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MINI クーパーS コンバーチブル新車試乗記(第353回)

MINI Cooper S Convertible

(1.6リッターSC・6MT・323万4000円)

 

2005年02月12日

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キャラクター&開発コンセプト

「Always Open」

日本でNEW MINIがデビューした2002年3月2日(ミニの日)から、もうすぐ3年。その間に、スーパーチャージャー搭載のホットモデル「クーパーS」や特別仕様車を次々出しながら、事実上の単一モデルにも関わらず約1000台/月の販売台数をキープしてきた。2004年の輸入車販売台数ではモデル別で5位、ブランド別で6位。その勢いをさらに加速させるべく2004年夏に発表されたのが、今回の4人乗りオープンモデル「コンバーチブル」だ。

最近のオープンカーは軽量で折り畳みが簡単なソフトトップ(幌)、あるいは普段はクーペとして使える開閉式メタルトップの2種類に分かれてきたが、MINIが選んだのは前者。「Always Open」をスローガンに、軽量で開閉の速いソフトトップを採用し、「たまに天気の良い日に海岸沿いのドライブに屋根を開けるだけのオープンカーとは違います」と硬派に訴える。また、コンパクトなボディながら、実用性を重視した4人乗りなのも大きな特長。4シーターオープンモデルには珍しく、クーパーSのように高性能モデルがあるのもユニークだ。なお、「コンバーチブル」という名称は実質的にカブリオレと同じで、一般的には耐候性の高い幌を備えたオープンカーを意味するが、前者は主に英語圏でよく使われ、後者は欧州の大陸側(フランスやドイツなど)で使われることが多い。

価格帯&グレード展開

コンバーチブルは44万円1000円増し

MINIはワン、クーパー、クーパーSと3グレード展開だが、コンバーチブルが設定されたのはクーパーとクーパーSのみ。価格はクーパーコンバーチブルの5MTが282万4500円、同CVTが292万9500円、クーパーSの6MTが323万4000円(今回の試乗車)となる。

待望の6ATを追加

コンバーチブル発売の3ヶ月後には、クーパーS(通常モデルとコンバーチブル)に、6AT仕様をオプション設定した。従来、MINIでオートマチックを選ぶ時はONEかクーパーのZF製CVT(起源はローバー200シリーズまでさかのぼる)しかなかった。今回の6ATはアイシンAW製のトルコン式で、現行フォルクスワーゲン・ゴルフやアウディTT(おなじくアイシンAW製)と同じ横置きの多段ATだ。トルクコンバーターの自然な感覚に慣れた日本のユーザーには、大いに歓迎されるはず。オプション価格は15万7500円だ。6AT車のデリバリーは同3月から始まる予定だが、コンバーチブルの場合はかなり早めにオーダーを入れないと納車はそうとう遅れそうだ。

パッケージング&スタイル

どこから見ても絵になる

ボディサイズは全長3655mm×全幅1690mm×全高1415mmで、全高が通常モデルより40mm低い。ボディカラーは全12色で、試乗車はコンバーチブル専用のクールブルー。幌はブラック、濃紺、濃緑の3色から選べる。どこから見ても絵になるスタイルで、4シーターカブリオレ特有のボディ後半部の間延び感はなく、ロードスター(2座のオープンカー)という雰囲気。キャンバス製の幌を閉めた時も格好が良く、雰囲気がある。リアウインドウはもちろん熱線入りのガラス製。アクリル製ウインドウのオープンカーはほとんど過去のモデルとなりつつある。

2004年のマイナーチェンジを期に「若干ではありますが効果的」(BMWプレスリリース)なデザインの変更が行われ、グリル周辺やヘッドライト(クーパーSはキセノンが標準)が新意匠になった。さじ加減がなかなか絶妙だ。

オープン化で130kg増加

標準は16インチホイールだが、試乗車はオプションの17インチ。2465mmと長めのホイールベースは通常モデルともちろん同じ。ゴルフカブリオレのようにBピラーを結合するロールバーが無いので、補強には気を使っている。サイドシルの板厚を増して、補強プレートを追加してねじり剛性を確保。Aピラーのスチール製パイプによる補強はお約束だが、アルミロールバーの追加、見た目にはロールバー機能さえありそうな極太フレーム付きの幌、側突対策にドア強化といった要因で、重量は約130kg増加した。

