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ダイハツ ムーヴ コンテ X新車試乗記(第528回)

Daihatsu Move Conte X

(0.66L・CVT・122万8500円)

「四角いのがお好き」な貴女のために、
ムーヴがキューブ(四角)に変身した!

2008年10月04日

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キャラクター&開発コンセプト

四角いムーヴ

2008年8月25日に発売された「ムーヴコンテ」は、「ムーヴ」をベースとしつつ、それとはまったく異なる「四角」いスタイルの新型車。デザイン的にはスズキ・ラパン(2002年~)、ホンダ・ザッツ(2002~07年)、そして普通車となるが日産の2代目キューブ(2002年~)などと同じ路線を行くモデルだ。ダイハツ・ネイキッド(1999~2004年)もその先駆と言えるモデルだが、現行ラインナップにはこうした四角い形のモデルが一台もない状況だった。

他にはソファ風のシートに代表される“居心地のよい”インテリア、運転席の電動シート(軽自動車初)といった便利装備の数々が特徴。スポーティな仕様・外観の「カスタム」も用意されている。

九州の最新鋭工場で生産

新車名のコンテ(Conte)の由来は、日本語で台本を意味するコンテ(元は英語のContinuity)で、「自分らしい生活を描くクルマ」という意味を込めたという。同時に「Comfortable Interior」の略でもあるようだ。

生産は2007年12月に稼動を始めたばかりの最新鋭プラントであるダイハツ九州の大分(中津)第2工場。エンジンも2008年8月に稼動を始めた久留米工場で生産される。

販売目標台数は月間4000台。これは目標台数で見ればムーヴの1/3、タントの1/2だが、過去6ヶ月の平均実売はムーヴもタントもおおよそ1万4000台。一方、コンテの立ち上がり1ヶ月の受注は、約1万台となっている。ひょっとするとムーヴ、タント、コンテの3本柱が拮抗する状況となるかもしれない。

初期受注の女性比率は約70%、販売比率はコンテが約80%、コンテカスタムが約20%(今後40%程度まで上昇するだろうという)。CVT比率は約70%という。

価格帯&グレード展開

コンテはCVTと4AT、カスタムはCVTのみ。カスタムRSが唯一のターボ車

「コンテ」が4グレード、「コンテカスタム」が2グレードというラインナップ。「コンテ」は自然吸気エンジン(58ps、6.6kgm)のみで、変速機はCVTと4ATの2種類。一方の「コンテ カスタム」は自然吸気エンジンとターボエンジン(64ps、10.5kgm)の2種類で、変速機はCVTのみとなる。4WDはそれぞれ12万750円高だ。

■コンテ L       4AT  103万9500円
■コンテ L Limited   4AT  111万3000円
コンテ X       CVT  122万8500円 ※今週の試乗車
■コンテ X Limited   CVT  128万1000円

■コンテ カスタム X  CVT  133万3500円
■コンテ カスタム RS  CVT  155万4000円 ※ターボエンジン

パッケージング&スタイル

デザインはムーヴと別物。ただし先達の影響は否めず

ボディサイズはムーヴと大差ない全長3395mm×全幅1475mm×全高1645mmで、ホイールベースも共通の2490mmだ。しかし四角いだけではない、という意味だろう、「スクエア+(プラス)」をうたう外観は、シャシーの基本骨格が同じとは思えないほどムーヴとは別物。またボディサイドにキャラクターラインがはっきり入ることが多い最近のダイハツ車にあって、珍しくプレーンな面で統一されている。


こちらはムーヴ カスタム RS

しかし率直に言って、デザイン的にはラパンやキューブの二番煎じ、ならぬ三番煎じであるのは否めない。左右非対称のリアゲートを持つキューブ、独特のクセがあるラパンを含めたこの3者で、良くも悪くも一番後発のコンテがもっとも無難な(特徴のない)仕上りとなっている。

赤いアクセントカラーがおしゃれ

ドアを開けると目に飛び込んでくるのが、インパネからドアトリムまで水平に伸びる赤い「アクセントカラードライン」だ。樹脂に着色しただけと思しきものだが、これがおしゃれ感を効果的に高めている。ちなみにカスタムRSになるとパネルがシルバー色になり、スイッチ操作で裏側から青くグラデーション発光するものになる。

