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メルセデス・ベンツ C180 アバンギャルド新車試乗記(第745回)

Mercedes-Benz C180 Avantgarde

(1.6L 直4ターボ・7AT・467万円)

アジリティ&インテリジェンス!
機敏さと知性を備えた新型Cは
“史上最高”だったか?

2014年10月31日

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キャラクター&開発コンセプト

約50%がアルミ製の軽量高剛性ハイブリッドボディを採用


新型Cクラス セダン
(photo:メルセデス・ベンツ日本)

7年ぶりにフルモデルチェンジし、ドイツ本国では2013年12月に発表、日本では2014年7月11日に発売された新型Cクラス(W205型)。Cクラスとしては4代目であり、前身の「190」(1982年~1993年、W201型)を含めば5代目。その5世代で世界で累計1000万台以上を販売した最小FRメルセデスの最新型だ。

新型の開発コンセプトは「アジリティ&インテリジェンス」。それを実現するために「素材選びから設計、製造工程に至るまであらゆる部分にメルセデスが誇る最先端技術を投入した」としている。

具体的にはボディシェルのアルミニウム使用率を約50%まで高めた軽量高剛性アルミニウムハイブリッドボディを採用。ボディの大型化にも関わらず、ホワイトボディ自体は先代より約70kg軽量化された。また、同ボディの製造工程では、アルミニウムとスチールのコンポーネントを重ね合わせ、そこに高速でリベットを貫通させて接合する「ImpAcTインパクト(Impulse Accelerated Tacking)」接合方式を世界で初めて量産車に採用している。

また、ボディの軽量化に併せて、小排気量ターボによるエンジンのダウンサイジング化を推進。JC08モード燃費を先代比で最大30%以上アップするなど(C180 アバンギャルド同士の比較)、燃費性能も向上させている。

ミリ波レーダーやステレオカメラで「部分自動運転」を実現


新型Cクラス ステーションワゴン
(photo:メルセデス・ベンツ日本)

インテリジェンスに関しては、快適性が安全性に寄与するという思想に基づき、ミリ波レーダーセンサーとステレオカメラによって「部分自動運転」を実現するなど、「インテリジェントドライブ」と総称される先進安全技術を採用。具体的には「ディストロニック・プラス(ステアリングアシスト付)」、「BASプラス(飛び出し検知機能付ブレーキアシスト・プラス)」、「リアCPA(被害軽減ブレーキ付後方衝突警告システム)」、「アクティブレーンキーピングアシスト」などの先進安全装備を採用した。

なお、2014-2015年の日本カー・オブ・ザ・イヤーでは1位マツダ デミオ(423点)と僅差の2位(404点)だったが、輸入車では1位となり、先代や先代後期型に続いて「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。

2014年10月1日には新型Cクラスのステーションワゴン(S205型)が日本でも発表され、受注受付が始まった。こちらは6年ぶりのフルモデルチェンジになる。ワゴンの納車は2014年11月末から始まる予定。

■過去の新車試乗記
メルセデス・ベンツ C200 CGI BlueEFFICIENCY (2010年2月掲載)
メルセデス・ベンツ C200 コンプレッサー (2007年8月掲載)

 

価格帯&グレード展開

セダンは419万円~、ワゴンは442万円~


今回試乗したのはセダンのC180 アバンギャルド AMGライン

欧州には1.6リッター直4ディーゼルターボや2.2リッター直4ディーゼルターボ、同ディーゼルターボのハイブリッド車(C300 BlueTEC Hybrid)もあるが、日本仕様はひとまずガソリンの4気筒直噴ターボ車のみ。セダンとワゴン両方に、1.6リッターの「180」(156ps、25.5kgm)、そして2リッターの「C200」(184ps、30.6kgm)と「C250」(211ps、35.7kgm)がある。

また、例のごとく内外装等の意匠や装備違いで、標準車、アバンギャルド、スポーツの3種類を用意。アバンギャルドにはさらにAMGスタイリングパッケージ、18インチホイール、レザーシート等などのセットオプション「AMGライン」(35万円)を用意している。

先進安全装備をひとまとめにしたレーダーセーフティパッケージは、C180と同アバンギャルドにオプション(19万5400円)で、C200アバンギャルド以上に標準装備。クラス初採用のエアサスペンション(装備名はAIRMATICアジリティパッケージ)は、C200 アバンギャルドにオプション設定(AMGラインに含まれる)、C250スポーツに標準装備される。

