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メルセデス・ベンツ B170新車試乗記(第416回)

Mercedes-Benz B170

1.7L・CVT・299万2500円

http://www.motordays.com/newcar/articles/mbb17020060526/pic/photo_1-thumb.jpgAクラスから生まれた
新コンセプト・ベンツは
あの「次世代乗用車」の
再来だった!

2006年05月26日

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キャラクター&開発コンセプト

Aクラスベースの上級モデル

http://www.motordays.com/newcar/articles/mbb17020060526/pic/photo_2-thumb.jpg2006年1月に日本で発売されたBクラスは、その名の通りAクラスとCクラスの間に位置するモデル。構造的には昨年導入された2代目Aクラスの全長とホイールベースを延長したものゆえ、その上級・派生モデルと言ってもいいだろう。

一方、アウターパネルは全くの別物で、外観はスタイリッシュに変身。乗車定員は5名だが、後席や荷室は、当然こちらの方が広い。目下、メルセデス・ベンツは既存モデルから派生させた新型車を次々に投入中で、このBクラスは3月に発売されたRクラス(Mクラスベースの3列シートMPV)共々、そうした新世代メルセデスの象徴となるクルマだ。

価格帯&グレード展開

Aクラスの約50万円高

エンジンはAクラスと同じ3種類で、グレードも3種類。1.7リッター(116ps)の「B170」(299万2500円)、2リッター(136ps)の「B200」(346万5000円)、2リッターターボ(193ps)の「B200ターボ」(393万7500円)となる。おおむねAクラス(252万〜 346万5000円)の50万円高というところ。

パッケージング&スタイル

全長とホイールベースが伸びた

http://www.motordays.com/newcar/articles/mbb17020060526/pic/photo_3-thumb.jpg全長4270mm、全幅1780mm、全高1605mm、ホイールベース2780mmという寸法は、Aクラスより長さで420mm、ホイールベースで210mm長い。ウェッジシェイプが強調されたスタイルは、かなりスポーティに見える。

初代Aクラスにもホイールベース延長版の「L(ロング)」があったが、一見してBクラスがそれと違うのは、まったく違う外観が与えられたこと。Aクラスの面影はほとんど払拭され、どちらかと言うと新型Rクラスのイメージに近い。

質感、操作性とも問題なし

http://www.motordays.com/newcar/articles/mbb17020060526/pic/photo_5-thumb.jpg インパネの構成部品はAクラスとほとんど同じ。質感は高く、操作系もシンプルで扱いやすい。ウエストラインが低いので、視界も良好だ。ステアリングには弾力のある素材が革の下に巻き込まれており、グミみたいな握り心地を持つ。エアコンはこのB170では、マニュアル式で、上級グレードで左右独立のオートになる。

http://www.motordays.com/newcar/articles/mbb17020060526/pic/photo_6-thumb.jpg 特異に感じられるのは、やはり同じ二重フロアのAクラス同様、足を前に投げ出す着座姿勢だ。乗り降りの際には、足を心もち高く上げる必要があり、お年寄りにはつらいかも。しかし、床は初代Aクラスより低くなっているので、大多数の人には慣れてしまえるレベルだ。瑣末な話だが、サイドシルの出っ張りがないから、ゴミとかも掃き出しやすい。

シートの座り心地はメルセデス・ベンツ特有のスプリングが効いたカチッとしたものではなく一般的なもので、このあたりのベンツ風味は薄めだ。

後席は実質的に大人2人掛け

http://www.motordays.com/newcar/articles/mbb17020060526/pic/photo_7-thumb.jpg ロングホイールベースと高めの天井のおかげで、後席は広々。ドリンクホルダー内蔵のアームレストを引き出せば、ミドルクラスセダン並みのゆったり感がある。空間的には横3人掛けもできそう‥‥と思いきや、中央席は、左太もも下がシートフレームで圧迫され、5分も座っていられない。後席が6:4分割式の左右非対称なのと、2人乗り時のホールド性を優先した作りのせいだ。つまり、実質的には4人乗り(および中央席にチャイルドシート)と考えた方がいい。前後スライドやリクライン機能は備わらない。