シートはフランス人がデザイン

もう一つ目を引くのが、フランス人デザイナーが手がけたという、これまた赤の縁取りがおしゃれなソファ風のベンチシートだ。クッションは意外に硬めだが、座り心地はまさにソファそのもので、第一印象は悪くない。脱「自動車シート」風なところは、何となく初代ティアナを思い出させる(形状や素材感はまったく違うが)。座面の前後長はちょっと短めだ。

軽初の電動スライドシート(運転席)

さらに驚いてしまうのが、運転席の前後スライド調整が何と電動式であること。軽自動車では初で、しかもエントリーグレード(コンテLとコンテカスタムX)を除いて標準装備という奢りっぷり。シートメモリーも付いているし、スライド量も240mmとかなり大きい。乗降時にはスイッチ一つで80mm後ろに下がるなど、体が不自由なドライバーにありがたいものとなっている。

また、X、X Limited には、ダイハツお得意の接近感知式インテリジェントキーも標準装備される。

後席も申し分なく

例によって2490mmのロングホイールベースのおかげで、後席スペースは相変わらず広い。背もたれには2段階のリクライニング機構が付き、座面も大きめ。さらにライトグレーの内装色と赤いパイピングという視覚効果で、明るい雰囲気となっている。

なお、衝突安全については前面フルラップ55km/h、前面オフセット64km/h、側面55km/h、後面55km/hにクラッシュに対応。前席にはダブルエアバッグはもちろん、プリテンショナー&フォースリミッター付3点式シートベルトを、そして後席には片手で簡単に装着できる自立式バックル付きの3点式シートベルトを全車に標準装備する。軽もやっとここまで来た、という感じだ。

荷室アレンジはシンプルに解決

荷室幅960mm、奥行き(床面)410mmという広さは平均的だが、日常的な買い物には十分だろう。さらに5:5分割式の背もたれをパタンと倒せば、段差は残るものの、さらに大きな空間が確保できる。ムーヴと違ってリアシートの前後スライド機能は採用せず、シンプルに後席の居住性を優先した作りとなっている。

基本性能&ドライブフィール

試乗したのは、おなじみNAエンジン+CVT仕様

試乗したのは普通の「コンテ」のCVT車。エンジンはおなじみ自然吸気・直列3気筒の「KF-VE」型(58ps、6.6kgm)だ。このエンジンと新世代の3軸式CVT(トルコン付き)との組み合わせは、現行ムーヴ(2006年10月発売)が初だ。

モーターデイズで試乗するのはミラ(2006年12月発売)、タント(2007年12月発売)に続いて今回で3回目となる。

走りの良さとCVTノイズは相変わらず

そんなわけで、すでになじみ深いこのパワートレインの印象は、良くも悪くも以前乗った時と大差ない。相変わらず感心するのが、ロングストローク型(63.0mm×70.4mm)のKF-VE型エンジンの力強さだ。ヴィッツのようなリッターカーの基準で言えば「まあ軽にしてはよく走るね」くらいの印象かもしれないが、たった660ccの自然吸気エンジンとCVTでこれだけ力強く走ってしまうのは実に凄いことだ。

一方で相変わらず気になったのが、「ヒューン」と風が吹くような音がするCVTのベルトノイズ。現行のミラ、タントでも気になったものだが、エンジン音やロードノイズ自体は小さく、巡航時の静粛性が高いことを考えると、やはりこの金属ベルトのノイズを封じ込めるのはそうとう難しいようだ。旧世代のCVTにありがちな耳障りな音ではないが、以前の試乗記にも書いた通り、初めて乗る人には説明が必要だろう。

シャシー性能も相変わらず

ホイールベース2490mmの新世代シャシーは現行ムーヴと共に登場したもので、すでに2年近くが経過。当時は「掟破り」とすら感じられた高剛性感も、人間の方が慣れてきたせいか、今回はいちいち驚かなかったが、もちろん一昔前の基準で言えば、軽離れしたもの。この10年間で、軽のシャシー性能はとにかく進歩した。

