同じなので、後席は十分に広い。先代にあった7段階リクライニング機構も踏襲されている。相変わらず乗り込む時に頭をかがめる必要はあるが、スタイリングを思えばここはやむなしだろう。

なお、エアバッグは、前席のフロントとサイド、運転席ニー、そして前・後席のカーテンシールドで計7個を装備する。

トランク容量は1割アップ

先代では437リッターと少なかったトランク容量は、480リッターに拡大。クラウン(524リッター)には及ばずとも、FRのスポーツセダンとしては十分に広め。先代ではステッカーで指示された通りにしないと入らなかった4個のゴルフバッグが、これで簡単に積めるようになった。また背もたれが6:4分割で倒れ、トランクスルー出来る点は先代同様だ。

 

また先代が採用していたダブルリンク式のヒンジは廃止され、代わりにアーム式変更された。前者はトランクスペースへの浸食がない点、後者は開口部を広くできる点などがメリットだが、最近は欧州車でも後者が多く、その流れに従った形だ。

床下にはタイヤレンチなどの工具を収めた樹脂ボードがあり、その下にテンパースペアタイヤが収納される。

基本性能&ドライブフィール

「足るを知った」パワー感

試乗したのは250G “リラックスセレクション”。素の250Gに助手席電動シートを加えたグレードで、価格は1万5750円高いが、車重が約10kg増えて1520kg以上の区分に入り、エコカー減税(購入時の取得税や重量税、購入翌年の自動車税が軽減される)の対象となる。ただ、10・15モード燃費はベースグレードの13.0km/Lから12.4km/Lに落ちている。

販売面ではマークXの主役となる2.5リッター直噴V6「4GR-FSE」は、トヨタFR車では定番中の定番ユニット。ただし新型マークXではレギュラー仕様化され、最高出力はハイオク仕様の215psから203psへ、最大トルクは26.5kgmから24.8kgmへダウンしている(圧縮比は12.0のままだが、点火制御でノック対策をしているようだ)。

そのパワー感は、本来の215psバージョンを知っていると、やや物足りない、といったところ。車重は1530kg(試乗車)と、クラウンの2.5アスリートあたりより100kgほど軽いのだが、何となく全体にトルク感が薄い。

そう言われるのを予想してか、プレスリリースにはスポーツカーでも何でもない普通のトヨタ車では珍しく「0-100km/h加速性能」が明記されている(しかも2.5リッターだけ)。その8.4秒という数値は、まあ「飛び抜けて速くもないが、決して遅くもない」と言える性能で、確かに200psもあるのでそこらのクルマよりは明らかに速い。3.5リッターのような過剰なパワー感がないという意味では、「足るを知った」パワーであり、ましてレギュラー仕様だと思えば納得はできる。

文句なしの乗り心地、十分に高い静粛性

250Gの標準タイヤは215/60R16(試乗車はヨコハマのデシベル)で、少なくとも試乗したグレードは足まわりもソフト。おかげで乗り心地は路面を問わず良好で、フラット感も高い。

遮音もしっかり行われていて、静粛性は十分に高い。それでも周囲が静かだと、クラウンやISでは聞こえないV6のガサついた音が、かすかに耳に届くことはある。しかしそれが無ければクラウンやレクサスになってしまうし、直接乗り比べない限り、不満は感じないはずだ。

しなやかな走りはFRならでは

ワインディングでのしなやかな走りは、まさにFRならでは。しかもマークXは車重も軽く、250Gならタイヤ性能もそこそこなので、流す程度から高い速度域まで、素直な動きが持続する。前後重量バランスはおおよそ54:46。少々フロント寄りだが、パワーがそこそこなのでリアの軽さやトラクション不足はほとんど意識されない。

特にマニュアルモードで2速固定にし、パワーモードを「スポーツ」にして思い切り走った時のバランスは絶妙。もともとアンダーステアは軽いし、オーバーステアの方はVSCやTRCがうまくコントロールしてくれるので、安心してエンジン性能とタイヤ性能を使い切れる。パドルシフトは試乗車にはなかったが(350Sや250GのSパッケージ車に装備)、残念ながら “ブリッパー”は備わらないようだ。またいずれにしろ標準グレードの足だと、3速を使う100km/h以上の領域でボディコントロールが曖昧になってくる。

