Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > 日産 ノート e-POWER

日産 ノート e-POWER新車試乗記(第805回)

Nissan Note e-POWER

(発電用1.2L直3+モーター駆動・177万2280円~)

100%モーター駆動!
e-POWERは、エコカーの
ゲームチェンジャーに
なり得るか?

2017年02月03日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

マイチェンしたノートに、シリーズハイブリッドを搭載

「ノート」の2代目が2016年11月2日、マイナーチェンジした。2012年9月の発売から5年目に入ったのを機に、内外装デザインが一部変更されたわけだが、最大のニュースは新開発の電動パワートレイン「e-POWER(イーパワー)」搭載車が追加されたこと。

新電動パワートレイン「e-POWER」は、いわゆるシリーズ式、つまり発電専用エンジンを搭載し、電気モーターだけで走行するハイブリッドシステム。プリウスをはじめ、現在普及しているハイブリッド車の多くは、エンジンとモーターの片方および両方で駆動するシリーズ・パラレル式が主であり、ノート e-POWERのようにプラグイン機能がない「純粋な」シリーズ式ハイブリッドは「量産乗用車」では初となる。

 

駆動用モーターは、電気自動車(EV)のリーフと同じだが、搭載するリチウムイオン電池の電力量は1.5kWhと、現行リーフ(24kWhと30kWhの2タイプがある)の16分の1から20分の1に過ぎない。その点では駆動用バッテリーの代わりに発電用エンジンを積んだものと言える。外部からの充電は不要(不可)で、ガソリンを給油することで走行する。

 

その特徴は、日産によれば「モーターならではの力強くレスポンスの良い加速と優れた静粛性」。また、エンジンが発電専用であるため、実用燃費がアクセル操作に影響されにくい点もメリットとして挙げられている。エンジンは随時、発電のため稼働し、特に急加速時や登坂時にはバッテリーからの電力に加えて、エンジンで発電した電力を直接モーターに供給する。

また、アクセルオフ時に回生ブレーキを積極的に効かせることで、アクセルペダル操作だけで加速と減速が可能な新感覚の走行モード「e-POWER Drive」も売りの一つだ。

月販目標は1万台。初期受注の8割がe-POWER

新たに掲げられたノート全体の月販目標は1万台。発売から約3週間後までの受注は、その2倍の2万0348台に達した。うち約8割(78%)がe-POWERだ。

直近の国内販売実績は、マイチェンした11月が1万5784台で、日産にとってがサニー以来、約30年ぶりの月間販売1位を獲得(軽自動車も含む)。12月は1万2403台で、N-BOX、プリウスに次ぐ3位だった。国内では目下、N-BOX、プリウス、アクア並みに売れている。

生産拠点はこれまで日産自動車九州だったが、今回のマイチェンから初代ノートと同じ追浜(おっぱなま)工場(神奈川県横須賀市)に再び移管された。

シリーズ式ハイブリッドについて

上で触れたように、プラグイン機能がないシリーズ式ハイブリッドの量産乗用車はノート e-POWERが初だが、プラグイン機能があるタイプではシボレー ボルト(日本未導入)、高速域でのみエンジン直結モードになるタイプはホンダのアコードハイブリッド、オデッセイハイブリッド、その両方を備えたものは三菱アウトランダー PHEVがある。

また、商用車であれば、三菱ふそう製の路線バスに、ディーゼルエンジンを発電機とするシリーズ式ハイブリッドバスがあり、名古屋市内を走る名鉄バスではかなりポピュラーな存在だ。

 

■外部リンク
日産>「ノート」に新電動パワートレイン「e-POWER」を追加(2016年11月2日)
日産>発売後3週間で2万台を受注(2016年11月24日)
日産>「ノートe-POWER NISMO」を追加(2016年12月8日)

■過去の参考記事
新車試乗記>日産 ノート ライダー HR12DDR(2012年11月掲載)
新車試乗記>スズキ スイフト レンジ・エクステンダー(2011年3月掲載)

 

価格帯&グレード展開

e-POWERは実質195万9120円~


ノート e-POWER メダリスト

e-POWERはFFのみで、一番安いのはベース車「e-POWER S」(177万2280円)だが、これはマニュアルエアコンの設定もない燃費&価格スペシャルであり、燃料タンクも6L少ない非現実的な仕様だ。