 

【セダン】
■C180          1.6L 直4ターボ  419万円
■C180 アバンギャルド  1.6L 直4ターボ  467万円
■C200 アバンギャルド  2.0L 直4ターボ  524万円
■C250 スポーツ     2.0L 直4ターボ  644万円

【ステーションワゴン】
■C180          1.6L 直4ターボ  442万円
■C180 アバンギャルド  1.6L 直4ターボ  528万円
■C180 スポーツ     1.6L 直4ターボ  573万円
■C200 アバンギャルド  2.0L 直4ターボ  559万円
■C200 スポーツ     2.0L 直4ターボ  604万円
■C250 スポーツ     2.0L 直4ターボ  724万円

 

パッケージング&スタイル

全幅は1810mmに。ただし小回り性能は不変

スタイリングは新型Sクラスをそのままスケールダウンしたような感じ。Aクラス派生の4ドアセダンであるCLAにも似ているが、Cクラスの方が明確にロングノーズで、リアウインドウの角度も立っているなど、セダンらしいカタチになっている。

ボディサイズは、Dセグメントで最もコンパクトだった先代から一気に拡大。全長で95mm、全幅で40mm、ホイールベースで80mm大きくなり、全長4690mm(AMGラインは4715mm)×全幅1810mm×全高1435mm、ホイールベース2840mmとクラス最大級に成長した。

 

Cクラスよ、お前もか、という感じだが、今やFFベースのAクラスに4ドアセダン(CLA)やクロスオーバー(GLA)まである状況を見ると、Cクラスが上級移行するのは仕方ないところ。ちなみにCLAのボディサイズは新型Cクラスより全長で50mm、全幅で30mm、全高で5mm、WBで140mm小さく、すなわち先代Cクラスに近い。

 

一方、相変わらず素晴らしいのは、最小回転半径がわずか5.1mしかないこと。これはCセグメントのコンパクトカー並みで、ちなみにCLAも同値だ。他のメルセデスFR車と同様、縦列駐車ではフロントノーズが真横に動くような感覚が味わえる。

なお、試乗車はアバンギャルド AMGライン仕様で、AMGスタイリングパッケージ(前スポイラー、サイド&リアスカート)、18インチAMG 5スポークアルミホイール、Mercedes-Benzロゴ付ブレーキキャリパー等を装備。ボディカラーはメタリックのオプシディアンブラック。

 

インテリア&ラゲッジスペース

質感大幅アップ。IT装備も充実


アバンギャルド AMGライン仕様は、レザーARTICO AMGスポーツシート、AMGスポーツステアリング、レザーARTICOダッシュボード、ブラックアッシュウッドインテリアトリム、アナログ時計などを装備する

インパネデザインも新型Sクラスと同じ方向。ステアリングホイールはぐっと小さくなり、質感は大幅にアップした。また、シフトレバーはようやくSクラスやEクラス等と同じ電子制御コラムレバーの「ダイレクトセレクト」になり、AクラスやBクラスにも追いついた。ただ、従来Cクラスとは操作性やスイッチの場所がかなり異なるので、旧いメルセデスのオーナーはしばらく戸惑うかも。

 

Cクラスにもようやく採用されたダイレクト セレクト。ドアを開ければ必ずPに入るので、無人でクルマが動き出すことはない

コマンドシステムは、高精細の8.4インチワイドディスプレイや80GB HDDナビを採用し、高い視認性や操作レスポンスを確保。操作性はやや難解だが、スマホを使いこなすような人ならストレスを感じないで済むと思う。

室内空間、特に後席は広くなった。気になるのは後席の乗降時に頭がルーフに少し当たること、そして3名乗車は厳しいことくらいか。

 

新世代のコマンドシステムは全車標準。マウス形状の上面はタッチパッドになっている

コマンドシステムのメインメニュー(フェイバリット)を表示した状態。走行中でもかなりのことが操作できる
 

乗降時に頭がひっかかるが、2名乗車なら頭から足もとまで広さは十分。背もたれ角度も自然

ステアリング位置は電動で調整できる(C180標準車を除く)
 

