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アルファロメオ ミト 1.4 ターボ スポーツ新車試乗記(第564回)

Alfa Romeo MiTo 1.4 T Sport

(1.4リッター直4ターボ・6MT・285万円)

かわいいベイビー
カッコいいベイビー、
アルファのベイビーに試乗!

2009年07月10日

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キャラクター&開発コンセプト

アルファロメオの最小モデル

メーカー自ら「ベイビーアルファ」と呼ぶ、アルファロメオの最小モデルとして、欧州では2008年7月、日本では2009年5月16日に発売された「ミト」。車名はアルファロメオゆかりの地で、デザイン拠点もあるミラノ(Milano)と生産拠点のトリノ(Torino)を合わせたもの。同時にイタリア語で神話(mito)という意味も掛けられている。

プラットフォームはフィアットのグランデプントと共有。特に今回の「1.4 ターボ スポーツ」は、メカニズム的にはアバルト グランデプントに限りなく近いモデルだ。

■参考(過去の新車試乗記)
・アバルト 500 (2009年7月4日)
・フィアット グランデプント 1.4 16V スポーツ (2006年9月22日)

価格帯&グレード展開

ひとまず1.4ターボ・6MT仕様を導入


ボディカラーは今のところ定番のアルファレッド、ホワイト、ブラックの3色

日本仕様として今回用意された「1.4 ターボ スポーツ」は、フィアット傘下の高性能グレードでおなじみの1.4リッターDOHCターボ(155ps)を搭載したもの。変速機は6MTで、右ハンドルのみ。

■ミト 1.4 ターボ スポーツ (右ハンドル)    285万円 ★今週の試乗車

イタリア仕様には1.4リッター自然吸気ガソリン「1.4 16V」(78ps)や1.6リッターディーゼルターボ「1.6 JTDM」(120ps)があり、特に後者のディーゼルターボは32.6kgmという強力なトルクを発揮する。また将来的にはDCTの一種となる「DDCT」(デュアル ドライ クラッチ トランスミッション)車の投入も予告されている。

パッケージング&スタイル

モチーフは8C コンペティツィオーネ。目指すは小型3ドアクーペ


Cd値は0.29と全長4メートル余のハッチバック車としては優秀

ボディサイズは全長4070mm×全幅1720mm×全高1475mm。プラットフォームを共有するグランデプントとは、サイズ的にもそれぞれ+20mm、+35mm、-20mmと近く、2510mmのホイールベースもまったく同じ。ただし外観デザインにグランデプントを思わせるものは、ほとんどない。ボディタイプは3ドアのみだ。

つぶらな瞳が印象的なフロント部は2006年に量産型が発表された「アルファロメオ 8C コンペティツィオーネ」をモチーフとしたもの。背高のFF車に、FRスーパースポーツのデザインを応用するという発想はかなり無茶だが、そこはイタ車、そこはアルファ。常人では不可能なセンスと力業で、インパクトと色気のあるデザインに仕立てている。

 

後ろに回るとその末広がりなシェイプがよく分かる。思い切り左右に張り出したフェンダーとタイヤ、やたらボリューム感のある腰高のバンパーが土台となり、小さなリアウインドウとリアゲートが上屋を構成する。そして両脇には分厚いメッキリングで囲まれた丸形LED式のリアコンビランプを配置。クラシカルにもモダンにも見える絶妙なデザインだ。

どこから見てもアルファらしいインテリア。テレスコが便利

インパネの基本骨格はグランデプント譲りで、メーターや空調吹き出し口のレイアウトなどは同じだ。ただしデザインはミト専用となり、いかにもアルファロメオらしいスポーティなものとなっている。ただし着座位置や視点は高めで、空間的にも上方向に広いという感覚が強い。

 

ドライビングポジションに関してはABCペダルの間隔がやや近過ぎ、ペダルの踏み替えやヒール&トゥがやりにくいが、ステアリングにテレスコ(伸縮調整)が付くのは大助かり。おそらくほとんどの日本人は手前までいっぱいに伸ばすことになりそうだが、これによって足もとに余裕が出来るので、ペダル操作はずいぶん楽になっている。

シフトノブや鍵までデザイン凝ってます

6MTのシフトノブは、レザーの上にメタルや樹脂を組み合わせた凝ったもの。アバルト500のようにアルミ無垢を使ったものとは対照的にエレガント。長めのストロークは最初ちょっと気になるが、これもアルファらしいと言えばらしい。リバースはリングを引いて左奥だ。

