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ルノー メガーヌ ルノースポール新車試乗記(第674回)

Renault Megane Renault Sport

(2.0リッター直4ターボ・6MT・385万円)

「いいクルマ」とは何か?
その答がここにある。

2012年10月26日

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キャラクター&開発コンセプト

メガーヌ3の高性能モデル。マイナーチェンジで265psに出力アップ


新型ルノー メガーヌ R.S.(マイナーチェンジ版)
車両協力:ルノー名古屋東(株式会社ガレージ新和)

「メガーヌ ルノースポール(以下メガーヌ RS)」は、ルノーのCセグメント車であるメガーヌの高性能モデル。現行モデルは3代目メガーヌの3ドアクーペがベースで、RSに関しては欧州で2009年にデビュー。日本では2011年2月10日に発売された。

今回試乗したのは、2012年7月12日に発売されたマイナーチェンジモデル。その2リッター直4ターボエンジンは若干の改良が施され、最高出力は従来の250ps(184kW)から265ps(195kW)に、最大トルクは34.7kgm(340Nm)から36.7kgm(360Nm)に向上。またLEDポジショニングランプが追加されたほか、ヘッドランプのデザイン、内装の一部、ボディカラー設定の一部も変更され、日本仕様のハンドル位置は従来の左から右に変更されている。

ニュルで量産FF車最速の8分7秒97を記録

新型メガーヌ RS、正確に言えば、その限定バージョンであるメガーヌ RS トロフィーは、2011年6月17日に独ニュルブルクリンク北コース(全長20.832km)でタイムアタックを行ない、量産FF車では最速の8分7秒97を記録。このタイムは、例えば日産 スカイラインGT-RのR32型(8分20秒)とR33型(7分59秒)のちょうど中間に当たり、2リッターエンジンのFF車としては驚異的なもの。ちなみに日本車での最速記録は、レクサス LFA ニュルブルクリンク・パッケージの7分14秒64(2011年)。

価格帯&グレード展開

全車3ドアの6MTで、標準車は385万円


マイナーチェンジ後のボディーカラーは、ノワール エトワール M(黒)、ブラン ナクレM(白)、グリ カシオペ M(グレー)、そして写真のジョン シリウス Mの全4色

現行メガーヌ RSは3ドアの6MTのみ。ハンドル位置は前述の通り、今回から左ではなく、右になっている。足回りに関しては、本国には快適性に配慮した「シャシースポール」もあるが、日本仕様は全てスポーツ走行を重視した「シャシーカップ」になる。

価格はマイナーチェンジ前と同じ385万円。この状態でディレクショナル・バイキセノンヘッドランプ、人工レザー&ファブリックコンビのレカロ製バケットシート、イエローシートベルト、出力特性の変更や各種情報表示が可能な「R.S. モニター」、LSD(リミテッド・スリップ・デフ)、2ゾーンオートエアコン、6エアバッグを装備する。

メーカーオプションは、特別色の「ジョン シリウスM」が15万円。赤いラインが入った19インチアロイホイールが18万円。ボディに赤いラインが入る「R.S.レッドパック」が5万円。19インチアロイホイール、レザーレカロシート、内装カーボンパーツ、固定式サンルーフ等をセットにした「R.S.パック リュクス」が64万円。

オプションの19インチタイヤでニュルアタック仕様に


こちらはオプションの「R.S.レッドパック」+19インチアロイホイール仕様
(photo:ルノー・ジャポン)

また、今回のマイナーチェンジでは、特別仕様車として「メガーヌ ルノースポール トロフィー」(408万円)も30台限定で用意された(すでに完売)。これはニュルで走った車両と基本的には同じ仕様で、19インチアロイホイールと専用開発のブリヂストン・ポテンザ RE050A、専用ステッカー、シリアルプレートが装着されている。当初は世界限定500台だったが、すぐに完売。さらに500台が追加生産され、日本向けの30台はその追加分に当たる。ただし、標準車でも19インチホイールとタイヤをオプション装着すれば、性能スペック的にはトロフィーと同じ仕様になる。

