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スズキ MRワゴン新車試乗記(第404回)

Suzuki MR Wagon

(0.66リッター・4AT)




2006年02月25日

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キャラクター&開発コンセプト

2代目はママと子供のための軽ワゴン

初代MRワゴンは未来的なモノフォルムデザインで2001年11月に登場。その「MR」はコンセプトカーの段階では初代エスティマのような「ミッドシップ・リア駆動」の意味だったが、ワゴンRベースの市販車では「マジカル・リラックス」に変わっていた。

4年振りのモデルチェンジで2006年1月30日に発売された2代目MRワゴンは、車名は同じでも方向性は大きく変更。開発コンセプトは子育て中のママをターゲットにした「マムズ・パーソナル・ワゴン(Mom's Personal Wagon)」だ。それは単に見た目だけでなく、買い物カゴが置ける助手席や化粧品が置けるテーブルなど、生活に密着した工夫が新しい。販売目標は月間6000台。

価格帯&グレード展開

NAとターボで100万~120万円

自然吸気2グレードとターボ1グレードの合計3グレードで、価格は101万6400円~123万1650円。全車4ATで、4WDは11万7600円高。販売主力となりそうなのは、キーレススタート、チルトステアリング&シートリフター、ABS、オートエアコンなどを標準装備する自然吸気モデル「X」(112万1400円)だ。

パッケージング&スタイル

ハコっぽさ控えめで、適度にカワイく

写真はターボ(栗色)とNA(ストロベリー色)。全高は1620mm前後と高めだが、ワゴンRに比べると30mmほど低い。天地を絞り込んだサイドウインドウ、太いCピラー、わずかに寝かせたリアゲートなど、箱っぽくならないように気を配ったカワイイ系のデザインだ。

そうは言っても、あくまで実用的な雰囲気を大事にして、スバルのR2や三菱 i らデザインコンシャス組とは明らかに一線を引く。大きな丸いヘッドライトはダイハツ・ムーヴラテみたいだが、いや、それよりもスズキ・ツイン(昨年生産終了)へのオマージュか。

日本初「マイ・バスケット」対応

見どころは、ママ向けに絞ったからこそ出来た生活密着型の工夫だ。中でもスーパーの買い物カゴをちょうど置ける助手席が画期的だ。イオン・ジャスコ系など一部スーパーでは、デポジット(315円)を払って買い物カゴを個人所有するサービスが数年前から始まっているが、これはその「マイ・バスケット」(写真)を、助手席座面を跳ねあげたところの枠(403mm×255mm)に置けるようにしたもの。もちろん、同寸法であれば、ほかのカゴでも使えるはずだ。

まだまだある、便利な工夫

助手席正面のダッシュボードには、化粧品などにちょうどいい縦長の小物入れ、その下には、引き出し式のテーブル(耐荷重3kg)が備わる。その下にはコンビニフックが2つ。なぜ2つかというと、2カ所で袋を下げ、中のものがひっくり返らないようにするためだ。同時にゴミ入れ袋としても使える。おもしろい装備がシート地や天井内張りの消臭機能。消臭効果の比較テストにはフライドポテトを使ったようだが、机もあることだし、これでマクドナルドのドライブスルーもOKというわけだ。

また、インパネ上面には軽自動車初というエアコン吹き出し口(アッパーベント)を採用。風を人に直接当てず、車内全体を効率良く空調できるという。オートエアコンで吹き出し口を自動制御できるから、理想的な空調にはこれがあった方がいい。

また、助手席の背もたれは前倒しもできる。運転席のお母さんと後席チャイルドシートの子供とでコミュニケーションが取りやすいように、という配慮だ。走行中も声が聞き取りやすいように、天井に吸音素材を使うなど静粛性にも配慮したという。そうそう、手がふさがっていてもドアの開錠ができるスマートキーも上位グレードには標準装備だ。

おしゃれなインテリア

女性をターゲットにしただけに、インテリアもおしゃれだ。シート地はボディカラーに合わせてベージュもしくはマルーン(栗色)となり、ベージュには赤の、マルーンにはベージュの縫い糸が使われる。シートの座り心地も良く、上級グレードならチルトステアリングやシートリフターなどで適切なポジションがとれる。ダッシュボードやドア内張りには、繊維を練り込んだ新素材「パイル(繊維)添加樹脂」を採用。質感自体はそこそこだが、ザラッとした凸凹の触感が特徴の素材で、ウレタンパッドや塗装を施すよりリサイクル性に優れ、もちろんコストも安い。