いつものワインディングを走っても、とにかくひたすら安定サイド。アクセルベタ踏みでもステアリングをこじっても旋回中にブレーキを踏んでも、結局のところパワーがないせいもあり、それ以上何か起きる余地はない。タイヤは145/80R13という細いタイヤだが、頼りなさはまったく感じなかった。走りの楽しさ、などというものは皆無だが、限界性能はちゃんとしている。乗り心地も良く、ヤワな底付き感は一切ない。

100km/h巡航は約3500回転くらい。

高速では120km/hくらいまでならすぐだが、130km/hまでは時間が掛かる。直進安定性に不安はなかったが、そんな風に走るクルマではもちろんないようだ。100km/h巡航時のエンジン回転数は、勾配やアクセルの踏み加減で上下動が激しく確認しにくかったが、約3500回転といったところ。ターボではなく、軽のNAエンジンでこの低回転100km/h巡航は驚異的だ。

恒例の試乗燃費だが、ダイハツの軽には瞬間燃費計はあるのに、なぜか平均燃費計がないため、満タン法でおおまかに計測して約10km/Lといった感じだった、街中でちょこまか走るのが主体だったので、郊外ではもっと伸びるはず。10・15モード燃費はCVT車で23km/L、4AT車だと約1割落ちて21.0km/Lとなる。

ここがイイ

多くの人に好まれそうなデザイン、ハードウエアの完成度

四角といいながらも角を丸めたデザインは、特徴がないがゆえに、かえって万人受けするはず。ムーヴは初代MRワゴンにも似た未来的なデザインで時代を先取りしたのだが、いかんせんワゴンRを超えるとなると厳しいものがあった。もしムーヴを最初からコンテの形で出していたら、ワゴンRを超えたかもしれない。

インテリア(特にインパネ)も同様で、斬新すぎるムーヴよりプレーンであるため、コンテの方を好む人は間違いなく多いだろう。シートのまったりとしたデザイン、アクセントカラードラインの品の良さなどを見ても、こっちこそ最量販車のためのデザインではないかとすら思える。

「軽の枠」という制約の中では、ハードウエア的にパッケージングも動力性能も、もう完全にできあがっている。これ以上良くするには、いよいよ枠の方を変えるしかないのではないか。それとも、iQ で生まれたパッケージングやメカニズムを応用して、枠の中でさらに広くなっていくのだろうか。

ここがダメ

思ったほど伸びない燃費、高速走行時の風切り音

新型タントの時にも書いたが、瞬間燃費計はあるのに平均燃費計はないこと。本当に知るべきなのは瞬間燃費より、むしろ平均燃費の数値なのだから、ぜひ追加して欲しいところ。また満タン計測燃費が10・15モードの半分もいかないというのは、なんだか腑に落ちない。いつものコースをいつもと同じように走行(もちろん燃費を稼ぐタイプの走り方ではないが)したはずなのだが。

せっかくの電動スライドシートなのだから、乗降時に自動で動かないことは残念。位置メモリーはあるのだから、キーを抜くと自動で下がり、座るとメモリー位置に戻るなんてことは、原価の面でもそう難しい話ではないと思う。シートを前に出しがちな小柄な人が乗り降りしやすいように用意されたということであれば、ぜひそこまでやって欲しかった。

100km/hあたりからの風切り音。このボディ形状が生んでいるのか、独特の音が高まってくる。パワー感こそ無いが、巡航は快適にできるだけに惜しいと思った。

総合評価

複雑な形やラインには消費者がついて行けない

2年前にムーヴが新しくなった時、ダイハツは勝負に出たのではないだろうか。つまり販売台数で肉薄していたワゴンR(四角い印象がある)を抜き去るための勝負だ。小さなノーズを持つ伝統的なミニバンスタイルから脱却し、これまでにない斬新なワンモーションルック(丸い印象がある)によって、驚くべき居住性とスタイリッシュな外観を両立させ、不動のナンバー1ベストセラー軽自動車であるワゴンRとの差別化を図ったわけだ。

しかし現実には、ダイハツ自らが出した新型タントの出来の良さにも影響されて、ムーヴは当初の目的を達成できなかった。モデル末期になったワゴンRすら、最後までダイハツは単一モデルで抜けなかったのだ。むろん、すでにムーヴとタントを合算した数字で、軽く抜いてはいるのだが。パレットの販売台数が意外なほど伸びていないのは、タントの受けがものすごくいいことの証左だろう。