そこで250Gの“Sパッケージ”車では、足まわりがモノチューブ式の電子制御ダンパー、専用スプリング、スタビライザー、ブッシュ等を組み合わせたAVS仕様となる。その上には18インチタイヤを標準装備する3.5リッター車もあるわけで、このあたりはクラウンアスリートの350やレクサスIS350に限りなく近いクルマだ。車重の軽いマークXの方が、ひょっとするとよりスポーティかもしれない。

試乗燃費は8.7~11.5km/L

最後に恒例の試乗燃費だが、今回は450kmを試乗し、街乗りで8.7km/L、高速中心だと11.5km/L、トータルで10.4km/Lだった。もちろん、指定燃料がレギュラーであるのは嬉しいところ。ちなみに250Gの10・15モード燃費は、12.4~13.0km/L(試乗車は12.4km/L)だ。

ここがイイ

トヨタらしい保守本流の作り

まず、このクラスでは貴重なFR車であること。トヨタ車の中ではFF、FRを問わずライバルが多いため立ち位置としては難しく、かなりのニッチ商品だが(月3000台はニッチとはいえないが、存在としてはニッチ)、それゆえに応援したくなる。上級車であるクラウン譲りのプラットフォームやパワートレインを使っているという点では、たいへんお買い得。また、先代に比べて見違えるように良くなった内装の質感。地道に改良されているパッケージング、燃費を考えつつ、スポーティにも走れるパワートレインなどなど、トヨタの「ロイヤルカスタマー」を意識した良心的な作り。中庸な点も含めて、トヨタの保守本流であり、割安感のあるトヨタらしい良品だと思う。アクセルペダルもオルガン式です(笑)。

保守本流といえば、先代がやたら斬新だったことを思うと、インパネデザインからシフトレバー、内装デザインまでのすべてが、違和感なく「古くさく」なっているのがいいところ。古くさいというと悪く感じられるが、たぶんこの古くささこそ、このクラスのユーザーが求めているものだと思う。先代は相当に欧州車を意識し、さらに超えようとしていたが、今回は「もう純和風でいいや」と開き直った雰囲気。かつてのハイソカー時代をちょっと思い出した。日本車の生きる道はこういった方向にあるのかもしれない。

ここがダメ

クラウンの存在。フロントのバッジ。シート

ますます規模が縮小する市場(目標月5000台→3000台)に比例するように、ますます存在意義が薄くなりつつあること。確かにお値打ち価格だが、このクラスのセダンを買おうという人、買える経済力のある人なら、無難にクラウンを買えばいいわけで、わざわざマークXにする必要があるのか、とやっぱり誰でも思うのでは。また本来のポテンシャルを損なっている2.5リッターエンジンのエコ減税仕様もちょっと・・・・・・。実際に速くなくてもいいから、レギュラー仕様のままもう少しパワー感も欲しかった。

相変わらず、フロントグリルの「X」バッジはなんだか・・・・・・。普通にトヨタバッジでいいと思う。グリルはアクセサリーの中からいろいろ選べはするが、トヨタバッジ仕様はないようだ。日本車もいい加減、メーカーマークに統一すべき時期だと思う。

一部のグレードを除いて電動(4ヶ所・8方向)の運転席シートだが、座面前部があまり下がらないなど、今ひとつ調整幅が狭くてしっくりこない。シートという、人が一番触れる部分にこそ、もっとコストをかけて欲しいもの。またベージュのシート生地デザインもかなりダサい。上級車との差別化のため意図的にやってあるのでは、とすら思えてしまう。

総合評価

じっくり乗ると、良さが分かる

こうした「ごく普通のクラス」のセダンはちょっと乗るだけだと、なんだか当たり前のクルマに思えて、面白くも何ともないことが多い。実際、今回もチョイ乗りをした限り、可もなく不可もなく、面白くもなく、といって、それなりに走るからつまらないこともなく、取りたてて不満もないかわりに、どこを褒めればいいのか分からないという印象。そこで今回は「ごく普通に」400kmほどドライブ(最近は死語?)してみたのだが、結果、感想は案の定「いいクルマだな」というものに変わった。