よって実質的には、中間グレードの「e-POWER X」(195万9120円)が販売主力。日産自慢のインテリジェントエマージェンシーブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)やオートエアコンが標準装備される。

 

e-POWER メダリストのプレミアムホワイトインテリア

上級グレードのe-POWER メダリスト(224万4240円)は、LEDヘッドランプ(e-POWER Xの場合は7万5600円のオプション)、15インチアルミ&185/65R15タイヤを標準装備する(e-POWER Xの標準は14インチスチール&185/70R14タイヤ)。また、メダリストでは合皮シートのプレミアムホワイトインテリアパッケージ(5万4000円)を選択できる。

なお、ガソリン車は1.2L 直3の「HR12DE」(79ps、106Nm)と同スーパーチャージャーの「HR12DDE」(98ps、142Nm)の2種類で、トランスミッションはCVT。前者が139万3200円~、後者が173万8800円~。

初期受注の内訳は、e-POWER Sが0%、e-POWER Xが47%、e-POWER メダリストが31%、残りの22%がガソリン車。

「e-POWER NISMO」は245万8080円


ノート e-POWER NISMO

発売から約一ヶ月後の12月8日には、「ノート e-POWER NISMO」(245万8080円)が追加された。専用の内外装、専用のボディ補強、専用サスペンション、専用チューニングコンピューター(VCM=Vehicle Control Module)等を採用し、「上質な走り」と「スポーティさ」を実現したとのこと。e-POWER NISMOは持込み登録で、オーテックジャパン扱いになる。

 

パッケージング&スタイル

マイチェンでグリル、ライト、バンパーを変更

今回はマイナーチェンジということで、いわゆるフェイスリフトを実施。ボディパネルはそのままながら、新世代の日産デザインを取り入れるべく、Vモーショングリル、新デザインのヘッドランプ、リアコンビランプ、前後バンパーが採用されている。

e-POWERに関しては、Vモーショングリルのブルーライン、左右フロントドアとバックドアの「e-POWER」専用エンブレムが目印。

ボディカラーは全13色で、うち5色が新色。初期受注では多い方からブリリアントホワイトパール(23%)、ブリリアントシルバー(15%)、ダークメタルグレー(13%)、スーパーブラック(10%)、写真のe-POWER専用色プレミアムコロナオレンジ(8%)の順になる。

 

5ナンバー枠に収まるボディサイズはマイチェン前と変わらず。全長4100mm、全幅1695mmと、外寸はBセグメントとCセグメントの真ん中あたり。ただしホイールベースは2600mmと長めなので、室内空間はCセグ並みを確保している。

 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
ホンダ フィット ハイブリッド (2013~) 3955 1695 1525 2530 4.9~5.2
VW ポロ (2009~) 3995 1685 1460~1475 2470 4.9
トヨタ アクア (2012~) 3995 1695 1445 2550 4.8~5.7
マツダ デミオ (2014~) 4060 1695 1500 2570 4.7~4.9
ルノー ルーテシア (2013~) 4095 1750 1445 2600 5.3
日産 ノート e-POWER (2016~) 4100 1695 1520 2600 4.9~5.2
VW ゴルフ7(2013~) 4265 1800 1460 2635 5.2
トヨタ C-HR (2016~) 4360 1795 1550~1565 2640 5.2
日産 リーフ (2011~) 4445~4460 1770 1545~1550 2700 5.2~5.4
4代目トヨタ プリウス (2015~) 4540 1760 1470~1475 2700 5.1~5.4
 

インテリア&ラゲッジスペース

e-POWER専用メーターとリーフ譲りのシフトレバー

内装の変更も小規模に留まるが、全車に新型セレナと同形状のD型ステアリングが採用され、e-POWERには専用ファインビジョンメーターとリーフ譲りの電子制御シフトレバーが採用されている。

