Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > マツダ アテンザ セダン XD L パッケージ

マツダ アテンザ セダン XD L パッケージ新車試乗記(第684回)

Mazda Atenza Sedan XD L Package

(2.2直4ターボディーゼル・6AT・340万円)

ニッポンのセダンにも
ついにディーゼルが復活!
アテンザ XD(クロスディー)に試乗!

2013年02月01日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

CX-5に続いて、最新クリーンディーゼルを搭載


2011年の東京モーターショーで発表されたコンセプト・モデル「雄(TAKERI)」。新型アテンザのカタチを予告するモデルになった

2012年11月20日に発売された新型アテンザは、2002年の初代、2008年の2代目に続く3代目。従来は4ドアセダン、5ドア、ステーションワゴンの3ボディ構成だったが、新型はセダンおよびステーションワゴンの2ボディになった。マツダのフラッグシップモデルであり、メインマーケットは欧州や北米で、マツダの中でもグローバル色の強いモデルになる。

デザイン面では、CX-5に続いてマツダの新しいデザインテーマ「魂動(こどう)」を採用。またメカニズム面では2種類のガソリンエンジンに加えて、やはりCX-5同様に新世代クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」を搭載している。日本車のセダンで、ポスト新長期規制をクリアしたディーゼル車は、新型アテンザが初だ。

「i-stop」に加えて、キャパシターを使った「i-ELOOP」を搭載


新型マツダ アテンザ
(Mazda)

アイドリングストップ機構「i-stop(アイ・ストップ)」は標準装備。また、乗用車では世界で初めて蓄電器にキャパシターを採用した減速エネルギー回生システム「i-ELOOP(アイ・イーループ)」など、最新の「SKYACTIV技術」を全面採用。ディーゼル車のJC08モード燃費は、クリーンディーゼル車でトップの20.0km/L(6AT車)~車22.4km/L(6MT)を達成している。

目標販売台数は月間1000台だが、発売後1ヶ月間の受注台数はその7倍の約7300台で、うち76%をディーゼル車が占めた。なお、2012年12月の登録台数は、前年比の6倍にあたる1584台。

 
atenza_02pr_xd_eng01_200.jpg
クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」
(Mazda)

■過去の新車試乗記 【マツダ アテンザ関連】
2代目マツダ アテンザ セダン 25EX (2008年2月更新)
初代(MC版)マツダ アテンザ スポーツ 23S (2005年9月更新)
初代マツダ アテンザ スポーツ(2002年6月更新)

■過去の新車試乗記 【クリーンディーゼル関連】
BMW 320d ブルーパフォーマンス (2013年1月更新)
マツダ CX-5 XD (2012年5月更新)
三菱 パジェロ ロングボディ エクシード (2010年11月更新)
メルセデス・ベンツ E350 ブルーテック (2010年3月更新)
ランチア デルタ 1.6 マルチジェット (2009年4月更新)
日産 エクストレイル 20GT (2008年10月更新)

価格帯&グレード展開

ディーゼルは290万円から。6MTも選べる


新型アテンザ セダン
(Mazda)

「セダン」と「ワゴン」があり、価格はいずれも250万~340万円。エンジンは計3種類で、ガソリンが2リッター直4と2.5リッター直4、ディーゼルが2.2リッター直4のターボ。変速機はガソリン車が6ATで、ディーゼル車には6ATと6MTがある。今のところFF車のみで、4WDはない。

上でも触れたように、初期受注ではディーゼルが76%を占め、ガソリン車は2.0リッターが13%、2.5リッターが11%。ボディタイプ別では、セダンが54%、ワゴン46%とのこと。

 

新型アテンザ ワゴン。全長はセダンより60mm、ホイールベースは80mm短い
(Mazda)