多種多様なオプション

インテリアは基本的に従来と同じだが、内装もマイナーチェンジに伴い、微妙にデザイン変更。BMWらしくパネルやシート素材なども多種多様なオプションがあり、試乗車のボディ同色パネルもそのうちの一つだ。

 

中央のスピードメーターは憎めないデザインだが、走行中はかなり見にくい。オプションで燃料計、油温計、水温計、油圧計のコンビメーターを選べば、ステアリングコラム上に移動できる。

 

夜間はオレンジ色の透過照明で文字が浮き上がり、なかなか美しい。インナードアノブの裏側のLEDが光って場所を示すなど、気が利いている。

ちゃんと4人乗れる

大人二人がちゃんと乗れそうな後席。座面が高くて楽な姿勢で座れるのと、視界がいいからだ。両脇に幌の収納スペースがあって幅がきついが、圧迫感は少ない。4人でロングドライブはちょっと疲れそうだが、十分実用に耐える。高強度アルミ製ロールバーは台座からして頑丈な作りで、万一の横転に十分に耐えそうだ。

トランクスルーあり

遊びグルマ以上を目指した荷室。往年のミニのように下ヒンジで開くトランクを電磁ロックで開けると、165リッター(幌を収納した状態で120リッター)のスペースが現れる。ここに小型の3脚とカメラバッグ、ショルダーバックがすんなり入った。さらに、2つのレバーを操作してトランク容量を拡大する「イージー・ロード・システム」があり、さらに後席背もたれが5:5分割で倒れ、トランクスルーにもなる。2名乗車で幌を閉めた状態なら最大605リッターのトランクに変身。実用性を失わない工夫はお見事。

基本性能&ドライブフィール

粘りに粘るトルク

試乗したのはクーパーSのコンバーチブル(6MT)。1600ccのエンジンにスーパーチャージャー(機械式過給器)を装着したモデルだが、マイナーチェンジで従来より7psと1kgm高い、170psと22.4kgmを発揮。低回転からわき出るトルクが特長だ。

まず幌を閉めた状態で走る。アクセルオフ時に「ボボボ、ボォン」とアフターバーンの音がかすかに聞こえ、ハイチューンぶりが伝わってくる。マイチェン前の普通のクーパーSでは聞き覚えがない音だ。ドイツ系スポーツモデルにならって、パワステは重く、クラッチも重い。アクセルを踏み込むと「キュイーン」と過給音を立てながら、グーンと一気に加速する。

フライホイールの慣性

粘り強いトルクのせいで、あっけなくスムーズに走れるのも特長。とにかくフライホイールが重く、アクセルを煽ってもレスポンスはかなり鈍(ドン)。その代わりに、普通ならガクガクッとストールしそうな低回転でも、このエンジンはウーと唸りながら加速してしまう。いったん発進すれば、ほとんどギアチェンジなしでオートマチックのように走ってしまう。雑にシフトダウンしてもフライホイールの慣性が大きく、ショックはほとんどない。

ターボ車や高性能NAのようにパワーが二次曲線的に盛り上がらないから、高回転でも荒々しさはない。だから加速感は少ないが、心拍数も上がらない。常時スタンバイのトルクを感じながら、リラックスしたまま高性能が楽しめる。実際そうとうに速いクルマで、メーカーによると、0-100km/h加速は7.4秒(おそらく0-400mは15秒台)、最高速度は215km/hという。

ハードな足まわり

コンバーチブルのサスペンションは、クーパー、クーパーSそれぞれに、ワンランク柔らかい足まわりがついているらしい。つまり、クーパーコンバーチブルは通常のONE相当、クーパーSコンバーチブルにはクーパー相当の足まわり。実際、短時間乗ったクーパーコンバーチブルの乗り心地は、ちょうどONE並みにソフトだった。

クーパーSコンバーチブルも舗装のよいところではスムーズで乗り心地も悪くない。しかし段差では、オプションの17インチホイール&ランフラットタイヤのせいか、かなりバシッと鋭く揺すられる。市販車でここまでハードな感じの足は、最近はちょっと覚えがない。また、荒れた路面では、ボディ(特にボディ後半の、ちょうどコの字型に開いたあたり)がブルッと震えるのが分かる。ゴルフカブリオのようにロールバーを付ければ楽だったと思うが、ニュービートル(ロールバーなし)の例もあるし、スタイリングは譲れなかったのだろう。