軽い操作力、芸の細かい工夫

http://www.motordays.com/newcar/articles/mbb17020060526/pic/photo_8-thumb.jpg通常時の荷室容量は506リッター(Aクラスの3割増し)と大型ステーションワゴン並み。ドイツ車離れした操作力の軽さ、きめ細かい工夫は、基本的に現行A クラスと共通の長所だ。床は写真のように一段低い状態と、敷居から後席までツライチな状態とが選べるし、後席はヘッドレストを抜かず簡単にダブルフォールディングで畳める。

最も拡大した状態(1607リッター)なら前輪を外した自転車が2台、さらに助手席シートバックを前倒しすればサーフボードなどの長尺物も積める。また、両サイドに小物入れがあるほか、床下のスペアタイヤ周辺にもニッチスペースがある。

基本性能&ドライブフィール

Aクラス、ここに完成せり

試乗したのはB170。1年前に乗ったA170と基本的には同じ1.7リッター4気筒SOHCエンジン(116ps、15.8kg-m)だが、B170の運転感覚は、それとはまったく別物のようにスムーズだ。トランスミッションは同じCVT、メルセデス言うところのオートトロニックだが、まずこれの完成度が高い。スリップ感はほとんどなく、トルコンによるクリープもしっかりあって、ベルトノイズもまったく気にならない。1年前に現行Aクラスに乗った時は「多少もたつきがある」というようなことを書いたが、今回は一切そんな感じがしなかった。車重はむしろAクラスより70kg程度増えているのだが。とにかく乗りやすい。

操縦性や乗り心地も、初代Aクラスの基準からすれば、信じられないほど洗練されている。ある意味、例の二重フロアを除けば、Aクラスじゃないみたいだ(だからBクラスなのか)。依然として乗り味には、Cクラス以上のベンツセダンにある品質感や重厚感はないが、このクラスのFF車としては全くもって十分な仕上がり。加えて、サンドイッチフロアが醸し出すガッチリ感はAクラスベースならでは、と言える。

山道でも高速でも不足なし

いつものワインディングでも、好印象に変わりはない。ギア比はスローだが、操舵感のいい電動パワステ、姿勢変化を感じさせない足回り、安定したアンダーステアの操縦性、扱いやすい7速マニュアルモード、適度に非力なエンジンなど、完全にバランスが取れている。あえて気になった点を挙げるなら、ABSの介入がやや早過ぎるブレーキくらいか。高速道路では、エンジン回転数を低く保てるCVTのメリットが生きてくる。先を急がなければ、ロングドライブも快適なはずだし、燃費もいいはずだ。

ここがイイ

http://www.motordays.com/newcar/articles/mbb17020060526/pic/photo_4-thumb.jpgAクラスベースとは思えない、ルックスの良さ。背が高くてもどっしり見えるのは、ボディの幅が広いからだろう。もう日本車も5ナンバー幅を気にする場合ではないかもしれない。この幅とロングホイールベースによって、リアシートもゆったりしている。前席より一段高く、見晴らしも良好だ。

Aクラス同様、倒した後席とツライチになるまで、せり上げられる荷室床は便利。助手席を倒せば長尺物も積めます、というのは日本車みたいだが、便利には違いない。便利と言えば、携帯電話のハンズフリー機構が標準なのもいい。これって必需品だと思う。カーステレオにソリッドオーディオがつなげられるというのも昨今の必需品だが、これもある。

CVTは本当にいいプログラムを持っていて、全く違和感がない。マニュアルモード(左右に動かすメルセデス流)を使えば変速も素早く、楽しい。上級グレードにはステアリングスイッチもあるが、これも楽しいはずだ。足まわりもちゃんとついてくるから、ワインディングも楽しめるし、高速は低回転で走れる。