荷室容量は445L。背もたれは3分割可倒式(40:20:40)で、トランク側のレバーで倒せる

床下には折畳式収納ボックスとファーストエイドキットを装備。タイヤは全車ランフラットで、スペアや修理キットはない
 

基本性能&ドライブフィール

第一印象は「軽い」


C180の1.6リッター直4ターボ。ボア×ストローク:83.0×73.7mmのショートストローク型で、圧縮比は10.3。最高出力:115kW(156ps)/5300rpm、最大トルク:250Nm (25.5kgm)/1200-4000rpm

試乗したのは売れ線モデルの一つ、C180 アバンギャルド (467万円)にAMGライン(35万円)を装着したもの。エンジンは1.8リッター、ではなく、A/Bクラスでお馴染みの1.6リッター直4・直噴ターボの縦置きバージョン。先代C180の1.8ターボと同じ156psと250Nmを発揮し、しかも最大トルクの発生回転数は先代C180の1600~4200rpmから1200-4000rpmに下がっている。先代C180の1.8リッターもダウンサイジングターボだったが、今回はさらに200cc小さくなったわけだ。

走りだしの第一印象は「軽い」。現行のA180やB180は出足で少しもたつく印象があったが、C180では全くそんな気配はなく、1速、2速と軽快に加速してくれる。さすがアルミニウムハイブリッドボディと思ったりもするが、装備満載の試乗車(というか日本仕様)の場合、車重は1540kgと先代と大差ないレベルなので、これはパワートレインやシャシーなどの相乗効果だろう。

トランスミッションは、A/Bクラスだと7速DCT(7G-DCT)だが、新型Cクラスは従来通り7Gトロニックこと7速トルコンAT。出足はトルコンATらしくスムーズで、変速スピードはDCTに見劣りしないレベルになっている。A/BクラスのDCTは、トルコンATっぽく滑らかに変速するタイプだから、結果的にシフト感覚は双方歩み寄って、よく似た感じになっている。

 

アジリティ セレクトの「インディビジュアル」設定画面

C180の場合、パワーウエイトレシオは約10kg/psなので、絶対的に速くはないが、先代や先々代の直4スーパーチャージャー“コンプレッサー”と比べれば、俊敏に加速する。まぁこれで物足りない人は、2リッターターボのC200(184ps、300Nm)とか、C250(211ps、350Nm)を選べばいい、ということか。これら3種類ある4気筒ターボエンジンは、電子制御できっちり20kW(27~28ps)と50Nm(5.1kgm)ずつ差別化されている。

また、新型Cクラスでは、センターコンソールの「アジリティ セレクト」スイッチで、走行モードの選択ができる。大人しい方から「エコ」「コンフォート」「スポーツ」「スポーツ+」で、さらに「インディビジュアル」では、アクセルレスポンス、シフトプログラム、ステアリング特性、サスペンション特性(エアサスのAIRMATICアジリティパッケージ装着車のみ)を別々に設定可能。エコでも十分に走るが、普段はコンフォートあたりを選んで、必要に応じてパドルシフトを使うのが走りやすい。

足回りいろいろだが、今回は「スポーツサスペンション」仕様

ハンドリングや乗り心地については、サスペンションの仕様が新型Cクラスには大きく分けて3種類ほどあり、それがけっこう印象を大きく左右するようだ。一番ベーシックなのは、「アジリティ コントロールサスペンション」と呼ばれる仕様。これは路面からの入力に応じてオイル流量をパッシブに変更し、減衰力を調整するセレクティブダンピングシステムを備えたもの。標準タイヤは16インチ(225/55R16)か、アバンギャルド用の17インチ(225/50R17)になる。

試乗したC180 アバンギャルド AMGラインに装備されるのは、アジリティ コントロールサスペンションをベースに、スプリングとダンパーをハードセッティングとした「スポーツサスペンション」。車高は1センチダウンし、タイヤは18インチ(前225/45R18、後245/40R18)になる。

そして新型Cの売りである電子制御エアサスペンションの「AIRMATICサスペンション」(AIRMATIC アジリティパッケージ)がある。これはC180では選べず、C200 アバンギャルド AMGラインとC250 スポーツに標準装備。なお、タイヤはグレードに関係なく、全車ランフラットになる。

 

試乗車のタイヤは前225/45R18、後245/40R18のコンチスポーツコンタクト5

というわけで、今回のインプレッションは、あくまで金属スプリングの「スポーツサスペンション」仕様について。まず当然ながら、一般道での普通の路面ではスムーズに走り、特に不満はない。ランフラット特有の硬い感じもそんなに気にならない。サスペンションはフロントが新開発の4リンク、リアが5リンク(マルチリンク)だ。