シフトノブの横には走行モード切替用のスライド式スイッチが備わる。操作してもスイッチは常に真ん中の中立位置に戻り、LEDで現行モードを示すタイプだ。スイッチが中立位置に戻る点では、スバルのSI-DRIVEのロータリー式セレクターとよく似ている。フィアットもスバルも元はGM傘下だったので、技術的な根っこは近いのかも。

 

キーはベース部分こそフィアット車と共通だが、ロック/アンロック部分のボタンがアルファの盾になっている。一時期アルファロメオのキーには、プチトマトみたいに真っ赤なキーヘッドが付いていてカッコ良かったが、最近は割と味気ないデザインだったので、これは嬉しいところ。今後はミト以外のモデルにも、順次採用されてゆくようだ。

「この肩の刺繍が目に入らぬか」

標準仕様のシート生地も、8Cコンペティツィオーネのそれをモチーフにしたというもの。背もたれや座面の中央部に使われた立体感のあるクロスが気持ちいい。試乗車の場合、ショルダー部にはグレーの生地に白糸でアルファロメオの紋章が刺繍される。乗り込むときに見える窓側ではなく、内側に配したチラリズムがオシャレだ(単に乗降時の擦れを嫌ったのかもしれないが)。この刺繍も8C コンペティツィオーネ譲りらしい。もちろんアルファらしく、ポルトローナ・フラウ社製のレザーシートもオプションで用意される。

 

エアバッグは運転席ニー(膝)を含む計7個を標準装備。前席にはダブルプリテンショナー&ロードリミッター付3点式シートベルト、アクティブヘッドレストも備わる。Euro NCAPの衝突安全テストでは最高評価の5つ星を獲得している。

リアシート(日本仕様)は2人掛け。狭くはないが、広くもないく

イタリア仕様では5人乗りもあるようだが、日本仕様の乗車定員は4名。なのでリアシートは2人掛けとなるが、背もたれ角度は適切で、足もとにも余裕があるから、大人でも快適に過ごせそうだ。フィアット500のように白内装やグラスルーフによる明るさはないが、居住性や空間形状は割とそれに近い感じ。

一方、ネガティブに捉えれば、このクラスのFFハッチバック車としては明らかに狭く、3ドアなので乗降性も当然悪い。また閉所感もそれなりにある。全体としては、小型クーペとハッチバックの中間をゆくようなリアシートだ。

荷室はグランデ プントと同様。ヘビーな積載は想定外

グランデプントもそうだったが、敷居の高さが半端じゃないトランク。荷室容量も少なめで、グランデ プント(257リッター)と大差ない270リッターだ。いちおう18リッターのポリタンクが4つ並んで入るが、なにしろ敷居が高いので重い物の積み卸しには腕力が要る。

 

さらにダブルフォールディング(座面を跳ね上げてから背もたれを倒す)で拡張も可能だが、背もたれの裏側(フロアになる方)はグランデプントやフィアット500と同じ鉄板むき出し。また試乗したベーシックモデルの背もたれは分割可倒型ではなく、左右一体式となる。背もたれのロックは片側ずつでも外せるので、それほど操作しにくくはないが、いずれにしても日常的にフル積載することは考えられていない感じ。

なお以前試乗したグランデプント(2006年式の1.4 16V スポーツ)はパンク修理キットだたったが、今回試乗したミトは、テンパースペアを搭載していた。これはおそらく、たまたまこういう仕様だっただけだろう。

一つ便利だと思ったのは、リアゲートにオープナーが備わること。フィアット500にはあるが、グランデ プントにはない。オープナースイッチはアルファのエンブレムそのもので、上から押すと電磁ロックが外れて、ゲートがボムッと浮き上がる。

基本性能&ドライブフィール

フィアット系でおなじみの1.4リッターターボ

ミトのエンジンはフィアット傘下で広く使われている1.4リッターDOHCターボ(155ps、20.5kgm)で、アバルト グランデプント用と同じもの。アバルト500用エンジン(135ps、18.4kgm)の高出力版にあたる。

さらに走行モードを変更できる「アルファロメオ D.N.A.」システムの「D」(ダイナミック)を選ぶと、オーバーブーストが有効になり、最大トルクは23.5kgm/3000rpmに跳ね上がる。メーカーが主張する最高速は215km/h、0-100km/h加速は8.0秒だ。

