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ルノー メガーヌ 2.0新車試乗記(第304回)

Renault Megane 2.0

(2.0リッター・4AT・253万円)

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2004年02月07日

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キャラクター&開発コンセプト

ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー受賞

2003年ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した2代目メガーヌ、通称メガーヌ II は欧州から約1年遅れの04年1月10日に日本で発売された。地味だったルノー中型車のイメージを一新する斬新なスタイルは、1988年からルノーに移籍し、トゥインゴ、アヴァンタイムを生み出したパトリック・ルケマン(Patrick le Quement)。ユーロNCAPで最高評価の5つ星を最初に獲得したという衝突安全性の高さもアピールポイントだ。

初代メガーヌはルノー19(ディズヌフ)の後継車として95年にデビュー。日本ではマイナーな存在だが、欧州では販売台数ナンバー1であるルノーブランドの主力モデルだ。

価格帯&グレード展開

ひとまず5ドアのAT

日本仕様は「2.0」(253万円)と革シートやキセノンランプを持つ豪華版「2.0プレミアム」(278万円)、遅れて2月発売の「1.6」(220万円)の3グレード。いずれも右ハンドル・4速ATの5ドアのみ。オプションのパノラミック電動ガラスサンルーフ(15万円)はアヴァンタイムによく似たもので、電動開閉式のフロント部と固定式のリア部から成る大型ツインタイプだ。

2003年の東京モーターショーで参考出品された2.0リッターターボ(225ps)の「ルノースポール」の日本発売も期待される。80年代の5(サンク)ターボ以来、ルノーのホットモデルのファンは少なくない。欧州にある5速MTと日産製6速MT仕様の導入も検討されているようだ。

フランスでは日本のカローラに匹敵するモデルなので、1.4/1.6/2.0リッターのガソリン、1.5/1.9リッターのディーゼルターボなどバリエーションは豊富。さらにミニバンのセニックII、ステーションワゴン、格納式ガラス製ハードトップ付きのクーペ・カブリオレ、4ドアセダンといった派生モデルがすでに欧州では登場している。

パッケージング&スタイル

 

普通の人が買えるアヴァンタイム

サイズは全長4215×全幅1775×全高1460mm。近く発売されるゴルフ5と大差ない。全幅は最近の流れに沿ってワイドだが、側突テストを星5つでクリアするには、このくらい必要ということか。実際に運転して、現行ゴルフ4(全幅1735mm)より特に幅広という感じは受けなかった。

メガーヌの魅力はとにかくデザインだ。独創、革新、斬新、奇抜、前衛、なのに拒否反応が出ない(と思う)カッコいいデザインは珍しい。このクラスのハッチバック車は平凡なのが多いが、メガーヌはまさに民生版アヴァンタイムという感じだ。デザインは絶賛されながら、商業的には厳しい結果となったアヴァンタイムだが(すでに生産中止)、メガーヌは価格や実用面で普通の人でも買えるモデルだ。欧州での販売台数でもゴルフを追い越す勢いという。

ルノー流ユニバーサルデザイン

操作系に採用された「タッチデザイン」は、触感が良い素材を使うことで操作が楽しくなると同時に、触った瞬間に機能が分かるというもの。言わばルノー流ユニバーサルデザインだ。オートエアコンの単純なスイッチなどは、子供でも直感的に操作できそうだ。

シートの座り心地は期待通り。「弾力性の高いフォームを使って」と資料にあるが、ルノーのシートの良さは現代クルマ事情の7不思議の一つだ。座面はちょっと短めだが、運転席は上下調整とランバーサポートが調節できる。前後スライドと背もたれ調節レバーが、揃ってシート前端にあって紛らわしいが、操作性は悪くない。

ステアリングはチルト(上下20mm)とテレスコ(前後25mm)で調整できる。ステアリング右には、ルノー車でおなじみのオーディオ操作レバー「サテライトスイッチ」が生える。完全にブラインドタッチ用のもので、慣れれば便利だろう。販売店オプションのソニー製オーディオにも対応する。

航空機のスロットルレバーのようなサイドブレーキレバーも扱いやすい。それら操作系の触感は、率直に言って樹脂そのもの。モダンでクール、なのに暖かみがあってちょっと安っぽい、というフランス製文具のようなタッチだ。

二重フロア構造を利用して、運転席と助手席の足元の床下には収納スペースがある。普段はフロアマット下に隠れる「秘密の小物入れ」。他にも収納スペースは豊富で、日本のミニバン系に負けない。

