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BMW Mクーペ新車試乗記(第71回)

BMW M Coupe

  

 

1999年04月23日

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キャラクター&開発コンセプト

321psエンジンを搭載したリトルダイナマイト

ライトウエイトオープンカーブームを受けて、1995年に発表された「Z3ロードスター」。これをベースにルーフとテールゲートを追加してクーペに変身させたのが「Z3クーペ」だが、さらにこれをベースとしてBMWのモータースポーツ部門「Mテクニック」が手がけた321ps・3.2リッター直6を搭載したのが「Mクーペ」だ。オープンボディに同じエンジンを載せたものは「Mロードスター」と呼ばれる。見た目はライトウエイトスポーツだが、エンジンは重量級。異様な成り立ちのリアルスポーツカーである。

価格帯&グレード展開

730万円。Z3ロードスターが2台買える

価格は730万円で、Mロードスターも同じ。ベースのZ3ロードスターが352万円であるにも関わらず、この値段は、はっきりいって高い。Z3よりワイド化され、大型フロントスポイラー、17インチアルミ&タイヤ、Mマークがついたクローム・サイド・グリル、左右両だし4本マフラーなどの専用装備はあるが、外観上は730万円にちょっと見えないだろう。約380万円の上乗せ分の大半がエンジンの値段といっても過言ではない。ちなみにMクーペと同じエンジンを積むM3クーペ(旧3シリーズベース)は733万円。こちらもやたら高いが、4人乗れる分だけMクーペよりお得か。

パッケージング&スタイル

Z3ロードスターのクーペ版というより、ワゴン版

ロングノース&ショートデッキのZ3ロードスターに、そのままルーフだけ載せてしまったようなMクーペのスタイルは、いわば2シーターワゴン風。このスタイルを人がカッコイイというのか、変というのか、正直分からないが、リアの巨大なフェンダーやワイドタイヤなど、ド迫力の強烈な個性はあり、何となくノーマルのポルシェ911に対するターボボディ風でもある。ドイツのチューニングのパターンというか、センスはコレなのだろうか。

時々BMWはデザインで大冒険するが、とてもマーケティングしたとは思えないカタチのこのクルマを市販化してしまったBMWには100点をあげたい。BMW自身も世界でそう何台も売れるクルマだと思っていないみたいだ。

ボディサイズは全長4035mm×全幅1740mm×全高1305mmで、ワイドタイヤを履くために全幅がZ3よりもワイド化された。プラットフォームは流用されているが、キャスター角の変更によってホイールベースは15mm長い2460mmとなっている。一見アンバランスなスタイルにも関わらず、一応、50対50の前後重量配分となっているということは意外である。

乗る人を選ぶコクピット、生粋なスポーツカーなのに積載能力は高い

室内デザインは基本的にZ3と同じだが、赤と黒のコンビネーションレザー(内装色は青×黒など全10色も用意されている)とその周辺にあしらわれたクローム仕上げのインテリアは、スポーツカーにふさわしいスパルタンなもの。モダンとクラシックが融合しており、センターコンソールには3連メーターも装備される。低いシートポジションに難儀な乗降性、コルベットのように目前に迫るダッシュ、タイトな居住性、全てが古典的スポーツカーの文法に則ったもの。カップホルダーというミーハーな装備はおろか、グローブボックスやセンターコンソールの収納もない。あるのは助手席足元のネットと、小物が置けるぐらいの小さな収納スペースだけ。とはいえ2シーターワゴン(?)とも見えるボディだけあって、ラゲッジスペースは広く、ツーリングカーとしての実用性は結構高そうだ。

シートはパワースライド&チルド機構を標準装備。サポート性そのものはいいのだが、前後スライドの範囲が少ないため、小柄な女性ではクラッチを奥まで踏めないかもしれない。また、ステアリングにチルト&テレスコ機構もなく、ベストポジションを確保できるヒトは自ずと限られてくる。