なお、トロフィーのような特殊な車両は、ルノー正規販売店の中から選ばれた「ルノースポール スペシャリストディーラー」のみで取り扱う。日本には東京都内の5店鋪を含めて、全17店鋪(2012年10月現在)。

パッケージング&スタイル

伝統のフレンチロケットにF1テイストをプラス


マイナーチェンジでLEDのポジショニングランプが追加された

新型メガーヌ RSのボディ形式は3ドアクーペということになるが、スタイリング自体はスーパースポーツ風にエキゾチック。張り出したフェンダーによってボディ幅は1850mmもあり、結果としてかなりロー&ワイドに見える。また前後バンパー、サイドスカート、リアスポイラーといったエアロパーツは、後付け感がまったくなく、ボディと完全に一体になって、全体に専用ボディのようなまとまりがある。

 

試乗車のホイール&タイヤは標準の18インチ(235/40ZR18)。オプションでトロフィーと同じ19インチ(235/35ZR19)も装着可能

同時に定番のスポーツカーデザインではなく、いかにもフランス車らしく個性的で、未来的で、マニアックな雰囲気があるのもいい。スタイリングに関しては、先代メガーヌRSよりも、先々代(初代)メガーヌの高性能モデルであるクーペ 16V、特にWRCの“キットカー”クラスで活躍した「メガーヌ マキシ」風でもあるが、全体の車格や質感の高さ、そしてはファストバック風のサイドシルエットは、かつてルノーの旗艦スポーツだったアルピーヌ V6ターボ(1985-91年)の系譜もちょっと感じさせる。

 

真横から見ると、スタイリング、室内空間、空力を両立したルーフラインの妙がよく分かる

一方、ルノーは長年にわたってF1への参戦もしくはエンジン供給を行なっており(今シーズンもレッドブルなど有力チームにエンジンを供給)、メガーヌ RSでもF1タイプのエアインテークブレードをフロントに配置するなど、F1直系テクノロジーをアピール。リアにはディフューザー形状のバンパーやRS専用のリアスポイラーを装備する。このままでニュルブルクリンクにアタックするのだから当然だが、全体から細部までホンモノ感が強い。

 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転半径(m)
先代ルノー メガーヌ RS 4235 1775 1450 2625
VW シロッコ R 4255 1820 1420 2575 5.1
トヨタ オーリス RS 4275 1760 1460~1480 2600 5.4
ルノー メガーヌ RS 4320 1850 1435 2640
ルノー アルピーヌ V6ターボ 4330 1754 1197 2339
アルファロメオ ジュリエッタ 4350 1800 1460 2635 5.5
マツダ アクセラ スポーツ 4460 1755 1465~1505 2640 5.1
 

インテリア&ラゲッジスペース

レカロ製バケットシートを標準装備


ダッシュボード中央の「R.S.モニター」は標準装備。レザーステアリングホイールには、黄色のセンターポイントステッチが入る

インテリアで最初に目を引くのが、標準装備のレカロ製バケットシート。ダイアル式リクライナー、ラチェット式シートリフター、後席アクセス用のワンタッチ前倒し機能を備え、さらにサイドエアバッグを内蔵しながら、デザインは同社製のフルバケットシートを思わせる本格的なもの。乗降性もまったく問題なく、その割にサポート性も申し分なし。さすがニュル仕様。おまけにこのシート、座り心地がかなりいい。ロングドライブにも十分耐えられそう。

要の部分に手抜きなし


ラチェット式のシートリフターに加えて、調整幅がやたら広いチルト&テレスコを装備。ポジションは望外に調整しやすい

インテリア全体の雰囲気も、スポーツカーらしいもの。パッケージングはクーペそのもので、着座位置は低く、タイト感も適度。完全にスポーツカーとして企画・設計されたことが分かる。また右ハンドルではあるが、ドリルド加工されたアルミ製ペダルのレイアウトも自然。つまりドライビングの要である運転操作のインターフェイス部分に手抜きが一切ない。

 

「R.S.モニター」は、0-100km/hおよび0-400m加速タイム、ラップタイム、Gセンサー、スロットル開度、ブレーキ圧、オイル温度、吸気温度などの各種情報を表示