また、今回から、ルームミラーをディスプレイ化した「スマート・ルームミラー」(インテリジェントアラウンドビューモニター表示機能付)がオプション設定されている。これは車両周囲の映像をルームミラー(およびナビディスプレイ)に映すほか、人や自転車といった移動体を検知して、ディスプレイ表示とブザーでドライバーに注意を促すもの。作動オフ時には普通のミラーになる。

 

フロントシートの座り心地は、クッションのモッチリ感が独特。振動吸収性は高いが、ホールド感はそこそこ。気になるのは、ステアリングにテレスコ調整がないこと、センターコンソールが張り出していて左足もとが狭いこと(駐車ブレーキは足踏みではなくサイドレバー)。座面を低めにセットした方がしっくり来るが、ややステアリングが遠い。

余裕のフットルーム

ノートが誇るセールスポイントの一つが、Bセグメントの価格でCセグメント並みの室内スペースを持つこと。ボディサイズが大きいから当然だが、後席のフットルームは確かに広い。

 

ただ、一つ触れておきたいのは、e-POWERの場合は、前席の下に駆動用リチウムイオン電池があるため、そこにつま足を入れることができないこと。気になる人は気になるだろうが、リーフと違って足をしっかり曲げて座れるので、ほぼ問題なしだと思う。

荷室容量はBセグとCセグの中間  

荷室容量は330Lで、ここもBセグメント(250~300L弱が多い)とCセグメント(350L前後が多い)の中間値。後席の格納は背もたれを倒すだけなので大きな段差が生じるが、容量自体はあるので、自転車や家具といった大物を運ばない限りは不足ないだろう。

床下には工具、パンク修理キット、そしてハイブリッド化によってエンジンルームに居場所がなくなった補器用の鉛バッテリーが収まる。

 
 

基本性能&ドライブフィール

普通のハイブリッド車より、圧倒的にスムーズで力強い

試乗したのはe-POWER X(195万9120円)に、インテリジェントアラウンドビューモニター、スマート・ルームミラー、LEDヘッドランプ、純正ナビ等を装着したもの。価格はオプション込で約240万円。

自慢の「e-POWER Drive」には「ノーマルモード」、「Sモード」、「ECOモード」があるが、とりあえずノーマルモードで走り出す。当日は気温が0度近い寒い日だったので、エンジンはヒーターを稼働させるため、すぐに稼働し始める(エコモードの場合は、寒くてもヒーターのためだけには掛からない)。車内に限れば、アイドリング中のエンジン音や振動は、そう気にならないレベルだ。

そして100%モーター駆動のe-POWERは、リーフ譲りの電気モーターで力強くスムーズに走り出す。走行中でもエンジンは発電しているだけ。この力強さ、スムーズさは、一般的なハイブリッド車と一線を画したものだ。

 

試しにアクセルを床まで踏み込むと、速い速い。ゼロ発進から100km/hまでは、まさにあっという間。モーターの最高出力は95ps、最大トルクは254Nm(25.9kgm)とのことで、「2.0Lターボエンジンに匹敵するビッグトルクを発揮」(プレスリリース)とあるのは確かに誇張ではない。

なお、「e-POWER」の発電用エンジンは、日産のコンパクトカーに広く採用されている自然吸気1.2L 直列3気筒「HR12DE」をベースに、発電効率優先で最設計されたもの。圧縮比を通常の10.2から12.0にアップしたほか、遅閉じミラーサークル、鋳鉄ライナーの廃止&ボア溶射ミラーコーティング、クールドEGR、デュアルインジェクター、電動ウォーターポンプ、電動エアコンコンプレッサー等を採用するなど、かなり手が入ったものだ。強力な発電用モーターが別にあるため、オルタネーターは省略されている。最高出力79ps、最大トルク103Nmという数値は、自然吸気ガソリン車とほとんど変わらない。

 

車重は1170~1220kgと、ターボ車より120~130kg、自然吸気ガソリン車より170~180kg重いが、リーフ(1430~1480kg)と比べると逆に250kgほど軽い。リーフもかなりのスプリンターだが、どっちが速いかと言えば、それはおそらくe-POWERだと思う。

ただし、e-POWERの弱点は、加速時にはほぼ確実にエンジンが掛かり、ブォーというエンジン音が高まること。それと共にロードノイズも車速に比例して高まるため、リーフのような静かさはない。

