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ダイハツ ミラ カスタム X新車試乗記(第449回)

Daihatsu Mira Custom X

(0.66L・CVT・120万7500円)

エッセ、ソニカ、新型ムーヴに続く新型ミラ。
その自然吸気+CVTの
実力はどうだったか?

2007年02月03日

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キャラクター&開発コンセプト

エンジンとシャシーはムーヴと共有

2006年12月18日に発売された新型ミラは、今回で7代目。エッセで新開発の自然吸気エンジンを導入し、ソニカで新型ターボ+CVTを投入。続くムーブでプラットフォームを刷新と、ダイハツは新開発に熱心だが、新型ミラは言わばそれらの集大成。トールワゴンのムーヴに対して、オーソドクスなハッチバックという守備位置を守りつつ、エッセのようなシンプル・低価格路線から、ソニカのような上級路線までカバーする。

アイドリングストップ機構付き車が、ガソリン車トップ(2006年11月末現在)の10・15モード燃費27.0km/Lを達成したのもニュースの一つ。販売目標はムーヴ(月間1万2000台)の半分となる6000台だ (従来モデルを継続販売する商用バン[月間2000台]を除く)。

価格帯&グレード展開

ミラが87万1500円~、カスタムが110万2500円~

大人しい雰囲気の「ミラ」は、全てNA(自然吸気)エンジン。5MTと3ATの「L」(87万1500円)、4ATの「X」(97万6500円)、CVTの「Xリミテッド」(105万円)と、変速機は4種類もある。NAエンジン+CVT+アイドリングストップ機構付きの「X リミテッド“スマート・ドライブ・パッケージ”」は、ミラで最も高価な113万4000円。4WDは13万6500円高だ。

スポーティな性格の「ミラカスタム」は、NAエンジン+4ATの「L」(110万2500円)、今回試乗したNAエンジン+CVTの「X」(120万7500円)、ターボ+CVTの「RS」(141万7500円)の3モデル。4WDは13万1250円高。

ダイハツによると、初期需要ではミラが約60%、ミラカスタムが約40%。CVT率は約50%。40代以上の比率は約65%という。販売の現場によると「やはりミラからミラへの乗り換えが多い」とのことだ。

パッケージング&スタイル

言わば「背がちょっと低いムーヴ」

全長と全幅は言うまでもなく3395mm×1475mm。全高は立体駐車場に入る1530mmだ。これはソニカ(1470mm)の+60mm、ムーヴカスタム(1615mm)の-85mm、普通のムーヴの-100mm。つまりソニカとムーヴの中間となる数値だ。ホイールベースの数値(2490mm)で分かるように、プラットフォームは新型ムーヴと同じ。簡単に言って「背がちょっと低いムーヴ」と考えていいだろう。

車台が同じせいか、スタイリングもムーヴによく似ている。これよりスポーティなものならソニカ、ファミリーなものならムーヴやタントがあり、それらニッチモデルのニッチという感じだ。複雑なプレス面、試乗車の「プラム・ブラウン・クリスタルマイカ」の塗装品質などはリッタカーと比べて全く遜色ない。

ムーヴとは色々違う

写真上がミラカスタム、写真下がムーヴカスタムだ。インパネシフト&エアコン操作系周辺は共通のようだ。しかし比べてみると、メーター(ミラ:運転席正面、ムーヴ:センター)、ダッシュボード上面(ミラ:普通、ムーヴ:ブリッジ状)、Aピラー(ミラ:三角窓なし、ムーヴ:三角窓あり)などが全く異なる。

根本的な違いは、ムーヴの着座位置の方が高いこと。ドライバーの視点も高い分、サイドウインドウの下限(ウエストライン)も高い位置にある。いずれもセンターメーターおよびコンソールは明らかに助手席側に寄せられており、パッセンジャー側は若干の狭さを感じる。

カスタムに標準のキーフリーシステム

ドアの解錠・施錠とエンジン始動・停止が可能なキーフリーシステムをカスタム全車に標準装備。ダイハツのものは、クルマ周辺にいるかいないかを感知して、ロックを行なうタイプだ。他社のようにリクエストスイッチ(ドアノブ周辺にある黒い小さなボタン)を押す煩わしさはないが、検知範囲の境界(クルマから1~2メートルくらいか)で立ち話をしていると、時に解錠・施錠を繰り返すことがある。少し離れれば問題ない。オプションのアドバンスト・オペレーションパック(3万6750円)でトヨタ車のようなプッシュボタンスタートにも出来る。