6エアバッグ、DSC、アドバンストキーは全車標準。さらに、25SとXDの「Lパッケージ」装着車には、自動ブレーキシステム、AT誤発進抑制制御、レーダークルーズコントロール、AFS機能付ディスチャージヘッドランプ、電動レザーシート(ブラックとホワイトの2種類を用意)、シートヒーター、19インチタイヤ等が標準装備される。ナビは全車ディーラーオプション。

【セダン・ワゴン共通】
■20S (2.0リッター直4ガソリン)         250万円(6AT)
■25S L Package (2.5リッター直4ガソリン)  300万円(6AT)
■XD (2.2リッター直4ディーゼルターボ)     290万円(6AT)/302万6000円(6MT)
■XD L Package (2.2リッター直4ディーゼルターボ)   340万円(6AT)  ※今回の試乗車

 

パッケージング&スタイル

鼓動デザインの第2弾


試乗車のカラーは匠塗(TAKUMINURI)専用プログラムで塗装される「ソウルレッドプレミアムメタリック」

スタリングは、CX-5に続いてマツダの新しいデザインテーマ「魂動 - Soul of Motion」を採り入れたもの。プレスリリースには「野性的なプロポーション」、「日本の美意識」、「凛とした存在感」、「生命感のあるダイナミックな美しさ」とあるように、ボディ全体で動きや生命感を表現。大げさなフロントグリルやプレスラインに頼らないところに、同社デザイン部門の力量がうかがえる。ボンネットが長く、Aピラーとキャビンが後退しているせいもあって、一見FRのように見える。

全長&ホイールベースはセダンの方が長い


外観でガソリンとディーゼルを見分けるのは、ほぼ不可能、グレードを示すバッジ類もない

ボディサイズは、完全に国際規格。セダンの全長は4860mm、全幅は1840mmもあり、つまりレクサスGSやメルセデス・ベンツのEクラス並み。サイズ的には1990年代にマツダの旗艦セダンだったセンティアの後継という感じもする。

なお、セダンのホイールベースはワゴンより80mm長く、後席居住性や上級セダンらしい伸びやかなスタイリングを実現している。ただ、セダンがワゴンより大きいというパターンは珍しい。

 
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転半径(m)
マツダ CX-5 XD 4540 1840 1705 2700 5.5
BMW 320d
ブルーパフォーマンス(F30)
4625 1800 1440 2810 5.4
先代マツダ アテンザ セダン 4735 1795 2725
マツダ アテンザ ワゴン XD 4800 1840 1480 2750 5.5
マツダ アテンザ セダン XD 4860 1450 2830 5.6
メルセデス・ベンツ E350
ブルーテック(W212)
4880 1855 1455 2875 5.3
 

インテリア&ラゲッジスペース

上品シンプルなインテリア。IT装備は静観の構え


Aピラーは手前にあり、視界の邪魔になりにくい。レザー内装(Lパッケージ)の化粧パネルは、写真では黒っぽく見えるが、実際にはボルドーメタルというメタル調のワインレッド

インテリアの質感は先代アテンザより向上。アウディみたいな手触りのレザーステアリングは、最高級ランクの「一番革」を使ったものとのこと。ソフトな表皮で全面が覆われたダッシュボード、小ぶりなシフトノブなど、触感にこだわっているのが分かる。デザインもシンプルで、全体に品がいい。

また、チルト/テレスコ、シートリフターを完備するのは、このクラスでは当然として、オフセットのないペダルレイアウトにこだった点もマツダらしいところ。

一方、ナビが全車ディーラーオプションになるなど、IT系は消極的。とはいえ、基本的にナビは、純正も含めて汎用品ベースを使うので、ユーザー側の選択自由度は高く、数年先のアップデートもしやすいと言える。

 