資料には「エンジンの最適制御で2クラス上の快適性を実現」し、ロードノイズ等も「ボディの前方と後方に入念な遮音対策を実施して、車内への侵入を抑制」したとあるが、ことロードノイズに関しては上級Bセグメント並みという印象ではある。

なお、試乗したのはe-POWER Xだが、上級モデルの同メダリストではボディ側面の遮音性も上げているとのこと。

エコモード(とSモード)ならブレーキ要らず

e-POWERでぜひ試したいのが、エコモードおよびSモード。この場合はアクセルオフで回生ブレーキが強力に効くため、街中でもほとんどブレーキ要らずで走行できる。というか、アクセルを全閉にすると、思った以上に手前で止まってしまうため、徐々にアクセルを離していくコツをつかむ必要がある。日産はこれを「ワンペダル感覚の運転」と呼ぶ。

そうやってブレーキを踏まずに止まった場合は、いわゆるクリープが発生しないため、ブレーキペダルを踏まずに停止し続けることが可能だ。そして発進時にもペダルの踏みかえが必要ない。ただしエコモードやSモードでも、ブレーキを踏んで止まった場合にはクリープが発生する。なかなかよく考えられた仕組みだ。

 

「Sモード」は、減速時の挙動はエコモードと同じまま、より加速度を高めたもの。ノーマルモードより燃費はよく、しかもキビキビとした走りが楽しめる、というのが日産の主張だ。

ただ、その加速方向のレスポンスは少々過剰で(慣れもあるかもしれないが)、今回はほとんど使わなかった。冬場ヒーターがなかなか効いてこないことを除けば、エコモードがベストと感じた。シートヒーターが欲しいところだが、オプション設定すらないのが残念。

運転中、気になったのは、アクセルを緩めながら止まる場合にはブレーキランプが、まず点灯しないこと。アクセル全閉時には点灯するのだが。また、Dレンジのままブレーキを踏まずに止まっている時も、ブレーキランプは点灯しない。特に夜間は、後続のクルマが追突してこないか、ちょっと心配になってしまう。

ハンドリングはダルだが、操縦安定性はまずまず

シャシーはノートの補強版だが、乗り心地はまずまず。ちょっと硬めだが、路面の凹凸や段差のショックをよく吸収し、フラット感も高い。

一方、ステアリング操作に対する反応はかなりダルで、ワインディングでペースを上げると、コーナーでは大げさにステアリングを切る必要がある。ロール感も大きい。ただ、ヒヤッとするような挙動は出ないなど、操縦安定性はしっかり確保されている。コーナーの立ち上がりでアクセルを踏み込むと前輪がザザッと空転することもあるが(すかさずVDCが抑え込む)、そこはモーターゆえの特性だろう。

 

高速巡行中は、アクセルオフ時を除けば、エンジンはほぼほぼ掛かりっぱなしという感じ。エンジン音はロードノイズとほぼ同等のボリュームで、音質も似ているため、エンジン稼働・非稼働は意識しなければそんなに気にならない。つまりロードノイズがもっと静かだったら、エンジン音も気になったはずで、この辺は開発陣も意識しただろう。追越加速時にはエンジン音がブォーンと高まるため、まるでエンジンで駆動しているように錯覚する。

最高速に関しては155km/hほどでリミッター(出力制御)がかかるようだ。

頼れるエマージェンシーブレーキ

e-POWERのXとメダリストには、日産自慢の「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」が標準装備される。同ブレーキは、フロントの単眼カメラで前方の車両や歩行者を検知し、危険を感知した場合は警告、さらに自動ブレーキをかけるもの。作動条件は約10~80km/hで走行している時になる(歩行者に関しては60km/h以上では作動せず)。

実際、試乗中には何度か警告されることがあり(赤外線レーザーレーダー式と同様、やや敏感な設定)、安心感があった。

また、フロントカメラで車線を読み取って、車線をまたぐと音と表示で警告するLDW(車線逸脱警報)も装備している。

 

