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VW ニュービートル新車試乗記(第40回)

Volkswagen New Beetle

 

1998年09月11日

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キャラクター&開発コンセプト

ゴルフベースで復活したビートル

今年1998年1月にデトロイト・ショーでデビューした新型ビートル。94年、同じくデトロイト・ショーで原型となる「コンセプト1」を披露し、世界中を騒がせたのは記憶に新しいところ。まさか、本当に出るとは…。しかもその時とほとんど変わらない姿で…。アメリカではプレミアが付くほどの人気だ。

カブト虫の愛称でいまだに世界中で愛されている旧型ビートル(今でもメキシコで生産されているが、近いうちに生産終了するらしい)。その旧型のイメージをそのままに、現代の技術でまとめたのがニュービートルだ。オリジナルは空冷RR(リアエンジン、リア駆動)だが、ニュービートルは新型ゴルフ(ゴルフIV)のプラットフォームを共有する。従って、水冷FF(フロントエンジン、フロント駆動)という全く正反対のレイアウトとなった。

ニュービートルを構成する部品の大半はビートル専用に起こされたものであり、外観、内装にゴルフの面影は全くない。実際の所、好況(バブル?)のアメリカ向けの「ゴルフのパイクカー」という捉え方も間違いではなさそうだが、これならひとまずだれもが許すクルマといえるだろう。

価格帯&グレード展開

日本の正規導入は未定、99年秋という噂もあるが…

今回試乗した並行輸入の北米仕様は、2.0リッター直4ガソリンと1.9リッター直4・直噴ディーゼルターボの2タイプ。4速オートマチック、ABS、アルミホイール、パワーウインドウ、フォグランプ、レザーインテリア、サンルーフなどはオプション扱いだ。現地価格は、もっともベーシックな状態で1万5200ドル(ガソリン車)。快適装備を付けていくと2万ドル相当となる。現在、並行輸入車の相場は300万円オーバーだ。なお、少なくとも北米仕様はすべてメキシコ製となる。

今年11月にはドイツ本国でも生産・販売されることが決まり、25年振りにビートルの生産ラインが復活するという。日本への正規導入は'99年以降ということだが、ドイツでもビートル人気は加熱しており、このままいけば、さらに日本導入が遅れるかも?

パッケージング&スタイル

ひとまわり大きくなった新型ビートル、面影は継承

ボディサイズは全長4092mm、全幅1724mm、全高1511mm。旧型(フラット4・ニュー・タイプI)と比べると、全長+72mm、全幅+174mm、全高+11mm拡大されており、目の前にするとさすがにボリュームがある。弧を描いたルーフライン、グッと張り出した前後オーバーフェンダー、そこに埋め込められた丸型ヘッドランプ&テールランプなど、ビートルのモチーフを継承し、おじさんなら誰もが懐かしさを抱くはず。バックで走っても何ら不思議ではないシルエットも新型の特徴のひとつだろう。リアはハッチバックだ。

だだ広いダッシュボードに、狭苦しい後席

新型ビートルは外観だけでなく、内装もユニークだ。だだっ広いダッシュボードは、このフォルムをFFで無理矢理実現させたという痕跡のひとつ。車両感覚など全く考慮されていないが、これを買おうという人達がわざわざそんなことを気にするとは思えない。むしろプラスチック素材を多用しながらも、全然安っぽくないデザインセンスに感服させられる。エアコン、オーディオ、ミラー調整機能ドアミラーといった快適な装備群に、ABS、デュアルエアバッグそしてサイドエアバッグも標準装備し、オプションリストにはレザーシート、シートヒーター、クルーズコントロール、パワーウインドウなども載っている。カップホルダーはなぜか前席に3つもある。後席にもひとつあるので、一応、人数分はクリアしている。

ほとんどが新型ビートル専用部品、涙モノのアイテムも

丸をモチーフにしたシンプルでモダンなインパネには旧型同様の1眼メーター。スピードメーター(km、マイル表示)、タコメーター、燃料系、液晶オド&トリップメーターが組み込まれる。夜間の透過照明は鮮やかなブルーで、赤い指針とのコンストラストが新鮮だ。ゴルフのものを流用すればかなり安上がりにすむステアリングやルームミラーまで専用に起こしている。極めつけはメータークラスター横に取り付けられた「一輪挿し」。大昔のビートルのオプションの復活だが、これは泣ける!