カギ穴を(ほぼ)撤廃

アヴァンタイムやラグナと同じカードキーを採用。センターコンソールにある銀行のATMみたいなスロットに差し込み、上の「START/STOP」ボタンでエンジン始動。カードキーの見た目は日産やホンダのカードキーと似ているが、機能は違う。メガーヌのものは所持するだけではドアも開かないし、エンジンも掛からない。ただし、いったんエンジンが掛かると、走行中にスロットからカードキーを抜くことは可能。スルッと抵抗なく抜けるが、元に戻さないとボタンを押してもエンジンが止まらない。

キーレスでドアを開ける前提だから、当然?ドアに鍵穴はない(ラグナやアヴァンタイムも同じ)。デザインのためもあると思うが、もちろんピッキングなどの盗難防止対策だ。そうは言っても、電池切れなどに備えて助手席ドアノブには隠し鍵穴がある。カバーはカードキー内蔵の特殊工具で外す。

後席も手抜きなし

後席は足元こそ狭いが、シートの良さもあって居心地はいい。アームレストにはドリンクホルダー2個とペンホルダー3個が備わる。立派な作りのコンマ「,」型ヘッドレストが3つ、ベルトフォースリミッターとプリテンショナーが両側2席分、後席用エアバッグが計4つ(サイド&カーテンシールド)も備わる。欧州車全般に言えるが、安全性に手抜きはない。

日本ではドイツ車やボルボのイメージが強い衝突安全性だが、ルノーもそれらに負けていない。欧州のユーロNCAPの衝突安全試験で、最初に5つ星を獲得したクルマはルノーのラグナ。2003年10月までに5つ星を獲得したのは12車種で、そのうち5車種がルノー車(ラグナ、ヴェルサティス、メガーヌ、エスパス、セニック)だという。

多少の不便は許す

トランク容量は330Lで、ゴルフ4と同じだ。しかしカサのある荷物は形状からいってやはり苦手だろう。いずれにしても、この後ろ姿のためなら荷物の一つや二つ積めなくても許したいところ。リアシートの折り畳みは、欧州車らしくダブルフォールディング式だ。

基本性能&ドライブフィール

やわらカタい

試乗車は主力の2.0。昔からルノーを知る人は個性が薄まった、と感じるかもしれないが、ドイツ車とも日本車とも違う乗り心地や運転感覚はやっぱり独特。表現は変だが、なんとなく固いゴムまりに乗ってる感じ、と言ったらいいだろうか。ドイツ車なみに剛性は高いはずだが、例えばアウディA3がとにかくソリッドなのと比べて、メガーヌは乗り心地もステアリングを切った感触が“軟らかくて固い”感じなのだ。

安定性と快適性重視

安定性と快適性を重視したルノー車らしく、荒れた路面や段差の強行突破は得意だ。二重フロアのせいかロードノイズは低く、高速巡航も快適。参考までにメーカー発表の最高速は欧州仕様の2.0リッター・4ATで194km/hとある。

いつものワインディングも少し走ってみた。タイヤはミシュランのパイロット・プライマシー(205/55R16)だが、「操縦感覚」はそれほどスポーティではない。ステアリングを戻す時に働く、アクティブリターン機構付き電動パワステは反応がスローで、少しおぼつかない。ビビッドなハンドリングにこだわるなら「ルノースポール」を待った方が良いかもしれない。

駆動系はわりと普通

エンジンはVVT(可変吸気バルブタイミング機構)付きのルノー定番の「F4」ユニット(133ps、19.5kgm)。回転に関係なくシュィーンと回り、特にトルキーでもパワフルでもないが、気になる点もない。回すとちょっとウルサイことぐらいか。スロットルは電子制御化されている。

変速機はマニュアルモード付き「プロアクティブ4AT」。ルノー車らしく相変わらず回転を引っ張り気味にシフトアップ/ダウンするが、これはこれですぐに慣れると思う。本場の生き生きした走りを味うなら、マニュアルが欲しいところだ。

アンダーステア・コントロール・ロジック

全車標準装備のESC(エレクトリック・スタビリティ・コントロール)は、ルノーとボッシュ共同開発の「アンダーステア・コントロール・ロジック(UCL)」を組み込む。クルマの限界が高く、乾いたアスファルトでは意図的な操作をしてもESCの介入はほとんどなかった。

長野県・女神湖で行われたESC体験試乗会では、同型のメガーヌ(ただしスタッドレスタイヤ付き)に氷上で試乗できた。路面ミュー(摩擦係数)が0.1以下という超滑りやすい状況なので、FF車でもわずかなオーバースピードで即アンダーステア、コースアウトしてしまう。会場にあった同クラスのマツダ・アクセラ、VWビートル(この2車のESCは、いずれもコンティネンタル・テーベス製)と比べて、メガーヌはここでも安定性重視に感じられた。

