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ダイハツ ムーヴ X新車試乗記(第629回)

Daihatsu Move X

(0.66リッター直3・CVT・122万円)

「TNP」と「エコアイドル」!
低燃費ブームに乗る
ムーヴに乗って、
普通車の今後を憂う!

2011年04月08日

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キャラクター&開発コンセプト

純ガソリン車で最高の「TNP」(低燃費)を実現

「ムーヴ」は、スズキ・ワゴンRに対抗して1995年に登場したトールワゴンタイプの軽乗用車。ダイハツにとっては目下、タントと並ぶ販売主力モデルだ。


今回試乗したのはカスタムじゃない方の「ムーヴ」

そのムーヴが約4年ぶりにフルモデルチェンジし、2010年12月13日に発売された。広さという点ではタントに主役を譲った今、5代目ムーヴがテーマとして掲げたのは「低燃費」。具体的には、改良型エンジンやアイドリングストップシステム「エコアイドル」の採用などによって、国内で販売される全ての純ガソリン車(つまりハイブリッド車を除く)でトップとなる10・15モード燃費27.0km/Lを達成している。

この27.0km/Lという数字は、同時期(2010年12月22日)に発売されたトヨタ・ヴィッツ(アイドリングストップ付)の26.5km/Lを上回るもの。結果として、今まで燃費があまり良くないとされてきた軽自動車の汚名を挽回するものとなっている。なお、これに負けじと1ヶ月遅れの2011年1月に発売されたスズキの新型MRワゴンも、3月に追加したアイドリングストップ仕様で27.0km/Lを達成している。

テレビCMで一大攻勢。販売目標は先代と同じ月間1万2000台

新型ムーヴと言えば、低燃費をアピールする一連のテレビCMもユニークなところ。CMの舞台は近未来の研究所で、強面の所長(個性派俳優の遠藤憲一)や研究員(V6の岡田准一)らが「TNP=低燃費」を巡るストーリーを映画の予告編風に展開している。

販売目標台数(カスタムを含む)は4年前と同じ月間1万2000台。今のところ実績は2011年1月が1万1668台、2月が1万2681台となっている。ちなみに2010年(1~12月)の実績は約8万6000台で、ムーヴコンテを足しても約13万2000台だった。これに対してタントは約14万台で、タントエグゼを加えると約19万1000台だった。

※外部リンク
■ダイハツ>テレビCM>ムーヴ

過去の新車試乗記 【ダイハツ ムーヴ】
■モーターデイズ>新車試乗記>ダイハツ ムーヴ(4代目) カスタム RS (2006年11月更新)
■モーターデイズ>新車試乗記>ダイハツ ムーヴ(3代目) カスタム RS リミテッド (2002年11月更新)
■モーターデイズ>新車試乗記>ダイハツ ムーヴ(2代目) エアロダウンカスタム (1998年10月更新)

価格帯&グレード展開

全車CVTに統一。アイドリングストップ付は122万円~


こちらはムーブカスタム
(photo:ダイハツ)

例のごとく、ファミリー向けの「ムーヴ」とスタイリッシュな「ムーヴカスタム」の2本立て。エンジンは自然吸気の3気筒が主力だが、ムーヴカスタムの最上級グレード「RS」はターボになる。変速機は先代で残っていた5MTや4ATが全廃され、全車CVTに統一された。

軽にもついに全車速対応レーダークルーズ

看板グレードの一つである「X“Limited”」(ムーヴでは最上級、ムーヴカスタムでは中間グレード)は、バックモニター機能付のメモリーナビ(12万6000円相当)やパナソニックの微粒子イオン発生器「nanoe(ナノイー)」ディフューザーを標準装備したもの。

衝突安全装備に関しては、ダブルエアバッグに加えて、「カスタムX」「カスタムX“Limited”」、ターボの「カスタムRS」の3グレードに、前席サイドエアバッグ、前・後席カーテンシールドエアバッグ等をセットにした「セーフティパック」(10万5000円)を用意。

また「カスタムRS」のFF車には、全車速対応型レーダークルーズコントロールやVSC等をセットにした「インテリジェント ドライビング アシストパック」(31万5000円)を用意。これはミリ波レーダーで前方を監視し、停止から100km/h+αまで前走車追従を行うほか、衝突の危険性を検知した場合は自動ブレーキを掛けるもの。またカスタムRSでのみ、単品でVSC(6万3000円)を選べる。

 