シフトゲートはジグザグ式。マニュアルモードのシフト方向は相変わらず手前がアップ

ナビはすべてディーラーオプション。写真はパイオニア製HDDで、操作はステアリングスイッチ、モニター周囲のボタン、タッチパネルで行う
 

セダンでわざわざWBを80mm伸ばしただけに、後席は頭上から足もとまで特に不満なし

「Lパッケージ」は、細かく穴の空いたパーフォレーションレザーの電動シートを装備。オフホワイトも選べる
 

トランク容量は483リッター(ワゴンは506リッター)。後席背もたれは6:4分割でフラットに倒れ、その気になれば寝ることも可能

床下にはパンク修理キットの他、小物入れがあるくらい
 

基本性能&ドライブフィール

ディーゼルでもスポーツエンジン

試乗したのはセダン XDの6AT。ディーゼルエンジンということで、まず気になるのは音の問題だが、CX-5と同じ2.2リッター直4ディーゼルターボは、やはりアイドリング時に「カラカラカラ……」というディーゼルエンジンらしい音を発する。特に車外ではよく聞こえるが、アイドリング時に限っては前回試乗したBMWの320d ブルーパフォーマンスより少し静かかな、という感じ。

 

CX-5と新型アテンザが使う2.2ディーゼルターボ。圧縮比はディーゼル車としては異例に低い14.0。ちなみに320dの圧縮比も低めだが、それでも16.5ある

走り始めると、同じ直4ディーゼルターボでも、320dとはけっこう違う。スペックだけ見れば、両者はほぼ互角だが、性格ははっきり言って正反対だ。

320dはクルマが動き始めた瞬間、ノイズがスッと収まり、強力なトルクが即座に立ち上がる。ターボラグはほぼ皆無で、4000回転くらいまで一気に吹け上がる。ただ、その後は「ただ回るだけ」で、早々にシフトアップしてしまう。低回転域の分厚いトルクを8ATでうまく拾いながら走るトルク型だ。

一方、アテンザ XDは、1500回転くらいまではコロコロというノイズが少しあり、アクセルを踏み込んでも、即座にトルクがドカンとは来ない。反面、過給が掛かり始めると、パワー感が膨れ上がるように高まり、5000回転オーバーまで、クォーン!と一気に回り切る。直4ディーゼルでもこんな風に回るの? と驚く瞬間。

一つ興味深いのは、Boseサウンドシステム+11スピーカー(高性能デジタルアンプやスピーカーのセット)装着車に備わる「アクティブエンジンサウンド」という機能。加速時には、エンジンサウンドを補完する音をスピーカーから出すらしいが、ひょっとして、快音はこのせいか? 聞いた限り、非装着車との差はほとんど分からないらしいが。

パドルシフトを標準装備。ただしスポーツモードはない

6AT車はパドルシフトを標準装備。マツダが以前採用していた独自のタイプではなく、右がアップ、左がダウンの一般的なもので使いやすい。シフトレバーを右に倒してマニュアルモードを選択すれば、レブリミットまで回してもシフトアップしないというマニアックな設定。また、アクセルを深く踏み込むとシフトダウンするキックダウンボタンも新採用されている。

とはいえ、実際のところ、パドル操作に対するレスポンスは速くなく、ギア比の関係もあってワインディングではなかなか2速に落ちてくれない。いっそスポーツモードでいいやと思うのだが、アテンザには走行モードの切り替えというものがない。思わずスポーツボタンを探してしまった。

 

近赤外線レーザーセンサー(写真右)および、車線読み取りや夜間のハイ・ロービーム自動切り替え用に使うカメラ(写真左下)をフロントウインドウ上部に装備。ミリ波レーダーはフロントグリル内にある

なお、1速のギア比(最終減速比と掛け合わせたオーバーオール比)は、8ATの320dとほぼ一緒だが、2速は明らかに320dの方が低い。またステップ比も320dの方が全体に小さめで、シフトダウンをよく受け付けてくれる。BMWの8ATをなまじ知っていると、段数が2つ少ないハンディはやはり感じる。