速度計は290km/hまで。右側の情報パネルには燃費などを表示
 

カードキーはセンターコンソールに指す。スマートキー機能は電波法の関係で日本では省略

メガーヌRSの場合、オーディオ操作用のサテライトスイッチは、R.S.モニターの操作スイッチを兼用
 

リバースはリングを引いて左奥。素早い操作をするにはコツが要るが、タッチは悪くない

ドリルドアルミ製ペダルおよびフットレストを標準装備
 

その気になれば5人乗車も可


後席は最近のクーペモデルでは珍しい3人掛け。中央席もちゃんと実用になる

後席の居住性は厳しいかな、と思いきや、意外に実用的。レカロ製バケットシートはワンタッチで前に倒れ、思った以上に乗り降りしやすい。中に座ると、多少の圧迫感があり、横方向の視界も限られるが、特に窮屈な部分はなく、また前方視界もバケットシートに設けられた大きなスリットが効果的で悪くない。着座姿勢も適切で、Bセグ・コンパクトカー並みの快適性が得られる。家族がいる場合には、大きなプラス要素。

荷室は開口部こそ広くはないが、容量は344リッターと十分。しかも後席はフランス車らしく、ダブルフォールディング(座面を跳ね上げてから背もたれを倒す)で畳めて、効率良くスペースを拡大できる。2ドアゆえ、背もたれを跳ね上げる作業は少々面倒だが、ヘッドレストは付けたまでいいし、力も要らないので、苦にはならないと思う。

 

荷室容量は344リッターでゴルフあたりと大差なし。後席はダブルフォールディングで畳む

ドア開口部が大きいため、乗降性は意外に良好。ただし狭いところではドアの大きさに気を使う
 

床下には33リッターの収納空間とパンク修理キットがある。スペアタイヤも積める
 

基本性能&ドライブフィール

スポーツモード&エクストリームで本領発揮

試乗したのは今夏からデリバリーが始まったマイナーチェンジモデル。レカロ製バケットシートに体を滑り込ませ、カードキーをセンターコンソールに挿入し、エンジン始動ボタンを押せば、「ボボボボボ」とチューンドターボエンジンらしい不敵なサウンドが響き始める。シートのホールド感、ステアリングやペダルのタッチが、いかにも高性能車っぽく、このあたりで早くも「このクルマ、手強いかも」感が伝わってくる。

 

名機「F4R」エンジンは後方排気。無段階可変吸気バルブタイミング機構(排気側はなし)、最新のツインスクロール式ターボ、冷却性に優れたナトリウム封入バルブを採用する

メガーヌ RSが搭載する「F」系エンジンの基本設計は古く、シリンダーブロックは頑丈な鋳鉄製。ゆえにポテンシャルは高く、特に2リッターDOHCの「F4R」に進化した後は、ルノーを代表する高性能エンジンとして長年君臨してきた。

特にメガーヌRS用のターボエンジン「F4Rt」は直噴ではないが、ツインスクロール式ターボを採用するなど最新技術が盛り込まれたもの。また冒頭で触れたように、今回のマイナーチェンジで吸排気系やエンジンマネイジメントが変更され、最高出力は従来モデルより15ps増の265ps、最大トルクは2.0kgm増の36.7kgmに向上している。

とりあえずクラッチをつないでスタート。ノーマルモードの場合、低回転トルクは極太とは言えないが、特に細くもなく、発進はまずまずイージー。クラッチペダルからステアリングまで、操作系の重みは適度に統一されていて、そこにまず感心する。

 

運転席ダッシュ右下のスイッチを押すとESPスポーツモード、長押しでESPオフ

とはいえ、メガーヌ RSの本領を味わうなら、さっさとスポーツモードを選びたいところ。運転席ダッシュボード右下のESPオフスイッチを押して、まずはESPスポーツモードを選択(長押しでESPオフモードになる)。するとアイドリング回転数がオートバイ並の1200回転くらいまで上がり、アイドリング音が「ボボボボ」から「ボーーーー」となって、いかにも臨戦態勢に。この時に初めて、最高出力がノーマルモードの250psから265psに引き上げられる。

