Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > MINI クーパー

MINI クーパー新車試乗記(第456回)

MINI Cooper

(1.6L・6AT・264万円)

見た目は一見変わらずとも
中身は見事に進化した、
2代目 New MINIについに試乗!

2007年03月24日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

外観イメージを踏襲しつつ、中味をアップデート

日本では2002年3月2日(ミニの日)に発売された「NEW MINI」の2代目が、今回の新型MINIだ。NEW MINIの新型だから、言わばNEWのNEW MINIである。欧州では06年11月にデビュー、日本では07年2月24日に発売された(一部仕様は予約注文の受付開始)。

新型の特徴は大きく2つ。1つは先代からほとんど変わっていないように見える内外装。もう1つが、それとは逆に大幅に変わったエンジンだ。特に後者は、ローバー時代の名残りとも言うべき、クライスラー側が設計・供給した1.6リッターSOHCの通称「ペンタゴン」ユニットを廃止。新たにBMWとプジョーが共同開発した1.6リッターDOHC「バルブトロニック」を採用した(クーパー)。また、クーパーSも先代のスーパーチャージャーから、コモンレール式直噴のツインスクロール式シングルターボエンジンに変わっている。

さらに、先代のワン(One)/クーパー用のCVT(無段変速機)が廃止され、アイシンAW製のトルコン式6ATとなった点も(クーパーSは先代で採用済み)、AT比率が高い日本では重要なニュースだ。

生産はもちろん英国で

20世紀末から独BMWの1ブランドとなったMINIだが、生産は引き続き英国のオックスフォード(最終組み立て)、スウィンドン(プレス加工)、ハムズホール(エンジン製造)の3工場で行われる。生産能力は現在の年間20万台から、将来的には24万台まで強化される予定だ。なお、クラシックミニ(1959~2000年)の総生産台数は約540万台、先代MINI(2001年~)は合計80万台以上が生産されたという。

価格帯&グレード展開

クーパー(6MT)の251万円から

今回発表されたのは1.6リッターNA(120ps)のクーパーおよびターボ(175ps)のクーパーSで、各6MTと6ATの計4モデル。なお、ベーシックモデルの「ワン」(95ps)は2007年上半期に本国でデビュー予定(日本導入は未発表)。コンバーチブルは先代モデルがしばらく併売される。

●MINI Cooper(6MT) 251万円 ※5月中旬以降デリバリー
●MINI Cooper(6AT) 264万円 ★今回の試乗車
●MINI Cooper S(6MT) 295万円
●MINI Cooper S(6AT) 308万円 ※5月中旬以降デリバリー

パッケージング&スタイル

天井以外、外板は全て別物

一見どこが変わったか分からない新型。ボディサイズは全長3700mm×全幅1685mm×全高1430mmと、全長が少々伸びたくらいで、ホイールベースは全く同じ2465mmだ。しかし説明を聞きながら15分も新旧を眺め比べると、だんだん区別が付くようになる。右下の写真は2002年デビュー当時のクーパーだ。

まず、歩行者衝突安全のからみもあって、ボンネットのボリューム感が増し、リアのトランクリッドもそれに合わせて微妙に丸みが強まっている。実はルーフ部分を除いて、ボディ外板はすべて別物だ。ウエストライン(サイドウインドウ下縁の水平ライン)は先代より高くなり、その分ウインドウ天地は狭くなった。空力に不利な短い全長にも関わらず、Cd値(空気抵抗係数)は0.33(クーパー)と良好だ。

新旧見分けるならウインカー周りがポイント

さらに細かく見てゆくと、新旧の差が明らかなのはボディ前部のウインカーの位置で、先代のバンパー配置に対し、新型はヘッドランプ一体式に変更。ウインカーの跡には大型フォグライトが陣取っている。メッキラジエイターグリルは上下2分割からワンピースに変更され、その分バンパーのボリューム感がアップしている。なお、試乗車はピュアシルバー×ブラックルーフだが、もちろんルーフは同色やホワイト等が選べる。

先代の不具合を着実に改良

室内の変化はエクステリア以上に大きい(上が新型、下は先代クーパーS)。「これのどこが?」と思うかもしれないが、実際には実にしっかりと、従来使いにくかった部分が改善されている。例えばシートベルトへの手の届き易さから、シートの調節機構に始まり、各スイッチの操作感、シートの座り心地などがまったく不満ないものになった。

