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日産 ノート 15RX新車試乗記(第356回)

Nissan Note 15RX

(1.5リッター・CVT・156万4500円)

 

2005年03月05日

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キャラクター&開発コンセプト

「日産180」の仕上げ

2004年9月、日産は国内に投入する新型6車種を一斉に見せるという異例の「事前」新車発表を行った。壇上に登ったのはムラーノ、ティーダ、 フーガ、ティーダ・ラティオ、ラフェスタ、そして今回のノートだ。

前代未聞の演出をした目的は、同社が掲げた中期経営計画「NISSAN 180」の中の一つ「販売台数の100万台増」を達成するため。つまり2005年9月までの1年間に、全世界で360万台を販売するのが目標だ。すでに期限まで半年余しかないが、北米市場の好調に支えられて計画はおおむね順調らしい。課題は、横ばい状態が続く国内市場の業績アップにかかっている。

最後の切り札

そんな経緯で登場した6車種のトリとなったのが、2005年1月20日に発売された新型車ノートだ。シャシーにはマーチ、キューブ、キューブ・キュービック、ティーダ、そしてルノーの次期クリオ(日本名ルーテシア)等と同じBプラットフォームを採用する。

それら既存のコンパクトカーと異なる特徴は、20代、30代の若い男女が乗れるファーストカー的な性格を狙ったところだが、分かりやすく言えば人気車ホンダ・フィットへの対抗車である。女性的なマーチ、若々し過ぎるキューブ、高価で落ち着いた雰囲気のティーダではカバーできなかった、ストライクゾーンのド真ん中に投げ込むモデルだ。

上級車の性能を、価格据え置きで

メカ的には、2600mmのロングホイールベース・シャシーに、全車1.5リッターエンジンを搭載したもの。1クラス上の性能を持つコンパクトカーで、価格は据え置き、といったところが売りとなる。もちろん、最近ますます手練れてきた日産デザインも大きな魅力だ。

車名のNoteは「毎日をリズミカルに楽しくするNote(音符)と、そんな毎日を記録しておくNote(ノート)からイメージしたネーミング」とのこと。販売目標は月間8000台。生産は神奈川県追浜工場だが、エンジンは愛知機械が供給する。2006年からは欧州にも同じNoteの車名で投入する予定だ。

価格帯&グレード展開

126万円で十分な装備

グレードは4種類。標準車の「15S」(126万円)、インテリジェントキーやイモビライザー(盗難防止装置)、プライバシーガラス等を追加した「15S Vパッケージ」(132万3000円)、そしてオートライト、オートエアコン、リア分割シートを標準装備する「15E」(139万6500円)、さらにキセノンライトや15インチアルミホイール、ユーロサスペンション、エアロパーツを付けた最上級の「15RX」(156万4500円)となる。15RX以外には、e-4WD(電動4WD)仕様を18万9000円アップで用意する。

全車1.5リッター

実際の購入ケースでは、一番安い「15S」でも十分、でもインテリジェントキーは欲しいから「15S Vパッケージ」にして、さらにオプションでキセノンライト(5万2500円)やオートライト(フォグとセットで2万6250円)を追加といった感じか。これでもまだ140万円ちょっとだ。

エンジンは全車1.5リッター。コストも燃費も維持費も、小排気量の場合と大差ない、それなら試乗した瞬間「乗りやすい。よく走る」と思ってくれる1.5だけでいい、というストレートな発想が、ゴーン体制の日産らしい。

パッケージング&スタイル

ファーストカーになり得る

ボディサイズは全長3990mm×全幅1690mm×全高1535mm。ホイールベースが2600mmと異様に長い分、フィットや新型ヴィッツより全長も長い、という感じだ。おおよそ1990年代前半頃のCセグメントカー(例えばVWゴルフ)並みのサイズであり、ファーストカーにもなり得る車格感がある。

外観デザインのテーマは「ホッとする、ニコッとする、ハッとする」。真面目すぎず、奇抜すぎず、男女や年齢を問わないデザインになっている。マーチやキューブといったモデルを経て、日産はますます手練(てだれ)になってきた。

キックアップするルーフ

スタイルの大きなキーは、Aピラー上端を頂点にして後ろになだらかにスロープしたあと、折り目をつけてキックアップするルーフだ。こうすると強度は落ちるので、天井材を接着して剛性を高め、ついでに天井高も確保したという。そこにV字型のリアコンビネーションランプをつけてキックアップを強調したのが斬新だ。

ただし、意地悪く付け加えれば、ルノーが欧州で発売中の新型コンパクトカー「モデュス(Modus)」は、同じBプラットフォームを使い、全体のパッケージングもシルエットもノートとよく似ている。直接、開発スタッフに尋ねたところ、「プラットフォームが同じという以外、関係ありません」と一蹴されてしまったが、基本設計やデザインスケッチの段階では、多少なりとも交流があったと勝手に想像してしまう。