ここがイイ

殉教者?アヴァンタイムの死を無駄にしないデザインは秀逸。カードキーやコの字型のパーキングブレーキレバー(昔のアルファ75が確かこんなカタチだったが、指を挟みやすかった)、タッチデザインのスイッチ類、ステッチの入った革張りっぽいドアパネルなど、インテリアも秀逸。内外装はたいへん商品性が高い。加えて不満のない動力性能、充実した安全装備、便利装備(オートワイパーやオートライト、オーディオのサテライトスイッチなど)も満載。3年6万㎞保証もあるから、フランス車ながら誰にでもお勧めできる。売ってるのも日産系ディーラーが多いから、エンスーでなくても買えるだろう。

4ATは日本車から乗り換えてもほとんど気にならないレベル。中低回転のトルクを引き出すため、日本車よりギアをキープしがちだが(エンブレもよく効く)、気にはならない。課題である60km/h前後のシフトチェンジも今や不満ない。

ここがダメ

「メガーヌよ、おまえもか」という感じのフランス車らしかぬ乗り心地が第一印象。欧州販売台数ナンバーワンになるためには、こうした固さ(しっかり感)が必要なのだろう。307もこんな感じだったし、これがフランス車の生き残る道だろうか。ワインディングでの電動パワステは重さが一定していない感覚があって、時に違和感があった。

日本の純正カーナビとしてはパナソニックのストラーダが用意されているようだが、インパネ形状的にナビ装着は意識されていないように思われる。ドライビングコンピューター用の窓がセンターコンソール中央最上段にあるので、本国ではここに簡易ナビをつけるのかもしれない。日本的にはちょっと悩ましいインパネ形状だ。

総合評価

フランスの(というか欧州の)カローラなのにアバンギャルドなのは、フランス人の面目躍如。カタチもそしてスマートキーも、カローラではなかなかチャレンジできない斬新さだ。こうしたアバンギャルドさは、昔はシトロエンの得意技だったが、今となってはルノーが一番であり、その意味で典型的フランス車だと思う。ただし乗り心地は欧州全体の受けを考えたのか、かなりドイツ車風だ。でもこれ、1万㎞も走ると印象が変わるかもしれない。15年前のシトロエンBXですらが、8000㎞あたりで乗り心地が激変したのだから(もちろん柔らかく)。まったりした乗り心地を楽しむなら、中古車になってから買うのも手かも。修理リスクもかつてほどではないだろうから。

デザイン優先のため、パッケージングは効率主義ではなく、リアの空間は広くない。しかしファーストカー的に使われる欧州ならいざ知らず、日本ではオシャレカーとして売れると思われるため、デメリットにならないだろう。「広いクルマが欲しいなら他車にしたら」という思い切りは支持したいところだ。

メガーヌは「クルマが売れるのは魅力あるデザインのため」という大原則を忠実に表現するクルマだ。現代のクルマである以上、基本性能はしっかり作り込まれているわけで、こうなるとクルマごとに大きな差は出ず、室内の広さも大差ない。つまり売れるためには内外のデザインが勝負の分かれ目であり、それを大衆車でも体現したのがメガーヌだ。これって基本的に日産のゴーン路線と同じ。ルノーグループは一本筋が通っている。今後侮れない存在になっていくだろう。

とはいうものの、一連のデザインの代表車であったアヴァンタイムはすでに生産中止。デザイン勝負は一発外すととんでもないことになりかねず、そこが運命の分かれ道だ。日産は今のところ三勝一敗ってところか。ではメガーヌは日本で勝ち抜けるか。数を売るクルマとしては厳しいが、販売の絶対数が少ない輸入車としてなら、個性が評価されるだろうから逆に有利なはず。正直、307より欲しいと思う人は多いだろう。では、まもなく登場する新型ゴルフより欲しいと思う人は? これが意外に多いかもしれない。インポーターがテレビCMを盛んに流しているのも立派。どんどん露出すれば、ゴルフの市場を喰ってかなり売れると思う。健闘を祈りたい。

試乗車スペック
ルノー メガーヌ 2.0
(2.0リッター・4AT・253万円)

●形式:GH-MF4●全長4215mm×全幅1775mm×全高1460mm●ホイールベース:2625mm●車重(車検証記載値):1330kg(F:840+R:490)●エンジン型式:F4●1998cc・DOHC・4バルブ直列4気筒・横置●133ps(98kW)/5500rpm、19.5kgm (191Nm)/3750rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/60L●10・15モード燃費:11.8km/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:205/55R16(MICHELIN Pirot PRIMACY)●価格:253万円(試乗車:253万円 ※オプション:ー)●試乗距離:約100km


公式サイトhttp://www.renault.jp/

 
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