一部ではコストダウン云々と言われているようだが、一般的な感覚で言えば、品質感も向上したように思える。以前はレバーやスイッチが何となくガタガタしていたり、パーティングラインが(わざと?)そのままだったりしたものだ。

さらに大きくなったセンターメーター

「おじいさんの古時計」のような超大径センターメーターは相変わらずだが、新型ではこのメーターがさらに2回り以上大きくなった。相変わらず視線移動量が多く、走行しながら見にくいのに変わりはないが、盤面が大きくなったため速度が読み取りやすくなったのは確かで、これも良くなったことの一つだ。従来通りアナログ回転計(デジタル速度計付き)が乗ったステアリングには、チルトに加えて、新しくテレスコ調整が加わった。座面のハイト調整もいい具合に出来て、ドラポジに関しても進歩している。

何となく雑然としていて、しかも下のほうにあったオーディオ操作スイッチも「人間工学に基づき計器類は最小限まで減らされ」(プレスリリース)、スピードメーターの下半分に集約された。電源オン/オフボタンがそこにない、という引っ掛け?はあるが、割と操作しやすい。関係ないが、オーディオの表示パネルはBMWの1シリーズと似ており、ふと親会社の影響を感じさせる。

改良・増殖されたトグルスイッチ

ユニークだが、使いにくかったトグルスイッチ(パワーウインドウもこれ)も新型では大型化されて、少し操作しやすくなった。さらにトグルスイッチは天井(室内照明用など)にまで進出し、飛行機みたいな操作感(操縦したことはないが)が楽しめる。

また細かい芸だが、天井のスポットライト風LEDは点灯色がオレンジからブルーに5段階(実際には無段階に見える)で調整可能。天井と言えば、運転席の右上にサンバイザーが追加されているのも面白い工夫だ。

もう一つ面白いのが、円盤型のリモコンキーだ。これをステアリング右(なぜかBMWのように左ではない)のスロットに差し込み、隣のエンジン始動ボタンを押す、という流れ。このキーは見た目がユニークなだけでなく、サービス(修理・整備)に必要な車両データを記録するという賢いもの。いわゆるスマートキー機能(コンフォートアクセスと呼ばれる)もオプションで用意される。

リアシートも改良された

2人用リアシートもクッションの形状が改良され、座り心地がずいぶん良くなった。左右に狭く、足もとも狭く、天井もギリギリだが、若い人同士ならうっかり4人でドライブに出かけてしまいそうだ。

トランク容量は通常時160Lと先代(150L)と同レベル。初代ヴィッツより明らかに狭い。リアシートの背もたれをパタンパタンと左右倒してもやっと680Lだ。決して広いとは言えないが、ここは外観デザインとサスペンション構造優先で正解だろう。床下には工具とスペースセーバータイヤが備わる。

基本性能&ドライブフィール

エンジンのフィーリングは先代を受け継ぐ

試乗したのはクーパーの6AT。先代の後方排気から前方排気に変更された新型エンジンは、BMWの「バルブトロニック」が奢られたオールアルミ製の1598cc・DOHC・4バルブユニット。しかし、ボア×ストローク:77mm×85.8mmをはじめ、総排気量、シリンダーピッチまで実はまったく同じで、120ps(88kW)と16.3kg-m (160Nm)というスペックも旧ユニット(116ps、15.2kgm)から4psと1.1kgmのアップに過ぎない。乗った印象もパワーウエイトレシオ:10kg/弱の過不足ないパワー感、フラットなトルク特性、少々騒々しいところ(窓が開いてるのかと思った)などよく似ており、あえて似せたかと思うほどだ。エンジン寸法が同じなのは、生産設備やパーツの共用が理由だろうか。

ステアリングを切っても静か

ということで、走りに関して新型らしいと思ったのはエンジンではなく、トルコン6ATの自然な加速感と新設計の電動パワーステアリングの方だ。特にパワステは、先代だと低速でステアリングを切る度に、特に支障はないものの「ミャーミャー」と独特の音が立てたが、新型ではすっかり静かになった。操舵力も軽くなり、なおかつ従来のクイック感も維持している。小さなことだが、第一印象を左右する改良点と言えるだろう。

クーパーにも載ったアイシンAW製6AT

先代クーパーSに続いて、新型ではクーパーにも採用されたアイシンAW製の6ATも、心なしか気のせいか、従来のZF製CVTにフィーリングがよく似ている。スリップ感が小さいところはMINIらしいところで、良くも悪くもトルコンらしいヌメッとしたフィーリングがない。もちろん、変速の滑らかさ、強めのクリープ、ギアノイズの低さは明らかに進化した部分だ。