真冬でもAlways Open

MINI コンバーチブルで幌を開けて走るのは最高に楽しい。シートに座ったままフロントウインドウ上部のボタンを押すと、「サンルーフモード」として40cmまで開く。これはオープンカー初のアイディアだが、ちょっとだけ開けたい時に便利だ。走行中は風がビュービューうるさく、全部開けるか閉めるかどっちかにしたくなる。

 

さらにボタンを押し直すと、ウイーン、ガッコンと、およそ15秒(ロック含む)でフルオープンになる。信号待ちで十分に開閉できる速さだ。しかも6km/h以下なら、走行中も操作できる。フロントスクリーンが前方で立っているので、開放感はかなり高い。現代オープンカーの代表であるユーノスロードスターと比べると、3角窓の分も含めてガラス部分がずっと小さく、ずっと遠くにガラスがあるように感じる。

気になる巻き込みはさほどでなく、高速道路でも法定速度くらいなら十分耐えられる。試乗は2月上旬の名古屋周辺(日中10度Cほど、夜間は0度C近い)で行ったが、普通の外出着で思ったほど寒くなかった。風の巻き込みはユーノスロードスターと同程度か、コンバーチブルの方が少しマイルドかな、という感じ。サイドウインドウが前後に長く、リアのクォーターウインドウで調節できるのが大きい。少なくとも、帽子を被っていなくても頭が寒くなかったのは驚きだ。強力なヒーターとシートヒーター(オプション)の備えも大きい。

高速道路でもAlways Open

幌を開けた状態で高性能を味わうと、クーパーSコンバーチブルの狙いがよく分かる。100km/h巡航は6速トップでも2800回転くらいと高めだが、そこから2段ほどシフトダウンしてキュイーンと加速していくと、140km/hまではあっという間。アクセルを踏み続ければ、最高速215km/hはカルいと思えるパワー感だ。追い越し加速は、国産ターボ4WDカーに張るのでは?と錯覚するほど力強い。この小さなボディ、しかもオープンカーで、というあたりが面白い。

問題はこのへんの速度から普通のクーパーS同様、直進安定性が心もとないことで、特に荒れた路面では緊張感がある。念のため、幌を閉めた状態でも試したが、感覚は大差なかった(風切り音が収まるのは、精神的に安心だが)。

ハンドリングとしてはFFらしいもので、弱アンダー、タックインもそこそこ効く。何より、ペタンと路面に張り付いたような姿勢で、くるっと向きを変えるクラシックミニ以来のコーナリング感覚がちゃんと演出されているのは素晴らしいところ。パワーがあるので全開発進時のホイールスピンは激しいが(DSCがすぐに効く、オフスイッチあり)、コーナリングの限界はかなり高い。

ここがイイ

ミニの形はオープンにも向いている。クラシックミニにもオープンモデルがあった(正規ではなく、コーチビルダーだった)が、ニューミニもスタイリングが素晴らしい。さらに後席やラゲッジなど、単なる屋根無しではなく本気で作ってることもいい。完成度の高いオープンモデルだ。

スクリーンが立っているのでオープン感覚が強く、それでいて風の巻き込みは少ないという絶妙なオープンエアのさじ加減。オープン好きの気持ちがよく分かってるし、初めて買うオープンカーでも後悔しない。何しろ電動オープン・クローズドの時間が短いから、実用になる。基本はいつでもオープン、駐車時と雨天時のみクローズドが可能だ。

ワインディングが楽しい。クロスした6速、軽いとはいえないがしっかり感のあるクラッチ、ヒール&トゥのしやすいペダル配置、クイックなステアリング、接地感バツグンのコーナリングなど、MT+FFの醍醐味あり。よく効くDSCがあって安心感も高い。またキセノンヘッドランプなど装備も充実。つまり320万円は割安感十分。

ここがダメ

リバースへ入れるときのシフトレバーの重さ。力を入れて左前に入れるポルシェ風だが、古いポルシェでもこんなに重くない。普通の女性の力では厳しいかも。6ATにするか、左手を鍛えるか。シフトレバーのグリップもでかすぎ。同様にパワステも女性には重すぎ。交差点くらいの曲がりは重々し過ぎる。ある程度の高速コーナーは確かに「ゴーカート」感覚でいいのだが。まあ昔のミニ(最後までついにパワステは付かなかった)はもっと重かった。オトコのクルマ?