    最大出力 最大トルク 最大トルク ※オーバーブースト時 車重 変速機
アバルト 500 135ps/5500rpm 18.4kgm/4500rpm 21.0kgm/3000rpm 1110kg 5MT
アルファロメオ MiTO 1.4 T スポーツ 155ps/5500rpm 20.5kgm/5000rpm 23.5kgm/3000rpm 1220kg 6MT
アバルト グランデプント 155ps/5500rpm 20.5kgm/5000rpm 23.5kgm/3000rpm 1240kg 6MT
アバルト グランデプント エッセエッセ 180ps/5750rpm 27.5kgm/2750rpm   -   1240kg 6MT

ノーマルモードならデートカー

ひとまず D.N.A.システムの中間モードである「N」(ノーマル)で走り出せば、自然吸気のような扱いやすさとターボらしいトルク感の両方が適度にあり、快適な上級コンパクトカーといった感じで走る。車重はアバルト500に比べて110kgほど重い1220kgで、ホイールベースは210mmも長い2510mm。フラットでシッカリした走行感覚は、シャシーを共有するグランデプントと同じだが、ミトの場合はよりアルファらしく、デートカーとして使いたくなる雰囲気がある。少なくとも街乗りでは、ノーマルモードが一番走りやすい。

ダイナミックモードではいきなり体育会系

一方、一筋縄でいかないのが、「D(ダイナミック)」モードでの走りだ。最大トルクは20.5kgmから23.5kgmへと1割5分ほど増し、発生回転域も5000rpmから3000rpmへと一気に下がる。この数値だけ見ると、低回転フラットトルク型のように見えるが、実際には急激にトルクが立ち上がる印象の方が強い。またフィアットによれば、ダイナミックモードではトラクションコントロールやブレーキ制御などの介入が「極めて限定的」になるという。VDCのオフスイッチはなく、このダイナミックモードがそれに相当するわけだ。


(photo:フィアット グループ オートモービルズ ジャパン)

同時に電動パワーステアリングの重みがグッと増すなど、操作系はいきなり手強さを増し、緊張感が高まる。またミトの新機軸の一つである電動パワステのアシスト量制御で主にオーバーステアを抑制する「DST」(ダイナミック ステアリング トルク)の介入も控えめになるようだ。一方、ブレーキ制御による疑似LSD機能(「電子制御式Q2機能」と呼ばれる)によって、旋回時の最大横Gを未装着時の0.95Gから1Gにアップさせるという。少々ややこしい話だが、とにかく電子制御デバイスを積極的に使って安全性とハンドリングを両立させようというのが、これらの意図だ。

とはいえサーキットでタイムを出すならいざ知らず、一般的なクルマ好きならノーマルモードの方が走りやすいと思うはず。タイヤは215/45R17のPゼロ ネロだが、荒れた舗装ではやや足もとがばたつく印象がある。

なおサスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがC型断面構造のトーションビーム。またダンパーは日本車にも採用例があるリバウンドスプリング内蔵型が採用されている。ブレーキはもちろん4輪ディスクだが、特にフロントはアルファらしくブレンボ製アルミモノブロックの対向型4ポッドが奢られている。

なお最後に「D.N.A」システムの「A」だが、これはオートではなく、オールウェザーを意味する。ウエット時や積雪路といった滑りやすい路面での走行を想定したものだ。

試乗燃費は10.8km/L

今回は約150kmを走行。高速・一般道をまじえたいつもの試乗コース(約90km区間)では8.5km/L。一般道でのエコランは10.8~12.5km/Lで推移したが、飛ばしてしまえば8km/L台は必至という印象。ダイナミックも何度か試しているが、基本的には明らかに燃費のいいノーマルモードで走行した。指定燃料はもちろんハイオク。燃料タンク容量はアバルト500より10リッター多い45リッターとなる。

ここがイイ

万人に「カッコいい」と言わしめるデザイン

これはもう、スタイリングにつきる。カッコよすぎ。最近のデザイントレンドはプレス技術の進化を受けて、えぐれたような複雑な面やプレスラインを良しとしているが、ミトはプレーンな面構成、張り出した前後フェンダー、丸っこくて愛らしいライト類といった、ある種古典的なデザインで構成されている。これが万人に安心して「カッコいい」と言わしめるところだと思うのだ。同様にインテリアデザインも素敵だ。

ここがダメ

2ペダル車が現時点でないこと

今のところAT(2ペダル車)が設定されていないことは、残念ながら日本では決定的に辛いと思う。

総合評価

デザインはイタ車の面目躍如

グランデプントも相当にカッコよかったが、ミトはそれに輪をかけてカッコいい。クルマは低く、幅広くすればカッコよくできるが、寸足らずでカッコいいクルマってなかなかないもの。しかしミトは、いともあっさりとそのカッコよさを達成してしまっているあたり、さすがイタ車の面目躍如といったところ。先週のアバルト 500はややスパルタンな印象が強かったが、こちらには絶妙なオシャレ感があって、より多くの人に好まれると思う。欲しくなってきた、すごく欲しくなってきた。

