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MINI クーパー S新車試乗記(第458回)

MINI Cooper S

(1.6Lターボ・6MT・295万円)

クーパーがいいか
クーパーSがいいか、
それがモンダイか?

2007年04月07日

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キャラクター&開発コンセプト

スーパーチャージャーから直噴ターボへ変更

欧州では2006年11月、日本では07年2月24日に発売された2代目「NEW MINI」(R56型)。先回(07年3月24日)は1.6リッター自然吸気の「クーパー」(6AT)をとり上げたが、今回試乗したのはターボの「クーパーS」(6MT)だ。

新旧「S」の違いは、内外装デザインとエンジンの2点。特にエンジンは大きく変更。先代の1.6リッターSOHC+スーパーチャージャーから、新たにBMWとプジョーが共同開発した1.6リッターDOHC・コモンレール式直噴+ツインスクロール式シングルターボに換装されている。

価格帯&グレード展開

クーパーS(6MT)は295万円

新型MINIのラインナップは以下の4モデル。現時点(2007年4月上旬)でデリバリーが始まっているのはクーパー(120ps、6AT)とクーパーS(175ps、6MT)だけだ。

●MINI Cooper(6MT) 251万円 ※5月中旬以降
●MINI Cooper(6AT) 264万円 
MINI Cooper S(6MT) 295万円 ★今回の試乗車
●MINI Cooper S(6AT) 308万円 ※5月中旬以降

パッケージング&スタイル

S専用装備がいろいろ付く

2代目NEW MINI全般については、先回の試乗記を参考にしていただき、ここではクーパーSにしぼって紹介していこう。

ボディサイズ(クーパー比)は全長3715mm(+15)×全幅1685mm(同)×全高1430mm(同)。外装でS専用となるのは前後バンパー、専用ボンネット、「S」のバッジ(左右、後ろの計3つ)、専用リアスポイラー、センター2本出しマフラー、16インチホイール(試乗車はオプションの17インチ)、クローム仕上げの給油口などなど。一見してクーパーより精悍だ。フロントバンパー下にS専用の樹脂製スポイラーが突き出ているので、クルマ止めや段差では少し注意が必要だ。

撮影中に気が付いたのだが、S専用ボンネットのエアスクープは実はダミー。インタークーラーがエンジン真上から前面に移動したことで、冷気導入の必要がなくなったからだが・・・ちょっと残念。試乗車のボディカラーは新色の「レーザーブルーメタリック」×ホワイトルーフ。ルーフは同色やブラックも選べる。ボンネットストライプはオプションだ。

オプション装備もいろいろ

操作性を中心にインテリアが大幅に改良された、という話は先回で触れた。今回のSも同様の印象だ。オプション装備の多さはMINIの特徴で、今回試乗したクーパーSには、ヘアラインの入ったアルミパネル(ブラッシュド・アロイ)とパンチング仕上げのフルレザーシート(27万円する)など、内装だけで約40万円相当のオプションが付いていた。革シートのパンチング(穴あけ加工)はダテではなく、体がほとんど滑らない優れもの。

その他、ダッシュボード色(標準は黒で、計6色)、パネル(標準はシルバーのチェッカー柄、オプションでピアノブラックやウッド調など)、シート素材(標準のクロス、クロス/革のコンビ、フルレザー、パイピング付きレザー)や色(黒、赤、ベージュなど)などが選べる。

Sは全車ランフラット仕様

トランク容量(160L)はクーパーと同じ。クーパーは床下にスペースセーバータイヤを積んでいたが、Sはランフラットタイヤ標準なので、スペアレス。それでもなぜかタイヤレンチとジャッキだけは搭載している。その下には鉄板一枚と遮熱板を隔てて、社外品のように美しい仕上げのマフラーサイレンサーが車体の前から後ろに向かって真っ直ぐ収まる。

基本性能&ドライブフィール

新型直噴ターボで175ps、24.5kgmの大パワー


(photo:BMW ジャパン)

クーパー同様、新型Sのエンジンも先代のSOHC・後方排気から、DOHC・前方排気に変更され、鋳鉄製からオールアルミ製に変身。過給器は先代のスーパーチャージャーから、新型のツインスクロール式ターボに換えられている。ツインスクロール式とは、最近ではスバル・レガシィ、インプレッサあたりで耳にした名称だが、その起源はマツダの2代目RX-7(FC-3S、1985年)の13Bロータリーターボあたりまで遡れるようだ。その目的は高圧シングルターボで発生しやすいターボラグを抑制するというもの。排気導入経路やスクロール室を2分割し、低回転域でも過給効果が得られるようになっている
得られた出力は175ps/5500rpm、24.5kgm/1600-5000pmと、先代Sの後期型(170ps/6000rpm、22.4kgm/4000rpm)に比べて、5psと2.1kgmの大幅アップ。ちなみにこの新型ターボエンジンは今年3月に日本で発売された新型プジョー207GTのエンジンとほぼ共通のもの。あちらは150ps/5800rpm、24.5kgm/1400-3500rpmと最高出力を控えめとし、低速トルクを重視している。なお、207にも170psバージョンが存在し、今年中には日本に導入されるようだ(207GTの試乗記は近日中にお送りできる予定)。