なお、6AT車にはステアリング連動型のマニュアルシフト・スイッチが付いているが、これはマツダ車によく似た(スイッチ配置は違う)、左右のどっちを引いてもシフトアップ、押してダウンという変則タイプ。シフトレバーで行うマニュアルシフトも、BMWやマツダと同じ「引いてアップ、押してダウン式」となる。少なからず慣れが必要だが、「D」ポジションでもパドル操作で暫定的にマニュアルモードを受け付ける点は一般的だ。

さらに楽しい「ゴーカート・フィーリング」

街中ではソツのない新型MINIだが、真骨頂を味わうならワインディングロードが最適だ。8割くらいのペースなら先代譲りの「ゴーカート・フィーリング」でキュンキュン曲がってくれる。このあたりの敏捷性は先代からの見事な発展進化版だ。前ストラット、後ろマルチリンクのサスペンション形式に変化はないが、リアのトレーリングアームはアルミ製となり、従来比で6kgも軽くなっているという。

さらにもう一段ペースを上げた時の走りが、なかなかいい。クーパーに標準の175/65R15という細いタイヤのおかげで、ステアリング操作で後輪は絶妙に流れ、面白いように振り回せる。今どき珍しいくらいのテールハッピーだが、カウンターが当たるほど流れないのは、ASCが介入してコントロールしているからだ(警告ランプがしきりに点滅している)。それでもクーパーの場合はパワーがそこそこゆえ、失速感を覚えるほどスロットルが絞られることはない。試しにASCオフで走ってみると、今度は挙動が乱れるようになり、少し慎重さが必要になる。

ブレーキは踏み始めが過敏で、最初はカックンブレーキになるほどだが、これはすぐに慣れる。絶対的な制動力は高く、反応のいいブレーキ・アシストのせいもあって初心者でもABSが作動するところまでブレーキが掛けられるはずだ。

高速安定性も良くなった(おそらく燃費も)

高速走行時の安定性もずいぶん良くなった。先代では緊張感が高まった150km/h付近でも、新型は安心して巡航できる。静粛性そのものは確信犯的に低く、決して快適とは言えないが、直進安定性は十分だ。クーパー(6MT)の最高速(メーカー発表値)は203km/h(先代比+3km/h)。ちなみにクーパーS(同)の方は225km/h(+7km/h)だ。ATはおそらくその-10km/hくらいだろう。

燃費は今回計測しなかったが、新型エンジンの眼目がそこにあるのは確かで、バルブトロニックや電子制御式のウォーターポンプ等の採用により、EUの計測基準で約16%(クーパーのMT車)も向上したという。10・15モード燃費はクーパーで13.8km/L(6MT)、クーパーSで14.4km/L(6MT)だ。

ここがイイ

まったくコンセプトの変更をしないまま、不満だった各所をほぼすべて改善しており、ものすごく完成度が高まっている。特に乗り心地に関しては、クラシックミニのデビューから50年近くを経て、本当の意味で普段の足となりうるクルマになった。それでいてゴーカート的な楽しさも残されており、趣味と実益を兼ねることができる。ノイジーなのをはじめ、すべての欠点を「確信犯」だと思わせる完成度は立派だ。

細いタイヤもいい。燃費云々の前に、コーナリングの楽しさを味わって欲しい、という開発側のメッセージだろう。セーフティネット役のASCがあるからこそのセッティング、ということもある。パワー感もそこそこでアクセルベタ踏みが楽しめる。

ここがダメ

ワインディングを走行中、マニュアルモードで3速から2速へシフトダウンしようとしても、実際にはなかなかダウンしてくれない。過回転防止かと思い、回転数が落ちたのを見計らって操作してもやっぱり落ちてくれない。唯一ここだけが意のままにならない部分で不満を覚えた。そんな風に走る人は、マニュアルを買った方がいい、ということだろうか。またマニュアルシフトは親指でダウン、パドルでアップだが、パドルが短いのが気になる。もう少し下に長い方が使いやすい。

運転席正面のワイパーブレードが結構高い位置で停止しており、少々目障り。もちろんデザインのためだろうが、今どきワイパーが目障りなクルマも珍しい。またパワーウィンドウスイッチはやっぱりドア側にあった方が使いやすい。