100km/h巡航時のエンジン回転数は約1800回転。トルクはあるので、高速燃費を稼ぐためにも、もう少し下げたいところ。8ATの320dはこれを1500回転でこなす。

なお、Lパッケージには、ミリ波レーダーを使ったレーダークルーズ(30~100km/hで作動)が装備される。また、これとは別に、近赤外線レーザーも使うSCBS=スマート・シティ・ブレーキ・サポート(4~30km/hの低速域での衝突回避・被害軽減を行う)や、AT誤発進抑制制御も付いてくる。今後、「付いてて当たり前」になりそうな先進安全装備についても抜かりない。

ロードノイズは大きめ。絶大なトラクション感は魅力

試乗した「Lパッケージ」は、19インチ(225/45R19、ブリヂストンのトランザ T001)を履く仕様。ロードノイズは大きめで、走行時にはこれが一番気になる(特に後席)。またホイールハウス内にフェルトなどが貼られていないせいか、小石などのチッピングノイズも目立つ。ヘビーウエットの場合はスプラッシュノイズが気になるかもしれない。乗り心地は平滑な路面ならいいが、荒れた路面だとゴロゴロ感や突き上げが目立つ。

 

Cd値はセダンで0.26。ワゴンが0.28。前輪の前には大型のスパッツが備わり、床下は排気管まわりを除いて、アンダーカバーで覆われる

ハンドリングに関しては、ワインディングでペースを上げると、フロントの重さが意識される。パワステはクイックだが手応えが重く、素速い切り返しを試みても、従来マツダ車ほどは素直に反応しない。

ただ、前軸への荷重が約1トン(960kg)もあるせいか、コーナー脱出時にアクセルを深く踏み込んだ時のトラクション感は、図太いトルクと相まって絶大。強力なLSDが入ってるみたいに、ほとんどホイールスピンせず(もちろんトラクションコントロールは介入する)、グワッーと加速する。こんな感覚はガソリンエンジン車では味わえない。

試乗燃費は11.1~16.0km/L。JC08モードは20.0km/L(6AT)


今回給油した愛知県内の某GSでは、ハイオクが157円、レギュラーが146円、軽油が125円。2週間前より2円ずつ高かった

今回は約200kmを試乗。参考までに試乗燃費(車載燃費計による)は、いつもの一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約90km)が11.1km/L、一般道を大人しく走った区間(約60km)が16.0km/Lだった。ちなみに、320dにほぼ同じ条件で乗った時の燃費はそれぞれ13.9km/L、18.2km/L。

 
    エンジン 変速機 最高出力
kW(ps)
最大トルク
Nm(kgm)
車重(kg) JC08モード
燃費(km/L)
日産 エクストレイル 20GT 2.0L 直4
ディーゼルターボ
6AT
6MT
127(173) 360(36.7) 1690
1660
13.8
14.2
BMW 320d
ブルーパフォーマンス
2.0L 直4
ディーゼルターボ
8AT 135(184) 380(38.7) 1550 19.4
マツダ アテンザ XD 2.2L 直4
ディーゼルターボ
6AT
6MT
129(175) 420(42.8) 1510
1490
20.0
22.4
マツダ CX-5 XD 6AT 1510(FF)
1610(4WD)
18.6(FF)
18.0(4WD)
メルセデス・ベンツ E350
ブルーテック
3.0L V6
ディーゼルターボ
7AT 155(211) 540(55.1) 1910 12.4
 

ここがイイ

スタイリング、ディーゼルエンジンのスポーティさ、i-stopの完成度、先進安全技術

ダイナミックでありながら、これ見よがしのフロントグリルやキャラクターラインを排し、オリジナリティもあるデザインは、日本車の中で随一。デザインコンセプトに「鼓動」といった和名を使うように、日本らしさも盛り込まれている。

「Zoom-Zoom」してるスポーティなディーゼルエンジン。国産メーカーの中では、いち早くクリーンディーゼル車に本腰を入れて、クリーンヒットを狙うという戦略も、独立系の小メーカーであるマツダらしい。