スーパーチャージャーみたいなターボ

さてインプレッションだが、まず発進自体は先代よりクラッチが若干軽くなった反面、ミートの瞬間が少々分かりにくく、一瞬躊躇する・・・が、エンジンに粘りがあるので、エンストはまずしない。坂道で2秒間ほどブレーキを保持するヒルホルダー機能も備わる。先代Sの鉄アレイのごときフライホイールの重さ感が無くなり、レスポンスが先代より格段に良くなったのは確かで、これには直噴化によって圧縮比が自然吸気並みの10.5まで上げられたことが大きいだろう(先代Sは8.3だった)。ターボラグはほとんど無く、むしろ低回転でのトルキーな走りっぷりは、先代Sのスーパーチャージャーを思わせるものだ。ターボの消音効果もあって、静粛性はクーパーより高い。

3000~5000回転でターボバン

クーパーSらしい走りは3000回転以上から。先代Sの「ミュイーーン」というスーパーチャージャーサウンドの代わりに、「ウィーン」というタービンノイズを響かせながら、前輪はグリップを失いつつ1210kgのボディを強力に引っ張る。加速感のピークである4000~5000回転では、2速、3速でゆったりとしたトルクステアが発生するが、アクセルを戻す必要は全くない。6000回転に届くあたりで加速が頭打ちになるからで、そこでシフトアップ。再び3000~5000回転くらいのターボバンを味わう、というのが美味しい乗り方だ。先代Sだとアクセルオフ時に「ボボボ、ボボォン!」とアフターバーンの音が激しかったが、新型のターボはさすがにそんな野蛮なことはない。それでもたまに「ボン!」と炸裂音を聞かせるサービス精神は健在だ。

ダイレクトかつジャジャ馬な操縦性

ワインディングでは、クーパーの175/65R15のプアなタイヤでも十分「ゴーカート・フィーリング」が味わえたが、スポーツサスとオプションの205/45R17ランフラットタイヤを持つSは、ダイレクトかつジャジャ馬なハンドリングとなる。限界も一気に高まり、もはやクーパーのように気楽にリアを振り回す、というわけにはいかない。荒れた路面でポンポン跳ねたり、ステアリングへキックバックを伝えながら、とにかくアクセルを踏めば馬力荷重6.9kg/psの性能で一目散にダッシュし、ステアリングを切れば容赦なく曲がってゆく、という感じだ。標準の16インチ仕様だと、もう少しマイルドな操縦性になるのかも。LSDはオプションで装着可能なようだが、一般道では不要だろう。

 

(photo:BMW ジャパン)

クーパーS用の電子制御デバイスはクーパーに標準のASC+T(オートマチック・スタビリティ・コントロール+トラクション)ではなく、ブレーキ制御でアンダー/オーバーステア制御を行なうDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)に格上げされている。チョッピーなのにオン・ザ・レール感のあるSの走りは、17インチタイヤとDSCの要素が大きそうだ。DSCはクーパーにも10万円高で装着できる。

高速では燃費良さそう

高速安定性は上々で、先代のように150km/h以上でもドキドキすることはない。100km/h巡航は約2500回転。クーパーより静かでパワーに余裕があるので、長距離ドライブはSの方が断然楽だろう。Sの最高速(発表値)は225km/h(先代比+7km/h)だ。

10・15モード燃費は自然吸気のクーパー(6MT仕様)の13.8km/Lより優秀な14.4km/Lだが、今回は140kmほどを試乗して車載燃費計の表示は6.9km/Lだった。全開加速が多かった割に、落ち込みは少ない、という印象を受けた。過給圧が高まらないように、淡々と高速巡航すれば、かなりの低燃費が見込めそうだ。燃料タンクはクーパーの10リッター増しなので、航続距離も長いと思われる。

ここがイイ

クーパーもよくて、これで十分と思ったが、クーパーSはさらによかった。ハイパワーNAみたいなツインスクロールターボは低回転から力があって、ゴルフTSIのツインチャージャー(ターボが効くと、結構ドカンとくる)よりNAっぽい分、気持ちよく走れる。ちなみに1.4リッターツインチャージャーのゴルフは1410kgの車重で8km/Lの実燃費(モーターデイズ実測)、1.6リッターターボのクーパーSは1210kgの車重で6.9km/L(同)。ゴルフの方が優秀なのは明白だが、ミニの方が走りは自然で楽しいと擁護しておきたい。

今さらだが、クーパーSに標準のキセノン(ディスチャージド)ヘッドライトは明るくてなかなかよい。クーパーの標準はハロゲンだが、この明るさを知ったらオプション(9万4000円だが)で付けたくなるだろう。というかクーパーでも250万円くらいするのだから最初から標準としてもらいたいもの。