ということで、ワゴンRのモデルチェンジに先んじて、四角いコンテの投入と相成った。ムーヴははっきり言って、斬新すぎたと思う。もちろん個性的な形を求める人もいるが、それに応えるだけのモデルは自社のラインナップにすでにあるから、最量販車のムーヴが個性的になることはなかったのだ。軽ユーザーの多くが軽にスタンダードな四角い形を求めているのは間違いない。数を売るなら四角いクルマ。単純な造形と、真っ直ぐなライン。それに尽きると思う。これは軽に限らない。とかく最近の新型車は、形やラインが複雑すぎて消費者がついて行けない傾向にあるのではないだろうか。

ということで、その形にはデジャヴ感も相当あるコンテだが、しばらくしたらムーヴ本体を抜くのではないか、とすら思えるのだ。この10月に発売される新型ワゴンRもほぼキープコンセプトゆえ、コンテも単体でそれを抜き去ることは難しいかもしれないが、ムーヴとムーヴコンテ、それらのカスタム、さらにムーヴラテも加えた連合なら、ワゴンR(こちらにはスティングレイもあるが)を抜けると思うので、ダイハツも悲願達成となるのではないか。これはカローラが登録車販売台数トップを維持しているのと同じような構図で、いかにもトヨタ的ではあるが。 まあコンテのベースはムーヴそのものであるようだから、同じと数えることにそう抵抗はないとも言える。

クルマとしてはいいが、家電としてはスキがある

という話は置いておき、コンテそのものは、なかなかよくできている。「走る・曲がる・止まる」というハードウエアに関して、もはやピークまで来ている軽自動車なので、いよいよ形、インテリア、装備といったあたりが売り物。特にインテリアの上品さはなかなかで、無印良品的な好印象だ。本来なら木目パネルとなるあたりに色つき樹脂素材を使っているのも目新しい。ちなみにオプションカタログにある木目パネルは、艶のないざらざらした自然の木材風で、これまた斬新。斬新といえばオプションカタログには赤、白、橙、黄色の鮮やかな4色ストライプのシートがあり、パネルも同色にできる。これはすごくおフランス車風。シートを作ったフランス人デザイナーがやりたかったのは、ホントはこちらの方なのでは、と思ってしまった。

ABSをさしおいて電動スライドシートが標準装備(Lリミテッド)というあたり、クルマ好きならNGが出るところだが、まあこういった点は軽ユーザーのニーズに応えた部分と思うしかない。それより問題なのはカーステレオがソリッドオーディオに対応してなかったり、カーナビのオプションにPNDが用意されていないというあたり。USBメモリを差すだけで再生できるオーディオ、見やすい位置に固定できるワンセグ付きPNDといった世の中の売れ筋商品が、コンテという大量販売商品に用意されていないというのは、どうなのだろう。コンテに乗っていると、加速だ、静粛性だ、というようなことはどうでもよくなってきて、旧来からの意味でのクルマというより、よくできた家電という感じがすごくする。にもかかわらず家電的な機能にスキがあるというのが、ちょっと残念なところだ。早くそのあたりに対応しないと、クルマという商品はますます魅力を失ってしまうだろう。

試乗車スペック
ダイハツ ムーヴ コンテ X
(0.66L・CVT・122万8500円)

●初年度登録:2008年9月●形式:DBA-L575S ●全長3395mm×全幅1475mm×全高1645mm ●ホイールベース:2490mm ●最小回転半径:4.2m ●車重(車検証記載値):850kg( -+- ) ●乗車定員:4名●エンジン型式:KF-VE ● 658cc・直列3気筒・DOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:63.0×70.4mm ●圧縮比:10.8 ● 58ps(43kW)/ 7200rpm、6.6kgm (65Nm)/ 4000rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/36L ●10・15モード燃費:23.0km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 トーションビーム ●タイヤ:145/80R13( Hankook Optimo K715 )●試乗車価格:-万円( 含むオプション:カーペットマット 1万4805円、エアクリーンフィルター 4095円、オーディオレス -2万1000円 )●試乗距離:約120km ●試乗日:2008年9月 ●車両協力:名古屋ダイハツ株式会社

 
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