また、9万7200円のオプションとなるインテリジェントアラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)とスマート・ルームミラー装着車には、車両の周囲360度のカメラ画像内において、人や自転車などの移動体を検知して、ディスプレイ表示および音で警告を行う機能が備わる。さらに併せて、ペダルの誤操作による急発進・衝突を防ぐ、「踏み間違い衝突防止アシスト」、駐車時などに障害物にぶつかりそうになるとブレーキをガツンとかけてくれる「低速衝突軽減ブレーキ機能(前進時・後退時)」も装備される。うっかりバンパーをこすっちゃうのが心配な人は選んでおきたい。

試乗燃費は17.1~22.2km/L、JC08モードは34.0km/L(e-POWER X)

今回はトータルで約240kmを試乗。試乗燃費は、いつもの一般道と高速道路を走った区間(約80km)が17.1km/L。一般道を大人しく走った区間(約30km、3回)が21.3km/L、22.0km/L、22.2km/Lだった。渋滞した方が燃費が良くなる傾向は、プリウスなどによく似ている。

JC08モード燃費は販売主力のXとメダリストで34.0km/L。Sグレードは37.2km/Lだが、前述のようにマニュアルエアコンや後席パワーウインドウもない燃費スペシャルだから参考にならない。

燃料タンク容量はガソリン車と同じ41Lで(Sは35L)、指定燃料はもちろんレギュラー。上手に走らせれば800kmくらい無給油で走れそうだ。

ここがイイ

混じりっ気なしのモーター駆動感。ほぼプリウス並みの燃費。

何はなくとも100%電動モーターで走ってくれること。エンジンの稼働率は思った以上に高く、特に今の季節はノーマルモードやSモードだとヒーターのためにもエンジンが掛かるし、加速時もブォーンという音が聞こえてくる。それでもやはり、常に混じりっ気なしのモーター駆動感が味わえるのは格別であり、しかも電池切れの心配もない。電池切れの心配とは無縁であり、何の不安も心配もなく、電動ドライブを満喫できる。

JC08モードで34.0km/L(販売主力グレード)、今回の試乗でもアクアやプリウス並みの17~22m/L台で走ったから、燃費性能もOKだろう。車両価格がガソリン車より割高で、燃料費で元をとるのは難しいところだが、e-POWERならではのモーター駆動感はプリウスなどより圧倒的に魅力的だ。

また、インテリジェントエマージェンシーブレーキやスマートミラーといった先進安全装備が用意されていること。この手の装備はもはや「新車」には必須。

ここがダメ

ロードノイズ、車外のエンジン音、ストップランプ、デザイン、使いにくいドリンクホルダー、アドバルーンモデルの設定

ロードノイズのうるささ。様々な騒音が目立ちやすい電動車ゆえ、「ボディの前方と後方に入念な遮音対策を実施」(プレスリリース)とあるが、正直なところ、ロードノイズ(路面からタイヤ、ボディを経て車内に伝わってくる音・振動)に関しては、おおむねBセグメント並み。VWで言えばポロ並みであり、ゴルフ7のレベルには遠く及ばない。e-POWER メダリストだともう少し遮音性が高いようだが、少なくともXに関しては、もう少し静かだと良かった。

音に関してはもう一つ、車外におけるエンジン稼働時の音も気になった。車内ではけっこう静かだが、車外では3気筒エンジンのせいかノイジーと表現したくなる音を発する。もうちょっと抑えたかったところ。

ECOモードやSモードで回生ブレーキだけで減速していく場合、アクセル全閉時を除いて、ストップランプ(ブレーキランプ)がほとんど点灯しないこと。また、ブレーキを踏まずにDレンジのまま停車している時にもストップランプは点灯せず、後続車が追突してこないか一抹の不安を感じてしまう。もう少しストップランプが点灯するようにして欲しい。

外観デザイン。ボディパネルは変えるな、というのが今回のマイチェンにおける至上命題だったと思うが、e-POWERに関しては古い革袋に新しい酒を入れた感が否めない。もしこれがリーフくらい未来的なデザインだったら、もっと言えば同じグループ会社のルノー ルーテシアくらいカッコいいデザインだったらバカ売れしそうな気がする。

 