2名乗車なら非常に快適。リアはエマージェンシーと割り切るべし

フロントシートはゴルフIVからの流用で、硬目でサポート性に優れる。ヘッドクリアランスは拳2個分どころか手がもう一本あってもまだ余裕があるくらいに広い。だだっ広いダッシュボード越しに見える風景、個性的なインパネ、座っただけで心が躍ってしまう。

後席はそんなに広くない。足元と横方向のスペースは十分だが、頭がリアガラスに当たってしまい、直射日光も避けられない。小学生ぐらいまでなら何とかなりそうだが、それでもシートバックが直角に近いほど立っているので、長距離ドライブでは苦しい。あくまで「ゴルフ・クーペ」ととらえるべきだろう。

当然リアにエンジンはなく、ハッチゲートのラゲッジスペースとなる。あまり物は入らないが、リアシートが可倒式なので、そこそこの大きさのものなら積載は可能だ。

基本性能&ドライブフィール

軽快で、結構スポーティ

試乗したのは北米仕様。エンジンは2リッター直4・OHC(115ps/16.8kgm)だ。さすがにゴルフIVがベースなだけあって走りはいい。吊下げ式のペダルはアメリカ仕様ということもあって、奥の方に配置される。正規導入の際には、右ハンドル化に伴って、この辺りも改良されるだろう。

ゴルフIVの1.8リッターはややもっさりとした印象があったが、設計の旧い2リッターエンジンのこちらは軽快に吹け上がる。パワーは際立っていないものの、低中回転域のトルクがたっぷりとしているため非常に扱いやすい。

可愛いスタイルから想像するよりも、足まわりは硬く、いわばドイツ風の味付け。常にエンジン音は聞こえるものの遮音対策がしっかりとしているため、耳障りではなく、むしろ、スポーティーに聞こえてくる。高速走行はできなかったものの、直進安定性もまったく問題ない。ただ、時々聞こえてくる内装のキシミ音(広大なダッシュ辺り)は問題アリ。

ここがイイ

久々に楽しいムードのクルマに出会った。やっぱりクルマの魅力の半分以上は「スタイル」であることを思い知らされた。しかもリアがハッチバックだから実用性は高いし、乗り心地も悪くない。理詰めで作られるドイツ車、という既成概念を根底からくつがえす、まさにパイクカーではあるが、クルマはこれでもいい、とフォルクスワーゲン本社が考えているなら、日本車にとってまさに脅威だろう。北米主導のデザインとのことだが、たまたま横に止まったパサートに非常によく似ていた。VWのひとつのデザイントレンドであることは間違いない。

ここがダメ

デザイン優先の室内だとか、旧型のエンジンだとかいえなくもないが、有無をいわせない存在感でもって全てを覆い隠してしまう。あえてダメというところはない。

総合評価

不況の日本は、バブルの頃にあった「イイもの」をすっかりかなぐり捨てて、またも極端な方向へむかっている気がする。バブル時代のパイクカーを、規制緩和が進んだ今また登場させれば、「真面目に作ったワゴン」なんかよりずっと売れそうな気がするのだが。ニュービートルのような商品を日本でも作れないのだろうか。トヨタはヨタ8(トヨタスポーツ800)を、日産は240Zを(Be-1でもいい)、ホンダはバモスを(噂はどうなった?)、そしてスバルはエルテン(スバル360ルックのショーカー)を発売すれば、大ヒットまでいかなくても、中ヒットは必ず見込めそう。ここにきて海外のメーカーの方が頭が柔らかくなってきているのではないだろうか。その象徴がこのビートルだろう。

 

 

 
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