ここがダメ

吹け切るのが早いので、息の長い加速は味わいにくい。その点ではアクセル踏みっぱなしでシフトアップしていってくれる6ATの方が面白いかも。

マニュアルシフトの操作性。先代Sより良くなったとは言え、リバースへの入れにくさ(重さ)はちょっとしたものだ。また、他のギアはスコスコ簡単に入り過ぎ、ややゲートの左右間が接近しすぎていて、ミスシフトを誘いやすい、と感じた。シフトノブも日本人の手には大き過ぎる。なお、この6MTはゲトラク(Getrag)製だが、弊社ポルシェ専門誌「911DAYS」のスタッフの1人によると「(ポルシェが80年代後半から90年代前半の911に採用していた5速MTの)G50ミッションに操作感が似ている」とのこと。確かにグイッと左上にレバーを押し込んで、リバースに入れるところは同じだ。

総合評価

そうは言ってもマニュアルシフトは楽しい。小さくてクイック、かつパワフルなクルマをマニュアルで操ることは「趣味はクルマです」という人にとって、至福の時。そういう楽しさを味わうために、クーパーSは存在しているわけだ。オートマはCVTではなくなったし、マニュアルモードもあるから手軽にF1ライクなシフトチェンジを楽しめるけれど、クラッチ、アクセル、シフトレバーを意図的に操作することは、クーパーSなら意義のあること。クーパーはあくまでミニの雰囲気を楽しむタウンカーだが、Sは走りそのものを楽しめるマシンとなっている。ヒール&トゥ(実際には左トゥ&右トゥといったペダル配置だが)もしやすい。

そして何よりターボラグのない加速が自然で、まるでハイパワーNAエンジンで楽しんでいるよう。クラッチは軽いし、トルクがあるので街中なら2速、3速あたりに入れっぱなしでイージードライブも可能だから、そんなに疲れることもない。ちょっとした坂も3000回転あたりまで回せば、3速でもストレスなく登っていく。ヒルホルダーも、発信時にクラッチペダルの感触が伝わりにくく操作感に欠けるものの、坂道発進対策としては十分便利な装備となっている。これならMTでも街乗りとして使える範囲だ。

とにかく、ガワはほぼそのまま、中身は一新となったMINIだが、先代より大幅に魅力がアップしたことは間違いない。ポルシェ911の場合も同じような展開で販売的には成功しているのだが、ちょっとパフォーマンスが高すぎて、日常的にはその性能を生かし切れず、面白味に欠けるところがある。1964年に登場以来、「60km/hで走っていてもおもしろい」といわれてきた911だが、編集部にある最新の997カレラに乗っている限り、その速度域ではあまりワクワクしないのだ。その点MINIは、60km/hでも文句なく楽しい。元々のパフォーマンスが低かったMINIの場合、新しくなるごとにより高性能かつ快適・安全となり、それでいて本来の持ち味であるゴーカート感覚を温存させている。クーパーのATもクーパーSのMTも、やがて出るはずの1.4リッターのOneですらも、たぶん日常速度で楽しいはず。そこが一番の魅力だ。

先回のクーパーで指摘したカーナビに関してもう少し補填しておくと、大きなセンターメーターとのトレードオフがいいとは思うが、現行のCDスロットのあたりにキットによって、市販ナビディスプレイを取り付けるナビゲーションパッケージ(純正オプション)が、意外に悪くないかもしれない。つまり、今後ナビを最新型に取り替える際には先代のようなセンターメーター部埋め込み式よりこの方が融通が利く。また最近主流のタッチパネルに関しても、センターメーターより手前にあって使いやすそうだ。ただし、視線はやや落とさざるを得ないだけに、位置の問題だけはいかんともしがたい。

試乗車スペック
MINI クーパー S
(1.6Lターボ・6MT・295万円)

●形式:ABA-MF16S ●全長3715mm×全幅1685mm×全高1430mm ●ホイールベース:2465mm●車重(車検証記載値):1210kg(760+450)●乗車定員:4 名●エンジン型式:N14B16A ● 1598cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・直噴ターボ・横置 ● 175ps(128kW)/5500rpm、24.5 kg-m (240Nm)/ 1600-5000rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/50 L ●10・15モード燃費:14.4 km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●タイヤ:205/45R17(Dunlop SP Sport 01 DSST [RunFlat]) ※標準は195/55R16 ●試乗車価格:356万円( 含むオプション:スポーツレザーステアリング 2万3000円、レザーシート 27万円、シートヒーター 5万2000円、インテリアサーフェス・ブラッシュアロイ 2万6000円、クロームラインインテリア 2万2000円、自動防眩機能付ルームミラー 2万5000円、17インチアロイホイール 12万円、ホワイトボンネットストライプ 1万7000円、メタリックペイント 5万5000円 ) ●試乗距離:約140km ●試乗日:2007年4月 ●車両協力:MINI 名古屋守山

 
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MINI 名古屋名東

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