内装も基本的には従来型ノートのままで、いま一つ。ハード樹脂のダッシュボード、パネル、スイッチ類は200万円台のクルマとしては質感不足で、特にe-POWERでは古さが目立ってしまう。この価格帯でテレスコがないのも物足りないし、シフトレバーの奥にあるドリンクホルダーもひどく使いにくい。あと、オプションでいいからシートヒーターが欲しかった。

e-POWERの主力グレードに標準装備されるインテリジェントエマージェンシーブレーキは素晴らしいが、このクラスでも、そろそろミリ波レーダーやACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)が欲しいところ。せめて普通のクルーズコントロールくらいは欲しかった。

なお、クルーズコントロールについては、早くも社外品で「オートクルーズ機能付きスロットルコントローラー」なるものが発売されている。

■外部リンク
Car Watch>ピボット、オートクルーズ付きスロコン「3DA-C」が「ノート e-POWER」に対応

最後に、これはトヨタやホンダもやっていることだが、単に価格や燃費性能をアピールするためだけの、いわゆるアドバルーンモデルである「S」グレードの設定。実質的にユーザーメリットはほぼ皆無であり、そのために生じる開発費や宣伝費は無駄そのもの。カタログ燃費の最高数値を大書きする報道もいい加減やめた方がいいのでは。

総合評価

モーター駆動の大トルク感こそ未来感

息の長い加速とか、回せば回すほど湧き出るパワーとかいう表現は、一昔前、いやもうずいぶん昔、自動車雑誌の記事でよく見かけたものだ。古き良き「エンジンの時代」の話である。最近見かけないのは、そういうエンジンが減ったからか、あるいはエンジンそのものに、もはや大衆の興味が無いからか…、おそらく後者だろう。

そんな昔からトルクの厚さこそ気持ちいい走りにとって重要な要素だと思っていた。大トルクは気持ちいい。大トルクはクルマに乗る醍醐味のひとつだと思う。例えばバイクでも、低回転そのものを楽しむアメリカンバイクが日本でこれだけの人気を集めるのがその証だ。クルマで言えば大排気量のアメリカンV8が昔からの定番だが、最近で言えばディーゼルターボのトルクフルな走りも心地よい。

 

そして大トルクを発揮するパワーユニットの最たるものが電気モーターだろう。スタートから一気に立ち上がるトルク特性、これこそがモーターで走る醍醐味だ。そしてモーター駆動による気持ちよさは、まだまだ多くの人に伝わっていないと思う。

EVの場合、このモーター駆動感こそが未来的に感じられる部分。そしてこのノート e-POWERにもそれがある。ハイブリッド車ではあるが、駆動はモーターだけゆえ、駆動感覚はEVそのもの。走り出すといきなりドンと来るトルク特性は、大いなる魅力だ。この大トルク感は病み付きになる。これこそ、日産がこのこのクルマをハイブリッドではなく、EVと主張する理由の一つだろう。トヨタなどのハイブリッド車が持つCVT的なパワー感とは根本的に異なる。ああ未来だなという感じ。「モーターに乗る日々」は楽しい。20年以上前にそう思って、当サイトをモーターデイズと命名したわけだ。これぞ未来だと。

もしこれがBe-1だったら

しかし、モーターの時代はなかなかやってこなかった。エンジンで発電してモーターで走るという、昔からあるアイディアがこれほど長い間、量産乗用車で実現しなかったのは不思議な気もするが、シリーズ式で、燃費、走り、コスト、この3要素のバランスを取るのは難しいことなのだろう。

例えばコスト。ノート e-POWERをもしイチから開発したら、ものすごくお金がかかるはず。日産の場合はリーフがあったこと、そしてノートというベース車があったことで、なんとかこの価格が実現したが、ブランニューモデルだったらそうはいかなかったはず。このノート e-POWERでも車両価格の上昇分を燃費の良さで回収するのはおそらく難しいが、その上昇幅はギリギリ許せる範囲だ。このバランスを微妙に成立させたのがノート e-POWERというわけだ。

