Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > ダイハツ ムーヴ エアロダウンカスタム

ダイハツ ムーヴ エアロダウンカスタム新車試乗記(第45回)

Daihatsu Move Aero Down Custom

(0.66Lターボ・4AT)

1998年10月16日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

「表」も「裏」もあり、キープコンセプト路線で品質を大幅に向上

新型ムーヴの開発コンセプトは「幅広い用途に使えるマルチユース・ワゴン」。先代で好評のトールボディを継承しつつ、スタイリングやユーティリティを磨き込み、商品力をアップさせた。今やダイハツのドル箱に成長し、ワゴンRと激しい競争を続けてきたが、今回は他社からも強力なミニバンタイプが出揃い、その真価が問われる。

ムーヴはワゴンRよりも一層パーソナル性を強めているのが特徴。今回も先代同様、個性を明確にした2つのシリーズを揃えた。ひとつは30代のファミリーをターゲットにした「表ムーヴ」といわれる標準系、もうひとつが独身男女をターゲットにした「裏ムーヴ」とのいわれるカスタム系だ。

価格帯&グレード展開

価格帯は92~138万円

すべて5ドアボディとなっており、FFモデルの最強バージョン、SR-XXとエアロダウンカスタムに直列4気筒DOHCターボエンジン(64PS/10.9kgm)を用意したほか、直3・DOHCターボ(64PS/10.9kgm)、LEV対応の直3・DOHC(58PS/6.5kgm)、タウンユース向けの直3・SOHC(45PS/5.6kgm)が用意される。価格帯は装備を見合わせるとほぼ据え置きとなっており、FFが92~128万円、4WDモデルが112~138万円となる。

パッケージング&スタイル

「表」、ジウジアーロ・デザインのボディは高い質感をアピール

表ムーヴのエクステリアは、旧型の特徴だったAピラーからフロントフェンダーにかけて走っていたキャラクターラインが廃止され、スッキリとした上品なムードになった。またグリルが大きくなったことでハッキリとした顔つきになっているが、個性はかなり薄れている。リアは旧型のデザインを踏襲して、縦型テールランプを採用。全長3395mm×全幅1475mm×全高1695mmで、旧型よりも全長は100mm、全幅は80mm拡大され、ホイールベースは2360mmで60mm延長された。にもかかわらず、最小回転半径は4.3mと縮小され、取り回し性を向上させている。

この洗練されたヨーロピアンスタイルをデザインしたのは、何と自動車デザイン界の巨匠、ジョルジエット・ジウジアーロによるもの。そう聞かされると、自ずと素晴らしく見えてくるものだが、どことなくインパクト不足というのは否めない。どうやらジウジアーロをもってしても、軽自動車の枠とミニバンタイプという限られた条件では、個性を演出するのは難しかったようだ。ただし、オプションのエアロパーツには、強烈な個性を持つものがある(アーバンラピッドというタイプ)。

「裏」、ローダウン+エアロの異質なムーヴ、新型でさらにワルな雰囲気に

ムーヴのもう一つの顔、「裏ムーヴ」ことカスタムシリーズは、その名の通りメーカー純正カスタムカー。ワゴンR・ZZの対抗馬となり、旧型でこの路線が大ヒットしたため、今回もこの戦略が継続されることになった。

まず、外観では丸目4灯ヘッドランプが目を引く。その他、大型バンパー、サイドステップ、ルーフレール一体の立体感あるテールランプ、メッキドアミラー&ドアハンドル、そしてフィニッシュは20mm(4WDは10mm)のローダウン。標準系とは全く違う表情を作りだすのに成功している。いかにもワルといったイメージは、ターゲットの若い世代にはウケそうで、「裏ムーヴ」という意味ありげなコピーも浸透度が相当高いようだ。オプションで全面メッキ&ビレットのグリルがあり、これを付けるともっとワルになれる。

シート位置の見直し、インパネの新設計、品質感の向上、見違えるほどに良くなった

室内は長さが10mm~25mm、幅が40mmプラス。逆に高さが25mmダウンしている。旧型はインパネや室内フロアをはじめ、キャビンがミラと共用だった。そのため、背の高いミニバンなのに、インパネやシートの位置が低すぎて開放感が味わえないという欠点が指摘されていた。新型はインパネとシートの高さを適正位置へ高めると共に、インパネは専用設計とした。実際、乗ってみると、高さ方向による空間は全く影響がなく、十分すぎる頭上空間を確保し、横方向による余裕が明らかに拡大されていることを感じさせる。リアシートもしっかりとしたヘッドレストが付き、前席よりも座面が高く設定されていることもあって、開放的。座面が短めなのがちょっと不満だが、左右独立リアシートワンタッチ格納システムは便利な装備だ。