ボディカラーは写真のムーヴが全8色、ムーヴカスタムが全7色

■ムーヴ
・L    112万円(FF)/124万1000円(4WD)
・X    122万円(FF)/134万1000円(4WD) ※アイドリングストップ付  今回の試乗車
・X “Limited”  132万円(FF)/144万1000円(4WD) ※アイドリングストップ付

■ムーヴ カスタム
・カスタム X    131万円(FF)/143万1000円(4WD)
・カスタム X “Limited”  142万円(FF)/154万1000円(4WD)
・カスタム G    140万円(FF)/152万1000円(4WD) ※アイドリングストップ付
・カスタム RS    149万円(FF)/161万1000円(4WD) ※ターボ

パッケージング&スタイル

外寸も見た目も大きく変わらず。ただしホイールベースは縮小


ヘッドライトは先代のイメージを残して、ムーヴには三角の異形、ムーヴカスタムには四角の異形を採用

ムーヴ全車およびムーヴカスタム主力のボディ外寸は、先代とほぼ同じ全長3395mm×全幅1475mm×全高1635mm。「プラットフォームはキャリーオーバーか」と思いきや、実際のところホイールベースは先代より35mm短い2455mmになっている。これは歩行者保護とエンジンの吸気温度を下げるためにフロントオーバーハングを伸ばしたからとのこと。

 

デザイン的には歴代ムーヴの「ビッグキャビン&コンパクトノーズ」、そして先代ムーヴのモノフォルムを踏襲したもの。ただ、先代はかなりエッジの効いた未来的なデザインだったが、それに比べると新型はかなりマイルドな印象。何となくライトの形状がトヨタ車っぽくなったように見えるのは気のせいか。

インテリア&ラゲッジスペース

機能もデザインも正常進化。オートエアコンも標準装備


ムーヴの中間グレード「X」のインパネ

フルモデルチェンジだが、さほど見た目に大きな変化がないインテリア。センターメーターも先代を踏襲したものだが、最近では採用が減っているから、今や貴重かも。空間は相変わらず広々。モノフォルムゆえ、Aピラーは少々視界に入ってくるが、ピラー自体は先代よりも細くしたという。

助手席シート下の靴入れなど、収納スペースも充実。装備もスマートキーを上級グレードに標準装備するなど充実している。ちょっと驚いたのはフルオートエアコンが全車標準になったことだ。

 

チルトステアリングやシートリフターは残念ながらムーヴの「X」には付かない

残念なのは、ムーヴの販売主力グレードと思われる「X」(試乗車)に、チルトステアリングやシートリフターが付かないこと。「X “Limited”」やカスタム全車には付くが、ベーシックなXにこそ付いていて欲しい装備だ。

内装カラーはムーヴが明るいベージュ色。一方、ムーヴカスタムは黒基調で、ヘアライン処理を行ったシルバーの加飾パネルがインパネ中央を覆うほか、ラメ入りシートファブリックを採用。タコメーターも標準装備になる。

後席は左右分割でリクライニング、一体で前後スライドが可能


前後スライドを後端にした状態。キャビン側のスライドレバーは座面中央の足もとにある

後席は相変わらず広々。もともと広かったので、35mmばかりホイールベースが短くなった影響は感じられない。また背もたれをリクライニングしたり倒したりする時に引くレバーも、背もたれの肩口(車体中央寄り)にあるので、とても操作しやすい。後席側からでも荷室側からでも、背もたれを倒すのは簡単だ。

もちろん前後ドアはダイハツお得意の90度開きで、大きな荷物の出し入れには便利。室内をこうして撮影する時も、ドアが邪魔にならなくてとても助かる。

スペアタイヤを省略。代わりにサッカーボールが2個積める


これは背もたれを立てた状態で、一番奥に寄せた状態。背もたれの裏に前後スライドレバーがある

新型ムーヴの売りは、後席の前後スライドが荷室側からでも出来るようになったこと。これは便利だ。

先代の前後スライド量は255mmだったが、新型は240mm。なお、前後スライドは左右一体でしか出来ないが、おかげで一つのレバーを引くだけで左右一緒にスライドできる。

 

背もたれは座面の沈み込みと連動してフラットに倒れる。助手席背もたれを前倒しする機能はない

また荷室の床下には、「サッカーボール(5号球)を2個横積みできる」収納スペースがある。これはもちろんスペアタイヤレスだから出来たことだ。パンク修理キットはその床下収納の、バンパー裏あたりにある。

 