何がいいか。それはまず燃費だろう。実燃費がトータルで10km/Lを超えるというのは、素晴らしいとしか言いようがない。しかもレギュラーガソリンである。実用燃費としては、一昔前のこのクラスの倍近いのでは。もちろん試乗ルートにはいつもの試乗コースも含まれており、そこはかなり元気に走ったのだが、ほかは省燃費運転も特に心がけず走っている。「エコモード」を選び、さらに省燃費運転を心がければ、10・15モードを超えることも十分可能ではないか。

2.5でも実はけっこう速い

オーバー400psのエンジンだって載せられるクラウンやレクサスISなどと共通のプラットフォームで、わずか200psのエンジンなのだから、シャシーは明らかにエンジンより速い。ステアリングレスポンスは意図的だと思うが、ややダルであるものの、FRの挙動を楽しみながら、アンダーパワーなエンジンを最大限に使いながら走るのは楽しいもの。トルク感の薄さは、スポーツモードにすればかなり改善されるから、走りの実感が欲しいときはスイッチを入れればいいし。むろんマニュアルモードもあるから、十分遊べる。先代の2.5リッターは0-100km/h加速10.1秒だったから、それが8.4秒となった新型は、実はものすごく走るクルマになっているわけだ(先代の3.0は7.3秒だったが、今回、3.5の数値が発表されていないのは公表がはばかれる数値だからかも)。

試乗車の場合、一般道をゆっくりと走った時の静粛性や乗り心地は、十分に快適と言える。室内が先代より広くなったことも実感できるし、先代の2.5で感じた内装のコストダウン感もない。シートにはやや不満があるが、それでも水準は超えていて、疲れるとか腰が痛くなるといったものではない。ボディサイズもこれくらいなら狭い道でも持て余さない。で、価格を見るとこれがかなり安い。ということで、これはかなりいいクルマになっているんじゃないの、となったわけだ。

ヒエラルキーを崩壊させよ

CMでは、カッコいい部長のクルマがマークXという展開だが、これはすでに崩壊したはずのトヨタヒエラルキーをまた復活させようとしているみたいでなんだかイタい。3000台を売るために、こうしたベタな展開が必要なのはわかるが、レクサス、クラウンの下に来るというヒエラルキー感覚を付属させていく限り、このクルマは今後ますます売れなくなってしまう気がする。セダンとして本当に素晴らしい出来なのだから、ヒエラルキーを徹底的に崩壊させて、純粋にいいセダンとして多くの人にアピールできればもっと売れるのに、と思わずにはいられない。

試乗車スペック
トヨタ マーク X 250G “リラックス セレクション”
(2.5リッターV6・6AT・269万円)

●初年度登録:2009年10月
●形式:DBA-GRX130-AETZH(Y)
●全長4730mm×全幅1795mm×全高1435mm
●ホイールベース:2850mm ●最小回転半径:5.2m
●車重(車検証記載値):1530kg( 840+690 )
●乗車定員:5名
●エンジン型式:4GR-FSE
●2499cc・V型6気筒・DOHC・4バルブ・直噴・縦置
●ボア×ストローク:83.0×77.0mm ●圧縮比:12.0
●203ps(149kW)/6400rpm、24.8kgm (243Nm)/4800rpm
●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/71L
●10・15モード燃費:12.4km/L ●JC08モード燃費:-km/L
●駆動方式:後輪駆動(FR)
●サスペンション形式:前 ダブルウイッシュボーン/後 マルチリンク
●タイヤ:215/60R16( Yokohama decibel E70A )
●試乗車価格:320万1350円( 含むオプション:電動ムーンルーフ 10万5000円、HDDナビゲーションシステム+バックガイドモニター&サイドモニター 40万6350円 )
●試乗距離:約450km ●試乗日:2009年11月
●車両協力:トヨタ自動車株式会社

 
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