子供の目線に立った工夫

リアシートは、ひざ裏のサポートがしっかりして十分に大人が座れる。リクライニングも可能だ。やはり、一番気を配ったのは子供にとっての使い勝手で、開発時には保育園に行って保護者のクルマに乗り込む子供の動きを観察したという。その結果、サイドシルは低くて幅が広いステップ状のものになり、リアドアのアームレストは乗降時の手すりになるように長くなった。

基本性能&ドライブフィール

不満なく走り、乗り心地のいいNA

試乗車は自然吸気エンジン(54ps、6.4kg-m)の「X」、そしてターボ版(60ps、8.5kg-m)「T」の2台だ。まずは、ある程度の非力さを覚悟して乗ったNAだが、実際にはどうしてどうして、街中で普通に走る分にはアクセル全開の必要もなく、よく走る。遮音も入念で、3気筒ながら静粛性もけっこう高い。アクセルを床まで踏み込んでも実はあんまり加速しない、という事実はあるが、それさえ諦めれば大丈夫だ。先月試乗したダイハツのエッセもそうだが、軽自動車のNAモデルの走りはこの10年でずいぶん良くなった。もうターボでなくても不満はない。

乗り心地はソフトで、なおかつ安定感があり、よくバランスが取れている。当日は雨天で、コーナリングを試す機会はあまりなかったが、ABSを装備していたおかげでステアリングを切りながらのフルブレーキングも安心してできた。

高速では余裕のターボ

一方のターボは、馬力で1割、トルクで3割増だが、実際には最終減速比(NA:5.804、ターボ:4.709)の差もあって、ちょこまか走る限りは大きな差を感じない。中間加速でのじれったさは減るし、ターボラグも無いに等しいが、NAモデルの10万円安い車両価格や10・15モードで15%以上優れる燃費を考えると、ターボじゃなくてもいいか、という感じだ。いずれも瞬間燃費・平均燃費計を備えており、試乗車のメーターは参考までにNAで11.9km/L、ターボで9.2km/Lだった。乗り心地についてもターボ車にはローダウンサスペンション(-10mm)と14インチタイヤが付き、舗装が荒れた場所だとそれなりに揺すられる。

NA、ターボのいずれも、4ATのおかげで(先を急がなければ)高速道路では快適に巡航できる。NAモデルで無理なく巡航できるのは120km/hくらいだが、その速度でもオーディオが聞こえるし、直進安定性も許容範囲だ。ターボでは130km/hまで伸び、それ以下の巡航でもトルク相応に余裕がある。高速や山道をよく走る人にはターボが良さそうだ。

ここがイイ

小さな子供のいる地方在住の女性にとって、軽自動車は必要不可欠なもの。それを徹底的に研究して作りこんだことは画期的で素晴らしい。ワゴンRで定評のある助手席下バケツ部を日本初のマイ・バスケット置き場として作り替えたのは、さすが浜松市の本社からクルマで10分以内に二つの巨大なイオンのショッピングセンターがあるスズキらしいところ。本社界隈の主婦(社員の奥さん)をマーケティングすれば自ずとこのクルマが出来るわけで、まさに「地方」のニーズをわかっているメーカーだ。

前述した様々な便利装備はほとんど文句なく素晴らしい。さらにセンターコンソール下部のフタ付ボックスがゴミ箱として利用できるのもいい。窓ガラスが前後とも全開するのも子供のいる家庭には喜ばれるはずだ。意外だったのはリアシートの座り心地が悪くないこと。背もたれこそ低いが、リラックスして座れる。立派なレバーで背もたれを可動できるのもいい。作り込みはすごく上質だ。標準装備のオーディオもまあまあな音。インテリアデザインもオシャレでいい。スマートキーももちろんママには絶対便利だ。

消臭天井とシートは、短時間の試乗ではその効果はわからなかったが、効果的であるのなら、どんどんいろんなクルマに採用して欲しいもの。軽自動車に装備できるくらいだからそう高いものではないのだろう。これってけっこう画期的な装備だと思う。タバコ臭に対しての効果はどうなのだろうか。

ここがダメ

この顔、どこかで見たことあるような…、と、思い出すとそう、スバルプレオのニコット、あるいはムーヴラテ!?。日産にOEM供給されるモコとの差別化を図りたかったと思うが、「ちょっとこれはラブリーすぎて」と退くママも多いのでは。個性をねらったと思われるリーフラインという切れ上がったサイドウインドウのラインも何だか違和感があり、旧型の方が(広さはともかく)スタイルは圧倒的によかったと思う(旧型があまり売れなかったということは、スタイルより広さを選ぶ人が多いということでもあるのだが)。