アッと驚く後方視界のなさ。後ろの車のフロントウインドウから上しか見えない。二つの丸いロールバーについた後席用ヘッドレストがその大きな原因。ロールバーの山の間に空いたカタチに合わせたルームミラーの視界も狭い。せめてもう少しこれが広いといいのだが。度々指摘されているが、シート調節レバー類の操作は複雑すぎて、慣れないと相当とまどう。

ドライビングコンピューターが表示する燃費は6.0km/L弱。10・15モードは11.2km/Lだが、アクセルを踏むと性能に比例して大食いに。これだけアフターバーンしてれば、それも当然か。またクーパーSは乗り心地がハード過ぎ。クーパーコンバーチブルはその点はOKだが、クーパーSに乗ってオープンで爆走する面白さは、ほかに代え難い魅力。クーパーSのパワー+クーパーのサスペンション、が欲しいところ。

スピードメーターが見にくいのは、よく走るこのクルマにとってちょっと辛いところ。これはタコメーターの液晶にスピードが表示できれば解消できるのだが。まあそれができない現状では、センターメーターをカーナビに置き換え、ステアリングコラムにツインメーターを置くオプションがいい。ダッシュ上にはカーナビをつける余地はなさそうだし。センターメーターという伝統的魅力が無くなるのは残念だが。

重いフライホイールは好みが分かれる。運転はイージーで初心者にはいいが、MTでもここまで雑な運転をカバーしてくれると、これ以外のMT車に乗れなくなりそう。もっとも、このクルマに似合うのはMTかATかの選択ではなく、マニュアルモード付きATだ。6AT車の登場を待ってから、購入を検討しても遅くはない。

総合評価

試乗したクーパーSはスポーツカー要らずのGTカー。異様に!?ハイチューンで、ちょっとゲルマンの狂気あり。このあたりは英国人だったらできなかったか(クラシックミニに、EARターボってのはあったが)。平坦な道なら乗り心地は悪くないが、段差でビシバシ来るハーシュネスは、ボディ剛性の不足を感じる。サスの固さ、タイヤの固さはあるにしても、やはりこのサイズをオープンにしたつけはあるかと思う。とはいえ信号の間にオープン可能な屋根、窓を上げれば風の巻き込みなしのオープン走行はそれを補って余りある。摂氏0度に近い夜のオープン走行も試みたが、シートヒーターをつけ、ヒーターの向きを考慮すれば、停車中は暖気が空へ逃げるためちょっと寒いものの、走行中は全く寒さ知らず。開放感たっぷりのウインドウシールド位置だから、冬のプラネタリウムデートも楽しめるだろう。

というわけで小さくて、すごく楽しくて、またまた欲しくなった。ライバルはニュービートルカブリオレかPTクルーザーカブリオか。パワフルな走りという点ではこれらを凌駕する。実は強力なライバルというか障害があった。それは花粉。今年はすごいらしい。いくらこのクルマがいいと思っても花粉症の人はどうしようもない。将来、進化したオープンカーはエアカーテンつきになるだろう。

試乗車スペック
MINI クーパーS コンバーチブル
(1.6リッターSC・6MT・323万4000円)

●形式:GH-RH16●全長3655mm×全幅1690mm×全高1415mm●ホイールベース:2465mm●車重(車検証記載値):1310kg (F:780+R:530)●乗車定員:4名●エンジン型式:W11B16A●スーパーチャージャー付・1598cc・直列4気筒・横置●170ps(125kW)/6000rpm、22.4kgm (220Nm)/4000rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/50L●10・15モード燃費:11.2km/L●駆動方式:前輪駆動(FF) ●タイヤ:205/45R17(DUNLOP SP SPORTS 9000 DSST ※オプション装備)●価格:323万4000円(試乗車:356万5800円 ※オプション:インテリアサーフェス ボディ同色 1万500円、スポーツレザーステアリングホイール 1万2600円、CDオートチェンジャー 4万6200円、ハーマンカードン製HiFiシステム 7万3500円、17インチアルミホイール&ランフラットタイヤ 13万6500円、メタリックペイント 5万2500円)●試乗距離:約160km ●車両協力:MINI名古屋守山

公式サイト
http://www.mini.jp/com/en/mini_cooper_s_convertible/contents.html

 
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