またブリッピングやアクセルオフした時の音も、大人しかったノーマルモードと違って、「ボボンボンボン!」と派手なアフターバーンを交えたものに変化。アバルト 500やMINI JCW以上では?と思えるほどサウンドは勇ましい(ただし車外では、それほどうるさくない)。

 

「R.S.モニター」のアクセルペダルマッピング選択画面。写真は過激な方から2番目のスポーツ

さらにサテライトスイッチを操作して(サテライトスイッチ上部の2つのボタンを同時に押す)、「R.S.モニター」を起動。するとサテライトスイッチのジョグダイアルで、お好みの出力特性(ルノー言うところのアクセルペダルマッピング)を5段階で調整できるようになる。これはピークパワーは同じだが、そこに至る過渡特性が変更できるもので、最も穏やかなスノーから、プログレッシブ、リニア、スポーツ、そして最も過激なエクストリームまである。ただ、最後のエクストリームでも決して乗りにくくはなく、むしろ低回転からしっかりレスポンスしてくれるので、街乗りでは乗りやすい。このエクストリームに慣れてしまうと、他のモードはレスポンスが鈍く、かったるく思えてしまう。

 

そうやって戦闘モードとなったメガーヌ RSは期待通り、刺激的に速い。1速もしくは2速でアクセルを踏み込めば、即座にダッシュを開始。ターボラグはまったくない。またステアリングを切っていなければ、ホイールスピンはなく、トルクステアもほぼ皆無だから、割と平気でアクセルを開けていける。スタート直後を除けば、ひょっとすると国産ターボ4WDに勝てるかも、と思えるくらい抜群のトラクションを発揮する。

また、単に速いだけじゃなく、思いのままにパワーを引き出せるのも気持ちいい。加えて直4ターボとは思えない、高回転まで回した時のクァーーンと澄んだ音も、気分を高揚させる。

ちなみにパワーウエイトレシオは5.4kg/ps。0-100km/h加速6.0秒(マイチェン前より0.1秒短縮)というタイムは、現行ボクスター/ケイマンの標準モデル(2.7リッター・6MT)の5.8秒に迫る。0-1000m加速は25.4秒、最高速度は254km/hとのこと。

操縦性から乗り心地まで、シャシー関係も素晴らしい

そんな動力性能を躊躇なく引き出せるのは、シャシーがこれまた素晴らしく良いから。日本仕様の「カップシャシー」は、さぞや低速域でビシバシかと思いきや、まったくそんなことはなく、ほとんどハーシュネスやピッチングとは無縁。舗装が荒れていても、路面がうねっていても、いかにもフランス車らしく、しなやかに走り抜ける。話によれば、ニュルブルクリンクを走った車両と市販のメガーヌ RS(標準車)との違いは、19インチのタイヤ&ホイール(オプションで装着可能)、そして足回りのジオメトリーだけとのこと。そう言われても、にわかに信じられないほど、快適性はまったく問題なく、操縦性にシビアなところもない。またハイスピード域の安定性を重視した結果、日常域での操縦性が緩慢になった、という印象もない。

 

フロントにはブレンボ製モノブロックキャリパーを装備。標準車のタイヤはミシュラン パイロットスポーツになる

もちろん一般道では、ポテンシャルの3分の1も味わえた気がしないが、それでも操縦性に関してはヒシヒシと伝わってくるものがあって、量産FF車でここまで仕上げられるのか、とつくづく感心してしまう。ちなみにフロントサスペンションは、ルノースポール専用の「ダブルアクスル ストラット サスペンション」で、カップシャシー用のLSD(リミテッド・スリップ・デフ)もいい感じで効いてくれる。おかげでクルマが確実に前に進み、それがまた気持ちいい。多分、このRSから他の高性能FF車に乗り換えると、トラクション不足がけっこう気になるのでは。また、並みのクルマなら緊張してしまう高速コーナーでも、メガーヌRSなら、まるで4WDモデルのような安心感で走ることができる。