一部グレードの後席は前後スライド付き

カスタムXおよびカスタムRS用のリアシートは、ムーヴと同じ前後スライド(255mm ※2WD)機構付き。クッションが少々薄いが、座り心地に大きな不満はない。シートを最後端まで下げれば、足もと空間があり余るほど生まれるが、ならばもう少し座面長を伸ばしたいところ。フルフラットにするため短くしたのなら、もったいない話だ。ダイハツゆえ、ドアは4枚とも90度開く。

カスタムX/RSなら、後席の背もたれを倒すと自動的に座面が沈み込み、段差の少ない荷物スペースが生まれる。最大荷室容量(2名乗車状態)は414L。

基本性能&ドライブフィール

自然吸気+CVT車に試乗

前々回のソニカ(ターボ+CVTのみ)はもちろん、前回のムーヴカスタムでも「良くて当たり前」のターボ+CVTに試乗したため、今回はあえて自然吸気に試乗した。試乗車はミラカスタムの「X」。エッセから投入された自然吸気3気筒エンジン「KF-VE型」(58ps、6.6kg-m)に、ソニカとムーヴで採用した3軸ギヤトレーン構造の新型CVTを組み合わせたモデルだ。

さすがにトルクはターボ車のように分厚くないが、ほんの数年前のNA+CVT車のような、回転だけウワーンと上がってから車速が追いついてゆく感覚は、かなり少なくなっている。ターボ車のようなリッタカー・キラーぶりは無いが、「(NAだと思えば)十分にトルキー」と感じる人が多いだろう。トルコンATのエッセみたいな素朴でダイレクトなフィーリングはなく、CVTによってずいぶん洗練された印象になっている。アイドリング振動がエッセに比べて格段に少ないのは、新しいエンジンマウント(2点+トルクロッド)のおかげか。

気になったのは、ソニカやムーヴの時にも少し触れたCVTのベルトノイズだ。ダイハツの新型CVTは一般的なCVTと異なり、ヒュ-ンと風のような(あるいはターボチャージャーのタービンのような)音を発する。個人的にはそう耳ざわりではなく、むしろ従来のCVTノイズより好ましく思えるが、なにしろ耳慣れない音なので、クルマに詳しくない人には説明が必要だろう。ターボに比べてエンジン回転が上がりがちなせいか、あるいはターボの消音効果が得られないたエンジンノイズ全体が大きいせいか、はたまた遮音・制振材が少ないためか、以前乗ったターボ車より、ベルトノイズは大きめだった。

シャシーは相変わらずの完成度

ムーヴ同様、シャシーのポテンシャルは行き着くところまで行っている。2490mmの超ロングホイールベースのシャシーは、高張力鋼板やらガセットやらで徹底的に剛性が高められている。乗り心地も操縦性も、軽に求められる範疇では十分と言えるもの。NAエンジンとの組み合わせでは余裕すら感じられる。試乗車の155/65R14タイヤは韓国Hankook製だが、同サイズの国産タイヤに遜色は一切ない。ただ、ムーヴより低重心ということで期待するほど、懐は深くない。その点では、サスペンションのストローク感があるエッセの方が、単純明快だ。比較的堅めの乗り心地だがロールは大きめ。楽しくワインディングを駆けめぐる、というわけにはいかない。

高速巡航は100km/hで3200回転、120km/hで4000回転、最高速は140㎞/h弱といったところ。巡航体制に入ればエンジン回転も低めに落ち着き快適なのだが、追い越し時にはCVTの遅れ感が気になる。ターボ車のような力感はやはり期待できない。100km/h以上では風切り音が結構気になる(試乗日は横風が強かったせいもあるが)。むろん、昔の軽のことを思えば、不満をいうとバチが当たる。

このNA+CVT車の10・15モード燃費は25.5km/Lだが、今回は撮影から高速走行まで140kmほど走って12Lを消費し、アバウトではあるが12km/Lだった。なお軽に詳しい人はご存知のように、ダイハツ車の燃料タンクはおおむね大きめで(ミラは36L ※2WD)、他車で多い30Lタンクより航続距離には余裕がある。

ここがイイ

複雑な面構成による塊(かたまり)感のあるエクステリアデザインは、出色の出来。一見地味だが、よく見るとこの限られた寸法の中で、実にまとまった破綻のないデザインになっている。先代と同じ全高ながらミニバン的な背の高さを感じさせず、どっしり感があるのはスタンダードな5ドアハッチらしくて素晴らしい。

室内空間は横幅がムーヴと同じ1350mmで、これは小型車ブーン(パッソ)より50mm狭いだけ。軽は幅だけが弱点、と言えなくなりそうな空間が広がっている。

ここがダメ

標準仕様では、ステアリングもシート高も調節が効かないこと。大柄な男性は、居心地の悪さを感じるはず。メーカーオプションで用意される「アジャスタブルパック」(運転席シートリフター、チルトステアリング、アジャスタブル・ショルダーベルトアンカー 1万5750円 )は、全車標準にすべきでは?