よく見ると、サッカーボール2個用の凹みがある床下収納

基本性能&ドライブフィール

KF型エンジンは第二世代へ


エンジンは改良型のKF型。樹脂製電子スロットルボディ等を新採用

試乗車は売れ線の「X」(122万円)。アイドリングストップ機構付の自然吸気エンジン(52ps、6.1kgm)を積んだモデルで、10・15モード燃費は宣伝文句と同じ「27.0km/L」を誇る。

上級グレードにあるスタートボタンでエンジンを始動。ダイハツの軽に乗るのは約1年ぶり(スバルのルクラ以来)だったが、第一印象はCVTのノイズが小さくなったこと。これまでダイハツが使ってきた3軸式のCVTは、「ヒューン」と風が吹くような音が大きかったが、これが聞こえなくなっていた。

パワー感は、まあ「軽の自然吸気」という言葉から想定される範囲内。エンジンは今までと同じボア×ストローク:63.0×70.4mmのロングストローク「KF型」だが、今回のは第二世代で、燃焼室内のイオンで燃焼状態を検知する「イオン電流燃焼制御」を使った「i-EGRシステム」や樹脂製電子スロットルボディを採用している。最大出力は従来型より6ps、最大トルクは0.5kgm下がっているが、改良の目的は一にも二にも「燃費向上」。CVTもそのために電動オイルポンプが廃止されている。

全体的にノイジー。乗り心地もちょっと硬め

燃費のために、ボディシェル、CVTユニット、内装パネルなども軽量化され、先代比で約35kgも軽くなったとのこと。試乗したムーヴの車重は810kgで、これは我々が先月乗った新型MRワゴン(両車共にグレード名は「X」)とまったく同じだ。


ムーヴの標準タイヤは155/65R14(試乗車はファルケンのSincera)

ただ、軽量化の対象には遮音材や制振材も入っていたようで、静粛性がやや犠牲になった感はある。10年一昔前なら「軽にあるまじき静粛性」と言えたレベルだが、アイドリングから走行時まで、2011年基準で言えば全体的にノイジーと感じた。

乗り心地はやや硬め。ダイハツならエッセ、スズキなら新型MRワゴンなど、よく伸び縮みするサスペンションと細いタイヤで走る「しなやか系」もあるが、ムーヴはそうではない。ワインディングではそれなりにロールし、強いアンダーステアを出しながら、基本的にはタイヤのグリップに頼って走る感じ。これはこれでありかなとも思うが、日常速度域では、もう少しソフトでもいいと思えた。

【エコアイドル】スターター音が気になる


葉っぱのマークは、燃費運転の目安を示す「ecoリーフゲージ」。アイドリングストップの時間は、積算(写真)および任意リセットによる一定区間の二通りで表示できる

新型ムーヴで、「TNP(低燃費)」の次にアピールされているのが「エコアイドル」、つまりアイドリングストップシステムだ。10・15モード燃費では、これを装備することで約2km/L良くなるらしい。

このエコアイドル、しばらく走ってエンジンが十分に暖まると、さっそく赤信号などで作動してくれる。決して静かとは言えないエンジンがストンと止まるので、誰でもここでエコアイドルの存在に気付くはず。

でもってブレーキペダルから足を離すやいなや、瞬時にスターターが「キュキュキュキュキュッ」と回り、エンジンを掛ける。そのスターター音の大きさにまずドキッとするが、その後の唐突な動き出し(トルコンによるクリープ)も気になるところ。スターター音はまあ慣れないでもないが、唐突感の方は人を乗せた時に少し気を使いそう。

なお、ムーヴにESPは一切用意されていないが(ムーヴカスタムのRSには6万3000円で用意)、そういった場合にアイドリングストップを付けて困るのが、坂道発進で後ろに一瞬下がってしまうこと。これはESPの副機能であるヒルホルダーが使えないためで、例えば日産の現行マーチがそうだ。

 

「エコモード」ボタンの右に、「エコアイドル」のオフスイッチがある

そこでムーヴでは、ブレーキの油圧を保持するために、ESPで使うのと同じアクチュエーターを設けて、ヒルホルダー機能を確保している。その甲斐あって、ムーヴは坂道発進の時も後ずさりしない。

冷房は当然ながら普通の機械式コンプレッサーを使うもので、アイドリングストップ中は送風だけになる。もちろん「エコアイドル」をオフにすることも可能だ。

試乗燃費は15.8km/L。エコランでは楽々20km/L台

今回は主に燃費重視の「エコモード」で約180kmを試乗。あくまで参考値ながら、試乗燃費はいつもの一般道と高速道路を走った区間(約90km)で15.8km/Lだった。なお、先月スズキの新型MRワゴン(アイドリングストップ機構なし)で同じ区間を走った時は14.3km/Lだった。