なお、ブレーキもコントローラブルかつ強力。赤いブレーキキャリパーは、フロントがブレンボ製の対向4ポッドモノブロック(リアはTRW製のモノピストン)。また前後ブレーキディスクもスリット入りのブレンボ製で、フロントは径340mm×厚さ28mmのベンチレーテッド、リアは径290mm×厚さ11mm。ブレーキパッドは、フェロード製のセミレーシングタイプとのこと。標準の18インチタイヤはミシュランのパイロットスポーツで、グリップに全く不満はないが、ニュル仕様の19インチがブリヂストンのポテンザ RE050Aになるところがちょっと意味深。

高速道路でも快適。試乗燃費は主にスポーツモードで7.7km/L


フューエルリッドは、最近のフランス車に多いキャップレスタイプ。燃料タンク容量は60リッターで、指定燃料はもちろんハイオク

100km/h巡航でのエンジン回転数は、約2300回転(タコメーターの数字が読み取りにくく、参考値)。この状態では過給はほとんど掛からず、燃費はかなり良さそう。じっくり巡航燃費をチェックすることは出来なかったが、法定速度の範囲内なら10km/L台は確実にキープできそうに思えた。静粛性も高く、GTカーとしても十分通用する。ただし、速度の出し過ぎには要注意。心配な時は、標準装備のスピードリミッターを活用されたい。

今回はトータルで約160kmを試乗。参考までに試乗燃費は主にスポーツモードで、いつものように一般道、高速道路、ワインディングを、走った区間(約90km)が約7.7km/L(オンボード表示で約13.0L/100km)だった。ノーマルモードで大人しく走ればもっといいはずだが、一人で乗っているとついついスポーツモードに入れたくなるクルマではある。

 

ここがイイ

エンジン、操作系のタッチ、シート、デザイン、実用性の高さ

パワー、トルク、扱いやすさ、サウンドなど、文句なしのターボエンジン。出力特性やESPのプログラムを切り替えられるところも、今風で楽しい。加えてステアリング、ペダル、シフトなど操作系のタッチも素晴らしいし、物々しいレカロ製バケットシートは体格を選ばずドライビングポジションが決まり、座り心地もいい。

何よりデザインがいい。いかにもフランス製スポーツカーらしく個性的で、ここに来てドイツ製スポーツカーに食傷気味の目には新鮮。それでいて、その気になれば大人4人、家族4人で乗れる実用性があるところも、販売好調の要因では。385万円は安い、と思える。

ここがダメ

メーター視認性。カードキーの一部機能が省かれること

回転計が見にくい。全域トルクフルなエンジンゆえ、あんまりパワーバンドを意識する必要はないし、レッドゾーン手前(4000~6000回転の間で50回転刻み)で、「ピー」とアラームを鳴らすことも出来るが、回転計がもっと見やすいに越したことはない。またメーターパネル中央には290km/hまで刻まれた速度計が陣取るが、これも見にくく、いっそデジタル表示にして、代わりに回転計を中央に持ってきた方がいいと思う。

 

これはGセンサーを表示したところ

またR.S.モニターは、カラー液晶にして欲しかったところ。文字も小さくて見にくく、また日産GT-R(R35型)のようにデータをダウンロードすることも出来ないようなので、情報表示に関してはギミックの域を出ない。スイッチの使い勝手も良くない。どうせやるなら、もうちょっとしっかりしたものがほしいところ。

本国仕様にはルノーで定番のカードキーに、スマートキー機能が搭載されるが、日本仕様では電波法の関係で省かれてしまう。また、カードキーの裏面にあるドアの施解錠ボタンも、日本仕様では相変わらず使えない。代わりに別体のリモコンキーが付属するが、これだとせっかくの「カード型」キーの意味がないような。

総合評価

クルマ好きの心にビンビン響く

昨年日本で発売された現行メガーヌの5ドアは、先代のスタイリングが個性的だっただけに、今回はその点で凡庸に思え、また変速機がCVTだったこともあって、なんとなく試乗をスルーしてしまっている。ところがメガーヌもRSとなると、これがメガーヌ? というくらい、とにかく素晴らしくカッコいい。オーバーフェンダーが目を引くワイドで塊感のあるスタイリング。流麗なクーペフォルムからは、クルマとしての伝統的なカッコ良さが滲みででいる。