せっかくの燃費計が瞬間燃費しか表示しないこと。平均燃費との切り換え式にすべき。またエアコンのコンプレッサーが唸り出すと、ちょっとうるさく感じる。

総合評価

ミラといえば1980年に登場したミラ・クォーレが印象深い。欧州ミニカー風のルックスは、エアロパーツを付けるとイノチェンティ・ミニみたいにカッコよく変身した。カタログ値の最高速度は105km/hだが、もうちょっと出たことを記憶している。今から思えば牧歌的な性能だ。そしてこの頃のダイハツ車は他社の軽とクォリティ面でそう大きな差はなかったものだ。しかし今、ダイハツの突出ぶりは著しい。それが売れ行きにも反映しているようだ。

07年1月の国内販売は、軽が過去最高の13万8269台だったが、登録車(いわゆる普通車)は23万3066台で20年前並の低水準に終わった。一方、軽ではダイハツがシェアトップの33.4%(4万6217台)、登録車ではトヨタ(レクサス含む)がシェアトップの48.9%(10万9676台)。軽自動車は自社登録の多さが問題になってはいるものの、ダイハツはトヨタの半分近くの台数を売っていることになる。日産の登録車(4万445台)より多く、ホンダの登録車(2万2656台)の倍だ。いかにダイハツの軽が売れているかが分かる。

これはソニカ、ムーヴ、ミラと続く新車攻勢や、タントのようなユニークなクルマの賜物であり、意地の悪い言い方をすれば、トヨタグループ入りしたダイハツ車が、いよいよトヨタ・クォリティを全車で確立した結果だ。とはいえ、ソニカやムーヴのターボエンジンとCVTによる動力性能の高さは素晴らしかったものの、今回試乗したNAエンジンとCVTの組み合わせは絶賛するまでのものではなかった。速く走ろうとすると、エンジン回転が上がっても速度がついてこない感覚が気になってしまう。ベルト音も小さくない。3000回転あたりでもトルクはかなりあるから、そのあたりをうまく使ってゆったり加速すればいいのだが、アクセルをつい踏んでしまうと違和感が出るわけだ。

ミラカスタムのエントリーグレード「L」ではインパネシフトの4ATになる。試乗していないが、4ATの方が低中回転型のNAエンジンと相性はいいのではないかと思う(エッセはとても良かった)。またミラの上級グレードは試乗車と同じユニットだが、量販される「X」グレードは4ATのフロアシフトとなる。つまり上級車にCVTが設定されているわけだが、これは燃費対策もあるのだろう。10・15モード燃費は4ATが22km/L、CVTは25.5km/L。ターボでもCVTなら23km/Lなのだ。

と、CVTに関しては少々気になったが、あとは総じて不満がないし、ミラクォーレと比べれば夢のクルマだ。いつも軽の試乗記で書くことだが、さらに800ccのエンジンと全幅があと+5cmあれば、コンパクトカーとしては完璧になる。スタイルはさらに良くなり、燃費は向上し、安全性は高まり、欧州のAセグメントカーと真っ向勝負可能なクルマに成長するだろう。しかし現状ではローカルな特殊車両になっている。これはとてももったいない話だ。となると軽の規格を変える話になりそうだが、それは消費者にとっていい方向に行くとは限らない。であればこのサイズ、このパワーユニットで世界に通用させてしまったらどうか。ターボとCVTなら現状でパワー的に不満はないし、フロントセンター1座、リア2座の3シーターとすれば衝突安全性もクリアしやすいように思うのだが。

ちなみにスズキはシェアトップこそ譲ったものの、やはり日産登録車を上回る4万4502台を売っている。さらに日産ブランド(軽販売では3位)やマツダブランドのOEM車があるから、実際にはダイハツ以上の台数を売っているわけで、依然ナンバーワン軽メーカーであることは間違いない。

試乗車スペック
ダイハツ ミラ カスタム X
(0.66L・CVT・120万7500円)

●形式:DBA-L275S ●全長3395mm×全幅1475mm×全高1530mm●ホイールベース:2490mm●車重(車検証記載値):810kg( F:-+R:- )●乗車定員:4 名●エンジン型式:KF-VE ● 658cc・直列3気筒・DOHC・4バルブ・横置●58ps(43 kW)/7200rpm、6.6 kg-m ( 65 Nm)/4000rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/36L ●10・15モード燃費:25.5 km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●タイヤ:155/65R14( Hankook Centum K708 )●試乗車価格:120万7500円( 含むオプション:- ) ●試乗距離:約140km ●試乗日:2007年1月 ●車両協力:名古屋ダイハツ株式会社

 
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