ただ、それゆえ残念に思えるのが、すでにイメージが定まってしまっているノートがベース車であることだろう。新しい未来的なデザインと新しい車名でe-POWER搭載車が出たなら、それこそ爆発的なヒット車になるのでは。いや、未来的なデザインじゃなく、例えば昔のユニークな日産車、Be-1のようなデザインのボディにこのパワーユニットが載っていたらなあ、などと夢想してしまう。個性的という意味なら、キューブあたりでもいいかもしれない。しかし、そうすると新開発となって手頃な値段では出せないという堂々巡りに陥ってしまうわけだが。

単純化の勝利

昔、スズキのスイフト レンジ・エクステンダー(公道走行可能な試作車)に乗って絶賛したが、あれは結局、商品化されなかった。あのクルマはあくまでも「プラグイン」ハイブリッド車であり、電池だけである程度(約15km)走ること、つまりEVであることを重視したため、大容量のリチウムイオン電池をどこに置くかが課題として残ってしまった(スイフトの場合は電池が荷室をほぼ占有していた)。その点、ノート e-POWERは、ゼロエミッションをすっぱり諦めた。この判断が、このヒット車を産んだということだろう。

ノート e-POWERは、既存のハイブリッド車に比べて燃費が特にいいわけではない。ガソリンで走るという意味でも特に目新しさはない。「EV」ではあるが、外部からの充電はできない。でもそこをスパッと割り切って、あるいは営業的に判断して、モーター走行の未来感を楽しめる乗り物にした。仕組みが分かりにくい他社のハイブリッドシステムと異なり、エンジンで発電してモーターで走るという誰にでも分かる仕組み、それを上手に商品化した。それゆえ、こんなにヒットしているのだろう。大衆受けしやすい、昨今よく見かける「単純化の勝利」だ。とはいえ、こうやってモーターの時代が少しづつ現実になっていくことは大いに歓迎したい。“モーターデイズ”にまた一歩近づいた。

 

試乗車スペック
日産 ノート e-POWER X
(発電用1.2L直3+モーター駆動・195万9120円)

●初年度登録:2016年11月
●形式:DAA-HE12
●全長4100mm×全幅1695mm×全高1520mm
●ホイールベース:2600mm
●最低地上高:130mm
●最小回転半径:4.9m (※15インチタイヤ装着車は5.2m)
●車重(車検証記載値):1210kg(780+430)
●乗車定員:5名

●エンジン(発電用)形式:HR12DE
●排気量:1198cc
●エンジン種類:直列3気筒DOHC・4バルブ・ガソリン・横置
●ボア×ストローク:78.0×83.6mm
●圧縮比:12.0
●最高出力:58kW(79ps)/5400rpm
●最大トルク:103Nm (10.5kgm)/3600-5200rpm
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン
●アイドリングストップ機能:有り
●使用燃料:レギュラーガソリン
●燃料タンク容量:41L

●モーター形式:EM57
●モーター種類:交流同期電動機(永久磁石式同期型モーター)
●定格電圧:-V
●最高出力:80kW(109ps)/3008-10000rpm
※定格出力:70kW(95ps)
●最大トルク:254Nm(25.9kgm)/0-3008rpm

●バッテリー:リチウムイオン電池
●トランスミッション:-(1段)
●JC08モード燃費:34.0km/L(e-POWER Xおよびe-POWERメダリスト)
 ※e-POWER Sは37.0km/L

●駆動方式:FF(前輪駆動)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):トーションビーム+コイルスプリング
●タイヤ:185/70R14(Bridgestone Ecopia EP150)

●試乗車価格(概算):242万1587円
※オプション合計(概算) 46万2467円
※オプション内訳:LEDヘッドランプ 7万5600円、パール・メタリック塗装 4万8600円、インテリジェントアラウンドビューモニター&スマート・ルームミラー 9万7200円、日産オリジナルナビ取付パッケージ(ステアリングスイッチ、リア2スピーカー、GPSアンテナ等) 2万7000円、日産オリジナルナビ(MM316D-W ※販売店オプション) 16万3666円、フロアカーペット(※販売店オプション) 2万0906円、ドアミラー自動格納装置 1万1664円、セーフティイルミネーション 1万7831円

●ボディカラー:プレミアムコロナオレンジ(PM)
●試乗距離:約240km

●試乗日:2017年1月
●車両協力:日産プリンス名古屋

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

最近の試乗記一覧