室内も専用のレカロシート、ステアリング、シフトノブに施された黄色のステッチが美しく、これまたある意味、伝統的なカッコよさ。シートベルトまで黄色なのに嫌味がないのは、さすがフランス車、といったところか。ダッシュボードのソフトパッド素材も質感が高く、インテリアに不満は少ない(ただ欧州車の常としてナビ位置問題はあるが)。内外装のトータルデザインは、クルマ好きの心にビンビンと響いてくる。いいなあ、これ、と思って価格を見ると、なんと驚きの385万円。これだけ作り込まれたクルマとしては、かなりのお買得価格ではないか。

 

走らせてみると、これがまたルックスに負けない見事なもの。本文で書いた通り、走りは本当に文句がない。ターボラグのない265psのパワーが無駄なく路面に伝わって、その力強さが、今度はドライバーにストレートに伝わってくる。相当に強力ながら、過剰ではないパワー感は、クルマを操る歓びを見事に演出している。レカロシートは本格的なサポート性を持ちながら、乗り降りしやすく、乗り心地ががいい。小柄な人でもポジションがきちんと取れるし、ペダル配置が良くてヒール&トゥがしやすく、そのポジションでシフトレバーがいい位置に来る。右ハンドルになったのに全く問題ないポジションがとれるのは素晴らしいこと。シフトストロークはもうちょっと短いといいが、それは贅沢かも。

敵は中国ではなく欧州

しかし昔だったら、FFで265psなんて、相当に扱いにくかったものだが、ほぼニュルで最速を出せる仕様のまま、それでいてものすごく扱いやすいのは、本当にたいしたもの。しかもこんなハイパワーなのに手の内で転がせる感があり。感覚的には昔の180psくらい。さらにトルクたっぷりで、街乗りではマメにシフトしなくても大丈夫だし、クラッチも重くないから、MTでもそうは苦にならない。また、その気になれば5人乗れるし、荷物も載せられる。乗り心地も全く悪くはないと、まあ、素晴らしく高次元でまとまったクルマだ。これだけの走りでえ、乗り心地が損なわれていないというあたりが、「今のクルマ」らしいところだろう。

 

あまり欧州車びいきばかりしたくないのだけれど、客観的に見て、昨今はどうにも欧州車に分があるように思える。普通のハッチバック車をベースに、ここまでのものを作られてしまうと、日本車との差がどうにも開いてきてしまったと認めざるを得ない。日本では、売れないから作れない、作らないから売れないという負の連鎖が長く続いてしまっている。ルノーからは新型クリオ RS(1.6ターボで200ps、変速機は6速DCTだそうだ)が登場したパリショーの情報を見ても、日本車はハイブリッド系やSUVばかり。86やオーリスに、このクルマのようなエンジンが載ったら、とも思うし、それなら国内で300万円未満で出せるはず。毎回言っているような気がするが、家電の轍を踏んで欲しくない。日本にとって敵は中国などではなく欧州なのでは、と思うのだが。

 

試乗車スペック
ルノー メガーヌ ルノースポール
(2.0リッター直4ターボ・6MT・385万円)

●初年度登録:2012年8月●形式:ABA-DZF4R ●全長4320mm×全幅1850mm×全高1435mm ●ホイールベース:2640mm ●最小回転半径:-m ●車重(車検証記載値):1430kg(910+520) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:F4R ●排気量・エンジン種類:1998cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・ターボ・横置 ●ボア×ストローク:82.7×93.0mm ●圧縮比:8.6 ●最高出力:195kW(265ps)/5500rpm ●最大トルク:360Nm (36.7kgm)/3000rpm ●カム駆動:タイミングベルト ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/60L ●10・15モード燃費:-km/L ●JC08モード燃費:-km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット(ピボット独立式)+コイル/後 トレーリングアーム+コイル ●タイヤ:235/40ZR18(Michelin Pilot Sport) ●試乗車価格(概算):403万6330円  ※オプション:スペシャルペイント(ジョンシリウス M) 15万円、フロアマット 3万3600円、リアクォータートリコロールエンブレム 2730円 ●ボディカラー:ジョンシリウス M ●試乗距離:160km ●試乗日:2012年10月 ●車両協力:ルノー名古屋東(株式会社ガレージ新和)

 
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