シンプルかつユースフルなインテリア

試乗車の内装色はジェットブラック(直訳すれば真っ黒)だが、明るいベージュ内装もある。外観同様、手堅くまとめながら、所々キャッチーな意匠を使ったインテリア。30代、40代のモノにうるさい層を想定しながら、ティーダのようにコストはかけられない事情から、結果的にシンプルなデザインになった。よく見ると質感は高くないが、シフトレバーや空調パネルのメタル調処理が大人っぽく、気配りが目に見える。

小物入れも豊富で、シンプルかつ使いやすい。ナビモニターにピッタリのアッパーボックス、自由に仕切り板が入れ替えられるマルチセンターコンソール(ドリンクホルダーとしてなら計5本置ける)やティッシュボックス固定用バンド付き大型グラブボックス(奥にCDが入り、フタ部分には雑誌が入る。便利)などなど。

脱アレンジ至上主義

2600mmというホイールベースの割に、見た目は広くない後席だが、座り心地など実際の印象はなかなか良い。ドアの開口部が広く、乗り降りもしやすい。シートアレンジにこだわらず、折り畳みは背もたれを倒すだけにして、折り畳みやスライド機構を省略。その分をクッションの厚さや室内空間に回しているようだ。例えば、指で座面を強く押しても、シートフレームまで到達しない。アレンジ至上主義から脱した手法は、今後の流れになるかもしれない。

オドロクベキ?荷室

といっても、それではアピールが弱いので、荷室は取り外し可能なフロアボードによる「2段マルチトランク」となっている。これは後席座面を固定にしたおかげでフロア高が上がり、結果として床下スペースが増えたことを利用したものだ。ノートのテレビCM「相容れぬ篇」では、このトランクにネコと風船、あるいは風船とサボテンなど、相性の悪いものが同居できることをアピールしている。

いいな、と個人的に思ったのは、ボードを縦にして仕切りのように使う方法。最近、灯油缶5つでもかなり隙間が残るゴルフIIIの荷室で、その缶を走行中にひっくり返してしまったからだ。

基本性能&ドライブフィール

低回転から力強く

試乗したのは最上級のスポーティモデル「15RX」。奇しくも先週試乗した新型ヴィッツRSとほぼ同価格(ノート15RX:156万4500円、ヴィッツRS:159万6000円)で、さらに馬力(同109ps、110ps)、トルク(15.1kgm、14.4kgm)、変速機(いずれも無段変速のCVT)、ボディ重量(1090kg、1080kg)といった指標で、狙ったように互角だ。

走り出してすぐに感じるのは、低回転からススッと加速するエンジンの力強さ。パワートレインはティーダから投入された新世代の後方排気エンジン「HR15DE」+ジャトコ製CVTだが、ティーダより50kgほど軽いせいか、あるいは制御マップがわずかに違うのか、何となく軽快。日産によれば、ほとんどのユーザーは追い越しや高速道路の合流でさえエンジンを高回転まで回さないそうで、それならいっそ低回転トルクを最優先しよう、と考えたらしい。確かに、狙い通りの印象だ。

さらに洗練されたCVT

CVTの弱点である加速時のノイズも、普通のトルコンATに近いレベルに抑えられている。そもそも、回さなくても十分に加速する。当然、負荷が少ない巡航になれば回転数は限りなく低いから、エンジン音はほとんど聞こえない。総じてパワートレインは、1.5リッターエンジン+CVTで、最も洗練された感じだ。日産はつい先頃、今後3年間でCVT搭載車の販売を世界規模で4倍にすると発表したが(25万台→100万台。主に2.0リッタークラス以上で拡大する)、それも無理ないと思える完成度だ。

15RXは少し固めの乗り心地

エンジンは全車共通のノートだが、この15RXだけは15インチタイヤ(175/60R15と、かなり細身の新しいサイズ)と「ユーロサスペンション」が付く。他のグレードは全て175/65R14サイズだ。ただし車高はほぼ同じなので、おそらくバネ定数や減衰力をタイヤに合わせて変更したものと思われる。サスペンションはティーダと同じもの(前ストラット、後トーションビーム)で、最近日産が上級車に使うリップルコントロール・ショックアブソーバーもそのまま採用する。

と、以上のようなことを知らなくても、15RXを試乗すれば、足まわりが少し固めだとすぐに分かる。もう少しソフトな方がいいかな、と思うその仕様が、おそらく標準仕様だろう。ホイールベースが長いせいか、走行感覚はどっしりしている。ドイツ製コンパクトカーのような日本では過剰なほどの剛性感はないように感じたが、軽快感はある。表皮とウレタンを接着成形した成形シートのせいか、運転席シートの座り心地は特に優れてはいない。唯一、気になったところだ。

パワーもシャシーも余裕あり

ワインディングでの走りはレートの高いサスペンションと15インチタイヤのおかげで、乾いた路面では意のままに曲がる。初期マーチ、初期キューブで印象を落としていた電動パワステも、今やメカに詳しくないユーザーなら油圧と区別できないくらい自然な手応えになった。「あの油圧パワステの、少し反力があり、ネットリとして、なおかつ滑るようなフィーリングが懐かしい」と情緒的に語られる日も近い、と思わされる。