ただ、路面が荒れたところや段差では、凹凸に反応してボディがけっこう上下する。このあたりはメルセデス・ベンツの鷹揚な乗り心地に親しんできたユーザーだと「あれっ?」と思いそう。ボディが軽くて硬い感じが、サスペンション(タイヤを含む?)の硬さで強調される感じ。

ハンドリングは、スポーツサスペンション(ステアリングレシオもよりダイレクトな設定)のせいもあってか、初期のBMWアクティブステアリングほどではないが、かなりクイック感がある。舵角に応じてギア比を可変する「ダイレクトステアリング」は、最初の交差点でちょっとハンドルを戻したくなるほど機敏に反応し、開発テーマの「アジリティ(機敏さ)」を良くも悪くもはっきり体感できる。この印象は例のアジリティーセレクトでステアリング特性がコンフォートになるモードを選んでも大きく変わらなかった。

 

100km/h巡航は約1800rpm。写真はディストロニック・プラス使用中

速度域が上がってくると、このステアリングのクイックさが気になってくる。ステアリングを軽く握っているだけでまっすぐ走っていくというより、ちょっと手に汗握る感じ。また、このスポーツサスペンションは高速域でも硬く、路面が荒れたところでは特にそれを強く感じてしまう。また、横風対策のため、ESPのブレーキ制御で直進安定性をサポートするという「クロスウインドアシスト」が全車標準になっているが、大型トラックの横を走る時やトンネル出口などでは、もう少しどっしり感や鈍感さが欲しいと思ってしまった。

100km/h巡航時のエンジン回転数は、7速トップで約1800rpm。本国仕様を参考にすれば、最高速は223km/h、0-100km/hは8.5秒だ。ちなみにC200ではそれぞれ235km/hと7.3秒、C250は250km/h(リミッター作動)と6.6秒になる(いずれも7AT仕様)。

各種レーダーセンサーとステレオカメラで周囲360度を監視

「アジリティ」と並ぶ、新型Cクラスのメインテーマが「インテリジェンス」。ドライバーの疲れを最小限に抑える快適性が安全なドライブに貢献するという思想により、メルセデス・ベンツではこれらの技術をまとめて「インテリジェント ドライブ」と呼んでいる。具体的には、昨年デビューした新型Sクラスとほぼ同じ内容の安全装備が新型Cクラスに降りてきている。

その目玉である「レーダーセーフティパッケージ」を支えるのが、数々のセンサー類。クルマの周囲360度をカバーすべく、フロントには200m先まで監視する77GHzの中・長距離レーダー、フロントバンパーとリアバンパーの側面には25GHzの短距離レーダー、リアバンパー中央には25GHzマルチモードレーダーと、計6個のレーダーセンサーを搭載。さらにフロントウインドウ内側には、車両前方を広範囲で認識し、特に約50mの範囲内は3Dで捉えるステレオマルチパーパスカメラを装備する。このへんの装備てんこ盛り感が、いかにも高級車らしい。

 

写真一番下のレバーがディストロニック・プラスの設定レバー。直進時はステアリングリムに隠れて見えない。先端を回して、先行車との距離を調整できる。設定速度は最高200km/hまで

そして、これらのセンサーから得たデータを統合して、先行車両、横切る車両、後方車両、対向車、歩行者などを検出し、状況によってアクセル、ブレーキ、ステアリングを自動でアシストする「部分自動運転」を実現した、と公言してしまうのが、ドイツのメーカー、メルセデス・ベンツらしいところだ。

結果として得られる機能自体は、その精度レベルを別にすれば、すでに他社で実現されているものに近いとも言えるが、例えばCクラスの「ディストロニック・プラス(ステアリングアシスト付)」は、前走車への追従制御などがスムーズで、実用性は非常に高い。また、Cクラスではステレオマルチパーパスカメラによって車線のカーブと先行車両を認識し、コーナーでもステアリング操作をアシストしながら追従するとのことだが、これははっきり体感するチャンスが無かった。

 