マツダのi-stopは相変わらずいい。ディーゼルエンジンでもほとんどショックレスで、瞬時に再始動してくれる。エンジンの縦置き、横置きという違いはあるが、この点は320dより明らかに優れる。

マツダは声高にアピールしないが、プリクラッシュセーフティ技術やAT車での誤発進抑制システムなどの先進安全技術をしっかり採用していること。また、販売店オプションとされるナビは、性能はともかく、ディスプレイの位置はいい。

ここがダメ

静粛性や乗り心地は物足りない

日常的に常用する1500~2000回転で、かすかではあるが、カラカラというノイズが出ること。また低速トルクが思ったほどなく、ターボラグのあるエンジン特性。「最新ディーゼルターボの分厚いトルク」を期待して乗ると、ちょっとはぐらかされる。もっと低速トルク重視でも良かったのでは。

スポーツセダンとして考えるとボディサイズは大きいし、高級セダンとして考えるとロードノイズや段差での突き上げは気になるところ。全体にポテンシャルは高いが、熟成の余地はある。

総合評価

カペラ ディーゼルの話

atenza_31_5th_capella_cargo_200.jpg
マツダ カペラ カーゴ (1988-1994年)

その昔、仕事でカペラ カーゴワゴンに乗っていた。たぶん1990年代初めの頃のことだと思う。量産エンジン初というプレッシャーウェーブスーパーチャージャー(今や消えてしまった技術のようだが)付のディーゼルエンジンを搭載していた。後ろ向きの3列目シートがあって、その頭上では屋根が少し膨らんでいるなど、なかなか特徴的で、スタイリングも悪くないクルマだった。

5ナンバーサイズで使い勝手もよく、当時も軽油は安かったので、長距離移動にはこのクルマでよく出かけたものだ。折しもパジェロを筆頭とするディーゼル車が空前のヒットを記録していた時代で、巷にもディーゼル車はあふれていたが、どのクルマも黒煙を吐きまくり、ディーゼル車受難の時代を予感させていた。そしてカペラも、それはそれはすごかった。モクモクと黒煙を吐きながら加速する時は、さすがに心が痛んだ。与えられた営業車ゆえ乗らないというわけにもいかず、黒煙を撒き散らかしていた。

 

この時の印象がトラウマとなって、ディーゼル車はダメだと、ここ20年ずっと思い続けてきた。今となっては石原元都知事のヒステリックなデモンストレーションには違和感を覚えるのだが、それゆえ当時は、まあしかたないなと思ったもの。そんなカペラ カーゴワゴンだが、振動や音は、あの頃そう気にならなかった。今と違ってガソリン車でも、古くなればそれなりに音も振動も出た時代だから、まあ、こんなものかと思っていた。快適性や静粛性のスタンダードが低かったから、相対的にディーゼル車でも不満は少なかったのだ。

ただし、当時の一般的なディーゼル車は走りが悪かった。トラックみたいだった。メルセデスW123の300D(たぶんターボ車だった)に乗ったこともあるが、今でもその振動をはっきり思い出せるし、走りもなんだかもっさりしていた。それに比べてPWSディーゼルのカペラは、ガソリン車並みによく走った記憶がある。高速道路でもぶっちぎれたw。ただし、後ろが見えなくなるほどの黒い煙幕を残したのだが。