またエコランした時の参考値として、空いた一般道や流れのいい幹線道路を無駄な加速を控えて走った区間(約60km)では22.5km/Lだった。10・15モード燃費は前述の通り27.0km/Lだ。

指定燃料はもちろんレギュラー。タンク容量はダイハツの伝統で36リッターと大きめなので、好燃費と合わせてかなりの航続距離が期待できる。

ここがイイ

燃費の良さ。無難になったデザイン

その気になれば20km/L台も可能なほど、燃費がいいこと。スズキの新型MRワゴン共々、燃費性能でハイブリッド車に引け目のないクルマになっている。当然ながら車両価格や維持費を含めたコストパフォーマンスも高い。

客観的にいいのかどうかは別として、スタイリングは無難になったから、男女年齢を問わず足として乗れそう。その意味で、軽自動車としては先代よりも多くの人に好まれるのでは。同様にインパネデザインも無難になった。これならオジさんでも乗れそうだ。また個性を主張したい人はカスタムを選ぶという手も残されている。後ろ姿にも妙な背高感がなく、どっしりしているのも好感が持てた。

ここがダメ

静粛性、アイドルストップの洗練度、チルト/リフターの一部グレード未設定


「ムーヴ」の中間グレード「X」には、チルトステアリングやシートリフターが付かない

昨今、一にも二にも燃費を追求したクルマ作りになるのは仕方ないが、そのせいか静粛性や乗り心地は手薄になった感がある。これ以上の動力性能は不要としても、快適性にはフルモデルチェンジらしい進化の跡が欲しかった。

またアイドリングストップの再始動時のスターター音はもう少し抑えるか、耳ざわりのいいものにして欲しい。発進時のスムーズさにも改善の余地がある。先代ではオーバークオリティと言われたインテリアも、新型ではライバルにちょっと負けているのではないか。

小柄な人はシートポジションが決まりにくい。運転席のチルトステアリングとシートリフターが、試乗したムーヴの中間グレード「X」には付かないからだ。10万円高の「X “Limited”」やカスタムには、バックモニター付のメモリーナビ等と一緒に装備されるが、小柄な女性が乗ることの多い軽自動車にこそ、チルトやリフターは当たり前のように付いていて欲しい。

総合評価

アルデオがよく見える理由

のっけから話がずれるが、1999年式のトヨタ・ビスタアルデオを営業車として購入した。12年落ちである。でも走行は3万5000kmで、フル装備。オートライトまで付いている。2リッターの悪名高き直噴エンジン「D4」を搭載しているので、ディーラーで1年保証をつけて買った。なんでこんな古いクルマを買ったかというと、リアのガラスハッチが我々には必需品だからである。その訳はご想像いただきたいが、SUVならいざ知らず、最近のステーションワゴンにはこのガラスハッチがない。国産車では皆無で、だいたいワゴン自体が数えるほどしかない。ここ10年ほどのクルマで捜すと、このアルデオか、先ごろまでデイズで使っていた日産アベニールくらい。ステージア(2代目)もそうだが、これは排気量やボディがちょっと大きすぎる。

輸入車ではBMWの3シリーズや5シリーズのツーリング、そしてプジョーやシトロエンのワゴンにはガラスハッチが付いている。こうなると、丈夫でお手頃なクルマは、国産のアベニールかアルデオに絞られる。アベニールをまた買うというのも芸がないので、今回はアルデオにしてみた。

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トヨタ ビスタアルデオ(1998-2003年)。5代目トヨタ ビスタのワゴン版

ところが乗ってみるとこのクルマ、なかなかよい。モーターデイズでは、マイチェン後の2000年8月に試乗記をアップしているが、そこで書いた通りの好印象は、斬新なパッケージングコンセプトを含めて、今もまったく色褪せていない。むしろ最近のトヨタ車より内装の質感は高く感じられ、センターメーターやそこに埋込まれた純正ナビ(CDなのですでにデータ更新はできないが)も、今より斬新に思えるほど。「12年も前のクルマを褒めてどうする」と言われるかもしれないが、いったいこの10年間で、クルマはどこが良くなったというのだろう。