今回からコラムシフト、足踏み式パーキングブレーキを採用した点も特徴のひとつ。カスタム系にはヤングユーザー、特にカップルを想定したフロントベンチシートが採用されるのが特徴。中央には収納ボックスを備えた大型センターアームレストも付き、ダッシュボード中央部最上段には1DINのオーディオスペース(カーナビ用)も装備される。

このカスタム系の専用内装地(ファブリック)が結構趣向を凝らしており、表面が蛇皮のような発泡穴あきウレタンフォームで、今までにないさらっとした感触には好感が持てる。ただカタログにはグレーと記載されているが、どうみても紫色にしか映らなく、ケバイ。好みが分かれるところだが「裏」ということで、納得するしかないだろう。それでも全体の見栄えは、ボリューム感があって軽自動車らしからぬ品質感は評価できる。

基本性能&ドライブフィール

直4・DOHCターボで余裕の走り

搭載エンジンは659ccの4種類で、すべて新開発された「TOPAZエンジン」。試乗したエアロダウンカスタムには、64PS/10.9kgmを発生する直4・DOHCターボという豪勢な高性能ユニットが搭載される。ミッションはコラム式4AT。有り余るパワーを発揮し、旧型より車重が70kgも増えたのに加速の鈍りはまるで感じられない。2600回転辺りからターボが利き始め、高速道法定速度の80km/hまで何のためらいもなく上昇する。80km/hのエンジン回転数は3000回転と軽自動車としてはかなり低めで、エンジン音の低減につながっている。そこからの加速も余裕でこなし、130km/hに達しても直進安定性に不安はない。高速レーンチェンジも背の高いミニバンとは思えないほど、スムーズにこなす。

80km/h以上(違法ですけど)の速度域ではエンジン音より風切り音がかなり高まるので、長時間乗るのは辛そうだ。シリーズ中唯一の14インチタイヤということも影響しているのだろうが、足まわりはかなり締め上げられ、ビシビシと突き上げも激しい。特にリアシートはキツイ。動力性能は全く問題なくとも、快適性という点ではあまり褒められるものではない。スポーツカーじゃないのだから、もう少しソフトでもいいのでは、と思うが、そういう方は「表」をどうぞ、ということなのだろう。

軽初の横滑り防止システムも一部グレードに設定

全車、新衝突安全ボディTAFを採用し、国内安全基準はもちろん、欧州衝突安全基準(40%オフセット前面衝突、側面衝突)を余裕もってクリアする。カタログには「クラストップレベルの衝突安全性を実現」と記載されるが、他の新規格軽自動車も同じように謳っており、大きな差はない。もちろん旧モデルとは比較にならないが。ABSは全車オプションとなるが、デュアルエアバッグは全車標準。ライバルのワゴンRは助手席だけでなく運転席エアバッグもオプション設定となっている。

さらにFFのターボモデルにはコーナリング時などの横滑りを防止する軽初のDVS(ダイハツ・ビークル・スタビリティコントロールシステム)が12万円でオプション設定されている。また、軽自動車のガソリンタンク容量の平均は30リットル位だが、ムーヴは40リットルとしているのも高ポイント。

ここがイイ

十分な動力性能とぐっと向上した質感、安全性、使い勝手のいいインパネ、コラムシフト、シート生地、など、旧型に比べたら全てがいい。軽の法的恩恵で経済的だし、燃費も良さそう。またやはり軽には過給が必要だと思われる。せっかく安全性の高いボディを手に入れたのだから、走りも引け目を感じないものにしたいところ。ムーブの場合、ややターボラグが気になるが、過給によって、動力的には小型車に何らひけをとらないため、安心して走れる。軽に乗っているとアオられたりして嫌な思いをすることがあるが、これくらい走れば大丈夫だろう。

ここがダメ

やっぱり乗り心地。もう少し、しなやかにならないのだろうか。シート生地もさらっとして気持ちいいが、お菓子などのカスが生地目に詰まりそう。掃除がしにくそうだ。

総合評価

サイズが大きくなったことで、なんだか軽という感覚は薄れてきた。小型のクルマに昇格した感じがするのだ。あまり、軽に乗っているという卑屈さを感じることもないはず(黄色いナンバーは何とかして欲しいが)。こうなると必然的にリッターカークラスは苦しくなるだろう。今回登場した各社の軽は、どれも良くできているが、ダイハツのリキの入れ方も相当なもの。割安感は確かにあり、4人乗ってもあまり窮屈な感じがしないムーブは、コミュータとして理想的な存在となった。こうなると3気筒のストーリアは大丈夫だろうか、といらぬ心配をしてしまう。

 

公式サイトhttp://www.daihatsu.co.jp/move/

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

ダイハツ 最新の試乗記10件

最近の試乗記一覧

関連コンテンツ一覧