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マツダ MPV新車試乗記(第84回)

Mazda MPV

 

1999年07月23日

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キャラクター&開発コンセプト

FRからFFへ、マツダにもオデッセイ対抗車が完成

初代(先代)MPVは、日本にミニバンの名が浸透する以前の90年にデビューした日本のミニバンの元祖だ。北米市場をメインとしたため、国内では受け入れられにくく、イマイチのまま10年近くをすごしてしまうこととなった。この間、バブル崩壊を経て、マツダはフォード傘下となる。そしてフォード傘下で再生を果たしつつあるマツダが、満を持して発表したのが新型MPVだ。

新型は大ヒット作であるホンダ・オデッセイを意識した路線に変更。開発テーマは「ゆとりと誇りを提供するハイクオリティでスタイリッシュなミニバン。レジャー用途車としての室内の広さと機能性、日常の足としての使い勝手の良さ、安心感のある走行性能と経済性を追求したのだという。そのため、従来のFR方式からスペース効率に優れる新開発のFFプラットフォームが採用されたのが最大の特徴だ。また、全車に両側スライドドアを採用し、「KARAKURIシート」と名付けられた多彩かつユニークな2/3列目シートが一番のセールスポイントとなる。日本では最も大型で、米国においては最も小型というサイズを選択して、日米でのヒットをめざしている。

価格帯&グレード展開

価格帯は206.6~258.9万円、V6モデルはライバルの直4モデルと同ライン

2リッター直4モデルが1グレード(標準仕様)で、2.5リッターV6モデルが3グレード(G/スポーツ/Lパッケージ)。廉価版の標準仕様といえども装備には全く妥協がなく、デュアルエアコンやイージークロージャーといったものまで標準装備される。主力はGパッケージで、これにエアロパーツや16インチアルミなどが装備し、若者を中心とした拡販戦略車がスポーツパッケージで、木目調パネルやサイドエアバッグを装備した最上級グレードがLパッケージとなる。それでも258.9万円というのは、ライバルの直4モデルと同価格帯だ。全体的には驚異の低価格といってもいいだろう。

ライバルは日産・プレサージュ(189.8~308.8万円)、三菱・シャリオグランディス(212.5~276.8万円)、そしてホンダ・オデッセイ(212.5~294.5万円)。マツダはそうとうオデッセイを意識しているようだが、当のオデッセイはデビューからすでに5年経過しており(今年の秋にモデルチェンジの予定)、ハード的には新型MPVが勝って当然というでき。

また、ボディカラーを10色も用意したことも注目すべきところ。大柄なミニバンとしては珍しく、鮮やかな赤色の設定もある。マツダ関係者いわく、「赤が似合うクルマは売れる、というジンクスがある」とのこと。20年前の赤いファミリアの印象が今も強くある、ようだ。

パッケージング&スタイル

売れ筋ミニバンルックスをマツダ流にアレンジ、最近のマツダデザインは手堅いがイケテル

ボディサイズ(旧型比)は全長4750mm(+90mm)×全幅1830mm(+5mm)×全高1745mm(-40mm)。2リッター車はサイドモールがなくなるので、全幅は1820mm。ホイールベースは2840mm(+35mm)。フロントオーバーハングを20mm短縮し、逆にリアオーバーハングを75mm延長することで室内空間を拡大している。なお、最大のライバルであるオデッセイと比べると、15mm短く、40mm広く、55mm高い。

スタイルは先代のSUV的なものから典型的ステーションワゴンタイプとなった。オデッセイと似た手堅くまとめたデザインワークであるが、新しいマツダのアイデンティティである「ファイブポイントグリル」の採用で、顔つきはマツダ車とはっきりわかるもの。ガラスエリアが広く、ドアパネルのサイドモール下を内側に絞り込だ処理により、重心の低い安定感を醸し出しているのもポイント。リアは同社のファミリアSワゴンに似た印象だ。全幅1830mmは日本の道路事情ではやや手に余りそうな気がするが、このサイズを支持するユーザーがいることも確か。年代に左右されない、幅広いユーザーに支持されそうな高級感のあるデザインといっていいだろう。特に赤いエアロ仕様のスポーツパッケージは前後・サイドスポイラーにクロームメッキが施され、赤いボディ色とのマッチングがいい。

ベンチにもセパレートにもなる左右スライドを実現した2列目シートは、強力なセールスポイント

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FFならではの低いフロアに、153mmも長くなった3213mmの実質室内長を持つ室内は、全車2+2+3の7人乗り。インパネはフロントグリルと同様の5角形デザインをモチーフとしたセンターパネルが特徴だ。品質はトヨタ車に肉薄するほど向上しており、ブラウン系の内装色がより上質な雰囲気を演出している。装備に関しても抜かりなく、半ドアの位置までスライドさせるだけで確実に閉まるイージークロージャーをはじめ、ブラックフェイスメーター、サイドエアバッグ(Lパッケージのみ)、後席用エアコンを全車に標準装備している。パッケージングの一新により、室内はフル乗車でも余裕の広さ。フル乗車分の荷室も確保されており、シート可倒時の最大容量は1240リッターまで拡大する。