しかしまあ、確実に良くなったことはある。それは燃費だ。まだ正確に測ってはいないが、アルデオ君、燃費は相当に悪そうだ。たぶん最近の同クラス車より、2割くらいは悪くなりそう。つまり普通車のこの10年の進化は低燃費にあり、そのために徹底的な軽量化が行われ、結果として内外装の質感は一時より落ちていった。そう考えると、狭い意味での品質感は、やはり20世紀末に頂点を迎えていたわけだ。アルデオがよく見えるのは、そのためだろう。

TNPがすべてを相殺

普通車に関してはそんなふうに思えるのだが、反対にこの10年間で間違いなく大きく進化したのが軽自動車だ。今やダイハツの屋台骨であるタントが登場したのは2003年末のこと。軽の規格でこんなスペースを確保できるとは、と驚嘆したパッケージングは、我々の予想をはるかに超えて、大衆の支持を得た。タントはもはやダイハツの最量販車だ。おかげでムーヴは若干影が薄くなってしまったのだが、今回はTNPで存在感を示すことになった。

10年前、排気量が660ccでは燃焼効率は良くならないと我々は決めつけていたし、NAではパワー感も不足するとしてきた。ところが新しいムーヴでは、この二つがほぼ解消されている。モーターデイズの試乗ではかなりクルマをいじめて走るので、燃費は最悪に近い数字になるのだが、どう走っても15km/Lを切らない。軽なのにプリウス並の燃費を実現しているのだ。これで「走らないなあ」とか、「やっぱりパワーないな」という風に感じるなら想定内だが、エンジンやCVTこそ唸るものの、結構速いのだから文句はない。高速道路でも流れをリードして走れるし、軽い登りのワインディングでもまあまあ普通に走れる。数回前に紹介したMRワゴンもそうだが、本当にこの10年で軽自動車は驚異的に進化したと実感できる。タントほどではないが、ムーヴだって室内の広さにはもう何も文句はない。クルマ好きとしてはタントほど室内空間が異様に?広くない分、ムーヴに好感が持てる。

 

一方で、燃費性能を追求したせいか、ちょっとやかましいとか、乗り心地に重厚感が足りないとか、アイドルストップ後のエンジン始動音が大きいとか、アクセル操作に対する加速がリニアじゃないとか、先代より間違いなく良くなったとは言えない部分も結構ある。だが、このご時世ではTNPがそれを相殺していると納得するしかないだろう。

またモーターデイズ的には軽自動車で、全車速対応プリクラッシュセーフティやレーダークルーズをオプションで用意していることを評価したい。実際の装着率はそうとう低いと思うが、それでもモデルチェンジでオプション設定から外さなかったことは英断だと思う。こうなると早くスバルからのOEMでアイサイトを装着してもらいたいものだ。

普通車にもイノベーションを!

10年間でここまで良くなった軽自動車。カタチを見れば、そして乗り比べれば、誰でもその進化が分かるのだから、よく売れているのも当然だろう。となれば、いわゆる普通車でも、もうちょっと考えないと、これ以上は売れないと思う。何しろ12年も前のクルマを買って、「下手すりゃ今のクルマよりいいのでは」と思われるようでは辛い。売れるのはハイブリッド車だけ、などという昨今の状況も、ハイブリッド車は誰の目にも進化が分かりやすいからだろう。今こそタントで見せたようなイノベーションを、普通車でも「根性決めて」やるしかないと思うのだが、震災以降の世の中はそれどころではない状況になってしまった。一刻も早く原発事故を止め、被災地が復興し、自動車の生産が、販売が、そして開発が再スタートすることを強く願う。我々としてはそれを祈るしかないということに、今は無力感を感じざるをえない。

試乗車スペック
ダイハツ ムーヴ X
(0.66リッター直3・CVT・122万円)

●初年度登録:2010年12月●形式:DBA-LA100S ●全長3395mm×全幅1475mm×全高1635mm ●ホイールベース:2455mm ●最小回転半径:4.4m ●車重(車検証記載値):810kg(490+320) ●乗車定員:4名

●エンジン型式:KF ●排気量・エンジン種類:658cc・直列3気筒DOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:63.0×70.4mm ●圧縮比:10.8 ●最高出力:52ps(38kW)/7200rpm ●最大トルク:6.1kgm (60Nm)/4000rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/36L ●10・15モード燃費:27.0km/L ●JC08モード燃費:-km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット(+コイル)/後 トーションビーム(+コイル) ●タイヤ:155/65R14( Falken Sincera ) ●試乗車価格:-円 (含むオプション:- -円) ●ボディカラー:ブラックマイカメタリック ●試乗距離:170km ●試乗日:2011年4月 ●車両協力:名古屋ダイハツ

 
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