基本性能&ドライブフィール

荒々しいエンジンはトルクの塊

最高出力321ps/7400rpm、最大トルク35.7kgm/3250rpmを発生する3.2リッター直6・DOHCユニット「S50型」は、MテクニックがM3用に開発したスペシャルエンジン。このパワフルなエンジンを、ライトウエイトスポーツカーに強引に積むわけだから、足回りの強化、ボディ剛性の強化は半端ではない。そんな成り立ちのクルマだから、自ずと荒々しいジャジャ馬的な走りが想像できる。

試乗車はアイドリングが安定せず、しばしばストールしてしまうことも。「最近、サーキット走行が多いので・・・・・・」とインポーターは話していたが、赤信号ではアクセルをあおって待つという久々にスパルタンな作業を楽しませてくれた。

エンジン音は野太く、クラッチの踏力は国産スポーツよりもやや重め。シフトフィーリングはコクッと入り悪くない。エンジンがでかすぎて、ミッションは5速しか載らなかったらしい。シフトをチェンジするたびにエンジンのトルクがズシッと伝わってくるあたりは、そんじょそこらのスポーツカーとは全く次元が違うことを、改めて認識させられるものだ。トルクの塊だけあって加速はドッカンと猛々しい力強さ。加速感というより迫力を感じさせるもので、アメ車のイメージにも近いもの。タイム的にはランエボやインプレッサWRXあたりに等しい加速だが、その力強さはそれらの比ではない。日常的な路上でこのクルマをフル加速させてシフトワークを楽しむのは無謀。サーキットで楽しみましょう。

コーナーリングはほとんど鼻先の重さを感じさせることなく、そしてロールもほとんどなく、キチンと曲がってくれる。コーナー出口からアクセルを踏み込めば、後ろからググッと押し出させれる気持ちのいいフィーリング。感じとしてはジャジャ馬的な楽しさではなく安定志向のハンドリング。ただ、限界挙動などは公道では知る由もない。このクルマの全性能を引き出すには、やはりサーキットということになるのだろう。

直線でとんでもハイスピードを出すのは容易だが、高速安定性は今ひとつ。スピードを上げるほどにフロントの接地感が減り、重めにセッティングされたパワステでも、しっかり感が不足ぎみになる。当然エンジン音もうるさいので会話を楽しむことはできない。快適な高速クルーザーでないことは確かだ。

ここがイイ

とんでもないパワー感。エンジンはシューンと回るのでなく、グロロローンという感じで、エモーショナルに回る。トルクが下からあるので昔からのハイパワースポーツカーの感覚。そのパワーを極太リアタイヤが受け止め、出来のいい足まわりでしつけるという、これまた古典的なスポーツカーの手法。最近の国産4WDスポーツなどとは、同じ加速ラップでもフィーリングが大きく異なる。もちろんこっちが好み。

ここがダメ

やっぱり高い価格でしょう。もしこれだけのお金があったら、ちょっと別の選択肢も出てきてしまいそう。もちろん欲しい人だけが買うクルマなので、別にとやかく言うことではないが。

総合評価

BMWマニアには、おそらくたまらないクルマ。また腕に相当覚えのあるスポーツカーファンにも垂涎のクルマだろう。サーキットインプレなどを読むと、かなり絶賛意見が多いようだ。ただ、一般道を走らせてみた限り、もう少し楽で、しかも運転していて面白いクルマは他にもいろいろあるのでは、と思ってしまった。とはいえ、こういうクルマは非日常的に乗る場合に、どこまで飛び抜けているかが重要。その点ではかなり突出していて、コレクターズアイテムになり得ると思う。スタイリングもかなりいい。典型的なクーペでなく、こういう個性的なカタチが登場することでカーデザインの自由度は高まるはず。今回は乗っていないが、同じカタチのZ3クーペ 2.8あたりは個性的で、案外実用的な「オシャレ系」クルマとして悪くないかもしれない。490万円をポンと出せるお金持ち専用ではあるが。

  

公式サイトhttp://www.bmw.co.jp/Products/Automobile/Mcoupe/

 
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