フロントウインドウ上部内側に装備されたステレオマルチパーパスカメラ

また、「アクティブ レーン キーピングアシスト」は、ステレオマルチパーパスカメラで車線を読み取り、車線を逸脱するとステアリングを断続的に微振動させて警告するほか(路肩の白線に乗ったときのような振動が出る)、片輪に軽い補正ブレーキをかけて車線内に戻そうとする機能。ピーピーと警告音が鳴るものはうるさくて切ってしまうことが多いが、これはそんなに気にならないのがいい。補正ブレーキについては、よく分からなかった。

そのほか、前方を横切るクルマや歩行者などを検知して警告し、ブレーキアシスト等を行う「BASプラス(飛び出し検知機能付ブレーキアシスト・プラス)」。さらに、衝突に備えて乗員の姿勢を最適化するPRE-SAFE機能を作動させ、最終的には自動緊急ブレーキを作動させる「PRE-SAFEブレーキ(歩行者検知機能付)」。あるいは追突に備えてリアを監視し、ハザードランプ点灯、シートベルト巻き上げ、玉突き衝突を防ぐためのブレーキ制御などを行う「リアCPA(被害軽減ブレーキ付後方衝突警告システム)」も装備している。

ナイトドライブもより安全に


上位グレードは電子制御のフルLEDヘッドライトで、照射範囲を自動的に変更する

夜間の視界に関しては、上位グレードにフルLEDヘッドライトを採用。Cクラスのものは「LEDインテリジェントライトシステム」と呼ばれるタイプで、車速などの走行状況に応じて配光パターンを自動で変更してくれるお利口さんだ。

また、それとセットで「アダプティブハイビームアシスト・プラス」を採用。これはステレオマルチパーパスカメラで前方を監視し、対向車や先行車を検知すると、それらの車両にハイビームが当たらないよう自動的に照射範囲を制御するもの。また、道路標識などにハイビームが反射すると、自動的に減光して眩惑も防止するという。

Cクラスのものは他社の類似装備に比べて、最新型だけに制御がきめ細かく、少なくとも常識的な速度で走る限りは、真っ暗な田舎道や高速道路などで上手に前方を照らしてくれる感じがした。気になったのは、ハイビームに切り替わるのが時に遅いことや、とっさに手動でハイビームに切り替えにくいことだが、この装備の目的は他車に迷惑をかけず、可能な限りハイビームを使って危険を早期発見することなので、その点ではかなり完成度の高いものになっている。

試乗燃費は10.3~12.1km/L。JC08モード燃費は17.3km/L


タンク容量は66リッターで、もちろんハイオク指定

今回はトータルで約280kmを試乗。車載燃費計による試乗燃費は、いつもの一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約80km)が10.3km/L、郊外の一般道を走った区間(30km×2回)が11.2km/L、12.1km/L、高速道路を走った区間(約100km)が12.1~13.6km/L。280kmトータル(撮影用の移動を含む)での試乗燃費は10.4km/Lだった。

JC08モード燃費は17.3km/L。冒頭で触れたように、モード燃費は先代C180(13.2~14.4km/L)比で最大30%以上アップしている。タンク容量は66リッターなので、高速ロングドライブなら600kmは走れるはず。

 

ここがイイ

鉄壁の先進安全装備。完成度の高いディストロニック・プラス

イージス艦を思わせるような、と言うと大げさだが、鉄壁な防御システム、ならぬ安全装備。レーダーセンサーやステレオカメラなど、センサー類をこれでもかと満載し、全方位を監視する考え方は、まさにドイツ的な完璧主義。目下、先進安全装備は各メーカーがしのぎを削るところで、もちろん見据えるのは「完全自動運転」だが、とりあえずこのクラスでは現時点で最も安全なクルマの一つと思わせる説得力がある。

また、普段でも恩恵にあずかれるディストロニック・プラスの完成度や実用性も高く、それだけでも「最新のC」を買う意義はある。

走りだした瞬間から感じられる「軽い」感じ。好みによっては、もう少し重厚感が欲しいとも言えるが、とりあえず1.6リッターでもかったるい感じはない。7速ATも変速スピードについてDCTに迫るものがあるし、DCTにわずかながら生じるギクシャク感や坂道発進でのもたつきもない。

ここがダメ

薄まった鷹揚さ。スポーツサスペンションの乗り味

新型のテーマである「アジリティ&インテリジェンス」は見事に実現されているが、一方でメルセデス・ベンツ特有の鷹揚さ、穏やかさが薄まったように思われること。特にダイレクトステアリングのレスポンスはクイック過ぎ。せっかく電子制御で特性を変更できるのだから、せめてコンフォートモードはもっと穏やかに振った方が(あるいは「コンフォート+」みたいなモードも用意するとか)、従来メルセデス・ベンツユーザーもホッと出来そう。