試乗車には付いていなかったが、ハイビームでも効くアクティブライト(最大角12度)と40km/h以下で点灯するコーナリングライトは夜間走行を大変助けてくれる。斜め前の視界と言えば、Aピラーが細めで、死角が少ないのもいい。

ここがダメ

やはり乗降時に妙な高さを感じてしまう床。それ以外は特になし。

総合評価

ワゴンのようで、ミニバンのようでもある。そんな Bクラスを見ていると、トヨタ・ナディア(1998年〜)を思い出してしまった。すでに消え去ったこのクルマ、コンセプト的にはBクラスにきわめて近い。「次世代乗用車」のうたい文句で登場したナディアは、全長4425mm、全幅1695mm、全高1625mm、2735mmのホイールベースを持っていた。Bクラスと比べると全長で155mm長く、幅で85mm狭く、背は20mm高く、ホイールベースは45mm短い。幅だけはかなり違うが、狙っているところはほとんど同じだ。

このクルマがヒットしなかった要因は、わかりにくさに尽きるだろう。パッケージングではすべてにおいてセダンを超えていたため、使い勝手は絶大だったが、当時は新し物好き以外には受け入れがたいカタチで、まして保守的と言われるトヨタユーザーにはワケがわからなかったはず。おまけに、クルマに必要なステイタス感やプレミアム感は、かけらも感じられなかった。センターメーターやコラムシフト、左右ウォークスルー、前後対座シート、後席左右独立スライド機構など、アイデアは満載だったが、それもわかりにくさに拍車をかけていたように思う。気がつけば、この手のクルマはもう日本にはほとんど残っていない。

Bクラスはそんなナディアが持っていたネガティブな部分を、ことごとく払拭している。本国ではシート座面の取り外しも可能なようだが、日本仕様で採用しなかったのは正解だろう。ナディアから10年近くたっているだけに、コンセプトとしてはかえって新鮮に感じられるし、彫りの深いルックスはなかなかにカッコいい。内装もナディアのように機能面で凝り過ぎておらず、ごく一般的なベンツの乗用車タイプとなっている。ナディアでは986リッターだった荷室も、Bクラスでは1607リッターまで拡大されているから、自転車だって積める。メルセデスゆえプレミアム感も上手に演出されているし、その「次世代乗用車」ということで、けっこうなステイタス感もあるだろう。

http://www.motordays.com/newcar/articles/mbb17020060526/pic/photo_10-thumb.jpgさらに走りがいいのは前述の通り。特にCVTの仕上がりは素晴らしい。乗っていていわゆるベンツ的な重さは感じないが、それがかえって日常的には使いやすい。要は日本車的なベンツなのだが、これも世のすう勢というもの。新世代メルセデスに昔の面影を求めるのは今や意味がないだろう。ましてBクラスは「メルセデスの新しいかたち」なのだから。小さなことに価値があるAクラスをロングホイールベースにするなんて意味がないのでは、と最初は思っていたが、なるほどこれなら商品力がある。日本車がうまくやれなかった「次世代乗用車」をメルセデスが成功させてしまうのだとすれば、内心じくじたるものがなくはないが。

試乗車スペック
メルセデス・ベンツ B170
(1.7L・CVT・299万2500円)

● 形式:CBA-245232●全長4270mm×全幅1780mm×全高1605mm●ホイールベース:2780mm●車重(車検証記載値): 1380kg(F:−+−)●乗車定員:5名●エンジン型式:266●1698cc・直列4気筒・SOHC・横置●116ps(85kW) /5500rpm、15.8kg-m (155Nm)/3500-4000rpm●カム駆動:タイミングチェーン●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/54L●10・15モード燃費: 12.8km/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:205/55R16(Continental PremiumContact )●試乗車価格:304万5000円(含むオプション:メタリックペイント 5万2500円)●試乗距離:約100km ●試乗日:2006年5月

公式サイト http://www.mercedes-benz.co.jp/passenger/car_lineup/b-class/index.html

 
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