地方のママ族のクルマとして決定的に欠けているのは、携帯電話対策。ここまでいろいろついている割に、ケータイのホルダーが無いのはなぜだろう。ハンズフリーキットもあればベストだが、せめてケータイ置き場が欲しい。またチャイルドシートは高くつきそうだから無理があるかもしれないが、ジュニアシートであればこのクルマなら標準装備としてもいいのでは。チャイルドシートを卒業した子供の安全がかなり確保できると思う。それから傘置き場もぜひ欲しい。

総合評価

スズキの軽自動車は本当によい。インテリアから走りまで、すごく質感がある。MRワゴンも4ATで走りに不満はないし、3気筒の振動もほとんど気にならない。先に試乗したターボが十分な力感を持った走りだったので、次のNAに不安を持って乗ったら、速くはないもののトルク感は不足を感じさせない。4ATのショックは少なくギアのつながりもいい。滑らかな走りの質感は小型車並だ。樹脂類も安い素材でうまく上質感を演出しているし、マルーンのツートンインテリアはシートのアイボリー糸を使ったステッチがいい感じを醸し出している。

特色である各種機能に関しては、お母さんならずとも欲しくなるものをたくさん持っている。特にマイ・バスケット対応助手席シートは今後多くのクルマでやってもらいたいもの。コンビニフックも便利だが、常にここにショッピングカゴを載せておけば、コンビニで何を買った場合にもとても便利だ。おおよそ2座しか使われないとされる軽自動車に4座もあるのだから、1座分はこうしたカーゴスペースに常時使ってしまっても何も問題ない。4ドアでリアシートの座り心地も悪くないのだから。MRワゴンの優位性が無くなってしまうので当面は無理かもしれないが、コンパクトカークラスにもいずれぜひ取り入れて欲しい装備だ。それと、昔から言っているが、テーブルもあれば本当に便利な装備。また特に気に入ったのはセンターコンソール下部にあるポケット。これはゴミ箱そのものだ。

性能的にはかなりのところまで行き着いてしまった軽自動車としては、さらにこうした機能特化型商品になっていくだろう(bBはコンパクトカーでそれをやったのだが)。ただしその一つ一つのモデルは、当然ながらそれなりに売れないといけない。例えば、地方では老人が軽自動車によく乗っているので、老人に特化した軽を作るという手はあるが、絶対数が多くない以上、やはり採算の合う車種として作ることは難しいかも。またスズキ・ツインがブレイクしないまま消え去っていったように、機能やコンセプトだけで売れないのもやっかいなところ。MRワゴンは子育て主婦層という比較的大きな市場に特化させているからこそ作れたクルマだ。

であればOEMでモコを出しているように、MRワゴンをモコ程度のモデファイでクラシカルな外装に仕立て、ユーティリティーをさらに特化させることで老人特化型軽自動車を作れないものだろうか。まったく新しい車種を作るのは無理としても、そんな作りなら、台数が少なくても採算があうような気がする。MRワゴン自体、ワゴンRのビッグマイナーモデルといえなくもないわけで、ベース車両はワゴンRでもう十二分に満足できるのだから、どんどんそうしたワゴンRベースの特化型軽自動車を作ればいいと思うのだ。

プラットフォームの統一が今や主流になったが、もう一歩進めてメカ部分はまったく同じでもいいので、カタチとユーティリティーがコンセプト別に特化したクルマがたくさん出来てくると、クルマの世界はもっと楽しくなりそうだ。走りより使い勝手へ。プラットフォームまで一新した志のあるクルマを高評価しがちなモーターデイズだが、そんな作りのクルマが今後増えてきたなら、それなりに評価していきたいと思う。

試乗車スペック
スズキ MRワゴン X【T】
(0.66リッター・4AT・112万1400円【123万1650円】)

●形式:DBA-MF22S【CBA-MF22S】●全長3395mm×全幅1475mm×全高1620【1610】mm●ホイールベース:2360mm●車重(車検証記載値):820【850】kg(F:490+330【520+330】)●乗車定員:4名●エンジン型式:K6A●658cc・DOHC・3バルブ・直列3気筒・横置【同ターボ】●54ps(40kW)/6500rpm、6.4kg-m (63Nm)/3500rpm【60ps(44kW)/6000rpm、8.5kg-m (83Nm)/3000rpm】●カム駆動:タイミングチェーン●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/30L●10・15モード燃費:21.0【18.0】km/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:155/65R13(FALKEN SINCERA SN-816)【155/55R14(BRIDGESTONE POTENZA RE030)】●試乗車価格:112万1400円【123万1650円】(オプション:なし)●試乗距離:-km ●試乗日:2006年2月

 
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