すでに他の媒体でも書かれているように、グレードや仕様によってシャシーの印象がかなり違うこと。今回モーターデイズで試乗したのは1.6ターボのC180 アバンギャルド AMGラインだったが、パワー的には2リッターのC200やC250がいいだろうし、足回りはC200 アバンギャルド以上に設定されるエアサス仕様が本命かもしれない。ただ、これらの乗り味の違いは、実際に高速道路などでしっかり乗ってみないと体感しにくいので、カタログや商談だけで選んでしまうとユーザーの期待とは異なるグレードにミスリードしかねないかも。少なくとも今回のスポーツサスペンション仕様は、内外装デザインだけで選ばれることも多いと思うので、もう少し穏やかな乗り味でも良かったのでは、と思う。

総合評価

全部のせ状態がデフォルト?

本文にあるように、その基本設計やスペック、装備内容を確認していけば、現時点でこのクラスでは総合的に見て、世界最高レベルのクルマと言えるだろう。AクラスからCLAが生まれたことで、ヒエラルキーの関係から少し大きくなったサイズも、今となっては妥当なものと言えるし、内装の質感も試乗車に関しては全く不満はなかった。また、14年前に出た先々代W203や、7年前の先代W204でも感じた「初期モデルの、もうちょっと感」は、今回の試乗車にはなく、先代後期モデルで標榜した「メルセデス史上最高のCクラス」というキャッチコピーは、このモデルで再び使えるのではと思う。COTYの投票ではデミオが僅差で勝って、幸いにも?2年連続で輸入車が1位とならなかったが、日本のクルマはもう当分敵わないのではと思うほど、このドイツ車の内容は濃い。

ただ、今回の試乗車については、期待とやや異なる部分もあった。どうやら仕様によってかなり印象が違うようで、特に乗り心地はエアサスこそが今回のスタンダードなのかもしれない。要するに新型Cクラスは基本フル装備で乗るべきクルマなのではないか、と思うのだ。ラーメンフリークが使う言葉で言えば「全部のせ」がデフォルト。そこから何かを減らしていったものが、下位グレードということなのだろう。その分、価格的メリットはあるのだが。

 

そうは言ってもボディは軽量ハイブリッド構造に刷新され、数々の安全装備も採用されたのだから、最新のメルセデスが提案する自動車の基本というものはよく分かる。そうした基本となる姿に、装備を足して設計上の理想を追求したのが上級グレードであり、そこからユーザーによっては必要のないものを引いていったのが下位グレードということでもあるだろう。

いろいろ言われるサイズにしても、確かに少し大きくはなったが、今やフルラインナップと言えるほどの車種を揃えるメルセデスなのだから、サイズで選ぶなら他をどうぞ、ということになる。CLAはそういう人のためのクルマになりえるはず。

格子グリル+フードマスコット仕様も

そんな新しいCクラスだが、特に外観のデザインというものが、このクルマの好き嫌いを分けそうだ。彫りが深いというか、複雑なラインで構成されたフロント周りやサイドビュー、やや尻下がりにも見えるリアビューなどは、好みが分かれると思う。特に先代の後期からすっかりメインになってしまったアバンギャルドマスクは、先代よりさらに大きなスリーポインテッドスターが鎮座しているだけに、これはちょっとと思う人もいるだろう。ドイツ本国には普通の格子グリル+フードマスコットの伝統的ルックスのモデルがあるようなので、日本でもぜひそれを選べるようにしてもらいたいものだ。

同様にインパネ周りも先代のデザインと比べると、かなりアバンギャルドだ。特に巨大なディスプレイが真ん中に独立して鎮座しているあたりは、欧州車のトレンドであるとは思うが、日本人的な感性だともうちょっと何とかならないものか、と思ってしまう。現にSクラスの場合はメータークラスターの中に巨大なディスプレイを入れてスッキリまとめている。むろんその方法は相当コストがかかるはずなので、Cクラスでは無理かもしれないが、せっかくここまでハイテクにこだわった作りなのだから、ぜひやって欲しかったと思う。新しいアウディTTはメーターパネル全体が液晶パネルで、そこにナビ地図も映し出せる。メルセデスにはアウディに先駆けて、このクラスで実現して欲しかった。