と、勝手に盛り上がりつつ室内へ。「まあ、これはホントにどうよ」というくらい身も心もとろけそうになる。ベーシックグレードで、もう十分なほど、シートもインテリアも絶妙。アルファロメオというブランドから想像される通りの粋さだ。いいぞ、これはいい。欲しくなってきた、すごく欲しくなってきた。

、D.N.A.の「N」は素晴らしいが……

では走りは、とまずはシートポジションを探ると、これが今ひとつしっくりこない。大柄な人ならそれなりに決まるだろうが、小柄な日本人や女性にはちょっと……。右ハンドル化のデメリットが出てしまったのか、ペダル配置もかなり厳しい。MTしかないのだから、ペダルは重要なのだが。

そう、MTしかないというのが、やはりこのクラスのクルマには辛いところ。かつてグランデプントの試乗記でも書いたとおり、2ペダル仕様はこと日本市場ではやはり不可欠なものだろう。これだけいいクルマを、それなりに売れそうな市場に投入するのであれば、投入時から何かもう少し考えてもいいのではないかと思うのだが、フィアットグループとしてはあまりそういったことは考えられないようだ。とにかく開発中であるデュアルクラッチ式ATの「DDCT」車の早期投入を望みたい。


(photo:フィアット グループ オートモービルズ ジャパン)

さて、実際に走り出してみると、D.N.A.システムの「N」状態では、これがなかなか素晴らしい。パワーこそたいしたことはないが、典型的なFF車らしい感覚で「スポーティ」に走れる。しかしD.N.A.システムを「D」(ダイナミック)に切り替えると、途端に落ち着かなくなった。どうも挙動が不自然に感じられる。よりパワフルになり、さらにVDCの介入も控えめになり、リアルなスポーツ走行ができるはずなのだが、試乗車では足まわりがバタつく感覚があって、まるで運転が下手になったかのような不自然さを感じてしまった。これが実力だとはとても思えないが……。

もうちょっと商売気に走ってもいい

ということで、個人的には「欲しい風船」が最終的に爆発することなく終わってしまったが、このスタイリング、このインテリア、このブランド力で、例えばパワーユニットがハイブリッドだったりしたら、またガソリンやディーゼルでも変速機が仮に5ATだったりしたら、日本でも爆発的に売れそうな気がする。マニアからは「そんなものはアルファではない」と怒られそうだが、メーカー自ら「ベイビーアルファ」と呼ぶのであれば、スポーティに走るだけでなく、もうちょっと商売気に走ってもいいような気がするのだ。

フィアットがクライスラーと組んだあとは、グローバルな商売ッ気がでてきて、ATがないなんて話はなくなる、と期待したいところ。何しろ本国イタリアと欧州で勝負してきたフィアットグループが、今後は北米をはじめとした全世界で勝負することになる。となると、それぞれの地域にあった商品を出すことが求められるはず。その中で極東の小国に住む我々にも、カッコよくてATのクルマを供給してもらえればありがたいことである(最近のクルマ不況をうけ自虐的になりすぎているかな……?)。

試乗車スペック
アルファロメオ ミト 1.4 ターボ スポーツ
(1.4リッター直4ターボ・6MT・285万円)

●初年度登録:2009年4月 ●形式:ABA-955141 ●全長4070mm×全幅1720mm×全高1475mm ●ホイールベース:2510mm ●最小回転半径:約5.5m ●車重(車検証記載値):1220kg( 790+430 )●乗車定員:4名●エンジン型式:199A8 ● 1368cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・横置・ターボ ●ボア×ストローク:72.0×84.0mm ●圧縮比:9.8 ● 155ps(114kW)/ 5500rpm、20.5kgm (201Nm)/ 5000rpm ※ダイナミックモード使用時は23.5kgm(230Nm)/ 3000rpm ●カム駆動:タイミングベルト ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/45L ●10・15モード燃費:-km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 トーションビーム ●タイヤ:215/45ZR17 ( Pirelli P Zero Nero ) ●試乗車価格:-円( 含むオプション:- -円 ) ●試乗距離:約150km ●試乗日:2009年6月 ●車両協力:アルファロメオ名東(株式会社ホワイトハウス)

 
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