今やガソリン車にこだわる必要はない

そんな昔話に花を咲かせた後で乗った新型アテンザは、果たして想像を超えた出来だった、と言いたいところだが、ターボディーゼルエンジンに関してはCX-5で乗っているので、さほどの感動はなかった。よくできているし、高回転までスムーズに回る。アイドリング時のエンジン音が違う以外、ほとんどガソリンエンジンの感覚だ。アイドリング時もi-stopがあるから、止まってしまえば無音、無振動であり、特に大きな不満はない。燃費も軽く10km/L以上だから、軽油価格の安さも含めて考えれば、大型セダンの割にはずいぶん好燃費と言える。ガソリンスタンドで、最近の円安によって急騰したレギュラーやハイオクガソリンのノズルを横目に、安い軽油ノズルで入れられるのはありがたいもの。要はこのディーゼル車、昨今のガソリン車に引けをとらない走り、快適性を備えた経済的なクルマであり、もちろん黒煙とは無縁だから、今やガソリン車にこだわる必要はない、と言える出来ということだ。

 

エンジン以外の部分はどうか。セダンらしい乗り心地の柔らかさと、足のしっかり感が両立しているので、人によっては文句なしだろう。ただ、昨今の欧州車を好む人種には、もうちょっと全体にガッシリ感のある乗り味の方が、心地よく感じられる。また、時にちょっと突き上げ感があるあたりなど、さらに熟成を進められそうな気もする。それでも、レーダークルーズなどのハイテク安全装備も用意されていて、最新・最先端車に乗っている満足感は十分にある。

何より、このクルマには日本車では貴重なステーションワゴンが存在する。一般的なワゴンと違って、セダンよりホイールベースは短いが、そのためかスタイリングに間延び感がない。また、セダンではやや唐突感のあるフロントグリルが、ワゴンの場合はリア部分の造形とのバランスがいいせいか、違和感なく見えるのが不思議だ。ワゴンと言えば、ライバルはレガシィ ツーリングワゴンだが、アテンザはスタイリングがいいし、なんといっても最新のクリーンディーゼル。スバルのフラット4に対抗しうるウンチクもある。

 

カペラ カーゴから20年を経て、その直系であるアテンザは、同じディーゼルでも雲泥の差だった。最近は毎回この言葉で締めているような気がするが、クルマはまだまだ進化する商品だとつくづく思う。

追記 : ワールド・カーオブザイヤーのテンベストカーに、アテンザ(マツダ6)は、CX-5と共に入っています。広島の独立メーカーの、日本のものづくりのスピリットがこのクルマには注入されています。そこはたいへん重要なポイントでは。

■2013 World Car of the Year ノミネート(10ベスト)
• アウディ A3
• ランドローバー レンジローバー
• マツダ 6 (アテンザ)
• マツダ CX-5
• メルセデス・ベンツ Aクラス
• プジョー 208
• ポルシェ ボクスター / ケイマン
• トヨタ 86 / スバル BRZ
• VW ゴルフ
• ボルボ V40

 
     

試乗車スペック
マツダ アテンザ セダン XD L Package
(2.2直4ターボディーゼル・6AT・340万円)

●初年度登録:2012年11月●形式:LDA-GJ2FP ●全長4860mm×全幅1840mm×全高1450mm ●ホイールベース:2830mm ●最小回転半径:5.6m ●車重(車検証記載値):1510kg(960+550) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:SH-VPTR ●排気量・エンジン種類:2188cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ディーゼル・ターボ・横置 ●ボア×ストローク:86.0×94.2mm ●圧縮比:14.0 ●最高出力:129kW(175ps)/4500rpm ●最大トルク:420Nm (42.8kgm)/2000rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:軽油/62L ●10・15モード燃費:-km/L ●JC08モード燃費:20.0km/L

●駆動方式:FF(前輪駆動) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット+コイル/後 マルチリンク+コイル ●タイヤ:225/45R19(Bridgestone Turanza T001) ●試乗車価格(概算):374万7850円  ※オプション:特別塗装色 5万円、Bose サウンド・システム+11スピーカー 8万4000円、パイオニア HDDナビゲーションシステム 21万3850円 ●ボディカラー:ソウルレッドプレミアムメタリック ●試乗距離:220km ●試乗日:2013年1月 ●車両協力:東海マツダ販売株式会社

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

最近の試乗記一覧