 

日本車の場合はタッチパネル式が再び主流となりつつあるが、欧州車の場合はメルセデスのコマンドシステムのようなリモコン操作型が主流なだけに、ディスプレイをメーターパネルと一体化させることが比較的簡単にできるはずだ。その意味では、現状ではまだ手放しに使いやすいとは言い切れないコマンドシステムもやがて陽の目を見ると思う。一方で、日本車はついこの前まで車載ナビにも使いやすいリモコンを持つタイプが多かったのだが、ユーザーにおもねったためか、すっかりその部分が退化してしまった。そのつけはいずれ来るはず。Cクラスに関しては、先代のようにまた7年作られるとしたら、今回もモデルライフの途中でインパネ周りは大きく変更されるはず、と予言しておきたい。

求む、クリーンディーゼルの、アバンギャルド顔でないCクラスワゴン

そして、ついにセンターコンソールからシフトレバーが消えた運転席に座り、コマンドシステムでナビを設定し、指先でダイレクトセレクトを操作してスタート。日本車と違って速度の設定範囲が広いディストロニック・プラスにゆだねて「部分自動運転」していると、これは確かに程よいサイズのインテリジェントカーであるなあと思う。最高級車でなくても、大きなクルマじゃなくてもインテリジェントカーなのだ。

ただ、このクラスであれば、やはりパーソナルな雰囲気のあるステーションワゴンが魅力的だ。比較的コンパクトで、「インテリジェント」なワゴンの選択肢は少ない。その意味ではセダンではなく、やはりワゴンこそがCクラスの本命ではないか。ワゴンのスタイリングは、とてもバランスが取れていて美しいと思う。やがて日本にも導入されるであろうクリーンディーゼルが載ったCクラスワゴン、それのエアサスで最上級グレードで、さらにアバンギャルド顔でないモデルなら欲しいなあと思う。ただその場合、車両本体価格は700万円を越えるはずで、このクラスとしてはあまりに高い。そこをどう考えるかだろう。

 

試乗車スペック
メルセデス・ベンツ C180 アバンギャルド AMGライン
(1.6L 直4ターボ・7AT・502万円)

●初年度登録:2014年6月 ●形式:DBA-205040C ●全長4715mm×全幅1810mm×全高1435mm ※AMGラインの場合。標準仕様は全長4690mm ●ホイールベース:2840mm ●最低地上高:120mm ●最小回転半径:5.1m ●車重(車検証記載値):1540kg(-+-) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:274M16 ●排気量・エンジン種類:1595cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・縦置 ●ボア×ストローク:83.0×73.7mm ●圧縮比:10.3 ●最高出力:115kW(156ps)/5300rpm ●最大トルク:250Nm (25.5kgm)/1200-4000rpm ●カムシャフト駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/66L ●JC08モード燃費:16.5km/L ※AMGラインの場合。標準仕様は17.3km/L

●駆動方式:FR(後輪駆動) ●サスペンション形式:前 4リンク+コイルスプリング/後 マルチリンク+コイルスプリング ●タイヤ:前225/45R18、後245/40R18( Continental ContiSportContact5 SSR MOE) ※AMGラインの場合。標準仕様は前後225/50R17

●試乗車価格(概算):549万1800円 ※オプション:レーダーセーフティパッケージ 19万5400円、ベーシックパッケージ(キーレスゴー、プライバシーガラス、前席シートヒーター) 19万円、AMGライン(AMGスタイリングパッケージ、18インチAMG 5スポークアルミホイール、Mercedes-Benzロゴ付ブレーキキャリパー、レザーARTICO AMGスポーツシート、AMGスポーツステアリング、レザーARTICOダッシュボード、AMGフロアマット、ブラックアッシュウッドインテリアトリム、ステンレスペダル、スポーツサスペンション、LEDインテリジェントライトシステム、アダプティブハイビームアシストプラス、LEDコーナリングライト、アナログ時計) 35万円、メタリックペイント 8万6400円 etc. ●ボディカラー:オプシディアンブラック(メタリック)

●試乗距離:約280km ●試乗日:2014年10月 ●車両協力:メルセデス・ベンツ名古屋北(名古屋市守山区)

 
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メルセデス・ベンツ 名古屋南・名古屋北

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