シートは回転対座以外のアレンジは一通り揃っており、「KARAKURIシート」と名付けられた独自のシートアレンジは話題。2列目シートが左右にスライドするというもので、レバー操作によりセパレートにもなり、ベンチにもなるという欲張りなもの。それによって左側または中央からのウォークスルーができるようになり、3列目シートへの乗り込みは、シートを倒すことなく容易に行える。購入の際、フツーのミニバンのように二者択一で悩むことがなくなったことも嬉しい。この他、2列目シートは135mm前後スライド、折りたたみチルトアップ機構、背面テーブルもついている。

また、3列目シートは簡単に荷室床下に収納できるほか、シート自体を90度後ろに回転させればアウトドアで活躍のベンチにもなる。でもコレ、まったくオデッセイのパクリ。便利なもののマネは大歓迎ではあるが。

基本性能&ドライブフィール

エンジンは2種類、主力の2.5リッターV6はフォード製をマツダ流にアレンジ

搭載エンジンは2リッター直4DOHCエンジン(135PS/6000rpm、18.0kgm/4000rpm)と2.5リッターV6DOHCエンジン(170PS/625rpm、21.1kgm/5000rpm)の2種類。前者はカペラにも搭載される純マツダ製で、後者はモンデオに搭載されるフォード製をマツダ流に専用チューンしたもので、排気量も2.5以下に若干変更されている。両者とも経済的なレギュラー仕様だ。なお、先代に設定されていたディーゼルは消滅した。

足回りは前はストラット式、後ろはホイールハウスの張り出しが抑えることができるトーションビーム式を採用。とくに目新しいものではないが新設だ。

走りの質は上質。ただしカタログよりは非力な印象

メイン車種となるV6は国産V6と比べるとずいぶんおとなしい。カタログ値ではグイグイ引っ張る印象があるが、実際には必要十分程度。どこまで回しても力強い印象がなく、アクセルを踏んだだけ加速する、だけ。逆に言えばそのために走りは穏やかで、ファミリーミニバンとしてはこれでいいのかもしれない。4気筒はピックアップが鋭く、なかなか速いが、滑らかでゆったり乗るというミニバンにはちょっと合わないかも。3速ホールドモードで走ると穏やかで良かった。どちらがいいかと言えばやはりV6だろう。

室内は静かで、乗り心地もいい。ゴツゴツ突き上げることなく、フワフワもしない、しっかりしていてしかも柔らかい足まわりは、ミニバンには最適。高速でももちろん直進性に不安はなく、130km/hくらいまでのクルージングは快適だ。しかしそれ以上はちょっとパワー的に余裕がなくなる感じ。

ここがイイ

まず価格だ。この高級感を維持しながら200万円台前半というのは、すごい。社内の合理化、フォードからの支援(例えばエンジンの供給はかなり低価格だろう)、そしてディーラーのリストラまでを含めた総合的な「マツダの再建策」がこの価格を生んでいるはず。次にシートアレンジがミニバンで最良だ。セカンドシート左右をくっつけることでサードシートへ出入りしやすくなるのは、多人数乗車時に、ありがたみを実感するはず。折りたたんでフロントシートの後ろに小さくまとめれば、広大な荷室ができる。外せれればなおいいようにも思えるが、実際には置くスペースもない人が多いので、この方が実用的かもしれない。オデッセイ同様のサードシートも室内にスペアタイヤがないため(ボディセンター床下にある。これはラグレイトと同じなので、次期オデッセイでも採用されるだろう)、広々として使いやすい。たたみ込めば大きな荷室となるし、サードシートとしてはベスト。

ここがダメ

ベストと書いたサードシートだが、背もたれの角度に微調整が欲しい。立ち気味なのを倒すと、今度はちょっと寝てしまい、その中間の位置でとめたかった。

それとエンジンは直4、V6共にやや不満が残った。直4はシフトプログラムをもう少し穏やかに、V6はもう少し軽く、パワフルになると文句なし。

総合評価

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無難なスタイリング、高級感があって使いやすい室内、程々の走り、そして低価格と、サイズの大きささえ気にならなければほぼベストバイといえる「ミニバンの決定版」。車種を整理し、日本と米国で売り、共通パーツを多用して合理的に作るといった驚異の低価格を生みだした施策は、トップがフォードゆえできたことだろう。フォードが世界の負け組に入ることはおそらくないはず。その意味でマツダは、2000年の時点で日本で一番安定したメーカーといえるのかもしれない。ロータリーの新型も出るようだし、マツダは要注目のメーカーとなってきた。

 

公式サイトhttp://www.mpv.mazda.co.jp/

 
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