カーナビは、日本ではセンターメーターとのトレードオフにはならないようだ。これはちょっと不便。ウインドウズ・モバイルをOSにした小型のカーナビも登場しているので、それを吸盤でセンターメーターに貼り付ける、などという手もあるだろうが・・・。最新モデルであれば、そのあたりは対策されているべきだろう。

総合評価

今回のMINIのフルモデルチェンジは、ポルシェ911のモデルチェンジと同様の手法に見える。911は1997年に空冷から水冷に変わったとき、一部で否定的な意見はあったものの、そのスタイリングイメージをうまく引き継いでみせた。クラシックミニからニューMINIへ変化も、完全なフルモデルチェンジだったが、スタイリングイメージをうまく引き継いで大ヒットさせることに成功した。

911は2004年に996型から997型へ変わった際に、全体的なスタイリングをほとんど変えずにフルモデルチェンジした。今回のMINIもまったく同様の展開で、アイデンティティを確立したスタイリングは基本的に変えないという、日本車にはできそうもない芸当をうっている。と同時に、フルチェンジでしか出来ない様々な弱点の解消も行っている。「いいものは変えない」というクルマ作りの手法は、ことポルシェとMINIに関しては成功を納めているわけだ(今後ビートルはどうするだろうか)。毎回新ネタ勝負の日本車メーカーにとっては、うらやましい限りといったところだろう。例えば売れまくったフィットのモデルチェンジを控えるホンダが、どんな2代目フィットを出してくるのか興味深い。

今回、試乗したあとに過去のニューMINI試乗記を読み返してみると、そこにある不満は新型ではほぼことごとく解消されていた(ただ一つ、パワーウィンドウスイッチの使いにくさを除いて)。センターメーターも見にくいままだが、ドライバー正面のタコメーター下に速度がデジタル表示されるから不便は感じないし、乗り心地も不満なくなった。CVTから6ATへの変更は国産車の流れとは逆行しているようだが、先代のCVTがあまりに古くさいものだったゆえ、いたしかたない。実際にはこの6ATの方が誰からも好まれるだろう。

それでいて、日常速度で楽しめるクイック感は生きているし、なんといっても名前の通り小さいのがいい。横幅が5ナンバー枠に入る輸入車は、近頃ではMINIとスマートくらいじゃないか。その小ささでもMINIは、強力なブランド力を身につけていて、小さなクルマでも安物ではないという対外的な認知を獲得している。輸入車の中でも大人が乗れるクラスレスの小さなクルマはMINI以外に見つからない。強いていえばやはりスマートだろうか。

いずれにしても、いい大人が小さなクルマが欲しいと思った時に、選択肢に入れられるのはMINIくらいしかない。日本車ではデビューした頃のヴィッツがそんなクラスレスなイメージを身につけたのだが、今ではすっかり女性用のパーソナルカーか、あるいは商用車というスタンスに落ち着いてしまっている。そこには、日本車にはどうしても越えられないイメージ戦略の壁が垣間見える。いずれにしても、小さくても言い訳のできるクルマはMINIしかなく、しかもそれが日常的によいクルマになったのだから言うことはない。

しかし997やMINIといったクルマを賞賛しているのは、実はとても後ろ向きなことにも思える。伝統的に「イイ」と評価が定まっているものをほめているにすぎないのだから。「新しくてどこか変だが、これはすごい」というものを評価せずに、伝統的な良さをほめてばかりでは何も進歩はない。出よ、革新的な小さなクルマ! がんばれ各メーカー(特に日本の)!

試乗車スペック
MINI クーパー
(1.6L・6AT・264万円)

●形式:ABA-MF16 ●全長3700mm×全幅1685mm×全高1430mm ●ホイールベース:2465mm●車重(車検証記載値):1170kg(740+430)●乗車定員:4 名●エンジン型式:N12B16A ● 1598cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・横置 ● 120ps(88kW)/6000rpm、16.3kg-m (160Nm)/ 4250rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/40 L ●10・15モード燃費:13.8 km/L ※6MT車●駆動方式:前輪駆動(FF) ●タイヤ:175/65R15(Dunlop SP Sport 01)●試乗車価格: 264万円( 含むオプション: - ) ●試乗距離:約120km ●試乗日:2007年3月 ●車両協力:MINI名古屋守山

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 
 

MINI 最新の試乗記10件

最近の試乗記一覧