こんな具合に、パワーでもシャシーでも余裕のあるノートだけに、高速道路の移動もまったく問題ない。100km/h巡航は2000回転を少し越えたあたり。テレビCM「ロングトラック篇」では、貨物列車のように長いトレーラーを涼しい顔で一気に追い抜いているが、まさにそんな感じだ。とにかく高回転までブン回さずとも、スルスル加速できてストレスがない。

ここがイイ

どこから見ても不満なくまとまったデザイン。けれん味のないデザインという点でインパクトは薄いが、量販には向くだろう。同様にけれん味のないパッケージングは、このサイズながら4人乗車を快適にこなす。夜間ヘッドランプの上部が光って運転席から見え、車幅の目安になる仕掛けも良くできている。

標準グレード以外にインテリジェントキーが標準なのもいい。ボタンスタータースイッチではなくひねる方式のスタータースイッチも、すぐに違和感なく使えるという点でいい。

フロントシートの間のコンソールが4枚の間仕切り板で仕切れるのもいい工夫。同様に荷室のフタを使って、荷室の床のバリエーションを替えられるのも便利。背もたれ裏中央にある黄色いフックもショッピング袋をぶら下げられ、床が深い分460㎜の長さの袋まで大丈夫だがら、ホームセンターでのショッピングなどでは重宝する。

走りがパワフルで市街地では全く不満が出ないはず。あまりエンジン回転を上げなくてすむので、CVTとしては静かな部類。CVTの出来はこのクラス最良。マニュアルモードこそないものの、Sモードを使えば2000回転ほど高めで維持されるためスポーティーな雰囲気に浸れる。さらにワインディングでもほぼ思ったとおりに走る操縦性、低い高速巡航エンジン回転数、かなり良くなった電動パワステなど。

価格が安いのも驚異。競合他車より20万ほど安いと日産は豪語する。

ここがダメ

久々にダメな所、特になし、というクルマ。

あえて言えば、CVTが今ひとつ面白くない。走りの面ではスズキ・スイフトの4ATの方が、まだまだナチュラルで気持ちいい。普通のATだと10・15モード燃費が1割以上落ちるが。感覚面で、CVTはまだ発展途上ではある。マニュアルモードがないのは価格を抑えるためだと思うが、オプションでもせひ設定して欲しいところ。

あと、新設計のヴィッツほどシャシーポテンシャルは感じられない。マーチベースのデッドエンド、究極がノートという感じ。

総合評価

ホントに良くできている。さすがゴーン改革の最終モデルだ。特にフィットを徹底的に研究して出来ているのは間違いなく、となればノートはフィットのフルチェンジモデルみたいなもの。ということで、走り、乗り心地、ユーティリティなどは、大ベストセラーカーのフィットを凌ぐ。

そしてついに2月の販売台数はフィット(4位)を1000台以上オーバーして3位に登場。これはカローラ(2位)を抜いた新型ヴィッツ(堂々1位)という話題に並ぶ快挙だろう。いつも言うようにカローラは実質的には単一車種ではないから、いよいよヴィッツ、ノート、フィットのコンパクトカー三つどもえの戦いとなってきた。で、この中でもっとも商品力の高いのがノートだ。同時に価格も安い。おそらく日産念願の首位奪取は間近だ。

このあおりを受けてひっそりベスト30から姿を消したのが三菱のコルト(プラス含む)。1月は5000台近くを売っていたのだが、比較対象としてノートが登場するとかなり苦しいのは想像に難くない。

日産は2月の販売でノート、ティーダ、キューブ、マーチの4台をベストテンに送り込んでいる。ゴーン氏の懸念材料だった国内販売は上向き傾向にあり、彼がルノーCEOとしてフランス(出身はレバノンだが)へ錦を飾る日は近い。ノートは日産がゴーン体制になってからの開発車。自称「カー・ガイ」だというクルマ好きであるゴーン氏の息がかかったクルマはカッコよくて、よく走る。それに加え、マーケティングのうまさ。反面、メカはけっこう使い回しだし、質感もデザインで補っている。ノートもパワートレインを1種類に絞り、結果として安い価格を実現している。お見事としか言いようがない。

こうなると、ニューヴィッツのプラットフォームを用いたトヨタの巻き返しは要チェック。フィットの新型も楽しみ。でも、クルマ好きにはスイフトの試乗もお勧めしておく。どのクルマも実に欧州車ライクなのが印象的だ。

試乗車スペック
日産 ノート 15RX
(1.5リッター・CVT・156万4500円)

●形式:DBA-E11●全長3990mm×全幅1690mm×全高1535mm●ホイールベース:2600mm●車重(車検証記載値):1090kg (F:690+R:400)●乗車定員:5名●エンジン型式:HR15DE●1498cc・直列4気筒・横置●109ps(80kW)/6000rpm、15.1kgm (148Nm)/4400rpm●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/45L●10・15モード燃費:18.2km/L●駆動方式:前輪駆動(FF) ●タイヤ:175/60R15(DUNLOP SP SPORT 300)●価格:156万4500円(試乗車:158万3500円 ※オプション:フロアカーペット 1万9000円)●試乗距離:約130km

公式サイトhttp://www2.nissan.co.jp/NOTE/top.html

 
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